初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺

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第12章 想いを伝える為に編

第70話 初恋の人は俺にとって女神のような人だ

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 次の日の昼休み

 俺は村瀬と一緒に弁当を食べていた。

 すると慌てて教室に入って来る女子三人組の姿が!?

「 「 「いっ、五十鈴君!!」 」 」

 グホッ!!

 三人同時に俺の名前を叫んだので俺は驚いてオカズを喉に詰まらせてしまった。

 ゴホッ ゴホッ ゴホッ

「オイ隆、だっ、大丈夫かい!? 早くお茶を飲んだ方がいいよ!!」

 心配した村瀬がそう言うと何故か稲田が俺の水筒をサッと取り、水筒の蓋にお茶を入れて俺に手渡す。

 俺はそれを受け取り一気にお茶を飲んだ。

 ゴクッゴクッ……

「プハァァ!! 死ぬかと思ったよ……」

「『プハァァ』だなんて、うちのお父さんみたいな飲み方ね? フフ……」

 悪かったな。俺は稲田の親父さんよりも年上なんだよ……

「と、ところで三人共どうしたんだよ? 俺に何か用があるのかい?」

「あるに決まってるじゃない!! 昨日、五十鈴君、塾サボったでしょ!? 私達、浩美のことを聞きたかったのに!! もしかしてずっと浩美の家にいたの!?」

 岸本がえらい剣幕で俺に言ってきた。

 昨日、俺はあれから家に帰り布団の上に転がっていたのだが、疲れもあり眠ってしまった。その姿を見た母さんが気を遣ってくれて塾に欠席の連絡をしてくれたんだ。

 俺が塾を休んだのは初めての事である。
 
 まぁ、それだけ石田の病気の事を知った俺はショックを受け、また色々な思いが駆け巡り一気に疲れてしまったのだろう。

「で、どうだったの、浩美は? 今日も学校休んでるし……」

 川田がとても不安そうな顔をしながら聞いてくる。

 俺は悩んだ。
 
 今、彼女達に石田の病気の事を話してもいいのだろうかと……
 石田が直接言うべきなのではないか?
 
 逆に言えば病気の事を俺にしか言っていないということは……
 まだ他の友人達には知られたくないって事なんだろうか?

 俺は悩んだ末、こう答えた。

「ああ、石田は病気は病気なんだけどさ……まぁ、治る病気ではあるんだけど、完治するには時間がかかるそうなんだ。だから治療費もバカにならないらしくて、少しでもお金を浮かす為に仕方なく塾を辞めたそうだよ……」

 なかなか苦しい『嘘』だが、それでも彼女達には通じる『嘘』だろう。
 それに『治療費』の問題で塾を辞めたのは本当の事だしな……

「 「 「へぇーっ、そうなんだぁぁ……浩美、可哀想……」 」 」

 ふぅぅ……期待通り、何とか誤魔化せたぞ。

 彼女達はとりあえず納得してくれたみたいで自分達の教室に戻ろうとしていたが、稲田だけが俺の傍に来て耳元でこう囁いた。

「五十鈴君って『嘘』が下手だね……」

「えっ!?」

「それじゃ、また今夜、塾でねぇ」

 稲田は俺にニコッと微笑み先に教室に戻った岸本、川田を追いかける為に小走りで教室を出て行くのだった。

 ほんと、『この世界の』女子達は勘が鋭いというか、何というか……
 日頃、『ポワーン』としている稲田なんかに見抜かれるとは……
 
 もしかしたら俺が『大人』だから余計に彼女達の動きや発言に敏感になっているのか?

 それとも稲田の言う通り、本当に俺は『嘘』が下手なのか?
 もしそれが本当なら俺はやはり『元演劇部』失格だな……


 この日、俺はちゃんと部活も頑張り、そして塾にも行った。
 しかし塾では意外と稲田達は石田の事は触れずにその日の塾は終わるのであった。


 そして俺は家に帰ると直ぐに『つねちゃん』に電話をした。
 石田の事を話す為だ。

 さすがに俺一人だけが石田の病気の事を知っているというのが苦しくて、『つねちゃん』には申し訳ないのだが、何となく『つねちゃん』には知っていて欲しい……出来れば一緒に悩んで欲しいといった『わがまま』というか、『甘え』みたいな俺がいたのだ。

 実年齢五十八歳の還暦に近い俺が三十二歳の『つねちゃん』に甘えるというのもおかしな話かもしれないが、今の俺には……『つねちゃん』に対しては特にそんなプライドなどとっくの昔に捨てている。


「えっ!? 浩美ちゃん、白血病なの……!?」

「う、うん……そうなんだ……」

「それで、その事を知っている同級生はおそらく俺だけなんだよ。だから……」

 俺は言葉に詰まってしまう。

「隆君、分かったわ。先生に教えてくれてありがとね。隆君だけがそんな辛い思いをする必要は無いわ。これから一緒に考えよ。ねっ? それに浩美ちゃんも私の『元教え子』だからとても心配だし、もっと辛い状況になる前に知る事が出来て本当に良かったわ……本当に有難う……」

 この人は何て凄い人なんだろう……
 
 俺が途中までしか話をしていないのに俺の心情を見抜き、そして直ぐに安心感を与えてくれる……

 それが『つねちゃん』なんだ。
 そういうところが俺は昔から大好きだった。

 俺が『幼稚園児』の時は常に近くにいてくれた。
 俺が何か凹みそうな状況になる前にさりげなくフォローをしてくれた。
 俺が絵を描いたり工作で何かを作れば思いっきり褒めてくれた。
 
 前の『バーベキュー』で『つねちゃん』は俺の事を『天使』だと言ってくれていたが、俺にとっての『つねちゃん』は『女神』だった……

 いや、『過去形』じゃない。それは『前の世界』での話だ。
 今も……『現在進行形』で『つねちゃん』は俺の『女神』だ。

 その『女神』の力は絶大で、昨日石田との会話の中でつい沸いてきてしまった……思ってはいけない感情が『女神』の力であっさり上書きされ、俺の心は『正常』に戻った。

 早く十八歳になりたい……そして…………


「つねちゃん、俺の方こそ有難う……なんか聞いてもらってスッキリしたよ」

「それは良かったわ。隆君って『大人っぽい』ところがあってとても素敵なんだけど、その為に自分だけで何でも抱え込んでしまう所があるような気もしていたから……これからは遠慮しないで何でも先生に相談してね? 隆君が一年生の頃に『卓球部』の事で相談してくれた時は先生、とっても嬉しかったよ……」

「うん、分かった……これからは何でも相談するよ……有難う……」

 石田は八月に飛行機事故で死んでしまう。どうすれば回避できるんだろう?
 
 俺は『未来の世界』から『つねちゃん』と結婚する為にやって来た還暦間近のおっさんだ!! そんな俺でも結婚してくれるかい?

 この二点だけは絶対『つねちゃん』に相談する事は出来ないが、それ以外の事はこれからは自分だけで解決しようとせずに『女神』……いや、『つねちゃん』に相談しようと思う俺であった。


 あくる日、石田が入院する事になったという連絡が稲田達から入って来た。
 但し、病名はまだ伏せたままのようであった。




―――――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。

『女神』のような対応をいつまでもしてくれる『つねちゃん』.....
改めて隆は『つねちゃん』に対しての想いを強くする。

そして石田が入院する事に!!
これから隆はどう動くのか!?

どうぞ次回もお楽しみに!!
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