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第五章 果てなき旅路より戻りし者
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やっとルースに名前で呼んで貰えた太陽は、暫くルースと話した後、一緒に西の館に戻った。ニコニコご機嫌で。
一方、西の館では、長と鳥族のみんなが空と悪男から北で何があったかを聞いた後、2人を待っていた。大号泣して。
よって、2人が西の館に戻った時、館は大騒ぎになった。
「セーヤ、ルース、アンタ達は何でこんなに苦労するんだい!可哀想に」
「え?長?」
長に泣きつかれて、太陽は面食らった。
周囲の鳥族のみんなも口々に、お幸せに、とか、もうお2人の邪魔はしません、とか2人を応援するムードだった。
空も悪男も呆れている。これでは肝心の瘴気の話し合いどころでは無い。
「あの、長。俺達の事は大丈夫です。これからまたルースさんに俺の事を知ってもらって、好きになってもらえる様に頑張りますから」
太陽が笑顔で言った言葉に、また鳥族達は泣いた。
「あの、長。それより瘴気の事なんですけど」
「もう!そんなの引き受けるに決まってるだろ!水臭い!アタイら鳥族を救ってれた魔王様とセーヤの為なら、任せときな!」
長に続いて、鳥族のみんなも賛同した。
こうして、よく分からない内に鳥族の承諾を無事取り付けたのだった。
◇◇◇
「もう行くのかい?」
数刻経ったというのに、まだ目を泣き腫らして、長が残念そうに声をかけて来た。
西との話し合いが終わったので、これから東に向かう所だ。北からずっと休み無しで疲れてはいるが、時間が惜しい。だから今日中に向かう事にしたのだ。
「はい。東の説得が出来たら、南に向かいます。南で会いましょう。中央のアキエスさん達の件はお願いします」
「わかった。任せときな。気をつけるんだよ」
「はい。行って来ます」
大きな鳥に変化した悪男の背に乗り込む。もちろんルースと空も一緒だ。
ここで援軍メンバーは一旦解散し、参加していた鳥族に代わって、残っていた鳥族が銀狼とエルフ達を各々送ってくれる事になっている。
ここから東へは太陽達と東に帰る銀狼達だけだ。
「また、後で!」
舞い上がる悪男の背中の上から、太陽は見送ってくれている鳥族のみんなに手を振った。
他の銀狼達を乗せた赤い鳥達も、続いて飛び立つ。
今回の東へのルートは、迂回して西から直接東へ入る予定だ。前回ルースが東の小屋へ向かった時と同じルートだが、今回は空を飛んで向かうのでアクロバティックな移動にならなかったのは幸いだ。
逆に東から西に戻る時は山や谷、崖を避ける為、中央部分を通って北の魔物に襲われた。だから、今回は中央の土地には踏み入れ無い事にしている。
「セーヤは、西のみんなと仲が良いんだね」
それまで大人しかったルースの疑問に、太陽は、ハイ!と嬉しそうに答えた。
「鳥族のみんなは、何て言うかあったかいです」
「そうだね」
「俺、両親も亡くしてて兄弟もいないから、長は何て言うか、お姉さんみたいで」
「オレもカゾク!」
「ハハ!ごめん、悪男とショーキも空も家族だよ」
その様子を見て、またルースは静かに周囲の景色に目を向けた。
太陽と話した後の彼は終始こんな感じだ。
太陽は勿論、悪男や空と話す様子も無く、ただ時折、北のほうに視線を向けている。
彼が何故魔王に惹かれたのか。
怖くて太陽は聞けないままだった。
一方、西の館では、長と鳥族のみんなが空と悪男から北で何があったかを聞いた後、2人を待っていた。大号泣して。
よって、2人が西の館に戻った時、館は大騒ぎになった。
「セーヤ、ルース、アンタ達は何でこんなに苦労するんだい!可哀想に」
「え?長?」
長に泣きつかれて、太陽は面食らった。
周囲の鳥族のみんなも口々に、お幸せに、とか、もうお2人の邪魔はしません、とか2人を応援するムードだった。
空も悪男も呆れている。これでは肝心の瘴気の話し合いどころでは無い。
「あの、長。俺達の事は大丈夫です。これからまたルースさんに俺の事を知ってもらって、好きになってもらえる様に頑張りますから」
太陽が笑顔で言った言葉に、また鳥族達は泣いた。
「あの、長。それより瘴気の事なんですけど」
「もう!そんなの引き受けるに決まってるだろ!水臭い!アタイら鳥族を救ってれた魔王様とセーヤの為なら、任せときな!」
長に続いて、鳥族のみんなも賛同した。
こうして、よく分からない内に鳥族の承諾を無事取り付けたのだった。
◇◇◇
「もう行くのかい?」
数刻経ったというのに、まだ目を泣き腫らして、長が残念そうに声をかけて来た。
西との話し合いが終わったので、これから東に向かう所だ。北からずっと休み無しで疲れてはいるが、時間が惜しい。だから今日中に向かう事にしたのだ。
「はい。東の説得が出来たら、南に向かいます。南で会いましょう。中央のアキエスさん達の件はお願いします」
「わかった。任せときな。気をつけるんだよ」
「はい。行って来ます」
大きな鳥に変化した悪男の背に乗り込む。もちろんルースと空も一緒だ。
ここで援軍メンバーは一旦解散し、参加していた鳥族に代わって、残っていた鳥族が銀狼とエルフ達を各々送ってくれる事になっている。
ここから東へは太陽達と東に帰る銀狼達だけだ。
「また、後で!」
舞い上がる悪男の背中の上から、太陽は見送ってくれている鳥族のみんなに手を振った。
他の銀狼達を乗せた赤い鳥達も、続いて飛び立つ。
今回の東へのルートは、迂回して西から直接東へ入る予定だ。前回ルースが東の小屋へ向かった時と同じルートだが、今回は空を飛んで向かうのでアクロバティックな移動にならなかったのは幸いだ。
逆に東から西に戻る時は山や谷、崖を避ける為、中央部分を通って北の魔物に襲われた。だから、今回は中央の土地には踏み入れ無い事にしている。
「セーヤは、西のみんなと仲が良いんだね」
それまで大人しかったルースの疑問に、太陽は、ハイ!と嬉しそうに答えた。
「鳥族のみんなは、何て言うかあったかいです」
「そうだね」
「俺、両親も亡くしてて兄弟もいないから、長は何て言うか、お姉さんみたいで」
「オレもカゾク!」
「ハハ!ごめん、悪男とショーキも空も家族だよ」
その様子を見て、またルースは静かに周囲の景色に目を向けた。
太陽と話した後の彼は終始こんな感じだ。
太陽は勿論、悪男や空と話す様子も無く、ただ時折、北のほうに視線を向けている。
彼が何故魔王に惹かれたのか。
怖くて太陽は聞けないままだった。
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