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第二章 闇に囚われし緑よ、いずれ
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翌朝、早朝から馬車は走り出した。昨夜あんなに乱れていたマノスも翌朝は張り切って馬車を操っていた。
途中の林を抜けると、また魔獣の群れが追って来た。
今回は初めから空の力を借りてぶっ放した。魔獣は吹っ飛び、お陰で起きた爆風で馬車の速度が上がった。
前方でマノスが「わぁ!また、何なのー!」と騒ぐ声が聞こえる。
それが可笑しいのかルースはケラケラ笑っていた。
暫くすると、前方に立派な木々が見えてきた。東の森では見られなかった大きな木々だった。
等間隔で植えられたそれがずっとずっと遠くまで横に広がっている。根元は黄色と緑の光で輝いている。村で見たのと同じ現象だった。
等間隔に植えられた木々を通り抜けると、城壁が見えて来た。多分その中が街なんだろう。
店主に聞いた話を思い出す。
南は自然が南の大陸を囲む様に広がっている。始めに聞いた時は何でそんな事に?と思った。
でも木々に宿る聖気を見ればわかる。それはこの南の大陸を瘴気から守る為だ。
聖気を宿した木々が南の大陸を囲む事で、いずれ南下してくる瘴気をそれ以上侵食させない為のバリケードなのだ。
この土地を守る森の民の努力や土地への愛情を感じた。
街の入り口で門番らしき者にマノスが声をかけ街に入る。
街は昨日までいた村と比べ様もないほど発展していた。
大きな建物や野菜や果物を売っている市場まであった。人々は楽しそうに、忙しそうに行き来している。
世界は瘴気に蝕まれている筈なのに。この街は活気に満ち溢れていた。
暫くして馬車が停まった。
ルースや空と共に降りる。標識みたいな縦長の看板みたいのがあった。馬車の乗り合い場所なのかもしれない。
「ありがとうマノス。また頼むよ」
ルースが懐からお金を払った。受け取りながらマノスがルースの手を握る。
「今夜の相手は決まってる?ボクどう?」
チラッと太陽を牽制する様にこちらを見て来た。
「いや今夜は大丈夫」
「何で?もしかしてあの子が相手なの」
「違うよ。今日はこの後に家に戻る予定だから。さすがにそういう相手は連れていけない」
「ふーん。じゃあ必要になったら連絡してね!」
マノスは手綱を掴むと馬車を走らせ去って行った。
それを見送る事なく歩き出したルースに続こうとして、太陽は足を止めた。
目の前に立ち塞がった影があったからだ。
驚いて見上げるとラドが太陽を見下ろしていた。いやらしい笑みを湛えている。
「よぉ、今夜はルースもいなくて1人なんだろ?俺が一緒にいてやるよ」
「結構です…」
いやらしい笑みに反して目は笑って無かった。茶色の目が澱んでる気がした。
グルルル
足元の空が警戒した様に唸り声を上げた。今にもラドに噛みつきそうだ。
「君もしつこいね。悪いけど、この子も連れて行くよ」
太陽とラドの間にルースが割り込んだ。さりげなく太陽を背に庇ってくれる。
「チッ。そういう相手は連れて行かねーんだろ?」
「彼はそういう相手じゃないからね」
「……フン、こんな綺麗な奴に手を出さないなんて気がしれないな」
ぺっと唾を吐いてラドは立ち去った。
途中の林を抜けると、また魔獣の群れが追って来た。
今回は初めから空の力を借りてぶっ放した。魔獣は吹っ飛び、お陰で起きた爆風で馬車の速度が上がった。
前方でマノスが「わぁ!また、何なのー!」と騒ぐ声が聞こえる。
それが可笑しいのかルースはケラケラ笑っていた。
暫くすると、前方に立派な木々が見えてきた。東の森では見られなかった大きな木々だった。
等間隔で植えられたそれがずっとずっと遠くまで横に広がっている。根元は黄色と緑の光で輝いている。村で見たのと同じ現象だった。
等間隔に植えられた木々を通り抜けると、城壁が見えて来た。多分その中が街なんだろう。
店主に聞いた話を思い出す。
南は自然が南の大陸を囲む様に広がっている。始めに聞いた時は何でそんな事に?と思った。
でも木々に宿る聖気を見ればわかる。それはこの南の大陸を瘴気から守る為だ。
聖気を宿した木々が南の大陸を囲む事で、いずれ南下してくる瘴気をそれ以上侵食させない為のバリケードなのだ。
この土地を守る森の民の努力や土地への愛情を感じた。
街の入り口で門番らしき者にマノスが声をかけ街に入る。
街は昨日までいた村と比べ様もないほど発展していた。
大きな建物や野菜や果物を売っている市場まであった。人々は楽しそうに、忙しそうに行き来している。
世界は瘴気に蝕まれている筈なのに。この街は活気に満ち溢れていた。
暫くして馬車が停まった。
ルースや空と共に降りる。標識みたいな縦長の看板みたいのがあった。馬車の乗り合い場所なのかもしれない。
「ありがとうマノス。また頼むよ」
ルースが懐からお金を払った。受け取りながらマノスがルースの手を握る。
「今夜の相手は決まってる?ボクどう?」
チラッと太陽を牽制する様にこちらを見て来た。
「いや今夜は大丈夫」
「何で?もしかしてあの子が相手なの」
「違うよ。今日はこの後に家に戻る予定だから。さすがにそういう相手は連れていけない」
「ふーん。じゃあ必要になったら連絡してね!」
マノスは手綱を掴むと馬車を走らせ去って行った。
それを見送る事なく歩き出したルースに続こうとして、太陽は足を止めた。
目の前に立ち塞がった影があったからだ。
驚いて見上げるとラドが太陽を見下ろしていた。いやらしい笑みを湛えている。
「よぉ、今夜はルースもいなくて1人なんだろ?俺が一緒にいてやるよ」
「結構です…」
いやらしい笑みに反して目は笑って無かった。茶色の目が澱んでる気がした。
グルルル
足元の空が警戒した様に唸り声を上げた。今にもラドに噛みつきそうだ。
「君もしつこいね。悪いけど、この子も連れて行くよ」
太陽とラドの間にルースが割り込んだ。さりげなく太陽を背に庇ってくれる。
「チッ。そういう相手は連れて行かねーんだろ?」
「彼はそういう相手じゃないからね」
「……フン、こんな綺麗な奴に手を出さないなんて気がしれないな」
ぺっと唾を吐いてラドは立ち去った。
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