94 / 157
第14話 サルベージの一夜
5
しおりを挟む
午前一時──。
「えー本日もサルベージにご来店ありがとうございます。これよりテキーラナイトのスペシャルステージを行ないます。ステージとパフォーマーに触れる行為は禁止となっておりますのでご注意ください。それではごゆっくり」
喧しいBGMに乗せてロッソ君がアナウンスをする。もう何百回と言っている台詞なのだろう。句読点も無視して息継ぎすらせずダラダラっと早口で言った後、フロアの照明とBGMが変化した。
中央の円形ステージをスポットライトが照らし、ピンマイクを通した声を客が聞き取れるように音楽が抑え目になる。今回もステージから暗い客席は殆ど見えないが、見えなくて本当に良かった──
「ふふ、……頼寿様、少し息が荒くなってきましたね」
偽ロココ調というか、頼寿に言わせれば「今時ラブホでもこんな物使わねえ」という丸型のデカいベッドの上。
長い脚を投げ出して座る頼寿の上に跨り、まだ若干赤い頼寿の頬を片手で撫でる。
俺が演じるエドワードは変装を得意とするスパイで、スイッチが入ると設定した役柄に完璧になりきることができるらしい。
今なりきっているのは「王子を誑かす無敵の男娼」。つい先日初めてセックスをした俺ごときがおこがましいが、まあそういう設定だから仕方ない。
「玉雪。未成熟な制服の下に隠れたお前の白い肌を、ずっと夢想していた。……ああ、まさかお前の胸に抱かれる日がこようとは」
……さてはまだ酒が残っているな。こんな台詞、普段の頼寿なら絶対に言わない。
「頼寿様、どうぞ含んで……存分に味わってください」
言いながら制服のシャツを捲り、背中を反らして胸を露出させる。恥ずかしいけどドキドキするのは、俺の体が頼寿の愛撫を期待しているからだ。
「は、うぅっ……!」
尖った乳首が熱い。ねっとりと柔らかい舌で転がされれば、無意識に腰がうねって甘い声が出てしまう……
「お前の愛らしい乳首は、俺のような王族の寵愛を受けるためにあるのだな……。俺の舌でこんなに硬く尖らせて、悪い子だ玉雪」
「よ、頼寿様、あっ……!」
「初めて触れた時から乳首が弱点だったな、お前は」
言ってる意味が分からないし、これは台詞も漫画と違う。
頼寿、ちゃんと理解してるんだろうか。明日の朝、今夜のステージの記憶が全部無くなってるんじゃないだろうか。
思わずそんな心配をしてしまうほど、今夜の頼寿は変だった。妙だった。もちろんそれは酔いのせいもあり、概ね漫画の台詞をなぞっているだけだというのも分かっているけど、でも。
「こんなに感度が良く美しい体は初めてだぜ、玉雪」
「っ……」
いつもと全然違う優しい声と微笑で、そんなことを言われたら──!
「あ、うぅ……頼寿、吸いすぎ……!」
誘惑しているのは俺のはずなのに、これじゃあ真逆の状態だ。
「ちょ、待って頼寿っ……もういいから、そんな吸わなっ、あぁ……!」
ヤラシイ音をたてて乳首を啄まれ、強く吸われて──何だかもう、頭の中までふやけてしまう。ローゼオさんに借りたズボンに染みができてしまうのではと心配になるほど、俺の下半身は熱く高ぶっていた。
「……甘いな。いつかの風呂で覚えた薔薇の味がする」
「う、うそ、……やあっ、あ……! あっあ、だめ、頼寿そんな……もういいってば……!」
この後まだまだやることがあるのに、頼寿は俺の胸から全く離れようとしない。
──そうだ。俺は「誘惑」する立場なんだから、ちゃんと主導権を握らないと。
「よ、頼寿様……そんなに胸ばかり愛されては、別のところが嫉妬してしまいます」
握った頼寿の手を俺の股間に導くと、ようやく頼寿が俺の胸から顔を上げた。
よし。ここからだ。
「えー本日もサルベージにご来店ありがとうございます。これよりテキーラナイトのスペシャルステージを行ないます。ステージとパフォーマーに触れる行為は禁止となっておりますのでご注意ください。それではごゆっくり」
喧しいBGMに乗せてロッソ君がアナウンスをする。もう何百回と言っている台詞なのだろう。句読点も無視して息継ぎすらせずダラダラっと早口で言った後、フロアの照明とBGMが変化した。
中央の円形ステージをスポットライトが照らし、ピンマイクを通した声を客が聞き取れるように音楽が抑え目になる。今回もステージから暗い客席は殆ど見えないが、見えなくて本当に良かった──
「ふふ、……頼寿様、少し息が荒くなってきましたね」
偽ロココ調というか、頼寿に言わせれば「今時ラブホでもこんな物使わねえ」という丸型のデカいベッドの上。
長い脚を投げ出して座る頼寿の上に跨り、まだ若干赤い頼寿の頬を片手で撫でる。
俺が演じるエドワードは変装を得意とするスパイで、スイッチが入ると設定した役柄に完璧になりきることができるらしい。
今なりきっているのは「王子を誑かす無敵の男娼」。つい先日初めてセックスをした俺ごときがおこがましいが、まあそういう設定だから仕方ない。
「玉雪。未成熟な制服の下に隠れたお前の白い肌を、ずっと夢想していた。……ああ、まさかお前の胸に抱かれる日がこようとは」
……さてはまだ酒が残っているな。こんな台詞、普段の頼寿なら絶対に言わない。
「頼寿様、どうぞ含んで……存分に味わってください」
言いながら制服のシャツを捲り、背中を反らして胸を露出させる。恥ずかしいけどドキドキするのは、俺の体が頼寿の愛撫を期待しているからだ。
「は、うぅっ……!」
尖った乳首が熱い。ねっとりと柔らかい舌で転がされれば、無意識に腰がうねって甘い声が出てしまう……
「お前の愛らしい乳首は、俺のような王族の寵愛を受けるためにあるのだな……。俺の舌でこんなに硬く尖らせて、悪い子だ玉雪」
「よ、頼寿様、あっ……!」
「初めて触れた時から乳首が弱点だったな、お前は」
言ってる意味が分からないし、これは台詞も漫画と違う。
頼寿、ちゃんと理解してるんだろうか。明日の朝、今夜のステージの記憶が全部無くなってるんじゃないだろうか。
思わずそんな心配をしてしまうほど、今夜の頼寿は変だった。妙だった。もちろんそれは酔いのせいもあり、概ね漫画の台詞をなぞっているだけだというのも分かっているけど、でも。
「こんなに感度が良く美しい体は初めてだぜ、玉雪」
「っ……」
いつもと全然違う優しい声と微笑で、そんなことを言われたら──!
「あ、うぅ……頼寿、吸いすぎ……!」
誘惑しているのは俺のはずなのに、これじゃあ真逆の状態だ。
「ちょ、待って頼寿っ……もういいから、そんな吸わなっ、あぁ……!」
ヤラシイ音をたてて乳首を啄まれ、強く吸われて──何だかもう、頭の中までふやけてしまう。ローゼオさんに借りたズボンに染みができてしまうのではと心配になるほど、俺の下半身は熱く高ぶっていた。
「……甘いな。いつかの風呂で覚えた薔薇の味がする」
「う、うそ、……やあっ、あ……! あっあ、だめ、頼寿そんな……もういいってば……!」
この後まだまだやることがあるのに、頼寿は俺の胸から全く離れようとしない。
──そうだ。俺は「誘惑」する立場なんだから、ちゃんと主導権を握らないと。
「よ、頼寿様……そんなに胸ばかり愛されては、別のところが嫉妬してしまいます」
握った頼寿の手を俺の股間に導くと、ようやく頼寿が俺の胸から顔を上げた。
よし。ここからだ。
2
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる