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第19話 スプラッシュ!!
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頼寿に触れて多少は緊張もほぐれたのか、気付けば俺はホテルのふかふかベッドで大いびきをかいて眠っていたらしい。起こされたその時、ヨダレと寝癖が酷すぎて頼寿の顔が一瞬完全な真顔になった。
「んん……プール? 何時……?」
「そうだ。一時間でシャワー浴びて着替えろ」
「あい……」
のろのろしていたら頼寿に尻を叩かれたので、俺は慌ててその場で全裸になりバスルームへ走った。
シャワーの後は髪を乾かし、どうせ濡れるので適当に自分でセットし、用意されていた衣装に着替えだ。
衣装といっても競泳パンツ一枚だ。俺達は予めプールの中で待機し、時間が来たらライトアップされたプールの中に突如俺達が現れる──というわけである。
「パンツ、めちゃくちゃピチピチなんだけど……」
「俺を見ろ」
「わっ、頼寿やばいよそれ。ちんこの形すげえくっきりしてるじゃん」
指をさして笑っていると、部屋の電話が鳴った。
頼寿が出て、「ああ」とだけ言って受話器を置く。いよいよ出番なのだ。スプラッシュナイトが始まるのだ。
「なあ、頼寿。たぶん俺、気持ち良くなったらまた暴走するかもしれないから……溺れないようにだけしっかり見ててくれな」
「万が一にも溺れることはねえが、まあいざとなったら中止するから気にすんな」
「中止は困るだろ、損害ってやつになるじゃん!」
「じゃあ、俺が助けるから心配すんな」
「それが聞きたかったんよ、頼寿ちゃん」
「変なテンションだな」
*
午前零時。
屋上といっても寒々しいものではなく、星空は見えるしライトアップもされてるし、バーもあるし、今回俺達が使うのとは別にちゃんと足の着くデカいプールもある。ちなみに今日はバーもプールも休業だ。俺達のために。
できれば仕事でなく遊びで来たかったと思えるほどの、完璧なパラダイス──流石は高級ホテルだ。まあ裏ではこんなショーを行なっているのだけど。
「頼寿さん、玉雪さん。そろそろスタンバイお願いします」
今回のステージアシスタントに脱いだガウンを渡し、俺と頼寿はアシスタントに案内されるまま今夜の舞台となる場所へ向かった。
「……う」
そこには、一際デカくて大きな「穴」があいていた。
真っ黒で、真っ暗で、まるで底なしのブラックホール──巨大なモンスターの胃袋みたいな穴が。
「こ、怖すぎる。この中で待機……?」
「ライトが点くまでの辛抱だ。ここまできて怖気付くな、先に入ってるぞ」
「うー……」
恐る恐るプールのふちに腰掛け、ハシゴを使って中へと下りていく。真っ暗で、どこから水になっているのかも分からない。
「わ、結構あったかい。ていうか本当に浮く! やば、楽しいかもこれ!」
「ベタベタで最悪だがな……」
意外にもしっかり浮かんでいられて面白かった。直径約3メートルだから仰向けに寝れば星空も仰げる。怒られるからやらないけど。
「砂糖何トン使ったんだろ。濃度30%だっけ? あ、本当に甘い。塩水じゃなくて良かった」
「高濃度の塩水だと、肌に負担がかかるからな」
向こうからは俺達の姿が見えないが、こちらからはラウンジの様子が見えていた。快晴やロッソ君たちを始め知ってる顔もちらほらいる。
ソファに座った三上会長は、他の会社の社長達とワインを飲んで談笑していた。
ちなみにプールいっぱいに水が張ってあるわけではなく、深さはあるが水の量はプールの半分くらいだ。常に浮いてしまう訳だから、大量に水を入れたらラウンジから俺達の顔が見えなくなってしまう。
「段取りは覚えてるな」
「う、うん。大丈夫……たぶん」
その時、上からアシスタントの声が降ってきた。
「もう間もなく本番です、頑張ってください!」
「んん……プール? 何時……?」
「そうだ。一時間でシャワー浴びて着替えろ」
「あい……」
のろのろしていたら頼寿に尻を叩かれたので、俺は慌ててその場で全裸になりバスルームへ走った。
シャワーの後は髪を乾かし、どうせ濡れるので適当に自分でセットし、用意されていた衣装に着替えだ。
衣装といっても競泳パンツ一枚だ。俺達は予めプールの中で待機し、時間が来たらライトアップされたプールの中に突如俺達が現れる──というわけである。
「パンツ、めちゃくちゃピチピチなんだけど……」
「俺を見ろ」
「わっ、頼寿やばいよそれ。ちんこの形すげえくっきりしてるじゃん」
指をさして笑っていると、部屋の電話が鳴った。
頼寿が出て、「ああ」とだけ言って受話器を置く。いよいよ出番なのだ。スプラッシュナイトが始まるのだ。
「なあ、頼寿。たぶん俺、気持ち良くなったらまた暴走するかもしれないから……溺れないようにだけしっかり見ててくれな」
「万が一にも溺れることはねえが、まあいざとなったら中止するから気にすんな」
「中止は困るだろ、損害ってやつになるじゃん!」
「じゃあ、俺が助けるから心配すんな」
「それが聞きたかったんよ、頼寿ちゃん」
「変なテンションだな」
*
午前零時。
屋上といっても寒々しいものではなく、星空は見えるしライトアップもされてるし、バーもあるし、今回俺達が使うのとは別にちゃんと足の着くデカいプールもある。ちなみに今日はバーもプールも休業だ。俺達のために。
できれば仕事でなく遊びで来たかったと思えるほどの、完璧なパラダイス──流石は高級ホテルだ。まあ裏ではこんなショーを行なっているのだけど。
「頼寿さん、玉雪さん。そろそろスタンバイお願いします」
今回のステージアシスタントに脱いだガウンを渡し、俺と頼寿はアシスタントに案内されるまま今夜の舞台となる場所へ向かった。
「……う」
そこには、一際デカくて大きな「穴」があいていた。
真っ黒で、真っ暗で、まるで底なしのブラックホール──巨大なモンスターの胃袋みたいな穴が。
「こ、怖すぎる。この中で待機……?」
「ライトが点くまでの辛抱だ。ここまできて怖気付くな、先に入ってるぞ」
「うー……」
恐る恐るプールのふちに腰掛け、ハシゴを使って中へと下りていく。真っ暗で、どこから水になっているのかも分からない。
「わ、結構あったかい。ていうか本当に浮く! やば、楽しいかもこれ!」
「ベタベタで最悪だがな……」
意外にもしっかり浮かんでいられて面白かった。直径約3メートルだから仰向けに寝れば星空も仰げる。怒られるからやらないけど。
「砂糖何トン使ったんだろ。濃度30%だっけ? あ、本当に甘い。塩水じゃなくて良かった」
「高濃度の塩水だと、肌に負担がかかるからな」
向こうからは俺達の姿が見えないが、こちらからはラウンジの様子が見えていた。快晴やロッソ君たちを始め知ってる顔もちらほらいる。
ソファに座った三上会長は、他の会社の社長達とワインを飲んで談笑していた。
ちなみにプールいっぱいに水が張ってあるわけではなく、深さはあるが水の量はプールの半分くらいだ。常に浮いてしまう訳だから、大量に水を入れたらラウンジから俺達の顔が見えなくなってしまう。
「段取りは覚えてるな」
「う、うん。大丈夫……たぶん」
その時、上からアシスタントの声が降ってきた。
「もう間もなく本番です、頑張ってください!」
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