【完結】壊された女神の箱庭ー姫と呼ばれていきなり異世界に連れ去られましたー

秋空花林

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第一章 銀狼は青に還りて

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 翌日。
 太陽は小屋の側で1人弓の練習をしていた。

 キリキリと張った弦を引っ張り、狙いを定めて射つ。的代わりの板の端に刺さった。

 まだまだだが、少しずつ的に当たる様になってきた。

 昨夜ルースから言われた太陽なりの出来る事。それは自分の身を守る術をつける事だった。

 昨夜、剣か武術か何か戦う手段はあるかと聞かれ、素直に何も出来ないと白状した。

 そしたらルースが見回りで不在の間、彼の予備の弓矢で的に当てる練習をする様に言われたのだ。

 昨日見かけた獣。あの魔物の様な存在にまた遭遇するかと思うと、身を守る術は急務だ。
 弓矢の使い方を教えてくれたルースには感謝しかない。

「ふう、少しずつ当たる様になって来た」

 弓を小屋の壁に立てかけて、太陽はふぅと溜息を吐いた。意外にハードで腕が疲れてきた。

 ルースが戻るにはまだ数時間ある。無理せず休み休み頑張ろう。太陽が袖で汗を拭って時に、それは聞こえて来た。

 グルルル

「!?」

 慌てて弓矢を取って辺りを見渡す。

 昨日聞いた獣の声に似ていた。

 手が震えそうになるのを心の中で叱咤して、太陽は矢を弓につがえた。
  
 昨日は恐怖で慌てて逃げてしまったが、今は少なくとも弓がある。

 警戒しながらジリジリと小屋の入口側へ移動する。

 自分の腕では仕留めるのは無理だろうから小屋の中へ避難しよう。そう考えた。

 そして小屋の前まで無事に辿り着いた瞬間。

 ソレは小屋の屋根からやって来た。

 ハッと気配に気づいて見上げた時には、既に獣が眼前に迫っていた。

 ぶつかると思った瞬間、衝撃で後ろに吹き飛ばされ地面を転がる。数メートル転がって止まった。

 逃げないと。

 幸い弓は手放さずに済んだ。仰向けで転がった状態で起き上がろうとした時。目の前に影が差した。
 
 デカい狼の様な獣が目の前にいた。

 いつの間にか右足で太陽が持つ弓を押さえられて、獣の四つ脚に囲まれた状態になっていた。もう逃げられない。

 ソレは昨日襲って来た、濁った眼をした灰色の獣だった。


ーーー


 お待たせしました(?)
 次話から少しずつR18要素が入り始めます。

 軽いものは注意書きは入れてません。
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感想 1

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