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~完~
しおりを挟む知晴から3mほど離れた位置で呼吸を整える 。
「ご、ごめん。俺に見られるなんて嫌だよな。鈴谷だったらいいか?知晴が心配なだけなんだ。」
背中に向けて声をかけた。黙ったままだった知晴はしばらくすると俯きながらもポツリと言葉を零した。
「…別に嫌じゃない。」
「え?」
その声はとても小さかった為、澄晴には聞こえなかった。
「……別に澄晴に見られるのは嫌じゃない!」
気恥しさからか、知晴は投げやりに声を張った。
「え?じゃあさっきのは。」
「澄晴以外にも人が居た。」
「は?……え?それはどういう……」
意味?と続けようとするが振り返った知晴に手を引っ張られ空き教室に連れ込まれる。
そして、机の物陰に隠れるように座らされると知晴はいきなり制服の上着を脱ぎ出した。ブレザーはすぐに脱ぎさり中に着ていたシャツのボタンを外している。取れたボタンから見える肌を凝視しそうになるのを澄晴は必死で堪え、顔を逸らす。
「いや、待て待て待て。少し考えよう?知晴さん。やけを起こしてないかい?」
「うるさい。」
ピシャリと言われ、澄晴は黙るしかなかった。
「ん、脱げた。」
ブレザーやシャツのボタンは全て外されて床に落ちている。
「見ていいよ。」
知晴から許可が出たが澄晴は顔を背けたままだった。
「ん?見ていいよ。」
「………。」
「澄晴?」
知晴が目の前に移動するが澄晴はサッと違う方向を向く。それを見た知晴は澄晴の顔を両手で挟んで自分の方を向かせようとするが、動かない。澄晴の向かないという強固な意志を感じ取り、ふっと力を抜いた。そして、くるりと澄晴とは反対側を向くと服を拾い着ようとする。
「見たくないなら…なんで…追いかけてきたの?」
知晴は澄晴を責めるように言った。その声は少し震えていた。
それを聞いて澄晴はハッとなる。勿論知晴の身体を見たくないわけじゃない。だが、好きな人の裸を見るには展開が唐突すぎたのだ。自分から見るのは大丈夫だが、見せられるのはまた少し違って心がもたない。
しかし、ここで好きな人を悲しませるのは1番してはいけないことだ。目が破裂しようとも心が爆破しようとも俺は知晴裸を見るべきなのだ!大義名分を得た澄晴は嬉嬉として知晴の方を向いた。
「見たい、めっちゃ見たいから服着ないで。」
澄晴はボタンをしめていた知晴の手を掴んで言う。そしてボタンを外していく。
「どっちだよ…。」
そうぽつりと零した知晴はされるがままになった。シャツを脱がすと知晴の肌が直接見えた。澄晴は知晴の腕を直接見るのも初めてだった。
所々に刻まれた切り傷や痣の跡。特に背中は酷かった。3年前には両親は離婚して虐待は無くなったという話だったので時間が経っても治らないほどの傷を負わされたということだった。腕にも残っており、それを隠すためにいつも長袖を着ているのだろう。火傷跡までもある。
それを見て澄晴は、鼻血を出した。
別に傷跡に興奮したとかではなく、それがあったところで好きな人の身体はとても美しかったのだ。胸元に視線が集中しそうなのを必死で堪えたが、バレているようだった。
知晴は俺の顔を見てクスクスと笑いながらブレザーに入れていたティッシュを差し出してくれる。
「やっぱり綺麗だ。興奮する。」
そう言って目の前にある2つの突起に触ろうとした手を叩かれる。知晴の顔を見ると傷の確認が当初の目的でしょと、いう目で澄晴をジッと見ていた。
「べ、別に触って傷を確かめようとしただけだからな。」
そう言って叩かれた手でその突起を避けて素肌に触れる。ジト目で見られるが澄晴は気にしないで。スルスルと撫でられて擽ったそうにする知晴は小さく呟く。
「そんなに触りたいなら言ってくれればいいのに。」
知晴は独り言として呟いたつもりだったが、澄晴の耳にはしっかりハッキリと聞こえてしまっていた。
「ほんとか?じゃ、じゃあ、触りたい!失礼しまーっす。」
早速澄晴が先程手を叩かれて触れなかった部分を意気揚々と触ろうとするがまたもや叩かれる。
「駄目!」
「えー!期待されるようなこと言ってたくせに!後ちょっとで触れたのにっ!」
澄晴がぶつくさと文句を垂れるのを聞いて知晴は折れた。
「部屋に帰ったら、いいから。」
「ほんとにほんとにほんとか?」
知晴がこくりと頷くと素早く服を着せ風紀室に戻ることになった。
未だに副会長が戻ってくることに怯える陽太に「多分もう来ないよ。」と知晴からは告げる。どういうことだと問い詰める陽太を澄晴が気迫で黙らせて今日の分の仕事をいつもの倍以上のスピードで終わらせた。そして知晴の分までも速攻で終わらせて凛と陽太に帰ってきた風紀委員に今日は解散だと伝えてくれと告げる。
知晴をお姫様抱っこして寮に向かおうとしていた澄晴に下ろしてもらい、知晴の速さに合わせて二人で並んでゆっくりと帰る。
寮に着けば澄晴の部屋に知晴は連れ込まれ、いつも以上に真剣な顔で告白される。
「知晴、好きだ。」
それは今迄言われ続けていた言葉だったが、もう既に意を決して肌を晒してしまっているのだからそれを受け入れない理由などなかった。コクリと頷く。それを見た澄晴は嬉しそうな顔をする。今迄何度言っても知晴は反応示さなかったからだ。
「付き合って、くれないか?」
今迄散々逃げてきたが、やっと受け入れられる。そう思い、知晴はホッとした。
「うん。」
頷くと知晴はベッドに座らされた。
「鈴谷の方がいいとか言わない?」
澄晴はローションやらゴムやらを準備すると知晴の目の前に座り込みシュンとした声で聞いた。
なんで今凛の話?と疑問に思いながらも知晴は肯定する。
「うん。」
「ほんとに?」
「なんで?」
「だって鈴谷のこと大切そうにしてたから。鈴谷の為に生徒会に喧嘩売るしさ。よく考えたら鈴谷にじゃなくて俺と付き合うことに違和感しか憶えない………。」
完全にネガティブな方向にしか思考が行っていなかった。それを見た知晴は澄晴をベッドに引き込み押し倒す。お腹のところに馬乗りになると澄晴の唇にバードキスを落とす。
「好き。」
突然キスをされて目を見開く澄晴に言い放っていた。
「え?え?え?」
信じられないことの連続で妄想なのか現実なのか分からなかった。状況把握に時間を要してしばらく固まっていたがやっと話せるようになったところで「もう一回!」とねだろうとした。しかしそれを言う前に知晴に手を取られると包み込まれる。
「好きにしていいよ。」
それを聞いた瞬間澄晴は暴走した。そこからは自分の言った言葉を後悔するようなことに知晴はなったが、二人で気持ちを確かめあった。
【END】
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感想ありがとうございます。そんなに言って貰えてとても嬉しいです^^
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