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第三章 空を舞う赤、狂いて
24 最終話
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徐々に空気が澄んできた事で、それまで西の渓谷を蝕んでいた瘴気が祓われたのだと気づいた。西一帯が聖気で満たされたのだ。
ポヨンポヨン跳ねていたスーパーボールの中の魔鳥達も鳥族の人型に戻って、大地に転がっていた。
「姉ちゃんが…長が結界を張り終えたんだ…。良かった…。これでみんな元に戻る…!」
「カゾクもどる、うー」
悪男とショーキが泣き出した。
普段強がりの悪男らしからぬ、人目を憚らない泣き方で、これまでの苦労が、その喜びが伝わってきた。
「セーヤ、ひっく、本当に…ありがとうっ…。俺お前の事を攫って…仲間から引き離したのに…ぐすっ」
「アリガトォー」
えぐえぐと、泣きながらお礼を言ってくる悪男に思わずもらい泣きしそうだ。
そのまま悪男は、空とルースの方を見てお礼を述べた。
「ぐす、ソラさんも、ルースさんも…力を貸してくれて…ひっく。本当にありがとうございました!」
「いままでゴメンネー」
不良少年が更生してしまった!
急にヤンキー兄ちゃんから好青年になった悪男に、太陽は思わず涙が引っ込んだのだった。
その後は、大地に転がっていた鳥族のみんなを起こして回った。
目覚めた鳥族達は、始め空やルースを見ると敵襲ではないかと警戒したが。
悪男が泣きながら「いかに太陽達が西の為に動いてくれたか」を力説して回った結果、次々と助けてくれてありがとう!と感謝を述べられる事になった。
「ワー坊が言うなら間違いねえ!アンタらは西の恩人だ!」
「ワー坊て言うなら!もう子供じゃねえ!」
「西が救われた祝賀会と恩人達の歓迎会するぞ!ワー坊、皆さんを館に連れて来い!」
「ワー坊て言うな!」
ヤンキー兄ちゃんは一族に愛されてる様だ。何だか微笑ましい。
鳥族のみんなに可愛がられてる悪男を見て、ルースや空もつられて笑っている。
大泣きしてお礼を言ってきた悪男を見て2人とも「何でセーヤがアイツをほっとけなかったか分かった」と言ってくれた。
ルースは「まだ魔王の事は整理がつかないけど、西の赤の者の事はちゃんと相手を見て判断したい」と。
そして空は「一族を思う気持ちは、例え種族が違っても変わらん」と言ってくれた。
少しずつだが、お互いが歩み寄ってくれている。
そして、当の悪男といえば。
「ソラ兄貴!ルース兄貴!セーヤ!西の館に行こうぜ!」
やたら空とルースに懐いた。多分ポジション的に舎弟というところか。
「お前また失礼な事考えてるだろ」
「悪男って鋭いよな。俺お前のそういうとこ尊敬してるぞ」
「オレうれしー」
「…………(複雑)」
2人のやり取りを見て、ルースや空が笑う。
長く瘴気に閉ざされていた美しい西の渓谷に、清らかな風が吹いた。
◇◇◇
名もない世界の西の大陸。
そこは長く世界と断絶された場所だった。
魔王の配下とされ忌み嫌われた種族は、魔王の真実を知り仕える者達だった。
草木も生えない荒れた土地。そう言われて放置された場所は雄大な自然を宿す美しい渓谷だった。
果たして彼らが世界と分断されたのは。
偶然か。
それとも…。
この世界の真実は未だ闇の中ー。
第三章 空に舞う赤、狂いて。完。
ーーー
第四章は物語が大きく動きます。11月1日から公開予定です。
BL大賞に応募しましたので、来月は毎日更新します。宜しければ応援よろしくお願いします。
★お知らせ★
『たっくんとコウちゃん【大学生編】』の連載を本日から開始しました。現代・幼馴染ものです。
小・中学→高校生と来て、とうとう彼らも大人の階段を上ります。R18です。
そちらもお読み頂けたら嬉しいです。
ポヨンポヨン跳ねていたスーパーボールの中の魔鳥達も鳥族の人型に戻って、大地に転がっていた。
「姉ちゃんが…長が結界を張り終えたんだ…。良かった…。これでみんな元に戻る…!」
「カゾクもどる、うー」
悪男とショーキが泣き出した。
普段強がりの悪男らしからぬ、人目を憚らない泣き方で、これまでの苦労が、その喜びが伝わってきた。
「セーヤ、ひっく、本当に…ありがとうっ…。俺お前の事を攫って…仲間から引き離したのに…ぐすっ」
「アリガトォー」
えぐえぐと、泣きながらお礼を言ってくる悪男に思わずもらい泣きしそうだ。
そのまま悪男は、空とルースの方を見てお礼を述べた。
「ぐす、ソラさんも、ルースさんも…力を貸してくれて…ひっく。本当にありがとうございました!」
「いままでゴメンネー」
不良少年が更生してしまった!
急にヤンキー兄ちゃんから好青年になった悪男に、太陽は思わず涙が引っ込んだのだった。
その後は、大地に転がっていた鳥族のみんなを起こして回った。
目覚めた鳥族達は、始め空やルースを見ると敵襲ではないかと警戒したが。
悪男が泣きながら「いかに太陽達が西の為に動いてくれたか」を力説して回った結果、次々と助けてくれてありがとう!と感謝を述べられる事になった。
「ワー坊が言うなら間違いねえ!アンタらは西の恩人だ!」
「ワー坊て言うなら!もう子供じゃねえ!」
「西が救われた祝賀会と恩人達の歓迎会するぞ!ワー坊、皆さんを館に連れて来い!」
「ワー坊て言うな!」
ヤンキー兄ちゃんは一族に愛されてる様だ。何だか微笑ましい。
鳥族のみんなに可愛がられてる悪男を見て、ルースや空もつられて笑っている。
大泣きしてお礼を言ってきた悪男を見て2人とも「何でセーヤがアイツをほっとけなかったか分かった」と言ってくれた。
ルースは「まだ魔王の事は整理がつかないけど、西の赤の者の事はちゃんと相手を見て判断したい」と。
そして空は「一族を思う気持ちは、例え種族が違っても変わらん」と言ってくれた。
少しずつだが、お互いが歩み寄ってくれている。
そして、当の悪男といえば。
「ソラ兄貴!ルース兄貴!セーヤ!西の館に行こうぜ!」
やたら空とルースに懐いた。多分ポジション的に舎弟というところか。
「お前また失礼な事考えてるだろ」
「悪男って鋭いよな。俺お前のそういうとこ尊敬してるぞ」
「オレうれしー」
「…………(複雑)」
2人のやり取りを見て、ルースや空が笑う。
長く瘴気に閉ざされていた美しい西の渓谷に、清らかな風が吹いた。
◇◇◇
名もない世界の西の大陸。
そこは長く世界と断絶された場所だった。
魔王の配下とされ忌み嫌われた種族は、魔王の真実を知り仕える者達だった。
草木も生えない荒れた土地。そう言われて放置された場所は雄大な自然を宿す美しい渓谷だった。
果たして彼らが世界と分断されたのは。
偶然か。
それとも…。
この世界の真実は未だ闇の中ー。
第三章 空に舞う赤、狂いて。完。
ーーー
第四章は物語が大きく動きます。11月1日から公開予定です。
BL大賞に応募しましたので、来月は毎日更新します。宜しければ応援よろしくお願いします。
★お知らせ★
『たっくんとコウちゃん【大学生編】』の連載を本日から開始しました。現代・幼馴染ものです。
小・中学→高校生と来て、とうとう彼らも大人の階段を上ります。R18です。
そちらもお読み頂けたら嬉しいです。
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