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第四章 誰がために、その金は甦るのか
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「させない!」
太陽と悪男に手を伸ばした黒い影に、ルースが緑と黄の光を纏わせた矢を放った。
威力は東の青のソレに劣る物の、黒い影は伸ばした手を怯ませた。
「ルースが牽制しろ。オレはこのまま西まで走り切る」
「わかった」
ルースの攻撃が牽制になる事を確認して、空がルースを背に乗せたまま速度を上げた。黒い影の前に踊り出て、少しでも太陽と悪男に手出しをさせない作戦だ。
ルースも空の意図を理解して、連続で矢を影に向かって放つ。
その時ー。
ケケケケ。
不気味な笑いが辺りに響き、魔王によく似たシルエットの口元が大きく裂けた。シルエットの筈なのに、ギザギザに尖った歯がやけに白く見える。
影の口が縦に伸びる。
不自然な程、どんどん伸びる。
そして。
口を大きく開けると。
パクン
空の背に乗っていた、ルースを喰った。
一瞬何が起きたか分からなかった。
「ルース?どこだ!」
背に乗せていた空にも気づかれない程の一瞬で、その化け物はルースを喰った。
化け物の口元からは人の腕がはみ出ている。
ルースさんの腕。太陽がそれを認識した瞬間。ブシュッ!と化け物の口から大量の鮮血が溢れた。
「ルースさん!ルースさん!」
太陽がもがくが、悪男はそんな太陽を更に強く抱きしめた。
「ダメだ!お前までやられちまう!」
「だって、だってルースさんがっ!!」
「ダメだ!俺はお前の従属だから、お前の生命を最優先する!」
「ルースニィ…」
泣きながら悪男が叫んだ。ショーキも泣き出す。
何で?何で泣くんだ?
ルースさんは化け物に喰われたけど、きっとまだ生きてる。早く助けないとー。
信じられない気持ちで、化け物の方に目を向ける。化け物は口部分をモグモグ動かしている。口からはみ出た腕はピクリとも反応しない。
はみ出た腕に、化け物の口から流れ出た血が伝っていく。
空がルースの名前を叫びながら、懸命に化け物を攻撃してるのが見えた。
「…嘘だ」
自分の声がどこか遠くに聞こえた。
ついさっきまでルースさんと一緒にそこら辺を歩いてたんだ。その前には、お互い生きて一緒になろうって。誓いにお揃いの指輪を嵌め合ってー。
「ルースさん!!」
叫んで手を伸ばしても、無情にも悪男は飛び続け、どんどん化け物から離れされていく。
嫌だ、嫌だ、嫌だ。もう俺とルースさんを引き離さないでー。
徐々に離れていく化け物の周囲に、再び黒く禍々しい渦が現れた。それが大きく広がり、今度こそ太陽の見た事のある人物になった。
長く黒い髪に、黒いローブを纏った人物。
ローブを下ろすと右側の側頭部に、この世の物とは思えない不気味な角が現れた。
何の感情も見せない表情で、遠くから太陽に視線を向けてきた。
「ま、お、う…」
お前が、ルースさんを。
頭が真っ白になった。これまでに感じた事のない程の怒りが自分を支配しているのがわかる。
「おい、セーヤお前どうしたんだ!」
「まぶしいヨ」
悪男とショーキが何かを言っていたが耳に入らなかった。
腹の中から怒りや熱が湧き上がってくる様だった。その湧き上がってくる何かに自分が染まっていく。
無意識に指輪から弓を取り出して、魔王に番う。矢は無い。自分の身体の奥から湧き上がった熱が矢の代わりだ。
それを太陽は放った。
渦巻く大きな金の炎。
それが魔王と化け物を飲み込むかの様に襲いかかった。
魔王が金の炎に向かって、手の平を向ける。眩い白い光が煌めき、炎とぶつかり大爆発を起こした。
爆風が巻き起こり、空が飛ばされる。
悪男と太陽も上空に飛ばされる。
悪男が太陽を抱え何とか体勢を整えた時。
既に魔王と化け物の姿は無かった。
太陽と悪男に手を伸ばした黒い影に、ルースが緑と黄の光を纏わせた矢を放った。
威力は東の青のソレに劣る物の、黒い影は伸ばした手を怯ませた。
「ルースが牽制しろ。オレはこのまま西まで走り切る」
「わかった」
ルースの攻撃が牽制になる事を確認して、空がルースを背に乗せたまま速度を上げた。黒い影の前に踊り出て、少しでも太陽と悪男に手出しをさせない作戦だ。
ルースも空の意図を理解して、連続で矢を影に向かって放つ。
その時ー。
ケケケケ。
不気味な笑いが辺りに響き、魔王によく似たシルエットの口元が大きく裂けた。シルエットの筈なのに、ギザギザに尖った歯がやけに白く見える。
影の口が縦に伸びる。
不自然な程、どんどん伸びる。
そして。
口を大きく開けると。
パクン
空の背に乗っていた、ルースを喰った。
一瞬何が起きたか分からなかった。
「ルース?どこだ!」
背に乗せていた空にも気づかれない程の一瞬で、その化け物はルースを喰った。
化け物の口元からは人の腕がはみ出ている。
ルースさんの腕。太陽がそれを認識した瞬間。ブシュッ!と化け物の口から大量の鮮血が溢れた。
「ルースさん!ルースさん!」
太陽がもがくが、悪男はそんな太陽を更に強く抱きしめた。
「ダメだ!お前までやられちまう!」
「だって、だってルースさんがっ!!」
「ダメだ!俺はお前の従属だから、お前の生命を最優先する!」
「ルースニィ…」
泣きながら悪男が叫んだ。ショーキも泣き出す。
何で?何で泣くんだ?
ルースさんは化け物に喰われたけど、きっとまだ生きてる。早く助けないとー。
信じられない気持ちで、化け物の方に目を向ける。化け物は口部分をモグモグ動かしている。口からはみ出た腕はピクリとも反応しない。
はみ出た腕に、化け物の口から流れ出た血が伝っていく。
空がルースの名前を叫びながら、懸命に化け物を攻撃してるのが見えた。
「…嘘だ」
自分の声がどこか遠くに聞こえた。
ついさっきまでルースさんと一緒にそこら辺を歩いてたんだ。その前には、お互い生きて一緒になろうって。誓いにお揃いの指輪を嵌め合ってー。
「ルースさん!!」
叫んで手を伸ばしても、無情にも悪男は飛び続け、どんどん化け物から離れされていく。
嫌だ、嫌だ、嫌だ。もう俺とルースさんを引き離さないでー。
徐々に離れていく化け物の周囲に、再び黒く禍々しい渦が現れた。それが大きく広がり、今度こそ太陽の見た事のある人物になった。
長く黒い髪に、黒いローブを纏った人物。
ローブを下ろすと右側の側頭部に、この世の物とは思えない不気味な角が現れた。
何の感情も見せない表情で、遠くから太陽に視線を向けてきた。
「ま、お、う…」
お前が、ルースさんを。
頭が真っ白になった。これまでに感じた事のない程の怒りが自分を支配しているのがわかる。
「おい、セーヤお前どうしたんだ!」
「まぶしいヨ」
悪男とショーキが何かを言っていたが耳に入らなかった。
腹の中から怒りや熱が湧き上がってくる様だった。その湧き上がってくる何かに自分が染まっていく。
無意識に指輪から弓を取り出して、魔王に番う。矢は無い。自分の身体の奥から湧き上がった熱が矢の代わりだ。
それを太陽は放った。
渦巻く大きな金の炎。
それが魔王と化け物を飲み込むかの様に襲いかかった。
魔王が金の炎に向かって、手の平を向ける。眩い白い光が煌めき、炎とぶつかり大爆発を起こした。
爆風が巻き起こり、空が飛ばされる。
悪男と太陽も上空に飛ばされる。
悪男が太陽を抱え何とか体勢を整えた時。
既に魔王と化け物の姿は無かった。
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