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最終章 永遠の愛編
第87話 二人のお願い事/亮二・加奈子
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12月24日のクリスマスイブは俺から誘って加奈子ちゃんと近くのレストランででディナーを楽しんだ。そしてディナーの後は平田姉妹や数名のボランティア部の子達と合流して一緒にカラオケに行く事に。
俺は内心、イブは加奈子ちゃんと二人だけで過ごしたかったという思いも無い訳ではなかったが、前から加奈子ちゃんはボランティア部の仲間達とイブの夜にカラオケに行くと約束をしていたらしく元から俺は彼女達の保護者的な感じで参加する事になっていたらしい。
でも何故かそこには顧問の立花先生まで同行する事に……
「誰よ、今夜の事を立花先生に漏らしたのは?」
「だって仕方ないじゃない。立花先生が執拗にあなた達はイブの夜は何か予定があるのかしらって聞いてくるから……」
「何、犯人は桃花だったの!?」
沙耶香ちゃんが少し不満そうな感じで言っていたのが聞こえたけど俺は苦笑いするしかなかった。その横で加奈子ちゃんはクスクスと笑っている。
カラオケボックス内で加奈子ちゃんが俺の右隣に座って可愛らしい声で歌っているのを俺は聞き惚れていた。すると左隣に座っている立花先生が俺の耳元で話しかけてきた。
「鎌田君、来年のジャンプスター開業記念セレモニーにこの子達、ボランティアスタッフに任命してくれてありがとね?」
「え? いや、俺は何もしていませんよ。うちの社長の提案が運営側にも学校側にも通っただけですから。逆に学校側が承諾してくれたのは立花先生達の後押しがあったからじゃないですか?」
「いえいえ、私みたいな新米教師の意見なんて通らないわ。まぁ、五十鈴社長の学生時代を知っている数名の先生方がご尽力されたのは間違いないと思うけど……」
「でも良かったです。加奈子ちゃん達、ボランティア部だけではなく、その日は学校自体を休みにして全生徒さん達が参加できるようになったんですから……ほんと、凄い事ですよねぇ? 当日が来るのが楽しみ過ぎて待ち遠しいですよ」
「フフフ……そうね。私も待ち遠しいわ。それに当日は女優の岸本順子さんや五十鈴広美さんも出席されるって聞いているし……特に岸本さんは私の叔母さんの演劇部時代の後輩だから、とても感慨深いわ」
「えっ、そうなんですか!?」
「あれ? 前にその話はした事が……あっ、ゴメンなさい。その話は別の人に話したんだわ……」
立花先生はそういうと少し暗い表情をするのだった。
トントン
「え?」
俺の肩をトントンと叩いたのは加奈子ちゃんで少し怒った表情をしている。そして「りょう君、ちゃんと私の歌を聞いてくれていたのぉ?」と聞いてきたので俺は慌てて「き、聞いていたよ。凄く上手くて聞き惚れていたくらいだよ!!」と変な汗が出て来たのでハンカチで汗を拭き取りながら答えた。
「それじゃぁ今度は私とデュエットしてちょうだいね?」
「えーっ!? 加奈子ちゃんとデュエットだって!? で、でも俺って昔から音痴で有名でさ、加奈子ちゃんの足を引っ張っちゃうよ?」
「大丈夫よ。私がフォローするから、ね? 一緒に歌いましょう?」
「わ、分かった……でも俺、最近の曲ってあまり知らないから出来れば少し前のアニソンでお願いしたいんだけど……」
「フフフ……オッケー、それじゃ何のアニソンを歌おうかしら~」
満面笑顔の加奈子ちゃんとは逆におそらく俺は顔面蒼白だろう。そんな俺は更に変な汗が大量に出てきたので再度、湿ったハンカチで額を拭うのだった。
――――――――――――――――――――――――
年が明けた平成25年1月1日元旦……
私とりょう君は二人の家の中間くらいの位置にある青葉神社へ初詣に来ている。
りょう君は普段着だけど、今年の私は振り袖姿だ。先月の誕生日に両親が奮発して買ってくれた色鮮やかな振り袖……私は凄く気に入っている。
そんな振り袖姿の私をりょう君はジーッと見つめるので恥ずかしくなってしまい「そんなにジーッと見られたらとても恥ずかしいわ」と言うと「ご、ゴメン。あまりにも加奈子ちゃんの振り袖姿が素敵過ぎて見とれてしまったよ」と、とても嬉しい言葉を言ってくれた。
チャリン
ジャランジャランジャラン
パンパン
私達は並んで手を合わす。二人共、結構長い時間手を合わせていた。
そして参拝を終えると私はりょう君に何をお願いしたのと聞いてみた。
「え? 俺のお願い事かい? うーん、そうだねぇ……俺はお願い事よりもお礼の方が多かったかな」
「お礼?」
「うん、こうして元気に生きさせてくれて有難うございます。こうして加奈子ちゃんと初詣に参拝させていただき有難うございますってね。でも最後に一つだけ、どうか、これからも加奈子ちゃんとこうして一緒にいられますようにって……」
「りょう君……」
「それで加奈子ちゃんは何をお願いしたんだい?」
「え、私?」
「俺は教えたんだから加奈子ちゃんも教えてくれないとぉ。それとも俺に言えない様なお願い事でもしたのかい?」
「そ、そんな……りょう君に言えない様なお願いなんてないわ」
「ハハハ、冗談だよ、冗談。それで加奈子ちゃんは何をお願いしたんだい?」
「わ、私もりょう君と同じでこれからもりょう君と一緒にいられますようにだよ」
「えーっ? 俺と同じくらい長い時間、手を合わせていたのに本当にそれだけなのかい?」
「そ、そうだよ。う、嘘なんて言わないよ。同じことを何度も繰り返してお願いしたの」
「ハハハ、そうなんだ。そういうところの加奈子ちゃんってとても可愛らしいよ」
「ああ、今バカにされた様な気がしたんだけどぉ?」
「そ、そんなバカになんてしてないよ。俺は思った事を正直に言っただけだから……」
「 「ハハハハ……」 」
私達は顔を見合わせながら笑い合った。
「そうだ。おみくじを引かないかい?」
「でも、凶なんかを引いちゃうと凹んでしまいそうだし……」
「大丈夫、大丈夫。ものは考えようだよ。もし凶が出ればこれ以上落ちることは無くて上がる一方だって思う様にすればいいんだからさ」
「へぇ、それじゃぁ大吉が出たらどうするの?」
「え? その場合は素直に喜べばいいんだよ」
「えーっ、何それぇ?」
「ハハハハ……」
「りょう君ってポジティブなんだね?」
「元々はそんな性格では無かったと思うよ。こういう考えになれたのは加奈子ちゃんのお陰だよ。ほんと、ありがとね?」
「え? 私は何も……」
「加奈子ちゃんに出会えたから……そして記憶を失った俺を見捨てる事無くいつも近くにいてくれたからさ……」
「りょう君……」
私はりょう君に一つだけ嘘を言っている。
本当は他にもお願い事をしたんだよ。
私、決めたんだ……
4月30日、りょう君の誕生日の日に行われるジャンプスターのセレモニーで何とかりょう君と二人で……一番最後でいいから二人だけで乗らせてもらって……
そしてゴンドラが一番上になった時、私はりょう君に告白するって決めたの。
私は記憶を失う前のりょう君も大好きだけど今のりょう君も同じくらいに大好き……この気持ちはどんどん膨らみ苦しいくらい。
だから私はどうしてもこの苦しみから解放したいし、りょう君に私の想いを聞いてもらいたい。
どんな結果になるかは分からないし、このまま友達としていようって言われるかもしれない。でも、もしそう言われても私はいい。だって私が諦めなければいいだけだし、これからだってまだチャンスはある。
でも、一度ハッキリとりょう君に私の想いを伝えたい。だから神様お願いします。
どうか、りょう君に私の想いを上手く伝える事ができますように……
俺は内心、イブは加奈子ちゃんと二人だけで過ごしたかったという思いも無い訳ではなかったが、前から加奈子ちゃんはボランティア部の仲間達とイブの夜にカラオケに行くと約束をしていたらしく元から俺は彼女達の保護者的な感じで参加する事になっていたらしい。
でも何故かそこには顧問の立花先生まで同行する事に……
「誰よ、今夜の事を立花先生に漏らしたのは?」
「だって仕方ないじゃない。立花先生が執拗にあなた達はイブの夜は何か予定があるのかしらって聞いてくるから……」
「何、犯人は桃花だったの!?」
沙耶香ちゃんが少し不満そうな感じで言っていたのが聞こえたけど俺は苦笑いするしかなかった。その横で加奈子ちゃんはクスクスと笑っている。
カラオケボックス内で加奈子ちゃんが俺の右隣に座って可愛らしい声で歌っているのを俺は聞き惚れていた。すると左隣に座っている立花先生が俺の耳元で話しかけてきた。
「鎌田君、来年のジャンプスター開業記念セレモニーにこの子達、ボランティアスタッフに任命してくれてありがとね?」
「え? いや、俺は何もしていませんよ。うちの社長の提案が運営側にも学校側にも通っただけですから。逆に学校側が承諾してくれたのは立花先生達の後押しがあったからじゃないですか?」
「いえいえ、私みたいな新米教師の意見なんて通らないわ。まぁ、五十鈴社長の学生時代を知っている数名の先生方がご尽力されたのは間違いないと思うけど……」
「でも良かったです。加奈子ちゃん達、ボランティア部だけではなく、その日は学校自体を休みにして全生徒さん達が参加できるようになったんですから……ほんと、凄い事ですよねぇ? 当日が来るのが楽しみ過ぎて待ち遠しいですよ」
「フフフ……そうね。私も待ち遠しいわ。それに当日は女優の岸本順子さんや五十鈴広美さんも出席されるって聞いているし……特に岸本さんは私の叔母さんの演劇部時代の後輩だから、とても感慨深いわ」
「えっ、そうなんですか!?」
「あれ? 前にその話はした事が……あっ、ゴメンなさい。その話は別の人に話したんだわ……」
立花先生はそういうと少し暗い表情をするのだった。
トントン
「え?」
俺の肩をトントンと叩いたのは加奈子ちゃんで少し怒った表情をしている。そして「りょう君、ちゃんと私の歌を聞いてくれていたのぉ?」と聞いてきたので俺は慌てて「き、聞いていたよ。凄く上手くて聞き惚れていたくらいだよ!!」と変な汗が出て来たのでハンカチで汗を拭き取りながら答えた。
「それじゃぁ今度は私とデュエットしてちょうだいね?」
「えーっ!? 加奈子ちゃんとデュエットだって!? で、でも俺って昔から音痴で有名でさ、加奈子ちゃんの足を引っ張っちゃうよ?」
「大丈夫よ。私がフォローするから、ね? 一緒に歌いましょう?」
「わ、分かった……でも俺、最近の曲ってあまり知らないから出来れば少し前のアニソンでお願いしたいんだけど……」
「フフフ……オッケー、それじゃ何のアニソンを歌おうかしら~」
満面笑顔の加奈子ちゃんとは逆におそらく俺は顔面蒼白だろう。そんな俺は更に変な汗が大量に出てきたので再度、湿ったハンカチで額を拭うのだった。
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年が明けた平成25年1月1日元旦……
私とりょう君は二人の家の中間くらいの位置にある青葉神社へ初詣に来ている。
りょう君は普段着だけど、今年の私は振り袖姿だ。先月の誕生日に両親が奮発して買ってくれた色鮮やかな振り袖……私は凄く気に入っている。
そんな振り袖姿の私をりょう君はジーッと見つめるので恥ずかしくなってしまい「そんなにジーッと見られたらとても恥ずかしいわ」と言うと「ご、ゴメン。あまりにも加奈子ちゃんの振り袖姿が素敵過ぎて見とれてしまったよ」と、とても嬉しい言葉を言ってくれた。
チャリン
ジャランジャランジャラン
パンパン
私達は並んで手を合わす。二人共、結構長い時間手を合わせていた。
そして参拝を終えると私はりょう君に何をお願いしたのと聞いてみた。
「え? 俺のお願い事かい? うーん、そうだねぇ……俺はお願い事よりもお礼の方が多かったかな」
「お礼?」
「うん、こうして元気に生きさせてくれて有難うございます。こうして加奈子ちゃんと初詣に参拝させていただき有難うございますってね。でも最後に一つだけ、どうか、これからも加奈子ちゃんとこうして一緒にいられますようにって……」
「りょう君……」
「それで加奈子ちゃんは何をお願いしたんだい?」
「え、私?」
「俺は教えたんだから加奈子ちゃんも教えてくれないとぉ。それとも俺に言えない様なお願い事でもしたのかい?」
「そ、そんな……りょう君に言えない様なお願いなんてないわ」
「ハハハ、冗談だよ、冗談。それで加奈子ちゃんは何をお願いしたんだい?」
「わ、私もりょう君と同じでこれからもりょう君と一緒にいられますようにだよ」
「えーっ? 俺と同じくらい長い時間、手を合わせていたのに本当にそれだけなのかい?」
「そ、そうだよ。う、嘘なんて言わないよ。同じことを何度も繰り返してお願いしたの」
「ハハハ、そうなんだ。そういうところの加奈子ちゃんってとても可愛らしいよ」
「ああ、今バカにされた様な気がしたんだけどぉ?」
「そ、そんなバカになんてしてないよ。俺は思った事を正直に言っただけだから……」
「 「ハハハハ……」 」
私達は顔を見合わせながら笑い合った。
「そうだ。おみくじを引かないかい?」
「でも、凶なんかを引いちゃうと凹んでしまいそうだし……」
「大丈夫、大丈夫。ものは考えようだよ。もし凶が出ればこれ以上落ちることは無くて上がる一方だって思う様にすればいいんだからさ」
「へぇ、それじゃぁ大吉が出たらどうするの?」
「え? その場合は素直に喜べばいいんだよ」
「えーっ、何それぇ?」
「ハハハハ……」
「りょう君ってポジティブなんだね?」
「元々はそんな性格では無かったと思うよ。こういう考えになれたのは加奈子ちゃんのお陰だよ。ほんと、ありがとね?」
「え? 私は何も……」
「加奈子ちゃんに出会えたから……そして記憶を失った俺を見捨てる事無くいつも近くにいてくれたからさ……」
「りょう君……」
私はりょう君に一つだけ嘘を言っている。
本当は他にもお願い事をしたんだよ。
私、決めたんだ……
4月30日、りょう君の誕生日の日に行われるジャンプスターのセレモニーで何とかりょう君と二人で……一番最後でいいから二人だけで乗らせてもらって……
そしてゴンドラが一番上になった時、私はりょう君に告白するって決めたの。
私は記憶を失う前のりょう君も大好きだけど今のりょう君も同じくらいに大好き……この気持ちはどんどん膨らみ苦しいくらい。
だから私はどうしてもこの苦しみから解放したいし、りょう君に私の想いを聞いてもらいたい。
どんな結果になるかは分からないし、このまま友達としていようって言われるかもしれない。でも、もしそう言われても私はいい。だって私が諦めなければいいだけだし、これからだってまだチャンスはある。
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