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第一章 銀狼は青に還りて
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当たり前だが、太陽と同様に服を脱いでいるからルースは上半身裸だった。
腰から下は水で隠れているから見えないが、やはり太陽と同じく何も履いてないだろう。
太陽の所に来るまでに湖に浸かったのか、彼の美しい顔や引き締まった身体に綺麗な緑色の髪が貼りついて、何だか色っぽく見えた。
思いのほか近い距離に思わず後退ると、足元が滑った。うわぁ、と後ろに倒れそうになるのを、ルースが腕を掴んで引き寄せてくれた。
「大丈夫?」
「あ、ありがとうございます」
距離を取ろうと思ったのに。
滑って引き寄せられ、何故か今は太陽がルースの胸に飛び込んだ形になってしまった。
しかもお互い裸で、何だか無性に恥ずかしい。
ルースは168cmの太陽より更に10cm以上は高い。形の良い唇が目に入って恥ずかしくて目を逸らした。
「セーヤ」
「は、はい」
「こっちを向いて」
呼ばれて目線を上げるとルースが太陽を見つめていた。そのまま綺麗な顔が近づいて来たかと思うと、ソッと太陽に口づけた。
微かなリップ音が聞こえたかと思うと、ゆっくりルースの顔が離れていく。突然の事で、太陽は目を見開いたままだ。
「………え?い、いま、な、何を!?」
ようやく自分に起きた事を理解した。距離を取りたいけど両腕を掴まれて離れられない。この状況に太陽は分かりやすくパニックになった。
「こういう事する為に僕を誘ったんじゃないの?」
「ち、ち、違います!本当に水浴びが気持ち良かったから!」
「そう」
太陽の両腕を掴んだまま、ルースは軽く溜め息を吐いて太陽を再び見つめた。
「セーヤはどうやら忘れてるみたいだから念の為に言っとくね」
「え?何をですか?」
「女性が生まれる数が減ったって言ったよね?だからといって他の男達は全く恋愛をしない訳じゃない。むしろ数の多い男同士でくっつくのが一般的なんだ」
「それって…」
「なんとなくわかった?男同士でも普通にキスやそれ以上の事もする。そんな相手にセーヤは目の前で裸になって、一緒に水浴びしようて言ったんだよ。僕は誘われたんだと思ったんだけど」
ルースの言葉に羞恥心がMAXになった。まさか男同士でくっつくのが普通とか!常識が違いすぎて思いもしなかった!
「すみません、俺そんな事思いもしなくて。本当にただ水浴びがしたかったんです」
「そう」
「それに、俺なんてルースさんと違って普通だし、相手になんかならないです」
「そんな事ないよ」
ルースが太陽を抱き寄せた。濡れた肌が密着して、ルースの体温を感じる。近い。肌が。何でこんな事に。混乱で頭がぐるぐるする。
「セーヤ。覚えといて」
耳元でルースが囁いた。
息がかかりビクッとする。その反応にルースが笑う。またその息がかかって太陽は居た堪れない。
「僕にとってセーヤは充分そういう相手になりえるよ」
何を言われたのか一瞬わからず、思わずルースを見上げると、綺麗な黄緑色の瞳と視線がぶつかる。ふっ、とルースが楽しそうに微笑んだ。
「僕は先に上がってるから」
そのままルースは太陽の両腕から手を離して踵を返した。
向けられた背中に、その美しい肌に不釣り合いな、斜めに走った大きな傷跡があった。
「傷…」
太陽の呟きを拾ってルースが足を止めた。
「あぁこれ?古い傷だからもう痛くないよ」
「…そうですか」
古い傷という割にはハッキリ傷跡が分かる程それは色合いが違った。何だか黒ずんで見える。きっと生命を脅かす様な傷だったに違いない、そう思った。
そのままルースは岸へ向かって行く。ルースの言葉とその背中の傷が気になって、太陽は暫く去っていく背中を見つめていた。
腰から下は水で隠れているから見えないが、やはり太陽と同じく何も履いてないだろう。
太陽の所に来るまでに湖に浸かったのか、彼の美しい顔や引き締まった身体に綺麗な緑色の髪が貼りついて、何だか色っぽく見えた。
思いのほか近い距離に思わず後退ると、足元が滑った。うわぁ、と後ろに倒れそうになるのを、ルースが腕を掴んで引き寄せてくれた。
「大丈夫?」
「あ、ありがとうございます」
距離を取ろうと思ったのに。
滑って引き寄せられ、何故か今は太陽がルースの胸に飛び込んだ形になってしまった。
しかもお互い裸で、何だか無性に恥ずかしい。
ルースは168cmの太陽より更に10cm以上は高い。形の良い唇が目に入って恥ずかしくて目を逸らした。
「セーヤ」
「は、はい」
「こっちを向いて」
呼ばれて目線を上げるとルースが太陽を見つめていた。そのまま綺麗な顔が近づいて来たかと思うと、ソッと太陽に口づけた。
微かなリップ音が聞こえたかと思うと、ゆっくりルースの顔が離れていく。突然の事で、太陽は目を見開いたままだ。
「………え?い、いま、な、何を!?」
ようやく自分に起きた事を理解した。距離を取りたいけど両腕を掴まれて離れられない。この状況に太陽は分かりやすくパニックになった。
「こういう事する為に僕を誘ったんじゃないの?」
「ち、ち、違います!本当に水浴びが気持ち良かったから!」
「そう」
太陽の両腕を掴んだまま、ルースは軽く溜め息を吐いて太陽を再び見つめた。
「セーヤはどうやら忘れてるみたいだから念の為に言っとくね」
「え?何をですか?」
「女性が生まれる数が減ったって言ったよね?だからといって他の男達は全く恋愛をしない訳じゃない。むしろ数の多い男同士でくっつくのが一般的なんだ」
「それって…」
「なんとなくわかった?男同士でも普通にキスやそれ以上の事もする。そんな相手にセーヤは目の前で裸になって、一緒に水浴びしようて言ったんだよ。僕は誘われたんだと思ったんだけど」
ルースの言葉に羞恥心がMAXになった。まさか男同士でくっつくのが普通とか!常識が違いすぎて思いもしなかった!
「すみません、俺そんな事思いもしなくて。本当にただ水浴びがしたかったんです」
「そう」
「それに、俺なんてルースさんと違って普通だし、相手になんかならないです」
「そんな事ないよ」
ルースが太陽を抱き寄せた。濡れた肌が密着して、ルースの体温を感じる。近い。肌が。何でこんな事に。混乱で頭がぐるぐるする。
「セーヤ。覚えといて」
耳元でルースが囁いた。
息がかかりビクッとする。その反応にルースが笑う。またその息がかかって太陽は居た堪れない。
「僕にとってセーヤは充分そういう相手になりえるよ」
何を言われたのか一瞬わからず、思わずルースを見上げると、綺麗な黄緑色の瞳と視線がぶつかる。ふっ、とルースが楽しそうに微笑んだ。
「僕は先に上がってるから」
そのままルースは太陽の両腕から手を離して踵を返した。
向けられた背中に、その美しい肌に不釣り合いな、斜めに走った大きな傷跡があった。
「傷…」
太陽の呟きを拾ってルースが足を止めた。
「あぁこれ?古い傷だからもう痛くないよ」
「…そうですか」
古い傷という割にはハッキリ傷跡が分かる程それは色合いが違った。何だか黒ずんで見える。きっと生命を脅かす様な傷だったに違いない、そう思った。
そのままルースは岸へ向かって行く。ルースの言葉とその背中の傷が気になって、太陽は暫く去っていく背中を見つめていた。
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