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しおりを挟むニヴェスは、アダルジーザに聞かれた時のことだ。
眠気に誘われていたと言うと聞こえがいいが、そんなものではなかった。そして、名前をど忘れして指さした相手をアダルジーザは、バッティスタ・ザネッティと言う子息だと思った。
周りにあれこれ聞いても埒が明かず、本人直接ちょっかいかけたら、そのまま意気投合してしまい、婚約しようとしたようだ。
それこそ、こんなに通じ合える相手はいないとお互いに思ったようだ。ある意味、そこまで通じ合える相手も、そういないだろう。
この2人のような人たちばかりになったら、この国が終わるのも早い。
「バッティスタは伯爵子息だったようだ」
そうだったのかとニヴェスは思った。そこから、ふと思ったのは……。
「……王弟殿下のご令嬢なら、公爵家ですよね?」
「それも知らなかったようだ。子爵辺りだと思っていたようで、ずっと不満があったらしい。だから、婚約者のことを蔑ろにしていたようだ」
「……それって、あちらの方が喜んだのでは?」
「そうみたいだ。しかも、親を通さず、直接手紙で婚約者に破棄したいと伝えたそうだ」
そんなことを後から知ることになった伯爵家は大変なことになったはずだ。
それこそ、どうしても婚約したい人がいると婚約破棄をしてほしいと粘りがちして、破棄になったのならまだわかるが、そうではなかったのだ。
元婚約者もその家族もかなり怒っているようだ。当たり前だ。蔑ろにし続けただけでなく、親に話も通さずに好きな令嬢ができたからと婚約破棄をしてくれというようなのに怒らないわけがない。
だが、その後だ。アダルジーザは男爵令嬢として、あっさりと婚約しないことにしたそうだ。
アダルジーザも、バッティスタが伯爵子息と聞いて、公爵あたりだと思っていたらしく、同じように婚約しないと言い出して、お互いの両親を更に激怒させたようだ。
それは簡単に想像がつく。
特にバッティスタは、隣国の公爵令嬢との婚約を破棄にまでしたのだが、そこでやっと公爵令嬢だったことを知って、破棄の撤回をしてもらおうとして動く気満々なのもわかり、そんな子息に付き合いきれないと愛想をつかして勘当したらしい。
アダルジーザも、これまで何をしていたかを男爵夫妻に知られることになり、ニヴェスが倒れるほどのショックを受けさせたことも知れ渡ったようだ。
しれっと戻って来られても迷惑とばかりに苦情と抗議が殺到したらしい。ようやく数々のやらかしがバレることになって、アダルジーザも勘当されたということのようだ。
つまるところ、ニヴェスが倒れたのもよかったようだ。いや、利用されただけとも言えるが。
もはや、そこまでやらかしたのなら勘当されるだろうと黙っていたけど、こんな目にあったのだとそれぞれの家が動いたようだ。
ニヴェスをダシにして。そんなことになったのにニヴェスは気づいて複雑な思いをした。
それは、アミールカレも同じ思いだったようだが、ニヴェスが元気になってくれるなら、その辺はどうでもいいと思っているようだ。
だが、彼の家もニヴェスの家も、どちらの家にも苦情と抗議をきっちりしていた。
どちらからも、見舞いの品が届いていたようだが、ニヴェスが目にする前に全部妹が自分のものにしてしまっていたようだが。
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