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「たしかに暴行を行った親衛隊が一番の悪かもしれない。でも、親衛隊を暴行に走らせないように対策は充分できたはずだし実際凛はそれをしようとしていた。それなのに制裁を助長させるようなことしかしてこなかったクズに凛を責める資格はない。」
絶対零度の冷たい声音で話しながら生徒会長を睨む。最早クズ呼ばわりになっているが、誰もそこには突っ込まない。というより突っ込める雰囲気ではない。
「凛が悪いと判断するならクズの恋人がああなるのも自然なことだったのかもしれないね。可哀想だけど自分の見る目がなかったと制裁を受けた子には納得してもらうしかないね。」
別れないといけなくなる不安から制裁の話が生徒会長に出来なかったのだろう。嫉妬から会長のケータイを見て親衛隊からのメールを削除するのも分からなくはない。でも、その子も自分がそういう相手の付き合っているということを覚悟するべきだった。自分の身をもっと大切にするべきだった。
「ねぇ、この話聞いても凛が悪いって言う?」
知晴は会長に訴えかけるように問うた。視線の先の会長は信じられないといった顔をしている。
「で、でも、じゃあなんで今まで隊長はその事を言わなかった?」
「そりゃあ、凛が誰にでも優しい天使だから落ち込むクズが可哀想でクズのせいでもあることを隠してあげたんでしょ。それを今までなんの疑いも持たずに信じ続けて凛を口撃し続けてたんだからゴミでしかないよね。最早いじめ。」
「証拠は!?」
「はぁ、なんでクズの為に俺がそこまでしなきゃならないの?事の真偽くらい確かめろ。クズにとっては大事なことなんでしょ?」
知晴はぶーぶー文句を垂れながらスマホを取りだしロックを解除すると何らかの操作をしてそれを会長に投げる。
「こ、これは?」
「凛が送ったメールを復元したやつ。」
「なんでお前が?」
「クズにお前呼ばわりされるとムカつくんだけど?まあ、俺のことはいいや。そんなことより読んだら?」
「あ、ああ。」
会長は数通のメールに目を通し始めた。見る見るうちに顔は真っ青になり、唇を歯で噛み始めた。
そりゃあそうだろう。事件後発覚した制裁以外にも制裁はあった。それもしっかりとメール内で報告されていたのだから。自分のしている対策、そして力が及ばなかったこと、会長にして欲しいこと、このままではなにか大きな事件が起こるであろうという予測。それらがメールには書かれていた。これさえ見ていればあんな悲惨なことにはならなかっただろう。
「これ、本当か?」
「嘘だと思いたければ嘘だと思えばいい。ちなみに被害者の子はメールを削除していたことは認めている。」
知晴は言質を取りに退院後の被害者を訪問している。ただ訪問したのではなくカウンセリングを名目として何回かに分けて。だからその後の被害者が精神的ショックを乗り越えて今は高校に通っていることも知っている。
「なんでお前がそれを知っている?」
「チッ、なんでなんでそんな関係ないこと俺が説明しなきゃいけない理由がわからない。」
またお前と呼ばれて知晴の機嫌は更に悪くなる。会長の手にあるスマホを奪い返し、何らかの操作をすると今度は音声が流れ出す。
『秋春くん、今日で俺のカウンセリングは終わりだね。最後に聞きたいことがあるんだけどいいかな?』
『うん、先生。』
ケータイからは知晴と一人の少年の声、秋春くんの声が聞こえた。知晴が数回行ったカウンセリングの最後の日の録音だ。
『録音してるけど秋春くんが承諾しない限り誰にも聞かせないからいい?』
『先生のことだから理由があるんでしょ?先生が判断したなら誰に聞かせても大丈夫だよ。』
『そこまで信頼されてると照れる。』
『だって先生のこと大好きだから!ねぇねぇやっぱり俺と付き合おう?ね?』
尻に敷かれている澄晴が頭をぐりんと回し、知晴の方に顔を向ける。しかし知晴はそれに気づいていながらも首痛そうだなと、そんな感想を抱いただけだった。
『無理。』
『ちぇー、そんなに俺って魅力ないかな?まあいいや、で、質問って?』
『親衛隊の人からのメールを全部消してたのって秋春なんだよね?』
『うん、って今更なんで?そのメールが僕のことを心配してくれた親衛隊長が送ったってのを教えてくれたの先生じゃん。メール復元までしてくれてさ。あの辛い時期にあそこまで俺の為にしてくれてる人がいただけで救われた気持ちになったよ。それを消した俺は馬鹿だよね。こんな目にあったのも自業自得。いつか隊長、凛さんだっけ?お礼が言えたらいいな、ありがとうって。』
『そうだね。』
ここで知晴はケータイの音を止めた。会長と凛はそれぞれ涙を流している。理由はそれぞれ違うだろう。
「助けてあげられなくてごめんね。僕なんか結局何も出来なかったのに、感謝なんて…される資格ないのに。でも良かったぁ、ひっぐ、元気になってたんだぁ。」
しゃくりあげながら凛は懺悔し、泣いた。そして、知晴に近づくと知晴の手を握った。
「知晴くんありがとう!秋春くんを元気にしてくれたんだよね!心残りだったんだ。ほんとに良かった。」
「今は普通に高校に通ってるから凛が心配することはもう何も無いよ。」
知晴は笑みを浮かべた。事件について調べる為にカウンセリングをしていたが、元気になる患者を見て、これだけ凛が嬉しそうにしてくれて、今更ながら嬉しかった。
「あぁあああああぎいいいいはああるううううう。」
今まで呆然としながら泣いていた会長はいきなり汚い声を出しながら泣き叫んだ。
絶対零度の冷たい声音で話しながら生徒会長を睨む。最早クズ呼ばわりになっているが、誰もそこには突っ込まない。というより突っ込める雰囲気ではない。
「凛が悪いと判断するならクズの恋人がああなるのも自然なことだったのかもしれないね。可哀想だけど自分の見る目がなかったと制裁を受けた子には納得してもらうしかないね。」
別れないといけなくなる不安から制裁の話が生徒会長に出来なかったのだろう。嫉妬から会長のケータイを見て親衛隊からのメールを削除するのも分からなくはない。でも、その子も自分がそういう相手の付き合っているということを覚悟するべきだった。自分の身をもっと大切にするべきだった。
「ねぇ、この話聞いても凛が悪いって言う?」
知晴は会長に訴えかけるように問うた。視線の先の会長は信じられないといった顔をしている。
「で、でも、じゃあなんで今まで隊長はその事を言わなかった?」
「そりゃあ、凛が誰にでも優しい天使だから落ち込むクズが可哀想でクズのせいでもあることを隠してあげたんでしょ。それを今までなんの疑いも持たずに信じ続けて凛を口撃し続けてたんだからゴミでしかないよね。最早いじめ。」
「証拠は!?」
「はぁ、なんでクズの為に俺がそこまでしなきゃならないの?事の真偽くらい確かめろ。クズにとっては大事なことなんでしょ?」
知晴はぶーぶー文句を垂れながらスマホを取りだしロックを解除すると何らかの操作をしてそれを会長に投げる。
「こ、これは?」
「凛が送ったメールを復元したやつ。」
「なんでお前が?」
「クズにお前呼ばわりされるとムカつくんだけど?まあ、俺のことはいいや。そんなことより読んだら?」
「あ、ああ。」
会長は数通のメールに目を通し始めた。見る見るうちに顔は真っ青になり、唇を歯で噛み始めた。
そりゃあそうだろう。事件後発覚した制裁以外にも制裁はあった。それもしっかりとメール内で報告されていたのだから。自分のしている対策、そして力が及ばなかったこと、会長にして欲しいこと、このままではなにか大きな事件が起こるであろうという予測。それらがメールには書かれていた。これさえ見ていればあんな悲惨なことにはならなかっただろう。
「これ、本当か?」
「嘘だと思いたければ嘘だと思えばいい。ちなみに被害者の子はメールを削除していたことは認めている。」
知晴は言質を取りに退院後の被害者を訪問している。ただ訪問したのではなくカウンセリングを名目として何回かに分けて。だからその後の被害者が精神的ショックを乗り越えて今は高校に通っていることも知っている。
「なんでお前がそれを知っている?」
「チッ、なんでなんでそんな関係ないこと俺が説明しなきゃいけない理由がわからない。」
またお前と呼ばれて知晴の機嫌は更に悪くなる。会長の手にあるスマホを奪い返し、何らかの操作をすると今度は音声が流れ出す。
『秋春くん、今日で俺のカウンセリングは終わりだね。最後に聞きたいことがあるんだけどいいかな?』
『うん、先生。』
ケータイからは知晴と一人の少年の声、秋春くんの声が聞こえた。知晴が数回行ったカウンセリングの最後の日の録音だ。
『録音してるけど秋春くんが承諾しない限り誰にも聞かせないからいい?』
『先生のことだから理由があるんでしょ?先生が判断したなら誰に聞かせても大丈夫だよ。』
『そこまで信頼されてると照れる。』
『だって先生のこと大好きだから!ねぇねぇやっぱり俺と付き合おう?ね?』
尻に敷かれている澄晴が頭をぐりんと回し、知晴の方に顔を向ける。しかし知晴はそれに気づいていながらも首痛そうだなと、そんな感想を抱いただけだった。
『無理。』
『ちぇー、そんなに俺って魅力ないかな?まあいいや、で、質問って?』
『親衛隊の人からのメールを全部消してたのって秋春なんだよね?』
『うん、って今更なんで?そのメールが僕のことを心配してくれた親衛隊長が送ったってのを教えてくれたの先生じゃん。メール復元までしてくれてさ。あの辛い時期にあそこまで俺の為にしてくれてる人がいただけで救われた気持ちになったよ。それを消した俺は馬鹿だよね。こんな目にあったのも自業自得。いつか隊長、凛さんだっけ?お礼が言えたらいいな、ありがとうって。』
『そうだね。』
ここで知晴はケータイの音を止めた。会長と凛はそれぞれ涙を流している。理由はそれぞれ違うだろう。
「助けてあげられなくてごめんね。僕なんか結局何も出来なかったのに、感謝なんて…される資格ないのに。でも良かったぁ、ひっぐ、元気になってたんだぁ。」
しゃくりあげながら凛は懺悔し、泣いた。そして、知晴に近づくと知晴の手を握った。
「知晴くんありがとう!秋春くんを元気にしてくれたんだよね!心残りだったんだ。ほんとに良かった。」
「今は普通に高校に通ってるから凛が心配することはもう何も無いよ。」
知晴は笑みを浮かべた。事件について調べる為にカウンセリングをしていたが、元気になる患者を見て、これだけ凛が嬉しそうにしてくれて、今更ながら嬉しかった。
「あぁあああああぎいいいいはああるううううう。」
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