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第5章 嫉妬編
第49話 中学生らしく/亮二
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七夕祭りが始まって今は午前11時過ぎ、間もなく俺達は休憩に入る。
午後からは体育館で青葉第二小演劇部、青葉第六中学演劇部の演劇が行われる予定で、その青葉第六中学演劇部の生徒達が現在、俺の目の前でカナちゃんを取り囲んでいた。
カナちゃん凄い人気だな。演劇部を二日で退部したにもかかわらずあんな大勢の人達に取り囲まれているなんて……やはり演劇部男子中心に『三田加奈子ファンクラブ』が発足されたのは冗談では無かったみたいだな。
「加奈子!! ボランティア頑張っているみたいだね!?」
「う、うん……私ね、ボランティアに向いているみたいなんだぁ……やっていてとても楽しいし……だから沙耶香も昼からの演劇、頑張ってちょうだいよ? 私、応援してるからさ」
「有難う、頑張るわ!! って言っても私は織姫の従者Aだから、あまりセリフは無いんだけどねぇ……」
「織姫の従者役でも凄いわよ。応援するから頑張ってね!?」
「うん、ありがとね」
「み、三田さん!! お、俺も彦星の友人A役で頑張るから応援頼むよぉ!?」
「いや、こいつよりも僕の星B役の方を応援してくれないかな!?」
「何を言っているんだ!? お前達よりもファンクラブ副会長であり、星A役の俺の方を優先して応援してもらうのが当たり前じゃないか!?」
「はぁあ!? ジャンケンで勝っただけの副会長が偉そうな事を言うなよな!!」
「そうだよ。それにお前も俺と同じ星役でセリフも無いじゃないか!?」
「な、何だとーっ!?」
ん? なんか男子達が揉めているぞ。こんなんで今日の演劇がちゃんとできるのだろうか? 部長や副部長は注意をしないのか? 俺だったらとっくに注意しているところだが……
「皆さん、今日は大事な日なのに揉めないでください!! 皆さんの事もちゃんと応援しますから仲良くしてください……そして今日の演劇頑張ってくださいね?」
「 「 「了解しました!! 三田さんの言う事は守ります!! そして演劇頑張ります!!」 」 」
「は、はぁ……」
ハハハ、カナちゃんのお願いは絶対みたいだな?
でもカナちゃんも大変だなぁ……後で労いの言葉をかけようかな。
しかし、俺が恐れていた通り、カナちゃんはマジで大人気だったな。
まぁ、カナちゃんは美人だし、性格も優しくて、しっかりもしているから人気があるのは当然と言えば当然だけど、あれだけの男子に囲まれているカナちゃんを見ると少し複雑な心境になってしまう俺がいるのも確かだな。
中学生男子達が羨ましいよな……ってか、俺はある意味ヤキモチを妬いているのかなぁ……?
俺もできる事なら広美と同じように小さい頃にタイムリープをして一からやり直したいよ。でもアレだな。いくら俺がやり直したくてもカナちゃんとの歳の差はうまらないのか……
それじゃ、カナちゃんと同じ歳で生まれ変わるってのは?
ハハハ、俺は何を考えているんだ。中学生男子相手に何を焦っているんだよ……
ポンポン
「え? ああ、立花部長? ど、どうかされましたか?」
「いえ、加奈子ちゃんとは最近頻繁に会っていたから違和感が無かったけど、同級生達に囲まれている加奈子ちゃんを見るとやっぱりあの姿が自然なんだなぁと思ってさ……『お兄さん役』の鎌田君はどう感じているのかなぁと思ってさ……」
お兄さん役? そっか、そうだったよな? 俺は立花部長達にはカナちゃんとの関係をそう伝えているからな……ただ、さっき大石さんにはつい『本心』を言ってしまったけど……
そう言えば大石さんはどこにいるんだ? 橋本君の近くにもいないみたいだけど。
「鎌田君、どうかしたの?」
「えっ? いや、今の質問の答えですよね? まぁ、俺もあのカナちゃんの姿を見ればやっぱり中学生なんだなぁって思いますけど、俺達と一緒にボランティア活動をしているカナちゃんも違和感は無いですね。まぁ、俺の場合は付き合いが長いからなのかもしれませんが……」
「ふーん、そっか……まぁ、鎌田君がそう思っているのならそれで構わないけど……ただ私は中学生は中学生らしい生活をする方が本人の為には良いんじゃないかなって思っただけなの。中学生活は一度しかないし、後で後悔させてしまうのは可哀そうだと思って……」
後悔かぁ……
立花部長の言っている事はよく分かる。俺だって最初の頃はそう思っていたから……でも今はカナちゃんの事を……少しでも長い時間、カナちゃんと一緒に過ごしたいという気持ちになっている。
7歳差の壁……この壁はいずれ時間が解決してくれると俺は思いたい……
「立花部長のおっしゃることはよく分かりますよ。でも決めるのはカナちゃんですし……それに無理に俺達が突き放してしまったらカナちゃんも悲しいでしょうし、逆に俺達が後悔してしまうかもしれませんから……」
「フフフ……『俺達』ではなくて『俺』でしょ? 私は加奈子ちゃんと付き合いは浅いし、さっき言った思いがあるから私達の前に加奈子ちゃんが現れなくなっても後悔は無いわ。でも鎌田君の考えも理解しているつもりだし、それに加奈子ちゃんのお陰で次期部長も決まった訳だしね。まぁ、もし何かあればいつでも相談してちょうだいね?」
「は、はい……」
なんか、立花部長の言っている事は正論なのに違和感を感じるのは何故なんだろう? 本当はカナちゃんがボランティア部の手伝いをするのは反対だったとか?
いや、それはないはずだ。立花部長のカナちゃんに対しての接し方はとても好意的だったし……いずれにしても今そんな事を考えても仕方が無いよな。
それよりも、そろそろ昼休みだしカナちゃんを呼ばないと……ん?
何か茶髪の男子がカナちゃんに近づいて話しかけているけどカナちゃんは凄い嫌な顔をしているように見えるんだけど……
「荻野部長、私に近づかないでいただけますか!?」
「そ、そんなに僕の事を嫌わなくてもいいじゃないかぁ……」
荻野部長?
って事は彼が前にカナちゃんが言っていたあの……
なんか嫌な予感がしてきたぞ……
午後からは体育館で青葉第二小演劇部、青葉第六中学演劇部の演劇が行われる予定で、その青葉第六中学演劇部の生徒達が現在、俺の目の前でカナちゃんを取り囲んでいた。
カナちゃん凄い人気だな。演劇部を二日で退部したにもかかわらずあんな大勢の人達に取り囲まれているなんて……やはり演劇部男子中心に『三田加奈子ファンクラブ』が発足されたのは冗談では無かったみたいだな。
「加奈子!! ボランティア頑張っているみたいだね!?」
「う、うん……私ね、ボランティアに向いているみたいなんだぁ……やっていてとても楽しいし……だから沙耶香も昼からの演劇、頑張ってちょうだいよ? 私、応援してるからさ」
「有難う、頑張るわ!! って言っても私は織姫の従者Aだから、あまりセリフは無いんだけどねぇ……」
「織姫の従者役でも凄いわよ。応援するから頑張ってね!?」
「うん、ありがとね」
「み、三田さん!! お、俺も彦星の友人A役で頑張るから応援頼むよぉ!?」
「いや、こいつよりも僕の星B役の方を応援してくれないかな!?」
「何を言っているんだ!? お前達よりもファンクラブ副会長であり、星A役の俺の方を優先して応援してもらうのが当たり前じゃないか!?」
「はぁあ!? ジャンケンで勝っただけの副会長が偉そうな事を言うなよな!!」
「そうだよ。それにお前も俺と同じ星役でセリフも無いじゃないか!?」
「な、何だとーっ!?」
ん? なんか男子達が揉めているぞ。こんなんで今日の演劇がちゃんとできるのだろうか? 部長や副部長は注意をしないのか? 俺だったらとっくに注意しているところだが……
「皆さん、今日は大事な日なのに揉めないでください!! 皆さんの事もちゃんと応援しますから仲良くしてください……そして今日の演劇頑張ってくださいね?」
「 「 「了解しました!! 三田さんの言う事は守ります!! そして演劇頑張ります!!」 」 」
「は、はぁ……」
ハハハ、カナちゃんのお願いは絶対みたいだな?
でもカナちゃんも大変だなぁ……後で労いの言葉をかけようかな。
しかし、俺が恐れていた通り、カナちゃんはマジで大人気だったな。
まぁ、カナちゃんは美人だし、性格も優しくて、しっかりもしているから人気があるのは当然と言えば当然だけど、あれだけの男子に囲まれているカナちゃんを見ると少し複雑な心境になってしまう俺がいるのも確かだな。
中学生男子達が羨ましいよな……ってか、俺はある意味ヤキモチを妬いているのかなぁ……?
俺もできる事なら広美と同じように小さい頃にタイムリープをして一からやり直したいよ。でもアレだな。いくら俺がやり直したくてもカナちゃんとの歳の差はうまらないのか……
それじゃ、カナちゃんと同じ歳で生まれ変わるってのは?
ハハハ、俺は何を考えているんだ。中学生男子相手に何を焦っているんだよ……
ポンポン
「え? ああ、立花部長? ど、どうかされましたか?」
「いえ、加奈子ちゃんとは最近頻繁に会っていたから違和感が無かったけど、同級生達に囲まれている加奈子ちゃんを見るとやっぱりあの姿が自然なんだなぁと思ってさ……『お兄さん役』の鎌田君はどう感じているのかなぁと思ってさ……」
お兄さん役? そっか、そうだったよな? 俺は立花部長達にはカナちゃんとの関係をそう伝えているからな……ただ、さっき大石さんにはつい『本心』を言ってしまったけど……
そう言えば大石さんはどこにいるんだ? 橋本君の近くにもいないみたいだけど。
「鎌田君、どうかしたの?」
「えっ? いや、今の質問の答えですよね? まぁ、俺もあのカナちゃんの姿を見ればやっぱり中学生なんだなぁって思いますけど、俺達と一緒にボランティア活動をしているカナちゃんも違和感は無いですね。まぁ、俺の場合は付き合いが長いからなのかもしれませんが……」
「ふーん、そっか……まぁ、鎌田君がそう思っているのならそれで構わないけど……ただ私は中学生は中学生らしい生活をする方が本人の為には良いんじゃないかなって思っただけなの。中学生活は一度しかないし、後で後悔させてしまうのは可哀そうだと思って……」
後悔かぁ……
立花部長の言っている事はよく分かる。俺だって最初の頃はそう思っていたから……でも今はカナちゃんの事を……少しでも長い時間、カナちゃんと一緒に過ごしたいという気持ちになっている。
7歳差の壁……この壁はいずれ時間が解決してくれると俺は思いたい……
「立花部長のおっしゃることはよく分かりますよ。でも決めるのはカナちゃんですし……それに無理に俺達が突き放してしまったらカナちゃんも悲しいでしょうし、逆に俺達が後悔してしまうかもしれませんから……」
「フフフ……『俺達』ではなくて『俺』でしょ? 私は加奈子ちゃんと付き合いは浅いし、さっき言った思いがあるから私達の前に加奈子ちゃんが現れなくなっても後悔は無いわ。でも鎌田君の考えも理解しているつもりだし、それに加奈子ちゃんのお陰で次期部長も決まった訳だしね。まぁ、もし何かあればいつでも相談してちょうだいね?」
「は、はい……」
なんか、立花部長の言っている事は正論なのに違和感を感じるのは何故なんだろう? 本当はカナちゃんがボランティア部の手伝いをするのは反対だったとか?
いや、それはないはずだ。立花部長のカナちゃんに対しての接し方はとても好意的だったし……いずれにしても今そんな事を考えても仕方が無いよな。
それよりも、そろそろ昼休みだしカナちゃんを呼ばないと……ん?
何か茶髪の男子がカナちゃんに近づいて話しかけているけどカナちゃんは凄い嫌な顔をしているように見えるんだけど……
「荻野部長、私に近づかないでいただけますか!?」
「そ、そんなに僕の事を嫌わなくてもいいじゃないかぁ……」
荻野部長?
って事は彼が前にカナちゃんが言っていたあの……
なんか嫌な予感がしてきたぞ……
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