他人の婚約者を誘惑せずにはいられない令嬢に目をつけられましたが、私の婚約者を馬鹿にし過ぎだと思います

珠宮さくら

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そこまでになっても、まだニヴェスの妹はアミールカレのことを婚約者にしようとしていて、流石に手におえないというか、これ以上はここに置いておけないと思われていた。

さっさと諦めればいいものが格好良くなっているから、アミールカレは自分に相応しいと思っているようで酷くなっていく一方だった。

それこそ、今まで粘ればどうにか自分のものになっていたのもあり、どうにかなるものと思っていたのも大きかったようだ。


「いい加減にしないか!!」
「っ、!?」
「お前は、姉の邪魔をするという考えしかないのか!」
「そんな、酷いわ」


父親に怒鳴られて、母親に泣きついたが、母も白けた目を向けるばかりだった。

それこそ、怒られるのはいつものことになっていたが、妹は全く直す気がなかった。

学園でもこの調子のため、友達もいなかった。更にアダルジーザよりも役に立ってはいなかった。彼女は、駄目な子息との婚約を台無しにしてくれていたが、ニヴェスの妹はただ煩いだけだった。


「何でよ。何で、お姉様ばっかり味方するのよ!!」
「そんなこともわからないのか」
「もう、これ以上は……」
「そうだな」


ニヴェスは、妹を両親にどうにかしてくれと両親に言わなかった。

何を言っても、自分の婚約者にしてくれないとわかり、アミールカレからの贈り物を自分のものにするだけで足りず、ニヴェスの大事にしている小説をボロボロにしたのだ。

婚約者のくれた物を自分の物にするより、それをされた方がニヴェスは傷ついてしまった。ショックのあまり部屋に引きこもってしまい、両親が何があったかを問いただして、これまで姉に散々なことをしていたことを知ったのだ。

それでも、どうにかしてくれとニヴェスは両親に言うことはなかった。ただ、部屋に引きこもってしまい、出て来ないのを心配してアミールカレがこの家に来ようとしているが、何があったかを知って怒り狂ってニヴェスの妹に何をするかわからないため、来なかった。

それよりも、激怒したアミールカレの姉と妹が突撃して責め立てようとするのを止めるのが大変だったようだ。

あの姉妹が来たら、大変だったろう。更に幼なじみも、ニヴェスの大事にしているものを台無しにしたと聞いて、怒鳴り込みに来ようとしたのを婚約者が止めていたようだ。

ニヴェスの家にそんな面々が来ることなく、ニヴェスの妹は、すぐに修道院に入ることになったが、そのうちほとぼりが冷めたら出られると思っていたようで、姉に対しても……。


「ごめんなさい」
「……」
「何よ。謝ってるのよ?」
「……」


謝ってる態度ではなかったが、妹は許さないのは心が狭いとニヴェスに色々言っていたが、何もニヴェスが言うことはなかった。

そんな態度が見え見えなせいもあり、ニヴェスが妹に会うことは二度となかった。

その後、ニヴェスは妹の話題を口にすることもなかった。


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