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番外編:葉梨と有馬(第46話の裏側)
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有馬静加は、帝都テレビの数多いる記者の1人に過ぎないが、社内でその存在を知らない者はいない。
父親は当選8回の衆議院議員で与党の幹部。一族には曽祖父の代から政治家がごろごろ。
そんな名家の威光を笠に着ることもなく、本人は至って物腰が柔らかい好青年。
こと取材となると突っ走り気味ではあるが、それは記者にとっては誉め言葉だ。おまけに美青年。
狙う女性は数多いるが、彼は女性を愛さない。
葉梨カレンが、情報番組の放送を終えて遅いランチにしようと写真食堂を覗くと、窓際の席で件の有馬が一人で食事を取っていた。
有馬は防衛大臣付の番記者なので、帝都テレビ本社にいることは滅多にいない。取り巻きの多い彼がひとりでいるのも珍しいので、セルフサービスの会計を済ませた葉梨は迷わず足を向けた。
「スクープおめでとう」
上から声をかけると、有馬は素直に「ありがとう」と言った。
寸分隙のない髪形にスーツ。テレビ局で勤務していれば男前など腐るほど目にするが、有馬は別格だ。生まれながらの品は努力では作れない。
「一緒してもいい?」
「勿論」
有馬は頷いて、向かいの席にあった調味料セットをどけてくれる。
彼のフライ定食の前に、自分のサラダパスタを置く。カロリーが3倍は違いそうだ。
アナウンサーは見た目も大事。体重には人一倍気を遣う。ソースたっぷりのメンチカツなんて、最後に食べたのはいつだっただろう。
「ニュースの反響、凄かったわね。社長賞は確定じゃない?」
労うと、有馬は他人事のように受け流した。
「興味ない。賞を取るために仕事をしているわけじゃない」
謙遜でもカッコつけでもなく、これは彼の本心。有馬はそういう男だ。
「相変わらず、実績とか名誉には全然興味がないのね」
「ないよ。やりたい仕事をやらせてくれるなら、評価はどうでもいい」
本当にどうでもいい様子で、有馬はエビフライにかぶりついている。
スクープの話で盛り上がることはできなさそうだったので、一番聞きたかったことに話題を移した。
「その後、彼氏とは仲良くやってるの?」
そこで初めて、有馬は箸を止めて葉梨を見た。
「振られた」
「あら。それはご愁傷様」
素っ気なく返すと、有馬は苦笑する。
「慰めの言葉くらいかけてくれてもいいんじゃない」
「だって、全然落ち込んでる風じゃないんだもの」
そう。あれだけ執心していた相手に振られたと言っているわりに、有馬は悲しそうでも寂しそうでもない。寧ろ楽しそうですらある。
「そりゃあ、振られはしたけど、諦めてはないからね。ここで引き下がるくらいだったら、最初からノンケに手なんて出してない」
「有馬って、そんなに粘着質だった?」
大学時代からの付き合いなので、有馬の恋愛遍歴もそれなりに聞きかじっている。
ひとりの相手に執着するような男ではなかったのだが。
「自分でも驚いてるよ。こんなに、絶対手放したくないなんて思ったのは初めてだから」
「よくそういう恥ずかしいこと言えるわね」
「こんな話、葉梨にしかできないからね」
この天然人たらし。不覚にも、ちょっと嬉しくなってしまったではないか。
「それで、どうやって関係修復するつもりなの?」
尋ねると、有馬は口角を上げた。
「画策中」
意味深に答えた有馬の目が獲物を狙う獣のようにきらりと光る。これは絶対に逃げられそうにない。
葉梨は、相手の殿方に心から同情した。
父親は当選8回の衆議院議員で与党の幹部。一族には曽祖父の代から政治家がごろごろ。
そんな名家の威光を笠に着ることもなく、本人は至って物腰が柔らかい好青年。
こと取材となると突っ走り気味ではあるが、それは記者にとっては誉め言葉だ。おまけに美青年。
狙う女性は数多いるが、彼は女性を愛さない。
葉梨カレンが、情報番組の放送を終えて遅いランチにしようと写真食堂を覗くと、窓際の席で件の有馬が一人で食事を取っていた。
有馬は防衛大臣付の番記者なので、帝都テレビ本社にいることは滅多にいない。取り巻きの多い彼がひとりでいるのも珍しいので、セルフサービスの会計を済ませた葉梨は迷わず足を向けた。
「スクープおめでとう」
上から声をかけると、有馬は素直に「ありがとう」と言った。
寸分隙のない髪形にスーツ。テレビ局で勤務していれば男前など腐るほど目にするが、有馬は別格だ。生まれながらの品は努力では作れない。
「一緒してもいい?」
「勿論」
有馬は頷いて、向かいの席にあった調味料セットをどけてくれる。
彼のフライ定食の前に、自分のサラダパスタを置く。カロリーが3倍は違いそうだ。
アナウンサーは見た目も大事。体重には人一倍気を遣う。ソースたっぷりのメンチカツなんて、最後に食べたのはいつだっただろう。
「ニュースの反響、凄かったわね。社長賞は確定じゃない?」
労うと、有馬は他人事のように受け流した。
「興味ない。賞を取るために仕事をしているわけじゃない」
謙遜でもカッコつけでもなく、これは彼の本心。有馬はそういう男だ。
「相変わらず、実績とか名誉には全然興味がないのね」
「ないよ。やりたい仕事をやらせてくれるなら、評価はどうでもいい」
本当にどうでもいい様子で、有馬はエビフライにかぶりついている。
スクープの話で盛り上がることはできなさそうだったので、一番聞きたかったことに話題を移した。
「その後、彼氏とは仲良くやってるの?」
そこで初めて、有馬は箸を止めて葉梨を見た。
「振られた」
「あら。それはご愁傷様」
素っ気なく返すと、有馬は苦笑する。
「慰めの言葉くらいかけてくれてもいいんじゃない」
「だって、全然落ち込んでる風じゃないんだもの」
そう。あれだけ執心していた相手に振られたと言っているわりに、有馬は悲しそうでも寂しそうでもない。寧ろ楽しそうですらある。
「そりゃあ、振られはしたけど、諦めてはないからね。ここで引き下がるくらいだったら、最初からノンケに手なんて出してない」
「有馬って、そんなに粘着質だった?」
大学時代からの付き合いなので、有馬の恋愛遍歴もそれなりに聞きかじっている。
ひとりの相手に執着するような男ではなかったのだが。
「自分でも驚いてるよ。こんなに、絶対手放したくないなんて思ったのは初めてだから」
「よくそういう恥ずかしいこと言えるわね」
「こんな話、葉梨にしかできないからね」
この天然人たらし。不覚にも、ちょっと嬉しくなってしまったではないか。
「それで、どうやって関係修復するつもりなの?」
尋ねると、有馬は口角を上げた。
「画策中」
意味深に答えた有馬の目が獲物を狙う獣のようにきらりと光る。これは絶対に逃げられそうにない。
葉梨は、相手の殿方に心から同情した。
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ハル様
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BijouTheCatさま
いつも感想ありがとうございます。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
完結お疲れ様でした。
幸せな二人をもっとみたいです。
Naoさま
読了&感想、ありがとうこざいます!
番外編として、また後日談も書きたいと思います。