推しを擁護したくて何が悪い!

人生2929回血迷った人

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「あぁあああああぎいいいいはああるううううう。」

 会長は地面に膝と両手をついた状態で泣き叫ぶ。その場にいる全員がその声の大きさに驚き身体をビクリと震わせた。

「うるせぇ。」

ガッ

「ぐはっ。」

 あまりにも煩いし、凛が耳を塞いでるのが見えたので知晴は会長の元に行き脇腹を蹴り上げる。
 
「クズの奇声のせいで凛の繊細な耳が壊れる。というか、奇声あげる前にやることないかな?」

 知晴は会長の襟首を掴むと顔を自分の方に向けさせ涙を流す瞳を睨む。知晴の中には真実を知ってショックを受けた会長を可哀想に思う心はない。

「知晴くん、流石に可哀想だよ。」

 凛は知晴の手をそっと窘める。しかし、知晴はそれを無視した。

「可哀想なわけない。こいつらはここまで言ってもまだ凛に誰一人謝ってない。今学園内で行われているのはこいつらが主犯の虐めだ。こいつらが態度を改めない限り学園生徒の凛に対する態度は改善されない。凛は隠してるけど水をかけられたり机に落書きされたり陰口を言われたり陰湿な虐めを受けているのを俺は見ていた。証拠写真もある。それにそのせいで強姦未遂にあってることも。」
「いやでも最近はあまりないから。」
「チッ、全部こっちで処理できてると思ってたけど漏れがあったか。」
「ご、ごめん。」

 知晴の舌打ちに凛が謝る。

「違う、凛に怒ってるんじゃないから。」

 知晴はそう言うと凛の頭を撫で、機嫌を治す。

「まあだから、謝らない限りこいつらの言い分は聞かなくていいと俺は思う。寧ろ謝ったって許さなくていいと思う。というより俺の持ってるもの全て使って潰したい。人権なんてものいらないよね?いや、殺す?病死させる?いやでも殺すのは勿体ないな……生き地獄にさせる?」

 知晴の発言は後ろに行くにつれてブツブツと声が小さくなっていった。それに伴い知晴の殺気が会長らを威圧する。
 会長はそれを感じで慌てて弁明をしようとする。

「親衛隊長がそんな目に遭っていたなんて俺は知らなかったんだ!俺がしたことでもないのに俺に言われてもそれこそ相手が違うんじゃないか?な?」

 会長は自分が酷いことをしてきたという自覚は持ったのだろう。しかし今更それを素直に認められるほどの心の余裕がなく必死に言いつのる。知晴の殺気はそれを聞いても何も変わらない。いや寧ろ増すばかりだ。

「自分のせいではないと?お前らさえいなければ凛はもっと快適に学園生活を送れていたはずだ。凛の親切を無下にしてあまつさえ罵って来た生徒会長様は悪くないと?最愛の人が立ち直る切っ掛けをくれたのに感謝もしないと?それにこのことを秋晴が知ったら幻滅するでしょうね。」

 知晴は意地悪な顔をしてにっこりと笑う。会長は知晴の後半の言葉に顔を真っ青にした。未だに会長の好きな人は秋晴だ。転入生じゃない。会長は今更ながら彼の意とは真逆のことをしてしまっていた自分を自覚したのだろう。知晴による脅しよりもそんな自分に絶望しているようだ。

 するといきなり立ち上がった会長は凛の前に行き、両膝を床につけた。そして音がゴンッとなる。

「今迄本当に申し訳ございませんでした!」

 その音は会長勢いよく床に頭を打ち付けた音だった。土下座した彼はそのままの体勢で何も言わず動かない。

「チッ、結局は自分のためかよ……」

 知晴は舌打ちをし、ボソッと呟いた。それが気に入らずともまずは凛の扱いを改めさせるのが先だ。殴りたい気持ちを抑えて黙って会長を見下ろす。

「べ、別に謝ってもらわなくて結構ですよ。痛そうなので頭を上げてください。」

 凛は会長の前に行き、両膝を床について背中に手を置いた。その感触に会長は顔を上げると凛と目が合う。

「謝罪は、受け入れて貰えないのか?」
「受け入れて欲しいなら別にいいですよ、僕は別に怒っていませんし。」

 会長が懇願した目を凛に向けると凛は達観した表情で答えた。その自分が害されることを他人事のように捉える瞳に知晴は悲しくなり、拳をギュッと握りしめた。
 知晴二人から視線を外すとソファに座る副会長と会計を見る。

「それでお二人はどうなんですか?」

 知晴がそう二人に尋ねると会計は凛の近くに寄ると土下座とは言わなくとも頭を下げる。
 まあ、酷いことを言っていたわけでもないので彼は良しとしようか。彼が場所を弁えもせず凛を誘っていたせいで凛が強姦未遂に会う回数が増えていたのだが。

 問題は副会長だ。彼は知晴の言葉を無視してソファに座り続ける。

「副会長は謝らないんですね。」

 知晴は睨むように副会長を見た。すると副会長はこちらをチラリと見ると表情から知晴が何も答えなければ何回も同じことを聞くつもりなのを察したのか口を開く。

「なんで私が謝らねばならないのですか?」

 副会長は不機嫌そうにぶっきらぼうに言った。

「間違った認識で凛を罵り、時には変な理由を出来あげて生徒達の前で平手打ちしていましたよね?」
「はあ、この私が、そんなことで謝らなければならないと?それこそ私への侮辱ですよ。」
「じゃあ、自分が間違った認識をしていて変な理由を出来あげて平手打ちをしていたことは認めるんですね?」
「間違った認識をさせていたのは親衛隊長なのですからそれは彼が悪いでしょう。それに平手打ちをしたことは認めますが別に変な理由をでち上げたりなんてしていないですよ。勝手な自己解釈は辞めて貰えませんか?」
「あれがでちあげた理由ではないと?」
「どれのことを仰っているのか分かりませんが?」
「そ、そうですか。」

 あまりにも動じることなく言い切った副会長に知晴は寒気を覚えた。「昨晩会長の部屋で何をしていたのですか?」「汚らしいですね。」「私や私の大切な仕事仲間に近寄らないで貰えますか?」そんなことを会長の部屋になんかに行くわけもない凛に言って平手打ちをくらわすのだからでちあげた理由以外の何ものでもないはずなのに。

 実は凛に対する態度は会長よりも副会長の方が酷かった。凛への虐めの約五割は副会長の親衛隊が関わっていることは既に調査で判明したことだった。
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