【完結】壊された女神の箱庭ー姫と呼ばれていきなり異世界に連れ去られましたー

秋空花林

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第一章 銀狼は青に還りて

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ーーー


 藁と草原の匂いがする。

 温かさに包まれて太陽は目が覚めた。

 太陽は丸まった獣に包まれた状態で藁の上にいた。寝てる内に獣に洞穴に連れ戻された様だ。

 時間的にもう真夜中だろうと思うのに、中はぼんやり明るかった。

 洞穴の所々に埋め込まれた鉱石がぼんやり光っていて、まるでランプの様な役割をしていた。

「光ってて綺麗…。これ自然にここに入ってるの?」

 すぐ側にある光る鉱石を触ると熱は感じなかった。ただぼんやり光っている。

「スヲツクルトキニ、イレタ」

 獣の声がした。

 獣を見ると美しい青い眼が太陽を見つめていた。

「巣を作る時に?すごいな、これお前がやったのか?」
「ミンナデ」
「みんな?他にもお前の仲間がいるのか?」

 洞内は静かで他の生き物の気配はしない。

「ミナクルッタ」
「!」

 皆狂った。

 それは目の前の獣の仲間も、瘴気で闇堕ちしたという事。

 こんなすごい技術や知性がある動物が狂ってしまうなんて。

 改めてこの世界の現状と瘴気の恐ろしさを知った。

「そうか。お前も1人なんだな。いや一匹か」

 何だか切なくなって獣の首元を撫でた。

「でもお前も最初会った時おかしかったよな。目も身体も濁ってたし。闇堕ちしても元に戻れるなら仲間もいつか戻れるかもしれないな」
「オマエノオカゲ」
「え?俺?」
「オマエガキテ、ショウキウスマッタ」
「瘴気が薄まった?何で?」
「ワカラナイ、ケドオマエマモル」

 獣はペロリと太陽の頬を舐めた。

「お前、俺を守りたくてココに連れ込んだのか?」

 獣が肯定する様にキュッ目を閉じた。

「でも、そんなの俺嬉しくないよ。俺は探さないといけない奴がいるし、帰らないといけない場所があるし、会いたい人だっている。ここに居たら安全かもしれないけど、そんなの俺は全然幸せじゃない」

 獣が身を乗り出して来た。

 太陽の身体の自由を奪う様に上に乗ってくる。

「お前、何すん…んっ」

 獣の顔が近づいて来たと思った瞬間。獣の舌が口に入り込んだ。

 太く厚い舌が太陽の舌を絡めとる。

 以前はただ口内を舐め回すだけだったのに、今はまるで恋人同士のそれの様に太陽の反応を見て刺激してきた。

 熱烈なキスに太陽がぐったりした頃、獣が下がって上着をたくし上げて来た。

 胸を中心に舐め回す。敏感な部分に触れる度、自然と声が出てしまう。

 これ以上刺激されるのが怖くて、太陽はうまく力が入らない腕で、獣の顔を押しやった。

「やめろよ、俺は男だぞ!メスじゃない!」
「オマエ、オスノニオイ、シナイ」
「当たり前だろ!動物じゃないんだからオスとかメスみたいな匂いなんかする訳ないだろ!」

 太陽が暴れて獣の下を抜け出す。

 背を向けて逃げ出そうした瞬間、後ろから鼻で押されて藁の上に倒れた。

 そのまま獣が後ろからズボンを噛んで下着と一緒に引き下ろす。

 ペロリと尻を舐められた。

 それでも逃げようと四つん這いになった時、尻の谷間に濡れた何かが入り込んだ。

 見なくてもわかった。
 獣の舌が太陽の尻の穴を舐めた。

「あ…頼む。やめてくれ。そこは嫌だ」

 震えながら太陽は四つん這いのまま、獣を振り返った。その間も獣の舌はそこを解す様に舐め回している。

 この体勢はダメだ。

 動物の交尾を思わせる。

 太陽は体勢を変えて仰向けになった。獣が太陽に被さってくる。

「ナゼダメ?」
「何故って。お前は動物で俺は人間だ。こんなのおかしいだろ!」

 相手の身体が大き過ぎてビクともしないが、それでも精一杯獣の身体をどかそうと抵抗する。

 獣の身体がほんのり淡い光に包まれた。青と銀の光の粒が獣全体を覆っている。全体的に大きい身体が少しずつ縦長に変わっていく。

 光が消えた時。

 目の前には、長い銀髪に青い目をした男がいた。
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