あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。

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第2章 再会編

第18話 私は彼に/加奈子

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 私が泣きながらだったこともあり、なかなか上手く話せないのを見かねて、りょう君は私を抱きしめてしめてくれた。

 りょう君の身体はとても温かくて心臓の音が私にはとても心地よく感じ、涙は止まらないけど気持ちは落ち着いてくる。

 しばらくして私はりょう君の優しさのお陰で何か吹っ切れった感じがしたので、りょう君は話さなくてもいいよと言ってくれたけど、最後まで話しをしようと思った。

 ここ最近の出来事を話し終えると、りょう君はとても優しい表情で、たくさんの言葉で私の頑張りを褒めてくれる。そして励ましの言葉もたくさんかけてくれた。

 私はりょう君に頑張りを認めてもらい凄く嬉しかった。

 そして今日、りょう君に会えたのは頑張って来たご褒美だと思うと伝えるとりょう君は「俺に会えたことがご褒美と言ってくれるなんて嬉しいよ」と、とても喜んでくれた。

 りょう君は満面の笑顔で私の話を聞き、そして言葉をかけてくれるので、やっぱり私は正直な気持ちを全部話したいという思いになる。

 翔太のお父さんやお母さんは大好きだということ……
 翔太も約束を守っているから私も約束を守らないといけないと思ったこと……
 本当は翔太と絶交なんてしたくないということ……

 すると、りょう君が何で翔太が私に意地悪をするようになったのかと質問をしてきた。

 私は遂に言う時が来たと思った。でも同時に恥ずかしくもなり顔をそむけてしまうった。

 そんな私の態度が誤解を招いてしまったのかりょう君は慌てながら、「ご、ゴメン。もしかしたら今の質問はあまり触れちゃいけないところだったのかな? もしそうなら別に答えなくてもいいからね」と言ってくれたけど、私は本当は言いたいけど恥ずかしいだけだという事を伝えた。

 それを聞いたりょう君まで何故か恥ずかしそうな表情を見せたけど私はドキドキしながら話を続けた。

「あのね、あの日……5年前にりょう君と出会うまでは翔太は私に対してとても優しかったんだ……本当のお兄ちゃんみたいに……でも……あの日、りょう君に助けられた私は……」

 頑張れ私!! りょう君に伝えるのよ!!

「私はりょう君の事が好きになってしまったの……りょう君は私の初恋の人なの!! 」

 つ、遂に言ってしまった……いえ、5年分の想いをやっと言えたんだ……

「えっ!? お、俺がカナちゃんの初恋の人……」
 
 りょう君は思ってもみなかった事を言われて驚いているけど直ぐに動揺を隠そうとしている姿がとても可愛く思えた。でも、せっかく隠そうとしてくれているので私は気付いていないフリをしながら話し続ける。

「その日からね、私は翔太や他の友達に私の好きな人はりょう君だって言い続けていたの……それに対して誰にも迷惑をかけていないと思っていたけど、翔太だけは違ったみたい……私の事が好きだった翔太はある日、突然……」

 ウッ……ダメだ。また涙が出てきた……でも、ちゃんと話さないと……

「りょう君、翔太をそんな気持ちにさせてしまった私って……悪い子なのかな? それに、りょう君は私の初恋の人だと言われて迷惑なのかな? ウウッ……」

「カナちゃん……」

 私を抱きしめている手が少し強くなり、りょう君は優しい口調で「カナちゃんは何も悪く無いよ。逆に被害者じゃないか。そりゃ翔太君にも少しは同情する部分はあるけどさ、でもやっぱり翔太君は一つ上のお兄ちゃんなんだから我慢するべきだったんだ。いくらカナちゃんの事が好きでも無理矢理キスするのは絶対によくない」と言ってくれた。

 良かった……私は悪く無いんだね?
 りょう君の言葉でやっと私の心が救われた気がした。
 でも私が欲しい言葉が一つ残っている。

 私が顔を赤くしながら「りょう君、ありがとう。そう言ってもらえて凄くホッとしたよ。でも、もう一つの質問の返事はまだもらえていなんだけど……」と恐る恐る尋ねると……

 すると、りょう君は思い出したかのように「あっ、そ、そうだったね? カナちゃんの初恋の相手が俺っていうのが迷惑かどうかだったよね? ゴメンね、せっかく勇気を出して言ってくれたのに……」と言いながら申し訳なさそうな顔をする。

 私はドキドキしながら再び問いかけた。

「そ、それで……りょう君はどうなの? 迷惑なのかな……?」

 私が不安な顔をしたからなのか、りょう君は私の頭を優しく撫でながら笑顔で「ううん、迷惑じゃないよ。逆に俺なんかの事を好きになってくれるなんて凄く嬉しいし、カナちゃんみたいな可愛い子の初恋の人になれるなんて光栄だよ。ありがとね、カナちゃん」と答えてくれた。

「ほ、本当に……?」

 私の目から再び涙が流れ出したけどこれは悲しくてじゃなくてうれし涙……

「勿論、本当だよ。もし、カナちゃんが高校生なら俺から付き合ってくださいって言っているところさ。ハハハ……」

 私は『高校生なら』という言葉を自分の中で聞いていないことにした。

「そ、それじゃぁ私と付き合って!?」

 私は勢いに任せてとんでもないことを口走ってしまう。

 りょう君は自分の頭を掻きながら笑顔で「へっ? イヤイヤイヤッ、カナちゃん、冗談はやめてよぉ。ビックリするじゃないかぁ……ハハハ……」言っている。

 きっと冗談だと思っているんだ……

 でも私は『付き合って』と口走ってしまった事により何かのスイッチが入ってしまった。

「冗談じゃない。本気だよ。私はりょう君と付き合いたい!!」

 りょう君は困った表情をしながら誰もが理解できる言葉を投げかけてくる。

「俺は高3でカナちゃんはまだ小5だよ。歳が7歳も離れているし、どう考えても無理があるよ。それくらいのことはカナちゃんも分かるよね?」

「わ、分かるけど……」

 りょう君の言っている事は分かるよ……でも分かりたくない……

 私の想いを分かって欲しいのに……でも分かってもらえない……

 どうすれば私の『本気』を分かってもらえるの……?

 あっ!!

 私は決意した。

 本当はりょう君がキスをした事が無いのなら実行しようと思っていた事……

 これしかない。

 りょう君が何も返事をせずにブツブツ言っている私を心配して自分の顔を私に近づけてきた瞬間……

 私は顔を上げ、目の前にあるりょう君の唇めがけて私の唇を合わせた。

 翔太……

 あんたの気持ちが少しだけ分かった気がする。

 でも、その気持ちもこないだの事も今ここで全部消しちゃうから!!

 私の2度目のキスの相手は世界で一番大好きな人になった。




――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
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