推しを擁護したくて何が悪い!

人生2929回血迷った人

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 数日後の放課後。他の風紀委員が見回りで出払っている中、知晴と澄晴は風紀室で書類と作成をしていた。知晴が先日の制裁現場を一部始終見ていたので風紀の一存で処理することになったのだ。初めは澄晴が資料作成をしていたがそれ以上のスピードで作業を終えられる自信のある知晴は澄晴をパソコンから剥がし作業を変わった。ちなみに澄晴の現在位置は知晴の椅子だ。

コンコン、ガラッ。

「帰りました~。」

 扉から入ってきたのは昨日風紀委員に入った新人、鈴谷凛と転校生こと東條陽太だ。陽太は凛の隣に満足そうに居座っている。かなり懐いたようだ。

 数日前、副会長に追われてここ風紀室を出て行った陽太はその後ずっと逃げ回っていたようだ。しかし昨日から副会長が外出届けを提出し、学園には居ない状態続いている為現在自由の身らしい。
 そして昨日風紀室の前で入室しようか悩んでいる凛を連れて風紀委員に入りたいと希望してきた。
 
「凛と陽太、おかえり。」

 知晴は書類作成を一旦辞め、二人のもとに行く。

「で、どうだった?」
「バッチリ許可貰ってきたぜ!」
「そっか。」

 二人は今日、凛の親衛隊長と風紀委員の掛け持ちの許可を生徒会長に求めに行ったのだ。まあ会長が許可を出さずとももう既に風紀には入っているのだが、無事に許可を貰ってきたらしい。

「では改めて風紀にようこそ、凛、陽太。」
「うん!」
「おう!」






「逃亡生活がいつまた始まるか怖い。」

 ソファに座った陽太は脚を腕で抱え込んで震えてる。

「陽太くん、大変そうだよね。ごめん、僕のせいで。」
「ちーがーうー、凛のせいじゃないっ!全部あの野郎のせいだろ!馬鹿なこといってんじゃねぇー!」

 陽太は縮こまっていた身体を解いて隣にいた凛の肩を掴むとガタガタと揺さぶる。

「ご、ごめんって。」
「謝ってんじゃねぇー!」

 揺さぶりが強くなる。

「あわわわわわわ!」
「ストップ。」

 知晴が陽太の肩をポンッと手で叩くと揺さぶりが止まる。

「あ、ごめん。やりすぎた。」

 陽太はパッと手を離す。

「それよりも、知晴は大丈夫なのかよ。それこそ俺のせいであいつに恨まれたって聞いたけど本当か?」

 陽太はあの日走り去って副会長の最後残していった言葉を聞いてはいなかったが、凛に教えられたらしい。知晴の心配をしてくれている。

「あっ!僕一回ガタイのいい男達数人に囲まれる知晴くんに庇われたんだった!あれ大丈夫だったの?」
「は?俺そんなこと聞いてねぇぞ、知晴!」

 凛の言葉に今迄知晴が中断した書類作成をしていた澄晴が反応する。立ち上がりこっちに寄ると凛に詳しく聞かせろと迫った。凛は澄晴が知らないことに驚いたのか目を見張り、こちらを見てくる。

「え?これ、言ってもいいの?」
「…別に。」
「ほら、言ってもいいってよ。」

 知晴の一言では言っていいのか判断がつかず、凛はどうしようと悩む。

「あー、今のは隠してるわけじゃないから別に言ってもいいって意味の別にだ。この間のあの感情のままに喋る知晴が珍しいだけで普段はこんなんだから。」

 澄晴が知晴の足りない部分の説明をしてくれる。凛が視線を向けてくるので知晴はこくりと頷く。
 それを見て凛は話し出した。一昨日の午前中の休憩時間にトイレに行ったら人影のない場所に知晴が連れて行かれてるのを見たこと。慌てて追っていったらそこでは既に喧嘩が始まっていたこと。そして、知晴を助けようと参戦したものの男達が強すぎて逆に足でまといになってしまったこと。最後には逃げることしか出来なかったことを凛は話した。

「あれ絶対ここの生徒じゃないよね?知晴くんが余りにもいつも通りだったから忘れちゃってたけど、怪我ないの?」
「うん。」

 澄晴は知晴に無言で近寄ると「見せろ。」と一言言って知晴の制服を脱がそうと手でボタンを触る。
 その瞬間澄晴の身体が空中に浮いたと思ったら地面に叩きつけられた。

「いったっ、何が起こった?」

 瞬間的に瞑った目を開けると澄晴は自分を投げ飛ばした格好でこちらを見る知晴と目が合った。その時澄晴は知晴が昔義理の母親に虐待を受けていた話をしてくれたことを思い出す。そしてその話題を話すきっかけに至ったのが知晴が何故年中長袖を来ているのかという話からだということも。

「ご、ごめ」
「信じ…られない。」

 澄晴の口から出た謝罪の言葉に被せられた。知晴は瞳に涙をためながら言葉を絞り出したようだった。そして風紀室から走り出してしまう。その後ろ姿を呆然と見ていた澄晴は陽太の「おい、委員長!」という言葉にハッと覚醒し、後を追った。

「知晴!知晴!ごめん!ごめんなさい!止まってくれ!」

 十数メートル先を走る知晴を必死に追いかける。知晴の足はかなり速いが根性で追い続け、走り続ける気力の無くなり座り込んだ知晴にやっとのことで追いついた。

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