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第6章 衝撃の事実編
第61話 充実感と恐れ/加奈子・隆
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夏休みに入ってからの私はとても充実していた。
りょう君は忙しい最中にもかかわらず何度かデートに誘ってくれて凄く幸せだし、それに一緒にバイトをしている大石さんも今のところりょう君に何もアプローチをしてこないみたいでホッとしている。
少し前にりょう君が広美さんのお父さんと話をした中で大石さんの話もしたらしく、その時に広美さんのお父さんが『大石明美? どこかで聞いた名前のような……ん!? も、もしかしたら俺の同級生の娘かもしれないから一度、大石に確認してみるよ』と言ってくれていたらしいから、大石さんが大人しいのはそれが関係しているのかもしれない。
そして私は七夕祭りの後に担任の先生に『ボランティア部発足』について相談をした。そして最終的に学校の許可をもらい正式に『ボランティアサークル』が発足され、私は部長として忙しくもしていた。
部ではなくサークル扱いになったのは私以外の部員が全員、他の部と兼務だからという事らしいけど、私としては一歩前進しただけでも満足していた。
それに活動するにあたって、りょう君が何度か部室に顔を出してくれて色々なアドバイスをしてくれたのも私としては最高の喜びだった。
まぁ、もう一人めちゃくちゃ喜んでいる部員がいるんだけどね……
その喜んでいる部員の沙耶香が部室で私に話をする。
「加奈子、明日行う校区内清掃の打ち合わせをしましょうよ? っていうか桃花や他の部員はまだ来ていないみたいね? ちなみに他の演劇部員達は塾があるから打ち合わせは無理って言っていたわ。っていうか、鎌田さんは明日の清掃に来ないのかしら?」
「そうなんだ。それじゃぁ今日の打ち合わせに参加する部員は少ないかもしれないわね? それとりょう君は来ないわよ。りょう君達は明日、別のボランティア活動があるらしいのよ……」
本当は顔を出してくれる予定だったんだけどなぁ……何か急に立花部長がボランティア活動を受けてしまったみたいで、りょう君、来れなくなったんだよなぁ……
もしかして、これは私とりょう君をあまり会わせない為に立花部長が仕組んだ作戦とかじゃないの? って……いえ、それは考え過ぎだよね?
りょう君はボランティア部の活動が早く終われば顔を出すって言ってくれていたから、もし間に合えば嬉しいんだけどなぁ……
「ああ、残念だなぁ……最近ようやく鎌田さんとお話できるようになったから、更に親しくなれるチャンスだと思っていたのになぁ……」
「ハハハ、それは残念だったわねぇ……」
ちなみに沙耶香は未だにりょう君とメアド交換はできていない。
七夕祭りでの彼女はりょう君に対して積極的に話かけていたから直ぐにメアド交換をお願いすると思っていたけど、沙耶香は意外と肝心なことは言えない女の子みたいね?
またしてもメアド交換は伸びちゃったわね、残念でした沙耶香……フフフ……
あ、今の私って少し意地悪っぽくない?
「えーっ? 残念と言っている割に加奈子が笑顔なのはどういうことなのかしら?」
「えっ!? べ、別に笑顔じゃ無いわよ。私だってりょう君に会えないのは残念だわ!!」
「ちわーす、ん? 二人で何か揉めているの?」
「あ、桃花お疲れ様。別に揉めていた訳では無いわよ。桃花はバスケ部の練習は終わったの?」
「ええ、やっと終わったわ。大会も近づいているし、顧問の先生や先輩達も厳しい練習をさせるから、私達1年生も身体中ボロボロだわ。でも明日はボランティア活動があるから打ち合わせには参加しないといけないなぁと思ってさ」
「桃花、お疲れの所、悪いわね?」
「ハハハ、私の事は別に構わないんだけど、あれ? 打ち合わせはもう終わったの? 他の部員はもう帰ったのかな?」
「今日は私達以外、誰も参加できないかもしれないわね。桃花や沙耶香と同じで他の部員もみんな違う部活と兼務だから……どの部も大会が近いしねぇ……今の時期は仕方ないよね……」
「でも明日は校区内の清掃をやるんでしょ? もしかして明日の清掃も私達3名だけってことなの?」
「それは大丈夫よ、桃花。演劇部員と兼務の数名は今日はみんな用事があっただけで明日の清掃には参加してくれるわ」
「そうなんだ。それなら安心だけど、兼務じゃないのが加奈子だけっていうのは今後、大変かもしれないわね?」
「心配してくれてありがとね? でも大丈夫だよ。来年になれば新入生も入るだろうし、今年は『青六中ボランティアサークル』のある程度の形ができれば良いと思っているから」
「そうだね。今から焦る必要は無いわね? まぁ、今年は練習ってことで気楽にやりましょう!!」
沙耶香と桃花は私にとって本当に良い友人だわ。二人共私と同じ青葉東高校を目標にしているらしいから二人とは一生の友達として付き合えそうで嬉しい。
とりあえず私が一番、青葉東高校に合格できるかギリギリの成績だからサークルだけじゃなくて勉強も頑張らないといけないんだけどね。
あっそうだわ。先日りょう君、就職先が決まったって言っていたから少しは余裕ができたかもしれないわね? 今度、勉強を教えてもらえるようにお願いしてみよっと。そうなれば今以上にりょう君と会う回数も増えるし一石二鳥だわ。
――――――――――――――――――――――――
「隆君、最近とてもご機嫌だね?」
「え? ああ、そうだね……」
「少し前に亮二君に偶然会って話し込んだって言っていたけど、それがご機嫌の原因かな?」
「へっ? ハハハ……さすが香織だね? よく俺の事を分かってらっしゃる」
「フフフ……愛する隆君の事は何でも分かるわ♡」
「うっ」
俺はこの歳になっても香織にそういった事を言われると照れてしまう。本当に50歳を過ぎても綺麗で優しくて俺には勿体ないくらいの妻だ。
「亮二君は小さい頃から本当に良い子よね? それに加奈子ちゃんも本当に良い子だわ。今はまだ大学生と中学生だから難しい問題はあるかもしれないけど、きっと素敵なカップルになると思うわ」
「ハハハ、まるで俺が亮二君から加奈子ちゃんについての相談を受けていたみたいな言い方だね?」
「あれ? 違ったの?」
「まぁ、そんな話もしたけどね……」
ほとんどが俺のタイムリープの話だったとは言えないからな。
「亮二君が大学を卒業したらうちの会社で働かせて欲しいって言ってくれてね。それがとても嬉しかったんだよ」
「あらっ、そうなの!? それはとても嬉しいお話ねぇ? 2年後が楽しみだわ」
「ほんと、楽しみだよ……」
ただ俺は亮二君にタイムリープの話をした事は後悔していないが、『前の世界では二人が存在していなかった』という話をした事は正しかったのかどうかは少し不安はある。
俺としてはそんな二人に『この世界』ではお互いに助け合って、思い合って幸せに生きていて欲しいという気持ちで亮二君に話をしたけど果たして本当に良かったのだろうか……亮二君にとって重荷にならないことだけは願いたい。
そんな事を思っているとテレビからアナウンサーの声が流れてくる。
『昨日、東京で起きた強盗及び殺人未遂の容疑者の名前が分かりました。本日、全国に指名手配されたもようです!!』
「この事件って犯人は怨恨かも? って言われていた事件だよね?」
「そうみたいだね。俺は東京の事件だし、あまり詳しくは見て無かったけど」
『指名手配されたのは山本次郎といいます!!』
「 「えっ!?」 」
『繰り返します!! 容疑者は山本次郎、無職で51歳の男です!!』
俺達夫婦は容疑者の名前を聞き、顔写真を見た途端、身体中が硬直した。
「この写真……う、嘘……」
「や、山本次郎……」
俺達はこの男を知っている。
忘れたくても忘れられない男であった。
りょう君は忙しい最中にもかかわらず何度かデートに誘ってくれて凄く幸せだし、それに一緒にバイトをしている大石さんも今のところりょう君に何もアプローチをしてこないみたいでホッとしている。
少し前にりょう君が広美さんのお父さんと話をした中で大石さんの話もしたらしく、その時に広美さんのお父さんが『大石明美? どこかで聞いた名前のような……ん!? も、もしかしたら俺の同級生の娘かもしれないから一度、大石に確認してみるよ』と言ってくれていたらしいから、大石さんが大人しいのはそれが関係しているのかもしれない。
そして私は七夕祭りの後に担任の先生に『ボランティア部発足』について相談をした。そして最終的に学校の許可をもらい正式に『ボランティアサークル』が発足され、私は部長として忙しくもしていた。
部ではなくサークル扱いになったのは私以外の部員が全員、他の部と兼務だからという事らしいけど、私としては一歩前進しただけでも満足していた。
それに活動するにあたって、りょう君が何度か部室に顔を出してくれて色々なアドバイスをしてくれたのも私としては最高の喜びだった。
まぁ、もう一人めちゃくちゃ喜んでいる部員がいるんだけどね……
その喜んでいる部員の沙耶香が部室で私に話をする。
「加奈子、明日行う校区内清掃の打ち合わせをしましょうよ? っていうか桃花や他の部員はまだ来ていないみたいね? ちなみに他の演劇部員達は塾があるから打ち合わせは無理って言っていたわ。っていうか、鎌田さんは明日の清掃に来ないのかしら?」
「そうなんだ。それじゃぁ今日の打ち合わせに参加する部員は少ないかもしれないわね? それとりょう君は来ないわよ。りょう君達は明日、別のボランティア活動があるらしいのよ……」
本当は顔を出してくれる予定だったんだけどなぁ……何か急に立花部長がボランティア活動を受けてしまったみたいで、りょう君、来れなくなったんだよなぁ……
もしかして、これは私とりょう君をあまり会わせない為に立花部長が仕組んだ作戦とかじゃないの? って……いえ、それは考え過ぎだよね?
りょう君はボランティア部の活動が早く終われば顔を出すって言ってくれていたから、もし間に合えば嬉しいんだけどなぁ……
「ああ、残念だなぁ……最近ようやく鎌田さんとお話できるようになったから、更に親しくなれるチャンスだと思っていたのになぁ……」
「ハハハ、それは残念だったわねぇ……」
ちなみに沙耶香は未だにりょう君とメアド交換はできていない。
七夕祭りでの彼女はりょう君に対して積極的に話かけていたから直ぐにメアド交換をお願いすると思っていたけど、沙耶香は意外と肝心なことは言えない女の子みたいね?
またしてもメアド交換は伸びちゃったわね、残念でした沙耶香……フフフ……
あ、今の私って少し意地悪っぽくない?
「えーっ? 残念と言っている割に加奈子が笑顔なのはどういうことなのかしら?」
「えっ!? べ、別に笑顔じゃ無いわよ。私だってりょう君に会えないのは残念だわ!!」
「ちわーす、ん? 二人で何か揉めているの?」
「あ、桃花お疲れ様。別に揉めていた訳では無いわよ。桃花はバスケ部の練習は終わったの?」
「ええ、やっと終わったわ。大会も近づいているし、顧問の先生や先輩達も厳しい練習をさせるから、私達1年生も身体中ボロボロだわ。でも明日はボランティア活動があるから打ち合わせには参加しないといけないなぁと思ってさ」
「桃花、お疲れの所、悪いわね?」
「ハハハ、私の事は別に構わないんだけど、あれ? 打ち合わせはもう終わったの? 他の部員はもう帰ったのかな?」
「今日は私達以外、誰も参加できないかもしれないわね。桃花や沙耶香と同じで他の部員もみんな違う部活と兼務だから……どの部も大会が近いしねぇ……今の時期は仕方ないよね……」
「でも明日は校区内の清掃をやるんでしょ? もしかして明日の清掃も私達3名だけってことなの?」
「それは大丈夫よ、桃花。演劇部員と兼務の数名は今日はみんな用事があっただけで明日の清掃には参加してくれるわ」
「そうなんだ。それなら安心だけど、兼務じゃないのが加奈子だけっていうのは今後、大変かもしれないわね?」
「心配してくれてありがとね? でも大丈夫だよ。来年になれば新入生も入るだろうし、今年は『青六中ボランティアサークル』のある程度の形ができれば良いと思っているから」
「そうだね。今から焦る必要は無いわね? まぁ、今年は練習ってことで気楽にやりましょう!!」
沙耶香と桃花は私にとって本当に良い友人だわ。二人共私と同じ青葉東高校を目標にしているらしいから二人とは一生の友達として付き合えそうで嬉しい。
とりあえず私が一番、青葉東高校に合格できるかギリギリの成績だからサークルだけじゃなくて勉強も頑張らないといけないんだけどね。
あっそうだわ。先日りょう君、就職先が決まったって言っていたから少しは余裕ができたかもしれないわね? 今度、勉強を教えてもらえるようにお願いしてみよっと。そうなれば今以上にりょう君と会う回数も増えるし一石二鳥だわ。
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「え? ああ、そうだね……」
「少し前に亮二君に偶然会って話し込んだって言っていたけど、それがご機嫌の原因かな?」
「へっ? ハハハ……さすが香織だね? よく俺の事を分かってらっしゃる」
「フフフ……愛する隆君の事は何でも分かるわ♡」
「うっ」
俺はこの歳になっても香織にそういった事を言われると照れてしまう。本当に50歳を過ぎても綺麗で優しくて俺には勿体ないくらいの妻だ。
「亮二君は小さい頃から本当に良い子よね? それに加奈子ちゃんも本当に良い子だわ。今はまだ大学生と中学生だから難しい問題はあるかもしれないけど、きっと素敵なカップルになると思うわ」
「ハハハ、まるで俺が亮二君から加奈子ちゃんについての相談を受けていたみたいな言い方だね?」
「あれ? 違ったの?」
「まぁ、そんな話もしたけどね……」
ほとんどが俺のタイムリープの話だったとは言えないからな。
「亮二君が大学を卒業したらうちの会社で働かせて欲しいって言ってくれてね。それがとても嬉しかったんだよ」
「あらっ、そうなの!? それはとても嬉しいお話ねぇ? 2年後が楽しみだわ」
「ほんと、楽しみだよ……」
ただ俺は亮二君にタイムリープの話をした事は後悔していないが、『前の世界では二人が存在していなかった』という話をした事は正しかったのかどうかは少し不安はある。
俺としてはそんな二人に『この世界』ではお互いに助け合って、思い合って幸せに生きていて欲しいという気持ちで亮二君に話をしたけど果たして本当に良かったのだろうか……亮二君にとって重荷にならないことだけは願いたい。
そんな事を思っているとテレビからアナウンサーの声が流れてくる。
『昨日、東京で起きた強盗及び殺人未遂の容疑者の名前が分かりました。本日、全国に指名手配されたもようです!!』
「この事件って犯人は怨恨かも? って言われていた事件だよね?」
「そうみたいだね。俺は東京の事件だし、あまり詳しくは見て無かったけど」
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「 「えっ!?」 」
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