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第4章 成長編
第38話 親友からのメールと後悔/加奈子
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放課後、私は沙耶香に連れられて演劇部の見学に行ったのだけど……
部室に行くと部長さんは風邪を引いて今日は学校を休んでいるという事で沙耶香は2年生で演劇部の副部長の大川美樹さんを紹介してくれた。
大川さんは、綺麗な黒髪ロングヘアの持ち主で、肌は白くとても清楚な感じがする人だ。
「いらっしゃい、三田さん。よく来てくれたわね」
「えっ? どうして私の名前を……?」
「だって、三田さんとは小学校が同じだったし……それに三田さんは山田君といつも一緒にいたでしょ? だから三田さんは結構、有名人なのよ」
何で私が有名人になってるの? っていうか、
「大川さんは翔太と知り合いなんですか?」
「フフフ、勿論よ。同級生なんだしね。何度か同じクラスにもなったことがあるし、教室ではよくお話もしていたわ」
「そ、そうだったんですね……でも私は翔太と学年が違うので学校ではあまり話はしていなかったと思うんですが……」
「そうだよね。でも学校の行き帰りはほとんど一緒だったでしょ? よく帰りに山田君が校門の前で三田さんの部活が終わるのを待っている姿を見かけていたしね。でもアレだね? 三田さんが山田君を待っている姿は一度も見たことがなかったような気がするのだけど……」
「は、はぁ……」
まぁ、私は翔太のことが嫌いだったから一緒に帰りたくなかったしね。それなのに翔太は頼みもしていないのに女の子一人で帰宅するのは危険だからと言って勝手に私が部活終わるのを待っていたのよね。
あの頃はとても迷惑だったけど……でも今考えると翔太は私の事が好きだったからそうしていたんだろうから……逆に申し訳なかったなぁっていう思いもあるのはたしかだ。
「大川先輩、その山田さんっていう人はどんな人だったんですか?」
突然、沙耶香が目を輝かせながら大川さんに聞いてきた。
「え、ああ、山田君はねぇ、うちの小学校では1、2位を争うくらいに女子から人気があった子よ。とてもイケメンでスポーツも万能で、勉強もできるし、それでいて偉そうな感じもなくて、男女関係無く優しかったしねぇ……」
ふーん、あの翔太が凄い褒められ様だなぁ……でも私に意地悪をしていたのには理由があったからなんだけど……
「それで大川先輩はどうだったんですか? その山田さんの事は好きだったんですか?」
えっ!? 沙耶香って先輩に平気でそんな事が聞ける子なんだ。
「フフフ、さぁ、どうかなぁ。ご想像にお任せするわ」
「いや、その言い方は……」
「もう、この話はお終い。せっかく三田さんが見学に来てくれたんだから、早速練習風景を見てもらいましょう。皆さん、準備しましょうねぇ?」
きっと、この大川さんも翔太のことが好きだったんだわ。じゃないと私達の行き帰りのことをあんなに詳しいはずはないし……もしかしたら遠目で翔太のことをずっと見ていたのかもしれないなぁ……
「今はね、7月に行われる青葉第二小学校の七夕祭りにうちの演劇部は特別参加として招待されていてね、その時に行うお芝居の練習をしているのよ。特に1年生はデビュー戦だから皆、真剣に練習をしているわ」
「へぇ、そうなんですか」
そうなんだ。少し前まで通っていた青二小でお芝居をするんだ。
知っている顔もたくさんいるからもし私が舞台に上がったら緊張するだろうなぁ……
こうして私は演劇部の人達の練習風景の見学を終えた後、少しだけど演劇部に興味が出て来たのでとりあえず仮入部をすることにした。
まぁ、りょう君も中学生の頃は演劇部の部長をやっていたんだし、これから色々と相談できるかもしれないという思いもあったのも仮入部をした理由でもある。
私はその日の夜にその事をりょう君に報告する為にメールをする。
するとりょう君から直ぐに返事が届いた。
『へぇ、カナちゃん演劇部に入部したんだ。驚いたなぁ。でもカナちゃん、美人だから遅れての入部でも主役に抜擢されるかもしれないね。もしそうなれば俺も青二小の七夕祭りへカナちゃんの応援に行こうかな。なんだか凄く楽しみだよ。配役が決まったら教えてね?』
りょう君、私そんなに美人じゃないよ。そんな事を言ってくれるのはりょう君だけだし……でも、りょう君以外の人にそんな事を言われても全然、嬉しくないけどね。
それとさすがに私が主役をするっていうのは無いと思うよ。もう配役は決まっているし、演目は七夕にちなんで『織姫と彦星』で、大川さんが織姫役って決まっているから素人の私がそんな大役できるわけないし……
織姫と彦星かぁ……
愛し合っている二人が一年に一度しか会えない物語……
私とりょう君だって少し前までは同じような感じだったけどね。奇跡的に5年ぶりに会えたから今はこうやって電話やメールもできるし、この前はエキサイト公園へデートにも行けたけど、もし今も会えない状況だったらどうなっていたんだろう?
私は絶対に諦めてはいないと思うけど、りょう君は……
りょう君は私がずっと好きだという事を知らないまま、いつかは彼女ができていただろうし……はぁ、良かった。本当に良かった。神様ありがとう。私達を再び引き合わせてくれて本当にありがとう。
あっ、そういえばもうすぐりょう君の誕生日だわ。何かプレゼントをしなくちゃ。
何がいいかしら……
りょう君、お誕生日おめでとう。誕生日プレゼントは私よ!! って……私、何変な事を思っているのかしら!? キャー恥ずかしい……で、でも……本当はそう言いたい気持ちの方が強いんだけどね。
ピロロン
ん? メールだわ。また、りょう君からかしら?
しまった!! そういえば、まださっきのメールの返信をりょう君にしていなかったわ。
あれ?
でもこれはりょう君からのメールじゃないわ。
登録していないアドレスみたいだけど……
sakura1996@……サクラ……あっ!!
このメールは桜ちゃんからだ。
桜ちゃんも携帯を持たせてもらえるようになったんだわ。
これでいつでも桜ちゃんと連絡が取り合えるよぉ。良かったわぁ。
『加奈子ちゃん、少しだけお久しぶりです。遂に私も携帯電話を持つようになりました。加奈子ちゃんの携帯番号やメールアドレスは翔太君から聞いていたので直ぐに登録したよ。お互い中学生になってまだそんなに日は経っていないけど一度会ってお喋りしたいなぁと思って……お互いの近況報告をやりたいなぁって思うのだけど、どうかな? 私がおうちに行かせてもらうので加奈子ちゃんの都合の良い日を教えてくれないかなぁ?』
そっかぁ、私のアドレスは翔太から聞いたんだ。二人は順調みたいだね。
フフフ、そこのところも聞いてみたいわ。
『桜ちゃん、ちょこっとだけ、お久しぶりです(笑)携帯を持てるようになって良かったね。私も嬉しいわ。それで会う日だけど、次の土曜日のお昼頃はどうかな? お母さんにお願いしてお昼ご飯を作ってもらうから一緒に食べようよ?』
ピロロン
『オッケーでーす。それじゃ次の土曜日の12時前くらいに加奈子ちゃんの家に行かせてもらうね? あ、ところで前にエキサイトランドで会った鎌田さんって今、大学生だったよね? もしかしてさ、青葉学院大学に通っていない? 少し前にうちの青葉学院大学付属中学校の行事にボランティアで来ていた大学生が鎌田さんに似ていたんだけど……』
あーっ!!
そうだったわ。桜ちゃんや翔太の通っている私立中学って……
青葉学院大学付属中学校だったよね。それでりょう君の通っている大学は青葉学院大学……同じ系列だということに今頃、気付いてしまった……
はぁ……今更だけど、小学生の時にもっと勉強していたら私も桜ちゃんと同じ、りょう君と同じ系列の中学校に行けていたかもしれなかったんだ……もし、そうだったら学校でもりょう君に会える可能性が増えていたのになぁ……
私のバカ、何で小学生の時にもっと勉強を頑張らかったのよぉ!?
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
部室に行くと部長さんは風邪を引いて今日は学校を休んでいるという事で沙耶香は2年生で演劇部の副部長の大川美樹さんを紹介してくれた。
大川さんは、綺麗な黒髪ロングヘアの持ち主で、肌は白くとても清楚な感じがする人だ。
「いらっしゃい、三田さん。よく来てくれたわね」
「えっ? どうして私の名前を……?」
「だって、三田さんとは小学校が同じだったし……それに三田さんは山田君といつも一緒にいたでしょ? だから三田さんは結構、有名人なのよ」
何で私が有名人になってるの? っていうか、
「大川さんは翔太と知り合いなんですか?」
「フフフ、勿論よ。同級生なんだしね。何度か同じクラスにもなったことがあるし、教室ではよくお話もしていたわ」
「そ、そうだったんですね……でも私は翔太と学年が違うので学校ではあまり話はしていなかったと思うんですが……」
「そうだよね。でも学校の行き帰りはほとんど一緒だったでしょ? よく帰りに山田君が校門の前で三田さんの部活が終わるのを待っている姿を見かけていたしね。でもアレだね? 三田さんが山田君を待っている姿は一度も見たことがなかったような気がするのだけど……」
「は、はぁ……」
まぁ、私は翔太のことが嫌いだったから一緒に帰りたくなかったしね。それなのに翔太は頼みもしていないのに女の子一人で帰宅するのは危険だからと言って勝手に私が部活終わるのを待っていたのよね。
あの頃はとても迷惑だったけど……でも今考えると翔太は私の事が好きだったからそうしていたんだろうから……逆に申し訳なかったなぁっていう思いもあるのはたしかだ。
「大川先輩、その山田さんっていう人はどんな人だったんですか?」
突然、沙耶香が目を輝かせながら大川さんに聞いてきた。
「え、ああ、山田君はねぇ、うちの小学校では1、2位を争うくらいに女子から人気があった子よ。とてもイケメンでスポーツも万能で、勉強もできるし、それでいて偉そうな感じもなくて、男女関係無く優しかったしねぇ……」
ふーん、あの翔太が凄い褒められ様だなぁ……でも私に意地悪をしていたのには理由があったからなんだけど……
「それで大川先輩はどうだったんですか? その山田さんの事は好きだったんですか?」
えっ!? 沙耶香って先輩に平気でそんな事が聞ける子なんだ。
「フフフ、さぁ、どうかなぁ。ご想像にお任せするわ」
「いや、その言い方は……」
「もう、この話はお終い。せっかく三田さんが見学に来てくれたんだから、早速練習風景を見てもらいましょう。皆さん、準備しましょうねぇ?」
きっと、この大川さんも翔太のことが好きだったんだわ。じゃないと私達の行き帰りのことをあんなに詳しいはずはないし……もしかしたら遠目で翔太のことをずっと見ていたのかもしれないなぁ……
「今はね、7月に行われる青葉第二小学校の七夕祭りにうちの演劇部は特別参加として招待されていてね、その時に行うお芝居の練習をしているのよ。特に1年生はデビュー戦だから皆、真剣に練習をしているわ」
「へぇ、そうなんですか」
そうなんだ。少し前まで通っていた青二小でお芝居をするんだ。
知っている顔もたくさんいるからもし私が舞台に上がったら緊張するだろうなぁ……
こうして私は演劇部の人達の練習風景の見学を終えた後、少しだけど演劇部に興味が出て来たのでとりあえず仮入部をすることにした。
まぁ、りょう君も中学生の頃は演劇部の部長をやっていたんだし、これから色々と相談できるかもしれないという思いもあったのも仮入部をした理由でもある。
私はその日の夜にその事をりょう君に報告する為にメールをする。
するとりょう君から直ぐに返事が届いた。
『へぇ、カナちゃん演劇部に入部したんだ。驚いたなぁ。でもカナちゃん、美人だから遅れての入部でも主役に抜擢されるかもしれないね。もしそうなれば俺も青二小の七夕祭りへカナちゃんの応援に行こうかな。なんだか凄く楽しみだよ。配役が決まったら教えてね?』
りょう君、私そんなに美人じゃないよ。そんな事を言ってくれるのはりょう君だけだし……でも、りょう君以外の人にそんな事を言われても全然、嬉しくないけどね。
それとさすがに私が主役をするっていうのは無いと思うよ。もう配役は決まっているし、演目は七夕にちなんで『織姫と彦星』で、大川さんが織姫役って決まっているから素人の私がそんな大役できるわけないし……
織姫と彦星かぁ……
愛し合っている二人が一年に一度しか会えない物語……
私とりょう君だって少し前までは同じような感じだったけどね。奇跡的に5年ぶりに会えたから今はこうやって電話やメールもできるし、この前はエキサイト公園へデートにも行けたけど、もし今も会えない状況だったらどうなっていたんだろう?
私は絶対に諦めてはいないと思うけど、りょう君は……
りょう君は私がずっと好きだという事を知らないまま、いつかは彼女ができていただろうし……はぁ、良かった。本当に良かった。神様ありがとう。私達を再び引き合わせてくれて本当にありがとう。
あっ、そういえばもうすぐりょう君の誕生日だわ。何かプレゼントをしなくちゃ。
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りょう君、お誕生日おめでとう。誕生日プレゼントは私よ!! って……私、何変な事を思っているのかしら!? キャー恥ずかしい……で、でも……本当はそう言いたい気持ちの方が強いんだけどね。
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ん? メールだわ。また、りょう君からかしら?
しまった!! そういえば、まださっきのメールの返信をりょう君にしていなかったわ。
あれ?
でもこれはりょう君からのメールじゃないわ。
登録していないアドレスみたいだけど……
sakura1996@……サクラ……あっ!!
このメールは桜ちゃんからだ。
桜ちゃんも携帯を持たせてもらえるようになったんだわ。
これでいつでも桜ちゃんと連絡が取り合えるよぉ。良かったわぁ。
『加奈子ちゃん、少しだけお久しぶりです。遂に私も携帯電話を持つようになりました。加奈子ちゃんの携帯番号やメールアドレスは翔太君から聞いていたので直ぐに登録したよ。お互い中学生になってまだそんなに日は経っていないけど一度会ってお喋りしたいなぁと思って……お互いの近況報告をやりたいなぁって思うのだけど、どうかな? 私がおうちに行かせてもらうので加奈子ちゃんの都合の良い日を教えてくれないかなぁ?』
そっかぁ、私のアドレスは翔太から聞いたんだ。二人は順調みたいだね。
フフフ、そこのところも聞いてみたいわ。
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あーっ!!
そうだったわ。桜ちゃんや翔太の通っている私立中学って……
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はぁ……今更だけど、小学生の時にもっと勉強していたら私も桜ちゃんと同じ、りょう君と同じ系列の中学校に行けていたかもしれなかったんだ……もし、そうだったら学校でもりょう君に会える可能性が増えていたのになぁ……
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