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邪神モーロックの都
その2
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さてしばらく城の外から様子を伺っていたシュナン一行でしたがいよいよ意を決してモーロック城内に入る事にしました。
旅人の列に紛れて城門をくぐり大勢の人々で賑わっている街の中へと入って行くシュナン一行。
モーロックの城内には区画整理された様々な建物が立ち並びきちんと整備された道路が縦横に走っていました。
道端には大勢の露天商が店を出しており色々な商品が売買されています。
物珍しげに街路を歩いていたシュナンたちでしたが明らかに異種族と思われる者たちも町中にはたくさんいました。
この街は人間族と他種族の交易の拠点の一つであり様々な人間以外の種族が常に出入りしていました。
したがって明らかに異種族であるボボンゴ達を含むシュナン一行もこの街ではあまり目立つ事はありませんでした。
もちろん目深なフードのついた黒いマントを着てその蛇の髪の毛と魔眼を隠した我らがメデューサ姫の正体がばれたら大騒ぎになったでしょうが。
ともあれモーロックの街並みを歩くシュナンたち4人にはこの場所がそれほど危険だとは思えませんでした。
疑問に思ったシュナンがその手に持つ師匠の杖に尋ねます。
「師匠、何故そんなに心配なさるのですか?この街は一昼夜で抜けれます。今夜はどこか小さな宿屋にでも泊まって目立たぬよう朝一番に出立すれば明日の昼には城を出て旅を続ける事が出来るでしょう」
しかし彼の持つ杖はその先端の円板に刻まれた眼を光らせ言いました。
「シュナン、お前には何も分かっておらん。この街を支配する邪神モーロックとその傀儡たる牛魔王ムスカルの恐ろしさを。あいつらに一度目をつけられたら只ではすまぬ。気付かぬか?この街の異様さを」
シュナンは師匠にそう言われあらためて杖を通じ自分たちの歩くモーロックの街並みを見つめますが人々で賑わってる活気のある所だとしか思いませんでした。
一緒に歩いているレダとメデューサも露天商の売っている装飾品や食べ物に気をとられており呑気な声で言いました。
「気にしすぎじゃない?人間が作ったにしてはいい街じゃない。それよりあそこで売ってるアクセサリーを見に行ってもいい?」
「そうよ。あたしの正体がばれなければ問題ない。それよりあたしパンケーキが食べたいわ」
しかし大きな荷物を背負って彼らの後方を歩き街の様子を注意深く眺めていたボボンゴは言いました。
「おかしい・・・子供の姿、一人もない」
そうです、その街は大勢の人々が生活を営む場所であったにも関わらず必ずいるはずの小さな子供の姿がまったく見当たらなかったのです。
ボボンゴに指摘されシュナンたちが周りを見回すと確かに子供の姿は全く見えませんでした。
「師匠、これはどういう・・・」
不思議に思い手に持つ師匠の杖に尋ねるシュナン。
「それはな・・・」
師匠の杖がシュナンたちに説明しようとしたその矢先でした。
「た、助けてくれーっ!!!」
シュナンたちの歩く町の大通りの向こうから一人の男が走って来るではありませんか。
男は何かから逃げるように必死に走っておりその腕には何かを抱きかかえていました。
よく見ると男が抱いているのは産着に包まれたまだ幼い子供でした。
泣く元気もないほど疲れてぐったりしています。
吟遊詩人風のゆったりした白い服をまとったその男は衰弱した子供を抱えて何かから逃げていたのです。
そして男はシュナンたちの目の前まで走って来ると身体のバランスを崩して子供を抱きながら地面に倒れました。
思わずシュナン少年は師匠の杖を掲げながら地面に仰向けになり虫の息の子供を抱いているその男の側に駆け寄りました。
シュナンは倒れた男の側に行くと赤子を抱く彼の前にひざまずき話しかけます。
「どうしました?大丈夫ですか?」
少し距離を置いて立つメデューサたち他の3人も倒れた男と彼の抱いている子供を心配そうに見つめています、
倒れている吟遊詩人風の男は自分の前にひざまずいたシュナンの目隠しをした顔を見つめてかすれた声で言いました。
「あっ、あっしは吟遊詩人のデイス。ぎゅ、牛魔王がこの子をい、生贄にしようとー。モーロック神の祭壇に捧げるためにー」
「生贄?それは一体?」
シュナンが疑問の声を上げた瞬間に彼の耳にドドドーッと地響きが聞こえて来ました。
シュナンと周りにいる仲間たちは音がした方を振り返ります。
師匠の杖が呟きます。
「まずいな」
音がしたのはシュナンたちの足元に倒れている男がやって来た方向でした。
大きな建物や露店商の出店が立ち並ぶ市街地の道路の向こう側から土煙を立ててこちらにやって来るのはー。
馬に乗った武装した兵士達でした。
各自が全身を覆う鎧を着ており特徴的な牛の様な角が付いた兜をかぶっていました。
騎馬兵たちは大勢の人々で賑わっている街路を我が物顔で突っ切りシュナン達のいる場所に迫って来ます。
馬の蹄にかけられまいと通りにいた大勢の人たちが悲鳴を上げて逃げまどいます。
騎馬兵の進行方向にあった露店は次々となぎ倒され互いに抱き合って地面にうずくまったり逃げる最中に転んで怪我をする人たちもいっぱいいました。
恐怖の表情で彼らから逃げる人々のうちの一人が大声で叫びます。
「魔牛兵だっ!!ムスカル王の子供狩りだーっ!!!」
[続く]
旅人の列に紛れて城門をくぐり大勢の人々で賑わっている街の中へと入って行くシュナン一行。
モーロックの城内には区画整理された様々な建物が立ち並びきちんと整備された道路が縦横に走っていました。
道端には大勢の露天商が店を出しており色々な商品が売買されています。
物珍しげに街路を歩いていたシュナンたちでしたが明らかに異種族と思われる者たちも町中にはたくさんいました。
この街は人間族と他種族の交易の拠点の一つであり様々な人間以外の種族が常に出入りしていました。
したがって明らかに異種族であるボボンゴ達を含むシュナン一行もこの街ではあまり目立つ事はありませんでした。
もちろん目深なフードのついた黒いマントを着てその蛇の髪の毛と魔眼を隠した我らがメデューサ姫の正体がばれたら大騒ぎになったでしょうが。
ともあれモーロックの街並みを歩くシュナンたち4人にはこの場所がそれほど危険だとは思えませんでした。
疑問に思ったシュナンがその手に持つ師匠の杖に尋ねます。
「師匠、何故そんなに心配なさるのですか?この街は一昼夜で抜けれます。今夜はどこか小さな宿屋にでも泊まって目立たぬよう朝一番に出立すれば明日の昼には城を出て旅を続ける事が出来るでしょう」
しかし彼の持つ杖はその先端の円板に刻まれた眼を光らせ言いました。
「シュナン、お前には何も分かっておらん。この街を支配する邪神モーロックとその傀儡たる牛魔王ムスカルの恐ろしさを。あいつらに一度目をつけられたら只ではすまぬ。気付かぬか?この街の異様さを」
シュナンは師匠にそう言われあらためて杖を通じ自分たちの歩くモーロックの街並みを見つめますが人々で賑わってる活気のある所だとしか思いませんでした。
一緒に歩いているレダとメデューサも露天商の売っている装飾品や食べ物に気をとられており呑気な声で言いました。
「気にしすぎじゃない?人間が作ったにしてはいい街じゃない。それよりあそこで売ってるアクセサリーを見に行ってもいい?」
「そうよ。あたしの正体がばれなければ問題ない。それよりあたしパンケーキが食べたいわ」
しかし大きな荷物を背負って彼らの後方を歩き街の様子を注意深く眺めていたボボンゴは言いました。
「おかしい・・・子供の姿、一人もない」
そうです、その街は大勢の人々が生活を営む場所であったにも関わらず必ずいるはずの小さな子供の姿がまったく見当たらなかったのです。
ボボンゴに指摘されシュナンたちが周りを見回すと確かに子供の姿は全く見えませんでした。
「師匠、これはどういう・・・」
不思議に思い手に持つ師匠の杖に尋ねるシュナン。
「それはな・・・」
師匠の杖がシュナンたちに説明しようとしたその矢先でした。
「た、助けてくれーっ!!!」
シュナンたちの歩く町の大通りの向こうから一人の男が走って来るではありませんか。
男は何かから逃げるように必死に走っておりその腕には何かを抱きかかえていました。
よく見ると男が抱いているのは産着に包まれたまだ幼い子供でした。
泣く元気もないほど疲れてぐったりしています。
吟遊詩人風のゆったりした白い服をまとったその男は衰弱した子供を抱えて何かから逃げていたのです。
そして男はシュナンたちの目の前まで走って来ると身体のバランスを崩して子供を抱きながら地面に倒れました。
思わずシュナン少年は師匠の杖を掲げながら地面に仰向けになり虫の息の子供を抱いているその男の側に駆け寄りました。
シュナンは倒れた男の側に行くと赤子を抱く彼の前にひざまずき話しかけます。
「どうしました?大丈夫ですか?」
少し距離を置いて立つメデューサたち他の3人も倒れた男と彼の抱いている子供を心配そうに見つめています、
倒れている吟遊詩人風の男は自分の前にひざまずいたシュナンの目隠しをした顔を見つめてかすれた声で言いました。
「あっ、あっしは吟遊詩人のデイス。ぎゅ、牛魔王がこの子をい、生贄にしようとー。モーロック神の祭壇に捧げるためにー」
「生贄?それは一体?」
シュナンが疑問の声を上げた瞬間に彼の耳にドドドーッと地響きが聞こえて来ました。
シュナンと周りにいる仲間たちは音がした方を振り返ります。
師匠の杖が呟きます。
「まずいな」
音がしたのはシュナンたちの足元に倒れている男がやって来た方向でした。
大きな建物や露店商の出店が立ち並ぶ市街地の道路の向こう側から土煙を立ててこちらにやって来るのはー。
馬に乗った武装した兵士達でした。
各自が全身を覆う鎧を着ており特徴的な牛の様な角が付いた兜をかぶっていました。
騎馬兵たちは大勢の人々で賑わっている街路を我が物顔で突っ切りシュナン達のいる場所に迫って来ます。
馬の蹄にかけられまいと通りにいた大勢の人たちが悲鳴を上げて逃げまどいます。
騎馬兵の進行方向にあった露店は次々となぎ倒され互いに抱き合って地面にうずくまったり逃げる最中に転んで怪我をする人たちもいっぱいいました。
恐怖の表情で彼らから逃げる人々のうちの一人が大声で叫びます。
「魔牛兵だっ!!ムスカル王の子供狩りだーっ!!!」
[続く]
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