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最終章 永遠の愛編
第91話 永遠の誓い/亮二
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「俺がいるんだから大丈夫さ、カナちゃん……」
「カナちゃん……りょう君にそう呼ばれるのって凄く久しぶりというか……はっ!? りょ、りょう君もしかして……もしかして記憶が……」
「あ、ああ……全部、全部……カナちゃんとの出会いから事故までの記憶を全部思い出したよ……うっ……」
遂に俺は思い出した。消えていた数年間の全ての記憶を思い出したのだ。
凄い勢いで雷の音が鳴り響きカナちゃんが俺に抱きついた瞬間、どれくらいの時間だろうか、恐らく実際は数秒だろうけど俺の身体が何か違う世界へ飛んだ感じがした。
そして俺の前に以前見た事のある人の形をした光……その光から一度だけ聞いた事のある声がした。そう、亮一兄さんの声だ。
「亮二、よく頑張ったね? それにあの子も……これで二人の試練は無事に終わったよ。もう大丈夫。全て終わったんだ。この世界で起きた反動は君達二人のお陰で全ておさまったよ。本当によく頑張ったね……これからは二人で力を合わせて幸せに……なって……」
亮一兄さんの声が少しずつ小さくなると共に失っていた記憶が俺の頭の中に少しずつ戻ってきて、そして完全に兄さんの声が聞こえなくなり「亮一兄さん!!」と心の中で叫んだと同時に我に返り俺の身体がカナちゃんの前に戻った感じがした。
俺の記憶が戻った事に驚きと不安が入り交ざっている表情をしているカナちゃん。きっとまだ本当に俺の記憶が戻ったのか心配なのだろう。だからそんなカナちゃんを安心させる為にこう言った。
「カナちゃんが幼稚園児で俺が中1の時にエキサイトランドであげたペンギンのぬいぐるみを今までずっと大事に持っていてくれていたんだね? ありがとうね、カナちゃん」
「あっ!! あっ!!」
今の言葉でカナちゃんは俺が記憶を取り戻した事を確信したのだろう。目に涙を浮かべながら、何か言いたいようだけど言葉にならないみたいだ。
だからそんなカナちゃんを俺は強く抱きしめる。そして……
「カナちゃん、長い時間、辛い思いをさせてゴメンね……」
「ううん、そんなことない……」
俺は優しくカナちゃんの頭を撫でながら……
「こんな俺を見捨てずにいてくれてありがとね……」
「見捨てるわけない。私の記憶を失ったりょう君も前と変わらずとても優しい人だったし……だから見捨てるどころか、ますますりょう君のことが大好きになっていったし……」
そっかぁ……そうなんだ。カナちゃんは本当に俺の事を……記憶を失ってしまった俺の事をずっと好きでいてくれたんだ。なんて俺は幸せ者なんだ。それなのに俺は一番大事な時にネガティブな事ばかり考えてしまって……
「こんなネガティブな俺の事をずっと好きでいてくれてありがとう……」
「りょう君のどこがネガティブなの? 私の方がネガティブだよ。だから今までりょう君がポジティブな性格のお陰でどれだけ私が救われたことか……」
そうなんだ。俺はこんなしっかり者で健気で優しくて、いつも俺の事を心から慕ってくれるカナちゃんの事が気になりだし、意識しだしていつの間にか大好きになったんだっだ。
だから俺の中にあった歳の差の不安なんて消えてしまい、俺の心はカナちゃんでいっぱいになった。
俺はカナちゃんを更に強く抱きしめる。
「カナちゃん、苦しくない?」
「うん、大丈夫。こんなに強く抱きしめられたのは何年ぶりかなぁ……私、凄い幸せだよ」
「俺もだよ……俺も凄く幸せさ……あっ?」
「え? どうしたの、りょう君?」
俺は何気に外を見ると窓越しに広美と岸本さんが満面の笑顔で手を振っている。
「外に広美と岸本さんがいるんだ。ということは……」
「もしかして私達、二週目に入ったってこと?」
「ハハハ……そうみたいだね。これも広美の演出かも……ほんとあいつは……」
俺達に手を振っている広美の口元を見るとなんとなく「頑張って」と言っている様に思えた。はぁ、広美のお節介女め……でも、ありがとう……
数十秒、俺達の間に沈黙が流れる。でもこの沈黙は居心地が悪い訳では無く、逆にカナちゃんの温もりが俺に伝わってきてとても癒される。
でもいつまでもこのままって訳にはいかない。
俺はカナちゃんに伝えなければいけないんだ。
ただ、伝える内容に変更はあるけど……
「カ、カナちゃん?」
「なぁに、りょう君?」
「さっきカナちゃんからも俺に大事な話があるって言っていたけどさ」
「あっ、そうだった!! 私、すっかり言い忘れていたわ」
「いや、悪いんだけど先に俺からカナちゃんに大事な話をさせてもらえないかな?」
「え? う、うん……いいよ。りょう君からお話して」
カナちゃんは顔を上げながらそう言ってくれたが表情が少し硬くなった気がする。多分、俺が何を言うのか不安なのだろう。
「実はさ、今日はカナちゃんに俺の想いを伝えたかったんだ」
「想い……?」
「うん。それでその想いっていうのは俺がカナちゃんと会っているうちにどんどん惹かれてしまい、カナちゃんを一人の女性として見る様になってしまっていて……そして日に日に歳の差があるのも忘れるくらいに恋愛感情が芽生えてしまって……だからもしカナちゃんさえ良ければ俺と付き合ってほしいって伝えようと思っていたんだ」
「りょ、りょう君……」
「でも、それは撤回する」
「えっ!?」
「記憶を取り戻した俺にそんな回りくどい伝え方はもう必要ない……だってそうだろ? もうとっくの昔に俺はカナちゃんに想いを伝えているし、約束している。だから今日は約束を果たさせてもらう」
「りょう君……グスン」
俺は小さく深呼吸をする。そして……
「カナちゃん、絶対に幸せにするから……もうカナちゃんの事を忘れたりなんてしないから、カナちゃんを一生愛し続けるから……だからカナちゃんが高校を卒業したら俺と結婚してください!!」
カナちゃんは俺のプロポーズの言葉を聞き、大粒の涙を流している。そして笑顔で……
「グスン……はい、こんな私ですがよろしくお願いします」
「ふわぁ、良かったぁ……」
俺はホッとした。そしてカナちゃんの顔に近付き涙を拭ってあげる。そしてそのままの勢いで俺からキスをしようとしたが、カナちゃんの方から勢いよくキスをしてきたので俺は驚き身体が後ろに倒れそうになったが、壁と後頭部のお陰で痛みだけで済んだ。
「イテテテテ……まさかカナちゃんからキスをしてくるとは思っていなかったから驚いたよ。今の痛みでまたしても記憶が無くなるかと思ったよ」
「だ、だって私……今までずーっと、ずーっと、りょう君とキスがしたくてしたくて……この気持ちを抑えるのに大変だったから……だから思わず私の方から……でもゴメンね? 後頭部大丈夫? またいくつか記憶が無くなったりとか……」
「ハハハ、それは大丈夫さ。さっきカナちゃんの事を一生忘れないって宣言したばかりだしさ」
ゴンドラが2回目の頂上付近に来たみたいだ。あれだけ激しい雷が鳴っていたとは思えないくらいに空は晴れ渡り青葉市の街並みが綺麗に見える、最高のシチュエーション……まるで俺達を祝福してくれているようだ。
よし、今度こそ俺から……
俺はカナちゃんを真っすぐに見つめ、両肩に手をやり、そして顔を近づける。
俺の動きを見てカナちゃんは静かに目を閉じる。
お互いの唇と唇が重なり、カナちゃんの両腕が俺の首を包み込む感じになっている。二人の唇は時には優しく、時には激しく重なり合い、俺達は数年分の愛を込めたキスをした。
そしてお互いの唇が離れカナちゃんがトロンとした表情をしながら俺の耳元で呟く。
「りょう君……前にも言ったけど私は16歳で結婚してもいいんだよ」
「えっ!? い、いや、俺も前に言ったけどカナちゃんが18歳になってからだよ」
「もう、それは曲げないんだねぇ?」
「も、勿論さ。男に二言はないのさ」
「よーし、それじゃこれから、りょう君の気が変わる様に頑張っちゃおうかな~」
「えっ、な、何を頑張るんだい?」
「フフフ……それは秘密だよぉ」
カナちゃん、俺は今すぐにでも君と結婚したいのを思いっきり我慢しているだけなんだぞ。何を頑張るのか気になるけど、俺が根負けしてしまいそうで不安だよ。
それくらいカナちゃんは世界で一番魅力的な女性なんだから。
愛してるよ、カナちゃん……
俺は君を一生守り、一生愛し続ける……
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
遂に結ばれた二人
永遠の愛を誓い合った二人
これから亮二と加奈子にはどんな運命が待っているのか?
次回、完結(エピローグ)となります。
どうぞ宜しくお願い致します。
「カナちゃん……りょう君にそう呼ばれるのって凄く久しぶりというか……はっ!? りょ、りょう君もしかして……もしかして記憶が……」
「あ、ああ……全部、全部……カナちゃんとの出会いから事故までの記憶を全部思い出したよ……うっ……」
遂に俺は思い出した。消えていた数年間の全ての記憶を思い出したのだ。
凄い勢いで雷の音が鳴り響きカナちゃんが俺に抱きついた瞬間、どれくらいの時間だろうか、恐らく実際は数秒だろうけど俺の身体が何か違う世界へ飛んだ感じがした。
そして俺の前に以前見た事のある人の形をした光……その光から一度だけ聞いた事のある声がした。そう、亮一兄さんの声だ。
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亮一兄さんの声が少しずつ小さくなると共に失っていた記憶が俺の頭の中に少しずつ戻ってきて、そして完全に兄さんの声が聞こえなくなり「亮一兄さん!!」と心の中で叫んだと同時に我に返り俺の身体がカナちゃんの前に戻った感じがした。
俺の記憶が戻った事に驚きと不安が入り交ざっている表情をしているカナちゃん。きっとまだ本当に俺の記憶が戻ったのか心配なのだろう。だからそんなカナちゃんを安心させる為にこう言った。
「カナちゃんが幼稚園児で俺が中1の時にエキサイトランドであげたペンギンのぬいぐるみを今までずっと大事に持っていてくれていたんだね? ありがとうね、カナちゃん」
「あっ!! あっ!!」
今の言葉でカナちゃんは俺が記憶を取り戻した事を確信したのだろう。目に涙を浮かべながら、何か言いたいようだけど言葉にならないみたいだ。
だからそんなカナちゃんを俺は強く抱きしめる。そして……
「カナちゃん、長い時間、辛い思いをさせてゴメンね……」
「ううん、そんなことない……」
俺は優しくカナちゃんの頭を撫でながら……
「こんな俺を見捨てずにいてくれてありがとね……」
「見捨てるわけない。私の記憶を失ったりょう君も前と変わらずとても優しい人だったし……だから見捨てるどころか、ますますりょう君のことが大好きになっていったし……」
そっかぁ……そうなんだ。カナちゃんは本当に俺の事を……記憶を失ってしまった俺の事をずっと好きでいてくれたんだ。なんて俺は幸せ者なんだ。それなのに俺は一番大事な時にネガティブな事ばかり考えてしまって……
「こんなネガティブな俺の事をずっと好きでいてくれてありがとう……」
「りょう君のどこがネガティブなの? 私の方がネガティブだよ。だから今までりょう君がポジティブな性格のお陰でどれだけ私が救われたことか……」
そうなんだ。俺はこんなしっかり者で健気で優しくて、いつも俺の事を心から慕ってくれるカナちゃんの事が気になりだし、意識しだしていつの間にか大好きになったんだっだ。
だから俺の中にあった歳の差の不安なんて消えてしまい、俺の心はカナちゃんでいっぱいになった。
俺はカナちゃんを更に強く抱きしめる。
「カナちゃん、苦しくない?」
「うん、大丈夫。こんなに強く抱きしめられたのは何年ぶりかなぁ……私、凄い幸せだよ」
「俺もだよ……俺も凄く幸せさ……あっ?」
「え? どうしたの、りょう君?」
俺は何気に外を見ると窓越しに広美と岸本さんが満面の笑顔で手を振っている。
「外に広美と岸本さんがいるんだ。ということは……」
「もしかして私達、二週目に入ったってこと?」
「ハハハ……そうみたいだね。これも広美の演出かも……ほんとあいつは……」
俺達に手を振っている広美の口元を見るとなんとなく「頑張って」と言っている様に思えた。はぁ、広美のお節介女め……でも、ありがとう……
数十秒、俺達の間に沈黙が流れる。でもこの沈黙は居心地が悪い訳では無く、逆にカナちゃんの温もりが俺に伝わってきてとても癒される。
でもいつまでもこのままって訳にはいかない。
俺はカナちゃんに伝えなければいけないんだ。
ただ、伝える内容に変更はあるけど……
「カ、カナちゃん?」
「なぁに、りょう君?」
「さっきカナちゃんからも俺に大事な話があるって言っていたけどさ」
「あっ、そうだった!! 私、すっかり言い忘れていたわ」
「いや、悪いんだけど先に俺からカナちゃんに大事な話をさせてもらえないかな?」
「え? う、うん……いいよ。りょう君からお話して」
カナちゃんは顔を上げながらそう言ってくれたが表情が少し硬くなった気がする。多分、俺が何を言うのか不安なのだろう。
「実はさ、今日はカナちゃんに俺の想いを伝えたかったんだ」
「想い……?」
「うん。それでその想いっていうのは俺がカナちゃんと会っているうちにどんどん惹かれてしまい、カナちゃんを一人の女性として見る様になってしまっていて……そして日に日に歳の差があるのも忘れるくらいに恋愛感情が芽生えてしまって……だからもしカナちゃんさえ良ければ俺と付き合ってほしいって伝えようと思っていたんだ」
「りょ、りょう君……」
「でも、それは撤回する」
「えっ!?」
「記憶を取り戻した俺にそんな回りくどい伝え方はもう必要ない……だってそうだろ? もうとっくの昔に俺はカナちゃんに想いを伝えているし、約束している。だから今日は約束を果たさせてもらう」
「りょう君……グスン」
俺は小さく深呼吸をする。そして……
「カナちゃん、絶対に幸せにするから……もうカナちゃんの事を忘れたりなんてしないから、カナちゃんを一生愛し続けるから……だからカナちゃんが高校を卒業したら俺と結婚してください!!」
カナちゃんは俺のプロポーズの言葉を聞き、大粒の涙を流している。そして笑顔で……
「グスン……はい、こんな私ですがよろしくお願いします」
「ふわぁ、良かったぁ……」
俺はホッとした。そしてカナちゃんの顔に近付き涙を拭ってあげる。そしてそのままの勢いで俺からキスをしようとしたが、カナちゃんの方から勢いよくキスをしてきたので俺は驚き身体が後ろに倒れそうになったが、壁と後頭部のお陰で痛みだけで済んだ。
「イテテテテ……まさかカナちゃんからキスをしてくるとは思っていなかったから驚いたよ。今の痛みでまたしても記憶が無くなるかと思ったよ」
「だ、だって私……今までずーっと、ずーっと、りょう君とキスがしたくてしたくて……この気持ちを抑えるのに大変だったから……だから思わず私の方から……でもゴメンね? 後頭部大丈夫? またいくつか記憶が無くなったりとか……」
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俺はカナちゃんを真っすぐに見つめ、両肩に手をやり、そして顔を近づける。
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お互いの唇と唇が重なり、カナちゃんの両腕が俺の首を包み込む感じになっている。二人の唇は時には優しく、時には激しく重なり合い、俺達は数年分の愛を込めたキスをした。
そしてお互いの唇が離れカナちゃんがトロンとした表情をしながら俺の耳元で呟く。
「りょう君……前にも言ったけど私は16歳で結婚してもいいんだよ」
「えっ!? い、いや、俺も前に言ったけどカナちゃんが18歳になってからだよ」
「もう、それは曲げないんだねぇ?」
「も、勿論さ。男に二言はないのさ」
「よーし、それじゃこれから、りょう君の気が変わる様に頑張っちゃおうかな~」
「えっ、な、何を頑張るんだい?」
「フフフ……それは秘密だよぉ」
カナちゃん、俺は今すぐにでも君と結婚したいのを思いっきり我慢しているだけなんだぞ。何を頑張るのか気になるけど、俺が根負けしてしまいそうで不安だよ。
それくらいカナちゃんは世界で一番魅力的な女性なんだから。
愛してるよ、カナちゃん……
俺は君を一生守り、一生愛し続ける……
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
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