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第2章 再会編
第16話 お互いの気持ち/亮二・加奈子
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「あ、あのね……りょう君って……キ……キスしたことある……?」
「え……えーっ!?」
カナちゃんは突然何て事を聞いてくるんだ!?
小学生の質問にあたふたしている俺も情けないけども……
キスしたことあるだって?
無いに決まっているじゃないか!!
全然、自慢にならないけどさ。
でも、カナちゃんは俺にそんな答えを求めているのだろうか?
18歳にもなって未だに彼女もできたことが無くて当然キスもしたことがない俺をカナちゃんはどう思うのだろう?
ダサい男って思うのかな?
それとも、その方が安心してくれるのかな?
イヤイヤイヤッ、それはカナちゃんが俺の事を好きだったらという前提の話だよな。まぁ、俺の顔を見て涙を流してくれたくらいだから嫌いではないとは思うけど……でもさすがに小学生が高校生の俺を多少の憧れみたいなものはあっても恋愛対象としては見ていないだろう。
だって俺とカナちゃんとでは歳が離れすぎているしな。
っていうか何で俺は小学生相手からの質問の答えをこんなにも悩まないといけないんだ? なんか情けなくなってきたぞ。
「りょう君、どうしたの? なんで何も言ってくれないの?」
「えっ!? ああ……ゴメン……」
ヤバい、俺かなり長い時間黙っていたよな?
何も言わないのは余計に変だよな?
どうする?
見栄を張るべきか、正直に言うべきか……
うーん……あ……
「あ、あるよ……す、凄く昔にね……あれはいつだったかなぁ……その時のことを思い出そうとしていたら返事ができなかったんだよ……ハハハ……」
俺の答えはこれが正解なのか?
「そ、そうなんだ……だよね? そりゃぁ、りょう君みたいにカッコいい人だったらキスくらいしているよね……うん、そうだよね……」
「ハハハ、俺は全然、カッコ良くはないよ。今まで同級生の女子達からは一度もそんなこと言われたこと無いし……幼馴染の広美ですらお世辞でもカッコいいなんて言ってくれたことは無かったしさ……」
何故か後輩や先輩数人からは言われたことはあったけど……
最近では千夏ねぇから……いや、今は千夏ねぇの事は思い出さないようにしよう。
「りょう君は凄くカッコいいよ。それに優しいし……」
「カナちゃん、ありがとね。まぁ、小学生のカナちゃんからすれば高校生は大人に見えるだろうし、目の錯覚でカッコ良く見えてしまうのかもしれないけどね……でもカナちゃんにそう言ってもらえて俺、とても嬉しいよ」
カナちゃんにカッコいいって言ってもらえて正直、嬉しい。5年前の方が良かったなんて言われたら俺、絶対に凹んでいるし……
でも小学生の女の子に言われたくらいで何で俺はこんなにも嬉しいんだろう?
俺が想像していたよりも凄く可愛くなっているカナちゃんだからかな?
で、でもこれだけは言っておくが俺は『ロリコン』の趣味は無いからな。
ただ……俺は結局、カナちゃんに見栄を張ってしまい嘘をついてしまった……本当にこれで良かったのかな?
……正直に言った方が良かったのかも……でも、今更、訂正するのはなぁ……
「りょ、りょう君……?」
「ん、何?」
「りょう君がキスをした相手って……もしかして幼馴染の広美さんなのかな……?」
「えーっ、ひ、広美だって!? イッ、イヤイヤイヤッ、違うよ。広美とは何もしていないから……」
「そ、そうなんだぁ……」
ああ、ビックリした。キスの相手が広美なのかって聞かれるとは思わなかったぞ。
ただ俺の中では初めてのキスの相手は広美の予定だったんだけど……
しかし何でカナちゃんは俺にキスをしたことがあるのか聞いてきたのだろう?
出会ってからずっと元気が無いのと関係があるのだろうか?
一度も笑顔を見ていないし……
「カナちゃん、もしかして悩み事でもあるのかい? 会ってからずっと元気が無いみたいだし……俺でよければ話を聞くよ……」
「ご、ゴメンね……」
「え? 別に謝らなくてもいいよ。ただ俺は会えると思っていなかったカナちゃんとこうして再会することができてめちゃくちゃ嬉しいし、今日だけは色々と悩んでいた事が吹っ飛んだというか……だから、もしカナちゃんも何か悩み事があるんだったら俺と同様に吹っ飛ばしてあげたいなぁと思ってさ……」
「りょう君も悩み事があるの?」
「そりゃそうだよ。俺は自慢じゃ無いけど悩み事の塊さ。だからカナちゃんも俺で良ければ悩みをぶちまけてくれよ。スッとするかもしれないよ。せっかく、こうやって奇跡の再会ができたんだし、これはチャンスだと思うよ」
カナちゃんは俺が熱く語ってしまったから少し引いてしまったのかもしれないな。下を向いたまま何も言ってくれない。どうしようか悩んでいるのかな?
俺はカナちゃんに一つだけ質問してみることにした。
「ところでさ、何でカナちゃんは俺にキスをした事があるのか聞いたんだい?」
「えっ、そ、それは……」
反応があるぞ。これはカナちゃんの悩みに『キス』が関係あるって事では?
「それじゃぁ質問を変えるね。小学生のカナちゃんにこんな事を聞いたらダメなんだと思うけど……でも思い切って聞くけど、カナちゃんは『キス』の事で何か悩んでいるんじゃないのかい?」
「えっ!?」
――――――――――――――――――――――――
そっかぁ……りょう君はキスをしたことがあるんだぁ……
そりゃぁ、こんなに格好いい人がキスくらいしたことはあるよね?
あの広美さんでは無いって言っていたので少しホッとはしたけど……
でも、何だか寂しい気持ちになってしまう。
はぁ……もし、りょう君がキスをしたことが無ければ、私がりょう君の初めてになれるかと思っていたけど、そんな上手い話は無いよね。
私は翔太にあんな条件を出した酷い子だし、バチが当たってもおかしくない。それなのにこうしてりょう君に再会できただけでも幸せだと思わないといけないんだろうなぁ……
さっきからこんな私に対して優しい言葉を投げかけてくれているりょう君、5年前に私が迷子になった時も手を繋ぎながら案内所まで歩いている間に今みたいに私の不安を少しでも取り除こうと必死に話かけてくれていた優しいりょう君と同じだ。
そしてりょう君と会うのは今日で2回目なのにりょう君は私に悩み事がある事に気付いてくれた。
どうしよう……正直に話そうかな?
翔太に無理矢理キスをされてしまった事をりょう君に打ち明けてみようかな……
「それじゃぁ質問を変えるね。小学生のカナちゃんにこんな事を聞いたらダメなんだと思うけど……でも思い切って聞くけど、カナちゃんは『キス』の事で何か悩んでいるんじゃないのかい?」
「えっ!?」
まぁ、そうだよね。私の様な小学生が急に『キスをした事があるか』って質問をしたら、高校生のりょう君ならピンとくるよね?
もしかしたら私が好きでもない人とキスをして悩んでいるくらいのことも勘づいているかもしれないよね?
どうする私?
りょう君に全てを打ち明けて……
「あ、あのね……私ね、少し前にね……」
「うんうん」
りょう君は笑顔で私の話を聞こうとしてくれている。
私はそんなりょう君の笑顔に引き込まれる様な感じで全てを話す決意をした。
「好きでもない人に……む、無理矢理……キ、キ……ウグッ……」
決意をしたのに私は涙が溢れ出てしまい最後までちゃんと話せない。
「ウグッ……ウウッ」
どうしよう。ちゃんと話さないといけないのに……
ガバッ
え?
りょう君が涙を流しながら私を抱きしめている。そして……
「カナちゃん、もう話さなくてもいいから……無理に言わせてゴメンね? もう大丈夫だから……カナちゃんがずっと苦しい思いをしていたのはよく分かったから……」
「りょ、りょう君……」
しばらくの間、私はりょう君の胸の中で泣き続けていた。
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
いよいよ二人の再会もクライマックスです。
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
「え……えーっ!?」
カナちゃんは突然何て事を聞いてくるんだ!?
小学生の質問にあたふたしている俺も情けないけども……
キスしたことあるだって?
無いに決まっているじゃないか!!
全然、自慢にならないけどさ。
でも、カナちゃんは俺にそんな答えを求めているのだろうか?
18歳にもなって未だに彼女もできたことが無くて当然キスもしたことがない俺をカナちゃんはどう思うのだろう?
ダサい男って思うのかな?
それとも、その方が安心してくれるのかな?
イヤイヤイヤッ、それはカナちゃんが俺の事を好きだったらという前提の話だよな。まぁ、俺の顔を見て涙を流してくれたくらいだから嫌いではないとは思うけど……でもさすがに小学生が高校生の俺を多少の憧れみたいなものはあっても恋愛対象としては見ていないだろう。
だって俺とカナちゃんとでは歳が離れすぎているしな。
っていうか何で俺は小学生相手からの質問の答えをこんなにも悩まないといけないんだ? なんか情けなくなってきたぞ。
「りょう君、どうしたの? なんで何も言ってくれないの?」
「えっ!? ああ……ゴメン……」
ヤバい、俺かなり長い時間黙っていたよな?
何も言わないのは余計に変だよな?
どうする?
見栄を張るべきか、正直に言うべきか……
うーん……あ……
「あ、あるよ……す、凄く昔にね……あれはいつだったかなぁ……その時のことを思い出そうとしていたら返事ができなかったんだよ……ハハハ……」
俺の答えはこれが正解なのか?
「そ、そうなんだ……だよね? そりゃぁ、りょう君みたいにカッコいい人だったらキスくらいしているよね……うん、そうだよね……」
「ハハハ、俺は全然、カッコ良くはないよ。今まで同級生の女子達からは一度もそんなこと言われたこと無いし……幼馴染の広美ですらお世辞でもカッコいいなんて言ってくれたことは無かったしさ……」
何故か後輩や先輩数人からは言われたことはあったけど……
最近では千夏ねぇから……いや、今は千夏ねぇの事は思い出さないようにしよう。
「りょう君は凄くカッコいいよ。それに優しいし……」
「カナちゃん、ありがとね。まぁ、小学生のカナちゃんからすれば高校生は大人に見えるだろうし、目の錯覚でカッコ良く見えてしまうのかもしれないけどね……でもカナちゃんにそう言ってもらえて俺、とても嬉しいよ」
カナちゃんにカッコいいって言ってもらえて正直、嬉しい。5年前の方が良かったなんて言われたら俺、絶対に凹んでいるし……
でも小学生の女の子に言われたくらいで何で俺はこんなにも嬉しいんだろう?
俺が想像していたよりも凄く可愛くなっているカナちゃんだからかな?
で、でもこれだけは言っておくが俺は『ロリコン』の趣味は無いからな。
ただ……俺は結局、カナちゃんに見栄を張ってしまい嘘をついてしまった……本当にこれで良かったのかな?
……正直に言った方が良かったのかも……でも、今更、訂正するのはなぁ……
「りょ、りょう君……?」
「ん、何?」
「りょう君がキスをした相手って……もしかして幼馴染の広美さんなのかな……?」
「えーっ、ひ、広美だって!? イッ、イヤイヤイヤッ、違うよ。広美とは何もしていないから……」
「そ、そうなんだぁ……」
ああ、ビックリした。キスの相手が広美なのかって聞かれるとは思わなかったぞ。
ただ俺の中では初めてのキスの相手は広美の予定だったんだけど……
しかし何でカナちゃんは俺にキスをしたことがあるのか聞いてきたのだろう?
出会ってからずっと元気が無いのと関係があるのだろうか?
一度も笑顔を見ていないし……
「カナちゃん、もしかして悩み事でもあるのかい? 会ってからずっと元気が無いみたいだし……俺でよければ話を聞くよ……」
「ご、ゴメンね……」
「え? 別に謝らなくてもいいよ。ただ俺は会えると思っていなかったカナちゃんとこうして再会することができてめちゃくちゃ嬉しいし、今日だけは色々と悩んでいた事が吹っ飛んだというか……だから、もしカナちゃんも何か悩み事があるんだったら俺と同様に吹っ飛ばしてあげたいなぁと思ってさ……」
「りょう君も悩み事があるの?」
「そりゃそうだよ。俺は自慢じゃ無いけど悩み事の塊さ。だからカナちゃんも俺で良ければ悩みをぶちまけてくれよ。スッとするかもしれないよ。せっかく、こうやって奇跡の再会ができたんだし、これはチャンスだと思うよ」
カナちゃんは俺が熱く語ってしまったから少し引いてしまったのかもしれないな。下を向いたまま何も言ってくれない。どうしようか悩んでいるのかな?
俺はカナちゃんに一つだけ質問してみることにした。
「ところでさ、何でカナちゃんは俺にキスをした事があるのか聞いたんだい?」
「えっ、そ、それは……」
反応があるぞ。これはカナちゃんの悩みに『キス』が関係あるって事では?
「それじゃぁ質問を変えるね。小学生のカナちゃんにこんな事を聞いたらダメなんだと思うけど……でも思い切って聞くけど、カナちゃんは『キス』の事で何か悩んでいるんじゃないのかい?」
「えっ!?」
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そっかぁ……りょう君はキスをしたことがあるんだぁ……
そりゃぁ、こんなに格好いい人がキスくらいしたことはあるよね?
あの広美さんでは無いって言っていたので少しホッとはしたけど……
でも、何だか寂しい気持ちになってしまう。
はぁ……もし、りょう君がキスをしたことが無ければ、私がりょう君の初めてになれるかと思っていたけど、そんな上手い話は無いよね。
私は翔太にあんな条件を出した酷い子だし、バチが当たってもおかしくない。それなのにこうしてりょう君に再会できただけでも幸せだと思わないといけないんだろうなぁ……
さっきからこんな私に対して優しい言葉を投げかけてくれているりょう君、5年前に私が迷子になった時も手を繋ぎながら案内所まで歩いている間に今みたいに私の不安を少しでも取り除こうと必死に話かけてくれていた優しいりょう君と同じだ。
そしてりょう君と会うのは今日で2回目なのにりょう君は私に悩み事がある事に気付いてくれた。
どうしよう……正直に話そうかな?
翔太に無理矢理キスをされてしまった事をりょう君に打ち明けてみようかな……
「それじゃぁ質問を変えるね。小学生のカナちゃんにこんな事を聞いたらダメなんだと思うけど……でも思い切って聞くけど、カナちゃんは『キス』の事で何か悩んでいるんじゃないのかい?」
「えっ!?」
まぁ、そうだよね。私の様な小学生が急に『キスをした事があるか』って質問をしたら、高校生のりょう君ならピンとくるよね?
もしかしたら私が好きでもない人とキスをして悩んでいるくらいのことも勘づいているかもしれないよね?
どうする私?
りょう君に全てを打ち明けて……
「あ、あのね……私ね、少し前にね……」
「うんうん」
りょう君は笑顔で私の話を聞こうとしてくれている。
私はそんなりょう君の笑顔に引き込まれる様な感じで全てを話す決意をした。
「好きでもない人に……む、無理矢理……キ、キ……ウグッ……」
決意をしたのに私は涙が溢れ出てしまい最後までちゃんと話せない。
「ウグッ……ウウッ」
どうしよう。ちゃんと話さないといけないのに……
ガバッ
え?
りょう君が涙を流しながら私を抱きしめている。そして……
「カナちゃん、もう話さなくてもいいから……無理に言わせてゴメンね? もう大丈夫だから……カナちゃんがずっと苦しい思いをしていたのはよく分かったから……」
「りょ、りょう君……」
しばらくの間、私はりょう君の胸の中で泣き続けていた。
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