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第二章 闇に囚われし緑よ、いずれ
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「あの…」
太陽がどうしていいか分からずオロオロすると、側にいた空がポンと太陽の頭を撫でた。
「落ち着け。みんなどう受け止めていいかわからないだけだ」
「青よ。逆にお前は何でそんなに落ち着いていられるんだ」
長が苦い表情で空に尋ねた。
「簡単な事。こいつは見た目は黒だが、魂からは良い匂いがする。それにオレはこいつ自身を気に入って側にいたいと思った。なら何を悩む事がある。全てを受け止めるだけだ」
「空…」
空の言葉にジンとした。空の存在が心強い。
「セーヤは自分自身ではどう考えてるの?元いた世界では何か特別な役割を担っていた?」
「ルースさん。俺は元いた世界ではただの一般庶民です」
学生でその日も勉強しようと外出している最中に眼帯の男に拉致されたと話した。それに太陽の住む国は黒目と黒髪は一般的な事で珍しくもないし、そもそも男なので姫や聖女と言われても困惑してしまうと話した。
太陽の話に長が頷く。
「確かに。セーヤ殿は男だし髪も目も黒い。まだ北の黒の者だと言われた方が説得力がある。ただ、もしセーヤ殿が勇者か聖女の力を宿していれば魔王を今以上に抑えて瘴気を和らげるかもしれない。そう考えると、気のせいだけではすませられない我々の事情も汲んでもらえると助かる」
「それは…わかりました」
長の言葉に太陽も頷いた。この世界の事情もわかる。もし自分で手伝える事があるなら手伝いたい。
「緑よ。お前はセーヤの話をどう思う?」
「青も覚えているだろう。当時の光の勇者は癖っ毛の長髪だった。それに当時、眼帯はしていなかった」
「そうですか」
癖っ毛…。この時点で別人確定か。
「だから一旦眼帯の男を500年前の勇者でなく今代の勇者だったとする。そして彼が姫と呼んだセーヤ殿を同じく今代の聖女と仮定して考えてみたが。男同士の時点で互いの間に子が成せないから光の力を継承も出来ない。光の封印は出来る可能性はあるが…」
「あの、どうして光の聖女は姫と呼ばれるんですか?それに子供って…」
「あぁすまない。説明が足りなかったね。光の聖女は代々こちらの世界の人間の王家に誕生するからだ。そして勇者は当時の人間の男性で最も優れた者が力を授かる」
「人間…」
さっきのユナの話だとこの世界の人間の寿命もせいぜい100年目安の様だ。ならやはり500年前の勇者とは別なのかもしれない。
「それに子を成すというのはそのままの意味だ。次代の光の聖女を産み出す為、勇者と聖女は結ばれると決まっている。互いを愛する事で魔王を封印する光の魔法も発動すると言われてるんだ」
結ばれると決まっている。その言葉に太陽はルースを見た。ルースが困った様に微笑んだ。
もしかしてルースが太陽を受け入れない理由は。それはもし太陽が光の聖女なら、光の勇者と結ばれるべきだと思ってるから?
「何で決めつけるんですか?」
「え?」
「たまたま王家に産まれたからって聖女にされて。しかも勇者と結ばれるのが決まってるなんて。もしかしたら王女様には他に好きな人がいたかもしれないのにー」
そこまで言ってハッとする。
みんなが唖然としてるのを見て失言だったと気づいた。この世界で聖女は世界を救う伝説の人だ。
「す、すみません。もし俺だったらと思って変な事言いました」
「いや、いい」
長が、ふぅと額を押さえて困った様に言った。
「当時の王女は跳ねっ返りでお転婆でな。彼女も同じ様な事を言っていた。自分はただ子供を産むだけの駒じゃないと。そして自ら魔王を封印しに行くと城を飛び出したのだ」
「へ?」
「あら、私達に語り継がれている昔話とだいぶ違うのね」
長の言葉に思わず、太陽は変な声が出て、ユナは驚きの声をあげた。
太陽がどうしていいか分からずオロオロすると、側にいた空がポンと太陽の頭を撫でた。
「落ち着け。みんなどう受け止めていいかわからないだけだ」
「青よ。逆にお前は何でそんなに落ち着いていられるんだ」
長が苦い表情で空に尋ねた。
「簡単な事。こいつは見た目は黒だが、魂からは良い匂いがする。それにオレはこいつ自身を気に入って側にいたいと思った。なら何を悩む事がある。全てを受け止めるだけだ」
「空…」
空の言葉にジンとした。空の存在が心強い。
「セーヤは自分自身ではどう考えてるの?元いた世界では何か特別な役割を担っていた?」
「ルースさん。俺は元いた世界ではただの一般庶民です」
学生でその日も勉強しようと外出している最中に眼帯の男に拉致されたと話した。それに太陽の住む国は黒目と黒髪は一般的な事で珍しくもないし、そもそも男なので姫や聖女と言われても困惑してしまうと話した。
太陽の話に長が頷く。
「確かに。セーヤ殿は男だし髪も目も黒い。まだ北の黒の者だと言われた方が説得力がある。ただ、もしセーヤ殿が勇者か聖女の力を宿していれば魔王を今以上に抑えて瘴気を和らげるかもしれない。そう考えると、気のせいだけではすませられない我々の事情も汲んでもらえると助かる」
「それは…わかりました」
長の言葉に太陽も頷いた。この世界の事情もわかる。もし自分で手伝える事があるなら手伝いたい。
「緑よ。お前はセーヤの話をどう思う?」
「青も覚えているだろう。当時の光の勇者は癖っ毛の長髪だった。それに当時、眼帯はしていなかった」
「そうですか」
癖っ毛…。この時点で別人確定か。
「だから一旦眼帯の男を500年前の勇者でなく今代の勇者だったとする。そして彼が姫と呼んだセーヤ殿を同じく今代の聖女と仮定して考えてみたが。男同士の時点で互いの間に子が成せないから光の力を継承も出来ない。光の封印は出来る可能性はあるが…」
「あの、どうして光の聖女は姫と呼ばれるんですか?それに子供って…」
「あぁすまない。説明が足りなかったね。光の聖女は代々こちらの世界の人間の王家に誕生するからだ。そして勇者は当時の人間の男性で最も優れた者が力を授かる」
「人間…」
さっきのユナの話だとこの世界の人間の寿命もせいぜい100年目安の様だ。ならやはり500年前の勇者とは別なのかもしれない。
「それに子を成すというのはそのままの意味だ。次代の光の聖女を産み出す為、勇者と聖女は結ばれると決まっている。互いを愛する事で魔王を封印する光の魔法も発動すると言われてるんだ」
結ばれると決まっている。その言葉に太陽はルースを見た。ルースが困った様に微笑んだ。
もしかしてルースが太陽を受け入れない理由は。それはもし太陽が光の聖女なら、光の勇者と結ばれるべきだと思ってるから?
「何で決めつけるんですか?」
「え?」
「たまたま王家に産まれたからって聖女にされて。しかも勇者と結ばれるのが決まってるなんて。もしかしたら王女様には他に好きな人がいたかもしれないのにー」
そこまで言ってハッとする。
みんなが唖然としてるのを見て失言だったと気づいた。この世界で聖女は世界を救う伝説の人だ。
「す、すみません。もし俺だったらと思って変な事言いました」
「いや、いい」
長が、ふぅと額を押さえて困った様に言った。
「当時の王女は跳ねっ返りでお転婆でな。彼女も同じ様な事を言っていた。自分はただ子供を産むだけの駒じゃないと。そして自ら魔王を封印しに行くと城を飛び出したのだ」
「へ?」
「あら、私達に語り継がれている昔話とだいぶ違うのね」
長の言葉に思わず、太陽は変な声が出て、ユナは驚きの声をあげた。
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