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第4章 成長編
第31話 歳の差カップル/亮二
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トゥルルル トゥルルル
ん? 俺の携帯が鳴った。でも着信相手は登録していない人のようだ。
ピッ
「も、もしもし……」
「あっ、りょう君? 私です。加奈子です」
「えっ、カナちゃんかい? もしかしてカナちゃん、携帯電話を買ってもらったのかい?」
「うん、そうだよ。中学生になったらっていう約束をお父さんが守ってくれて買ってくれたんだぁ。これでいつでもりょう君に直接電話できるから凄く嬉しいわ」
「ハハハ、いつでもっていうのはアレだけど、俺もこれからは直接カナちゃんに電話やメールができるから安心だよ」
「うん、私も同じだよ……それでね、早速なんだけど、りょう君って今度の日曜日って予定ある?」
「え、今度の日曜日? うん、別に何も無いよ」
「ほんと!? それじゃぁ日曜日にエキサイト公園へお花見に行かないかな? 私、頑張ってお弁当作るつもりだし、どうかな?」
「おお、お花見かぁ……それはいいね。お花見なんて最近していなかったからとても楽しみだよ」
俺はこの一年、大学の勉強についていくのに必死だったし、おまけにサークル活動もあったり、夜は山田さんのお店でのアルバイトが復活していたので結構、ハードなスケジュールをこなしていたからカナちゃんとはほとんど会えずにいた。
そんな俺なんかにカナちゃんからお花見を誘ってくれるのはとても嬉しかった。それに、生まれて初めて女子の手作り弁当が食べれるっていうのは結構テンションが上がってしまう。幼馴染の広美ですら一度も作ってくれたことが無かったもんなぁ……まぁ、あいつは料理が苦手だって言っていたけども。
「カナちゃんの手作り弁当かぁ……凄く楽しみだなぁ」
そして今日は日曜日……俺達は『エキサイト公園前』駅で待ち合わせをしてそこから公園まで歩いて行く。今日のカナちゃんは白の長袖Tシャツにショートパンツという服装で、とても可愛らしけど少し大人の雰囲気もかもし出している。
やっぱ女の子って成長が早いんだな。こないだまで小学生だったのに、月が変わっただけでもう中学生らしく見えるんだからな。
しかし、周りの人達は俺達のことはどう見えているんだろう? 大学生と中学生……さすがにカップルには見えていないと思うけど……いや、そう見られるのはマズいしな。兄と妹とかかな? それとも従兄妹同士とか……って、そんな事を考えている場合じゃないよな? カナちゃんにも失礼だし……
駅を出て数分歩いたところで俺達は立ち止まった。そこには『エキサイトランド跡地』がある。
『エキサイトランド跡地』……そうである。俺とカナちゃんが初めて出会った場所、そしてたった1ヶ月ちょっとしかバイトはしていなかったけど、楽しい思い出が詰まっているあの遊園地が今は跡形もなく無くなりサラ地になっている。
今は平成21年4月だが約10年前に同じ県内にできた大型テーマパークに客が流れていき県内にあった幾つかの遊園地が閉園に追い込まれていた中、エキサイトランドは絶叫系アトラクションの人気は衰えていなかった為、何とか多少の客数は減っても閉園せずに営業ができていた。
しかし昨年の平成20年、エキサイトランドの絶叫系アトラクションで事故が相次ぎ安全対策も不十分とみなされ、その結果、客足が激減してしまった。そして今年の2月に惜しまれながらも閉園となってしまったのだ。
「私も高校生になったらエキサイトランドでアルバイトやりたかったんだけどなぁ……」
カナちゃんが寂しそうに呟いている。
「だよね。俺もカナちゃんがここでアルバイトをしている姿を見るのを楽しみにしていたからとても残念だよ……」
「ここにまた何かできるのかな? もしテーマパークみたいなものができるのならアルバイトやってみたいけど……」
「そうだね。おそらく公園はそのまま残っているんだし、たくさんのお客さんを呼べるような『何か』はできるんじゃないかとは思うんだけど……根津所長に聞いてもまだ何も情報は入っていないって言ってたからね……」
その根津所長だが今は青葉市と同じ県の平川市に昔からある遊園地『ひらかわドリームパーク』で副所長として働いているそうだ。ちなみに松本さんはエキサイトランド閉園と同時に退職して今は何をしているのか分からないらしい。
もう昼の時間になっていたので俺達は公園の桜の木の下に設置されているベンチに座り、カナちゃんが朝早くから頑張って作ってきてくれた弁当を食べることに……
「うわっ、凄く美味しそうだよ、カナちゃん!! さすがは中学生の女の子だねぇ?」
「エヘヘ……ありがとう」
照れくさそうにしているカナちゃんの表情がとても可愛く思えた。
「美味い!! この出汁巻き玉子は絶品だよ!!」
「これ、お母さんが作り方を教えてくれたんだぁ。美味しいって言って貰えて凄く嬉しいよ」
「こんなに料理が上手ならいつでも……お……いや、何でもない……」
危ない危ない、思わずいつでもお嫁さんになれるよって言いかけてしまった。
今のところ俺は大学に行っても相変わらず彼女はいないし、カナちゃんは俺の予想していた通り、何度か告白はされているみたいだけど、全て断って失恋男子を増やしているそうだから二人共、今は彼氏彼女はいない状態だ……
でもそれはカナちゃんが18歳になっても今と同じ状況だったらという約束なんだから……っていうか、何か最近は俺の方がカナちゃんの事を……イカンイカン、冷静に振舞え、俺!!
「りょう君、今何て言おうとしたの? もしかして……」
「うわっ!! このタコさんウインナーもめちゃくちゃ美味しいなぁ!!」
「何か誤魔化された気がするんだけどぉ……それにウインナーはただ切って焼いただけだしさぁ……」
「ハハハ、そ、それよりもカナちゃんは中学では桜ちゃんみたいな友達はできそうかい? 結局、小学校では大した友達はできなかったって言っていたけどさ……」
「うーん、そうだなぁ……中学はよその小学校の子も一緒だから、その子達とお友達になれるように頑張ろうかなとは思っているけど……なんか私って昔から男子の友達は多いんだけど、女子とはなかなかお友達になれないんだよねぇ……何でかなぁ?」
「な、何でだろうね? カナちゃんは美人で優しいのにね……」
っていうか、カナちゃんの言葉の中に答えが出ているんだけどな。きっと女子達からすれば男子からモテモテのカナちゃんに対して嫉妬しているんだろう。だから向こうから近づいて来ないんだろうな。
男子の友達が多いってのもそういうことだろうし……
はぁ、でもそんなことをカナちゃんに言えるはずもないしなぁ……
「び、美人で……や、優しい……りょう君にそう言われると凄く嬉しいけど、少し恥ずかしいなぁ……でも、ありがとう、亮君」
「い、いや、あの、そのぉ……ハハハ……」
しかし、これだけ告白されているカナちゃんだ。いつかカナちゃんの前に超イケメンが現れて、ハートを掴まれてしまい、俺の事なんて忘れてしまうパターンになるかもしれないな。そ、その時は心から祝福するけどさ……できるのか? 今の俺が……
「あれ? そこにいるのは亮二君じゃないか」
「えっ?」
俺は少し驚きながら声の主の方を見た。
「あっ!?」
「亮二君、久しぶりだねぇ。まさか、ここで君に会えるとは思わなかったよ」
「ほんと、驚いちゃったわ。それにしばらく見ないうちに大人っぽくなったわねぇ」
俺に話しかけてきた夫婦……
その人達は広美の両親、隆おじさんと香織おばさんだった。
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
第4章スタートです。
亮二と加奈子の前に現れた夫婦はまさかの広美の両親だった。
果たして4人はどんな会話になるのか?
そしてお互いに成長しだした亮二と加奈子の恋の行方は?
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
ん? 俺の携帯が鳴った。でも着信相手は登録していない人のようだ。
ピッ
「も、もしもし……」
「あっ、りょう君? 私です。加奈子です」
「えっ、カナちゃんかい? もしかしてカナちゃん、携帯電話を買ってもらったのかい?」
「うん、そうだよ。中学生になったらっていう約束をお父さんが守ってくれて買ってくれたんだぁ。これでいつでもりょう君に直接電話できるから凄く嬉しいわ」
「ハハハ、いつでもっていうのはアレだけど、俺もこれからは直接カナちゃんに電話やメールができるから安心だよ」
「うん、私も同じだよ……それでね、早速なんだけど、りょう君って今度の日曜日って予定ある?」
「え、今度の日曜日? うん、別に何も無いよ」
「ほんと!? それじゃぁ日曜日にエキサイト公園へお花見に行かないかな? 私、頑張ってお弁当作るつもりだし、どうかな?」
「おお、お花見かぁ……それはいいね。お花見なんて最近していなかったからとても楽しみだよ」
俺はこの一年、大学の勉強についていくのに必死だったし、おまけにサークル活動もあったり、夜は山田さんのお店でのアルバイトが復活していたので結構、ハードなスケジュールをこなしていたからカナちゃんとはほとんど会えずにいた。
そんな俺なんかにカナちゃんからお花見を誘ってくれるのはとても嬉しかった。それに、生まれて初めて女子の手作り弁当が食べれるっていうのは結構テンションが上がってしまう。幼馴染の広美ですら一度も作ってくれたことが無かったもんなぁ……まぁ、あいつは料理が苦手だって言っていたけども。
「カナちゃんの手作り弁当かぁ……凄く楽しみだなぁ」
そして今日は日曜日……俺達は『エキサイト公園前』駅で待ち合わせをしてそこから公園まで歩いて行く。今日のカナちゃんは白の長袖Tシャツにショートパンツという服装で、とても可愛らしけど少し大人の雰囲気もかもし出している。
やっぱ女の子って成長が早いんだな。こないだまで小学生だったのに、月が変わっただけでもう中学生らしく見えるんだからな。
しかし、周りの人達は俺達のことはどう見えているんだろう? 大学生と中学生……さすがにカップルには見えていないと思うけど……いや、そう見られるのはマズいしな。兄と妹とかかな? それとも従兄妹同士とか……って、そんな事を考えている場合じゃないよな? カナちゃんにも失礼だし……
駅を出て数分歩いたところで俺達は立ち止まった。そこには『エキサイトランド跡地』がある。
『エキサイトランド跡地』……そうである。俺とカナちゃんが初めて出会った場所、そしてたった1ヶ月ちょっとしかバイトはしていなかったけど、楽しい思い出が詰まっているあの遊園地が今は跡形もなく無くなりサラ地になっている。
今は平成21年4月だが約10年前に同じ県内にできた大型テーマパークに客が流れていき県内にあった幾つかの遊園地が閉園に追い込まれていた中、エキサイトランドは絶叫系アトラクションの人気は衰えていなかった為、何とか多少の客数は減っても閉園せずに営業ができていた。
しかし昨年の平成20年、エキサイトランドの絶叫系アトラクションで事故が相次ぎ安全対策も不十分とみなされ、その結果、客足が激減してしまった。そして今年の2月に惜しまれながらも閉園となってしまったのだ。
「私も高校生になったらエキサイトランドでアルバイトやりたかったんだけどなぁ……」
カナちゃんが寂しそうに呟いている。
「だよね。俺もカナちゃんがここでアルバイトをしている姿を見るのを楽しみにしていたからとても残念だよ……」
「ここにまた何かできるのかな? もしテーマパークみたいなものができるのならアルバイトやってみたいけど……」
「そうだね。おそらく公園はそのまま残っているんだし、たくさんのお客さんを呼べるような『何か』はできるんじゃないかとは思うんだけど……根津所長に聞いてもまだ何も情報は入っていないって言ってたからね……」
その根津所長だが今は青葉市と同じ県の平川市に昔からある遊園地『ひらかわドリームパーク』で副所長として働いているそうだ。ちなみに松本さんはエキサイトランド閉園と同時に退職して今は何をしているのか分からないらしい。
もう昼の時間になっていたので俺達は公園の桜の木の下に設置されているベンチに座り、カナちゃんが朝早くから頑張って作ってきてくれた弁当を食べることに……
「うわっ、凄く美味しそうだよ、カナちゃん!! さすがは中学生の女の子だねぇ?」
「エヘヘ……ありがとう」
照れくさそうにしているカナちゃんの表情がとても可愛く思えた。
「美味い!! この出汁巻き玉子は絶品だよ!!」
「これ、お母さんが作り方を教えてくれたんだぁ。美味しいって言って貰えて凄く嬉しいよ」
「こんなに料理が上手ならいつでも……お……いや、何でもない……」
危ない危ない、思わずいつでもお嫁さんになれるよって言いかけてしまった。
今のところ俺は大学に行っても相変わらず彼女はいないし、カナちゃんは俺の予想していた通り、何度か告白はされているみたいだけど、全て断って失恋男子を増やしているそうだから二人共、今は彼氏彼女はいない状態だ……
でもそれはカナちゃんが18歳になっても今と同じ状況だったらという約束なんだから……っていうか、何か最近は俺の方がカナちゃんの事を……イカンイカン、冷静に振舞え、俺!!
「りょう君、今何て言おうとしたの? もしかして……」
「うわっ!! このタコさんウインナーもめちゃくちゃ美味しいなぁ!!」
「何か誤魔化された気がするんだけどぉ……それにウインナーはただ切って焼いただけだしさぁ……」
「ハハハ、そ、それよりもカナちゃんは中学では桜ちゃんみたいな友達はできそうかい? 結局、小学校では大した友達はできなかったって言っていたけどさ……」
「うーん、そうだなぁ……中学はよその小学校の子も一緒だから、その子達とお友達になれるように頑張ろうかなとは思っているけど……なんか私って昔から男子の友達は多いんだけど、女子とはなかなかお友達になれないんだよねぇ……何でかなぁ?」
「な、何でだろうね? カナちゃんは美人で優しいのにね……」
っていうか、カナちゃんの言葉の中に答えが出ているんだけどな。きっと女子達からすれば男子からモテモテのカナちゃんに対して嫉妬しているんだろう。だから向こうから近づいて来ないんだろうな。
男子の友達が多いってのもそういうことだろうし……
はぁ、でもそんなことをカナちゃんに言えるはずもないしなぁ……
「び、美人で……や、優しい……りょう君にそう言われると凄く嬉しいけど、少し恥ずかしいなぁ……でも、ありがとう、亮君」
「い、いや、あの、そのぉ……ハハハ……」
しかし、これだけ告白されているカナちゃんだ。いつかカナちゃんの前に超イケメンが現れて、ハートを掴まれてしまい、俺の事なんて忘れてしまうパターンになるかもしれないな。そ、その時は心から祝福するけどさ……できるのか? 今の俺が……
「あれ? そこにいるのは亮二君じゃないか」
「えっ?」
俺は少し驚きながら声の主の方を見た。
「あっ!?」
「亮二君、久しぶりだねぇ。まさか、ここで君に会えるとは思わなかったよ」
「ほんと、驚いちゃったわ。それにしばらく見ないうちに大人っぽくなったわねぇ」
俺に話しかけてきた夫婦……
その人達は広美の両親、隆おじさんと香織おばさんだった。
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
第4章スタートです。
亮二と加奈子の前に現れた夫婦はまさかの広美の両親だった。
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