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第7章 試練編
第77話 ぬいぐるみ/亮二・加奈子
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平成24年4月
加奈子ちゃんは無事に高校生になった。それも俺の母校、青葉東高校の生徒になったのだ。まぁ、未だに俺は青葉東高校時代の記憶は無いのだが……
そして俺も退院する事になった。まだ松葉杖を使って少し歩ける程度でほとんどの移動は車椅子を利用しているけど、骨折や内臓はほぼ完治し、あとは通院しながらのリハビリで良いということで退院となったのだ。
数ヶ月ぶり、いや、何年ぶりの感覚だろう。我が家に帰る事ができて俺はとても嬉しかった。
俺の部屋は二階にあるので毎日、部屋にたどり着くまで時間がかかり大変ではあるが、これもリハビリになるので、先で普通に歩けるようになるんだと思えばさほど辛くはない。
退院初日から母さんの助けを断り、自分の足で部屋へと向かう。
そして時間をかけてようやく部屋のドアの前に着き、少し緊張しながらドアをゆっくりと開ける。久しぶりに見る自分の部屋を見渡し懐かしさを感じていた。なんとなくだが俺の記憶よりも部屋がスッキリしているのは母さんが掃除をしてくれていたんだろうな。
そう思っている俺はふとある物が目に止った。
あれ? このぬいぐるみはエキサイトランドのマスコットキャラ『エキサイト君』だよな? それも一番大きいやつじゃないか……こんな大きなぬいぐるみを俺は買った覚えが無いんだけど……それとも中学生以降の俺が買ったっていうのか?
まさか、この俺がか!?
戸惑っている俺は買った覚えの無いぬいぐるみとは逆に小さい頃に広美と一緒に買ったペンギンのぬいぐるみが俺のリュックについていない事に気づく。
何で知らないぬいぐるみがあって俺の大事なぬいぐるみが無くなっているんだよ!?
俺は部屋中を探しまくったが見つからない。後で母さんに聞こうと思ったが、この歳でぬいぐるみの話をするのは恥ずかしいということもあるし、もしかしたらひょこっと見つかるかもしれないのでしばらくは黙っておこう。
それにしても何故、俺の部屋にこんな大きな『エキサイト君』があるのか気になるが、それを思い出そうとすると頭がズキンと痛くなるので考えるのは止めておくことにした。
いずれにしても俺はこれから今まで以上にリハビリを頑張らなければいけない。何故なら、もう少しスムーズに歩けるようになれたら俺は隆おじさんの会社で働かせてもらえる事になっているからだ。
少し前までの俺はこんな自由に動く事の出来ない身体で更に中学生以降の記憶が未だに無い状態で社会に出るのは不安だった。
しかし加奈子ちゃんのお陰で学力は中学生レベルまでは戻っているし、これからも高校生になった加奈子ちゃんが学校で習ったところを自分の復習も兼ねて引き続き勉強を教えるよって言ってくれたのが心強く感じて不安がある程度解消された。
勿論、加奈子ちゃんがいない時は俺なりに独学で参考書を利用しながら勉強をしている。
しかし本当に加奈子ちゃんは優しい子だよなぁ……いくら俺が加奈子ちゃんの代わりに事故にあったとはいえ、ここまで世話を焼く必要なんて無いのに……しかし本当に加奈子ちゃんは俺の事が昔から好きだったのだろうか? 7歳も年上の俺を憧れくらいなら分かるけど恋愛対象として俺の事を見るなんて……
でもまぁ、高校に通い出したら他に好きな人が現れるかもしれないし、あれだけの美人を男子生徒どもが放っておくわけもないし、もし加奈子ちゃんの好きなタイプの男子が告白なんかしてきたら……
あれ? なんか、その状況を想像したら嫌な感覚になってしまう俺がいるのは何でだろう……?
俺の記憶に最近の加奈子ちゃんとの出来事は増えてはいっているけど、加奈子ちゃんに対しては年の離れた妹の様な感覚のはずなんだ……
それに肝心の昔の思い出は何一つ無いし、だから加奈子ちゃんが他に好きな人ができたとしても俺は何も感じないはずなんだ……逆に祝福しようと思っていたくらいなんだけど……
でも……
イヤイヤイヤッ!! でもって何だよ!?
7歳も年下の女の子の事を俺が好きになるなんてあり得ない……よなぁ?
でもあり得ないと強く思える確証が欲しいという気持ちも心のどこかにある……
ズキンッ
うっ!!
どうしても失った記憶の事を考えたりすると頭が痛くなってしまう。でも痛くなるからといって失った記憶を取り戻す事を諦めていいのか?
良くない!! 諦めたくはない!!
昔の加奈子ちゃんとの思い出の記憶だけは何とか取り戻したい。じゃないと、これから先、加奈子ちゃんが大人になっていき俺の傍から離れていくようになったとしたら、俺はなんだか一生後悔する様な気がする……
――――――――――――――――――――――
私は晴れてりょう君が3年間通った青葉東高校に入学した。
そして高校生初日、同じクラスになった沙耶香が嬉しそうな顔をしながら私に話しかけてきた。
「加奈子、高校でも私達、同じクラスで良かったわね~?」
「うん、そうだね。沙耶香とは中1から4年連続同じクラスって凄いよねぇ? でも桃花とは何故か一度も同じクラスになれないんだよなぁ……」
「まぁ、私が姉妹と同じクラスには絶対にならないからねぇ。だから私と同じクラスになれば無条件で桃花は違うクラスになるんだから仕方が無いわ。ん? 加奈子のバック……前からそんなペンギンのぬいぐるみ付けていたっけ?」
「ううん、付けていなかったよ。高校生になってから付けてみたの。このぬいぐるみは私の宝物で、ずっと部屋に飾っていたんだけど、やっぱり肌身離さず付けておこうかなっと思って……」
「あっ、もしかして、そのぬいぐるみって……鎌田さんに貰ったんじゃない?」
「え? そ、そうだけど……よく分かったわね沙耶香?」
「そりゃあ、加奈子の顔を見ていたら分かるわよ。ぬいぐるみを見ている表情が鎌田さんを見ている時と同じ表情だし……それにしても加奈子は凄いよねぇ?」
「え? 私のどこが凄いのよ? 私の表情で気付く沙耶香の方が凄いと思うんだけど……」
「加奈子の方がずっと凄いというか偉いと思う……だって、1日も欠かさずに鎌田さんのお見舞いに行っていたんでしょ? それも加奈子の記憶を無くした鎌田さんに……」
「だってそれは……それよりも沙耶香は何でりょう君のお見舞いに1度しか来てくれなかったの? りょう君の記憶に沙耶香が残っていないから?」
「うーん、少し違うかなぁ……鎌田さんは私の憧れの人だから……」
「憧れの人だったら何度も顔を出して……そうすれば沙耶香の事を思い出す可能性だってあったんだし……」
「それはあり得ないわよ。未だに加奈子のことも思い出せないのにさぁ……あなた達、羨ましくなるくらいに仲良しだったのに……」
「う……うん……そうだね……沙耶香の気持ちも分からずに変な事を言ってしまつたわね? ゴメン、沙耶香……」
「ゴメンゴメン!! 違うのよ。加奈子が謝る事は無いのよ。私がお見舞いに行かなかったのはそういうことじゃ無くて……私は中学生の時に演劇をしていた鎌田さんに憧れていたでしょ? でも鎌田さん自身がその演劇部での活躍を全然覚えていない事に私はとてもショックだったの……それで何をお話すれば良いのか分からなくなって……鎌田さんも困った表情をしていたしさ。それでそんな鎌田さんの顔を見るのが辛くてお見舞いに行き辛くなったというのが本音かな……」
「そ、そうだったんだね……」
沙耶香は沙耶香で色々と思うところがあったんだなぁ……まぁ、私もりょう君の記憶から消えていたのは凄くショックだったけど、毎日お見舞いに行っているうちに少しずつ今のりょう君とも打ち解けてきたから辛いっていう感覚は無くなっているかもしれない。
どちらかといえば今のりょう君と精一杯向き合い、心から尽くしてもう一度、りょう君に告白してもらえるような女性になるって心に誓ったから……
それにあの日……
病室で田中千夏さんが耳元で私にささやいた言葉……
「加奈子ちゃん、亮君のことをお願い。亮君と幸せになってね?」
千夏さん、りょう君の事は私に任せてください。たとえ、りょう君の記憶が戻らかったとしても私は一生彼の事を愛し続け、そして絶対に二人で幸せになってみせますから。
私は心の中でそう思いながら幼稚園児の頃に『りょう君』と名付けたペンギンのぬいぐるみを優しく撫でるのだった。
――――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
これで試練編は終わりとなります。
そして次回からは遂に最終章!!
何卒、完結までお付き合い宜しくお願い致します。
加奈子ちゃんは無事に高校生になった。それも俺の母校、青葉東高校の生徒になったのだ。まぁ、未だに俺は青葉東高校時代の記憶は無いのだが……
そして俺も退院する事になった。まだ松葉杖を使って少し歩ける程度でほとんどの移動は車椅子を利用しているけど、骨折や内臓はほぼ完治し、あとは通院しながらのリハビリで良いということで退院となったのだ。
数ヶ月ぶり、いや、何年ぶりの感覚だろう。我が家に帰る事ができて俺はとても嬉しかった。
俺の部屋は二階にあるので毎日、部屋にたどり着くまで時間がかかり大変ではあるが、これもリハビリになるので、先で普通に歩けるようになるんだと思えばさほど辛くはない。
退院初日から母さんの助けを断り、自分の足で部屋へと向かう。
そして時間をかけてようやく部屋のドアの前に着き、少し緊張しながらドアをゆっくりと開ける。久しぶりに見る自分の部屋を見渡し懐かしさを感じていた。なんとなくだが俺の記憶よりも部屋がスッキリしているのは母さんが掃除をしてくれていたんだろうな。
そう思っている俺はふとある物が目に止った。
あれ? このぬいぐるみはエキサイトランドのマスコットキャラ『エキサイト君』だよな? それも一番大きいやつじゃないか……こんな大きなぬいぐるみを俺は買った覚えが無いんだけど……それとも中学生以降の俺が買ったっていうのか?
まさか、この俺がか!?
戸惑っている俺は買った覚えの無いぬいぐるみとは逆に小さい頃に広美と一緒に買ったペンギンのぬいぐるみが俺のリュックについていない事に気づく。
何で知らないぬいぐるみがあって俺の大事なぬいぐるみが無くなっているんだよ!?
俺は部屋中を探しまくったが見つからない。後で母さんに聞こうと思ったが、この歳でぬいぐるみの話をするのは恥ずかしいということもあるし、もしかしたらひょこっと見つかるかもしれないのでしばらくは黙っておこう。
それにしても何故、俺の部屋にこんな大きな『エキサイト君』があるのか気になるが、それを思い出そうとすると頭がズキンと痛くなるので考えるのは止めておくことにした。
いずれにしても俺はこれから今まで以上にリハビリを頑張らなければいけない。何故なら、もう少しスムーズに歩けるようになれたら俺は隆おじさんの会社で働かせてもらえる事になっているからだ。
少し前までの俺はこんな自由に動く事の出来ない身体で更に中学生以降の記憶が未だに無い状態で社会に出るのは不安だった。
しかし加奈子ちゃんのお陰で学力は中学生レベルまでは戻っているし、これからも高校生になった加奈子ちゃんが学校で習ったところを自分の復習も兼ねて引き続き勉強を教えるよって言ってくれたのが心強く感じて不安がある程度解消された。
勿論、加奈子ちゃんがいない時は俺なりに独学で参考書を利用しながら勉強をしている。
しかし本当に加奈子ちゃんは優しい子だよなぁ……いくら俺が加奈子ちゃんの代わりに事故にあったとはいえ、ここまで世話を焼く必要なんて無いのに……しかし本当に加奈子ちゃんは俺の事が昔から好きだったのだろうか? 7歳も年上の俺を憧れくらいなら分かるけど恋愛対象として俺の事を見るなんて……
でもまぁ、高校に通い出したら他に好きな人が現れるかもしれないし、あれだけの美人を男子生徒どもが放っておくわけもないし、もし加奈子ちゃんの好きなタイプの男子が告白なんかしてきたら……
あれ? なんか、その状況を想像したら嫌な感覚になってしまう俺がいるのは何でだろう……?
俺の記憶に最近の加奈子ちゃんとの出来事は増えてはいっているけど、加奈子ちゃんに対しては年の離れた妹の様な感覚のはずなんだ……
それに肝心の昔の思い出は何一つ無いし、だから加奈子ちゃんが他に好きな人ができたとしても俺は何も感じないはずなんだ……逆に祝福しようと思っていたくらいなんだけど……
でも……
イヤイヤイヤッ!! でもって何だよ!?
7歳も年下の女の子の事を俺が好きになるなんてあり得ない……よなぁ?
でもあり得ないと強く思える確証が欲しいという気持ちも心のどこかにある……
ズキンッ
うっ!!
どうしても失った記憶の事を考えたりすると頭が痛くなってしまう。でも痛くなるからといって失った記憶を取り戻す事を諦めていいのか?
良くない!! 諦めたくはない!!
昔の加奈子ちゃんとの思い出の記憶だけは何とか取り戻したい。じゃないと、これから先、加奈子ちゃんが大人になっていき俺の傍から離れていくようになったとしたら、俺はなんだか一生後悔する様な気がする……
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私は晴れてりょう君が3年間通った青葉東高校に入学した。
そして高校生初日、同じクラスになった沙耶香が嬉しそうな顔をしながら私に話しかけてきた。
「加奈子、高校でも私達、同じクラスで良かったわね~?」
「うん、そうだね。沙耶香とは中1から4年連続同じクラスって凄いよねぇ? でも桃花とは何故か一度も同じクラスになれないんだよなぁ……」
「まぁ、私が姉妹と同じクラスには絶対にならないからねぇ。だから私と同じクラスになれば無条件で桃花は違うクラスになるんだから仕方が無いわ。ん? 加奈子のバック……前からそんなペンギンのぬいぐるみ付けていたっけ?」
「ううん、付けていなかったよ。高校生になってから付けてみたの。このぬいぐるみは私の宝物で、ずっと部屋に飾っていたんだけど、やっぱり肌身離さず付けておこうかなっと思って……」
「あっ、もしかして、そのぬいぐるみって……鎌田さんに貰ったんじゃない?」
「え? そ、そうだけど……よく分かったわね沙耶香?」
「そりゃあ、加奈子の顔を見ていたら分かるわよ。ぬいぐるみを見ている表情が鎌田さんを見ている時と同じ表情だし……それにしても加奈子は凄いよねぇ?」
「え? 私のどこが凄いのよ? 私の表情で気付く沙耶香の方が凄いと思うんだけど……」
「加奈子の方がずっと凄いというか偉いと思う……だって、1日も欠かさずに鎌田さんのお見舞いに行っていたんでしょ? それも加奈子の記憶を無くした鎌田さんに……」
「だってそれは……それよりも沙耶香は何でりょう君のお見舞いに1度しか来てくれなかったの? りょう君の記憶に沙耶香が残っていないから?」
「うーん、少し違うかなぁ……鎌田さんは私の憧れの人だから……」
「憧れの人だったら何度も顔を出して……そうすれば沙耶香の事を思い出す可能性だってあったんだし……」
「それはあり得ないわよ。未だに加奈子のことも思い出せないのにさぁ……あなた達、羨ましくなるくらいに仲良しだったのに……」
「う……うん……そうだね……沙耶香の気持ちも分からずに変な事を言ってしまつたわね? ゴメン、沙耶香……」
「ゴメンゴメン!! 違うのよ。加奈子が謝る事は無いのよ。私がお見舞いに行かなかったのはそういうことじゃ無くて……私は中学生の時に演劇をしていた鎌田さんに憧れていたでしょ? でも鎌田さん自身がその演劇部での活躍を全然覚えていない事に私はとてもショックだったの……それで何をお話すれば良いのか分からなくなって……鎌田さんも困った表情をしていたしさ。それでそんな鎌田さんの顔を見るのが辛くてお見舞いに行き辛くなったというのが本音かな……」
「そ、そうだったんだね……」
沙耶香は沙耶香で色々と思うところがあったんだなぁ……まぁ、私もりょう君の記憶から消えていたのは凄くショックだったけど、毎日お見舞いに行っているうちに少しずつ今のりょう君とも打ち解けてきたから辛いっていう感覚は無くなっているかもしれない。
どちらかといえば今のりょう君と精一杯向き合い、心から尽くしてもう一度、りょう君に告白してもらえるような女性になるって心に誓ったから……
それにあの日……
病室で田中千夏さんが耳元で私にささやいた言葉……
「加奈子ちゃん、亮君のことをお願い。亮君と幸せになってね?」
千夏さん、りょう君の事は私に任せてください。たとえ、りょう君の記憶が戻らかったとしても私は一生彼の事を愛し続け、そして絶対に二人で幸せになってみせますから。
私は心の中でそう思いながら幼稚園児の頃に『りょう君』と名付けたペンギンのぬいぐるみを優しく撫でるのだった。
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