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青薔薇から赤薔薇
痛みすら君への愛
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「ヴェー!」
魔獣が飛び込んで破壊された窓から、誰かが飛び込んできた。その声が響く中、ヴェンデルガルトの前にいた騎士は飛び掛かってきた魔獣を、剣で何とか防いだ。
「怪我はない?」
飛び込んできたのは、イザークだ。真っ直ぐにヴェンデルガルトの傍らに駆け寄る。震えるヴェンデルガルトが頷くのを見ると、ホッとした表情を浮かべてから赤薔薇騎士団に声をかける。
「ヴェーとメイドを護って君たちは外に出ろ!」
腰の鞘から剣を抜いたイザークは、魔獣に向かう。部屋の中にいる人数が多いので、動きにくいと判断した。
「ヴェンデルガルト様、こちらに! 君たちも急いで!」
剣で魔獣を受け止めている騎士の横に並ぶと、イザークは魔獣の目元を狙って剣を突く。それに気が付いた魔獣がイザークに目標を変える。前足で、イザークの剣を振り払おうともがいた。
その間に、赤薔薇騎士団の三人はヴェンデルガルトを立たせ、カリーナとビルギットも促して部屋の外に出る。全員が部屋の外に出たのを確認すると、イザークの邪魔にならないように最後に赤薔薇騎士が部屋の外に出た。そうして、ドアの前で剣を構える。
「イザーク様だけでは危ないです! イザーク様!」
「大丈夫です、ヴェンデルガルト様は危ないので下がっていてください!」
慌てたように部屋に向かおうとしたヴェンデルガルトは声を上げるが、赤薔薇騎士が彼女を落ち着かせて引き留める。
自分を心配するヴェンデルガルトの声にうっとりとしながら、イザークは突こうとした剣を止めると振り上げた。振り払おうとした魔獣の前足を、その振り上げた剣で斬った。魔獣の血が飛び散り、「ギャン!」と悲鳴じみた声が上がる。
たった一人で魔獣に立ち向かっているのに、イザークは臆する様子はない。ヴェンデルガルトを護る事が出来る喜びに、イザークの剣は軽くなり魔獣の目を斬りつけた。
「ヴェンデルガルト嬢! 無事か!?」
そこに、ジークハルトが駆けつけてきた。後ろには、青薔薇騎士と赤薔薇騎士が数名付いて来ていた。
「はい、大丈夫です。イザーク様が来てくださいました」
その言葉に、ジークハルトは安心したような表情を浮かべる。その横を通り青薔薇騎士二人が、部屋の中に入る。
イザークと青薔薇騎士二人の加勢で、魔獣は直ぐに追い詰められた。魔獣は彼らに斬られ、最後にイザークの剣を額に受けると、どさりと倒れた。念の為に、部下の騎士が魔獣の首を跳ねる。
「イザーク、まだ下にいるらしい。向かってくれ」
ジークハルトの言葉に、イザークは無言で頷いた。しかし、ヴェンデルガルトがそれを止めた。
「待ってください! ――イザーク様、腕に傷が……治療」
そう言われてイザークは腕が痛み、血が流れているのに気が付いた。割れた窓のガラスで切ったのかもしれない。慌ててヴェンデルガルトは彼に駆け寄り、回復の魔法をかける。温かい光が腕の傷を瞬時に治した。
「君を護る為の傷なら、幾つ負っても構わないよ――僕の愛だ」
イザークはそうヴェンデルガルトに囁き、部下の騎士たちに向き直る。
「残りは、多分今カール達が相手しているだろう。急ぐよ!」
「ご武運を」
イザークはヴェンデルガルトに頷き、部下達と再び外に向かい走って行った。
「他の部屋は無事みたいだ。ヴェンデルガルト嬢を新しい部屋に――ヴェンデルガルト嬢?」
部屋の中で首を跳ねられている魔獣を正面から見たヴェンデルガルトは、その光景にショックを受けたようでふらりとよろめいた。その彼女を、ジークハルトが支えた。
「すみません、足が……」
何とか自分で立とうとするが、強い血の匂いも不快でよりヴェンデルガルトは身体を震わせてしまう。その様子を見たジークハルトは、ヴェンデルガルトを抱える様に抱き上げた。
「新しい部屋であなたは休んで下さい、この様な場所は相応しくない」
ジークハルトに抱えられると、ヴェンデルガルトは安心したのか頷くように気を失った。
「ヴェンデルガルト様!」
ビルギットが、悲鳴のような声を上げる。
「大丈夫だ、気を失っただけだ――ベッドで休ませよう」
カリーナが慌てて部屋に案内して、空いている部屋のベッドに気を失っているヴェンデルガルトを寝かせた。ジークハルトは、抱き上げた彼女から漂う甘い香りに気が付いて、その香りがどこか懐かしく――自分の心を落ち着かせるように感じた。
ベッドに眠る彼女を、どこか名残惜し気に眺めてからジークハルトは部屋を出た。そうして先ほどの三名を再び彼女の護衛に指名して、残りの騎士を連れて他の皇族たちの元に向かった。
明け方に、全てのバウンドを退治したと確認が取れた。六匹が入り込んでいたらしい。死亡者がいない事が幸いだと、城内の者は安堵した。
魔獣が飛び込んで破壊された窓から、誰かが飛び込んできた。その声が響く中、ヴェンデルガルトの前にいた騎士は飛び掛かってきた魔獣を、剣で何とか防いだ。
「怪我はない?」
飛び込んできたのは、イザークだ。真っ直ぐにヴェンデルガルトの傍らに駆け寄る。震えるヴェンデルガルトが頷くのを見ると、ホッとした表情を浮かべてから赤薔薇騎士団に声をかける。
「ヴェーとメイドを護って君たちは外に出ろ!」
腰の鞘から剣を抜いたイザークは、魔獣に向かう。部屋の中にいる人数が多いので、動きにくいと判断した。
「ヴェンデルガルト様、こちらに! 君たちも急いで!」
剣で魔獣を受け止めている騎士の横に並ぶと、イザークは魔獣の目元を狙って剣を突く。それに気が付いた魔獣がイザークに目標を変える。前足で、イザークの剣を振り払おうともがいた。
その間に、赤薔薇騎士団の三人はヴェンデルガルトを立たせ、カリーナとビルギットも促して部屋の外に出る。全員が部屋の外に出たのを確認すると、イザークの邪魔にならないように最後に赤薔薇騎士が部屋の外に出た。そうして、ドアの前で剣を構える。
「イザーク様だけでは危ないです! イザーク様!」
「大丈夫です、ヴェンデルガルト様は危ないので下がっていてください!」
慌てたように部屋に向かおうとしたヴェンデルガルトは声を上げるが、赤薔薇騎士が彼女を落ち着かせて引き留める。
自分を心配するヴェンデルガルトの声にうっとりとしながら、イザークは突こうとした剣を止めると振り上げた。振り払おうとした魔獣の前足を、その振り上げた剣で斬った。魔獣の血が飛び散り、「ギャン!」と悲鳴じみた声が上がる。
たった一人で魔獣に立ち向かっているのに、イザークは臆する様子はない。ヴェンデルガルトを護る事が出来る喜びに、イザークの剣は軽くなり魔獣の目を斬りつけた。
「ヴェンデルガルト嬢! 無事か!?」
そこに、ジークハルトが駆けつけてきた。後ろには、青薔薇騎士と赤薔薇騎士が数名付いて来ていた。
「はい、大丈夫です。イザーク様が来てくださいました」
その言葉に、ジークハルトは安心したような表情を浮かべる。その横を通り青薔薇騎士二人が、部屋の中に入る。
イザークと青薔薇騎士二人の加勢で、魔獣は直ぐに追い詰められた。魔獣は彼らに斬られ、最後にイザークの剣を額に受けると、どさりと倒れた。念の為に、部下の騎士が魔獣の首を跳ねる。
「イザーク、まだ下にいるらしい。向かってくれ」
ジークハルトの言葉に、イザークは無言で頷いた。しかし、ヴェンデルガルトがそれを止めた。
「待ってください! ――イザーク様、腕に傷が……治療」
そう言われてイザークは腕が痛み、血が流れているのに気が付いた。割れた窓のガラスで切ったのかもしれない。慌ててヴェンデルガルトは彼に駆け寄り、回復の魔法をかける。温かい光が腕の傷を瞬時に治した。
「君を護る為の傷なら、幾つ負っても構わないよ――僕の愛だ」
イザークはそうヴェンデルガルトに囁き、部下の騎士たちに向き直る。
「残りは、多分今カール達が相手しているだろう。急ぐよ!」
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イザークはヴェンデルガルトに頷き、部下達と再び外に向かい走って行った。
「他の部屋は無事みたいだ。ヴェンデルガルト嬢を新しい部屋に――ヴェンデルガルト嬢?」
部屋の中で首を跳ねられている魔獣を正面から見たヴェンデルガルトは、その光景にショックを受けたようでふらりとよろめいた。その彼女を、ジークハルトが支えた。
「すみません、足が……」
何とか自分で立とうとするが、強い血の匂いも不快でよりヴェンデルガルトは身体を震わせてしまう。その様子を見たジークハルトは、ヴェンデルガルトを抱える様に抱き上げた。
「新しい部屋であなたは休んで下さい、この様な場所は相応しくない」
ジークハルトに抱えられると、ヴェンデルガルトは安心したのか頷くように気を失った。
「ヴェンデルガルト様!」
ビルギットが、悲鳴のような声を上げる。
「大丈夫だ、気を失っただけだ――ベッドで休ませよう」
カリーナが慌てて部屋に案内して、空いている部屋のベッドに気を失っているヴェンデルガルトを寝かせた。ジークハルトは、抱き上げた彼女から漂う甘い香りに気が付いて、その香りがどこか懐かしく――自分の心を落ち着かせるように感じた。
ベッドに眠る彼女を、どこか名残惜し気に眺めてからジークハルトは部屋を出た。そうして先ほどの三名を再び彼女の護衛に指名して、残りの騎士を連れて他の皇族たちの元に向かった。
明け方に、全てのバウンドを退治したと確認が取れた。六匹が入り込んでいたらしい。死亡者がいない事が幸いだと、城内の者は安堵した。
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