【完結】呪いの館と名無しの霊たち(仮)

秋空花林

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第2部 呪いの館 救出編

35話

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 嫌な予感がして、華は部屋を飛び出した。

 広間に出ると、いつの間にか祭壇が扉に変わっていた。ここから玲と勇輝は出ていったの?何故?

 疑問に思っている内に、青年が戻ってきた。華を見つけるとツカツカと近寄って来た。

「ちょうど良かった。オマエ庭園に行け」
「え?急にどうして?」
「いいから…うっ、邪魔するな!」

 瞳が焦茶に変化した。勇輝に戻ったようだ。

「いいから!あいつが自分の口から言うって言ってただろ!」
「それで手遅れになったら、どうする!」
「だからって勝手な事すんな!」

 勇輝の目が碧くなったり焦茶になったり変化して、見てて怖い。どうやら勇輝の中で2人が言い合ってるのが表面化してるようだ。

 バキッ

 いきなり勇輝が自分を殴って吹っ飛んだ。そのまま暫くダウンしていたが、ムクリと起き上がった。瞳は碧だ。

「おい!今すぐアイツのとこへ行け!」
「ど、どうしたの?」
「いいから早く!帰ったらもう会えないぞ!」
「!?」

 その言葉に華は息を飲んだ。
 アイツ。それは…恐らく怜の事だ。

 かえったら…もう…あえない?

「オレ達みたいになるな!ちゃんと話してこい。手遅れにならないうちに!」

 全部聞かない内に、華は庭園へ飛び出した。



◇◇◇



 外は月夜で思ったより明るかった。

 美しい庭園を全力で走る。周りの美しい花々を見る余裕なんか無かった。

 初めて来た場所だったが、何となく怜の居場所がわかる。もしかしたら華の中の少女が教えてくれてるのかもしれない。

 開けた場所へ出た。
 緑に映える白いベンチがあり、そこに彼はいた。ベンチに横になって休んでいた。

 珍しく、白い薄手のシャツにベージュのパンツだった。青年か少年の趣味だろう。

 緑の中で月明かりに照らされながら眠る彼は美しかった。

 サラサラの黒髪。閉じた瞼には、白い肌を彩る長いまつ毛。月光に照らされ、まるで1枚の絵画のようだった。

 白シャツから覗く腕。細い首。
 何より、いつものジャージよりわかりやすい身体のシルエット。

「うそ…」

 そして。

 華は気づいた。

 怜の身体は痩せ細っていた。前に少年の部屋で見たバスローブ姿の時の筋肉質の身体とは明らかに違っていた。

「…何で?何でこんなに」

 いつから?何で今まで気づかなかったの?

 そこまで考えて、これまでの怜の服装のせいだと気づく。

 1回目の時はTシャツとショートパンツ。いつもの格好だ。怜は細身だけどいつもの元気な姿だった。

 2回目にやってきた時、彼は黒の大きめのジャージスタイルだった。楽だから、と言っていたが…この痩せた身体を見せない為ー。

 ここは魂が入りこむ場所。それが痩せているという事はー。

 思わず両手で口元を押さえる。思い当たる想像に手が震えた。
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