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第五章 果てなき旅路より戻りし者
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ガソルが空の意見をのんだ。
その後すぐ銀狼一族が広間に集められ、ガソルから今後の瘴気への対策と、湖周辺を立ち入り禁止区域にする事が伝えられた。
反対する者はいなかった。
銀狼一族は長を頂点とする完全な縦社会だ。上の者が決めたら逆らう者はいない。前回、空に楯突いたのがおかしかったのだ。
瘴気の原因や魔王の正体に関しては、事前にガソルが説明をしていたので、皆の飲み込みも早かった。
これで東ですべき事は終わった。
◇◇◇
話し合いが終わった後、それぞれが再会を喜んでいる。久しぶりの元長、空は大人気だ。
悪男も珍しい鳥族の登場に、興味津々に話しかけられている。
そして前回同様、ルースの周りにも多くの銀狼が集まっている。所々、記憶が抜けているルースだったが、当たり障り無い範囲で接している様だった。
「姐さん!お久しぶりです!」
やけに元気な獣人に声をかけられた。
振り向くと、前に太陽に風の刃で攻撃した銀狼の少年だった。
「よぉ、久しぶり!あの時は食料とか鉱石とか沢山ありがとな!」
やっぱり姐さんて俺の事だったのか。とりあえず聞かなかった事にして、前回貰った贈り物へのお礼を述べた。
彼らの集めてくれた物は、これまでの旅でとても役に立った。感謝しても仕切れない。
「へへ!」
獣人の少年が嬉しそうに鼻を触う。
「そういえば姐さん!ソラ様とはどうなったの?」
「何が?」
「ソラ様言ってたじゃん!姐さんとはまだ恋人じゃないって!もう恋人になった?」
あんなに騒がしかった広間がシーンとなった。
獣人達の獣耳が、ピコピコ動いていて、こっちの会話を聞いてるのが丸わかりだった。
恐る恐る、ルースの方を見れば、バッチリ目が合った。しかも軽く微笑まれた。あの例の本音を隠す時の笑顔だ!これは絶対誤解してる!
「おいお前!俺とソラ兄貴はセーヤの家族だ!困らせるな」
「コイビトちがう!」
悪男とショーキが太陽を背に庇った。
悪男!ショーキ!ちょっと感動しかけたが。
「家族?じゃあ恋人じゃなくて、お前が姉さんの番なのか?ソラ様とも?」
「な、違う!番じゃない!」
「何言ってんだよ?家族ってそういう事だろ?」
余計に話がこじれた!
見兼ねた空が悪男と獣人の少年の間に割って入った。
「いい加減にしろ。セーヤはまだ誰とも番ってない。オレとコイツはセーヤの従属だから家族同様の仲間という意味だ」
そしてガソルを振り向くと。
「オレ達は疲れてるからそろそろ休むぞ。明日南で合流だ。今日はあの小屋で休む」
「わかりました」
ガソルが頷いたのを確認して、太陽と悪男、ルースを促して空は洞の外へ歩き出した。
洞の外はすっかり闇に包まれていた。分厚い雲で、雲も月もない。本当の闇夜。崖下の森も見えなかった。
「悪男、飛べるか?」
「無理!俺、鳥目だから!」
「ミエナイ」
「仕方ないな」
空が銀狼の姿になった。太陽とルースに乗る様に促す。悪男は小鳥になって太陽の洋服の隙間に入った。
「わざわざ別の場所に行くの?」
ルースの疑問に空は、ふんと鼻を鳴らした。
「多分、あの小屋に行けるのは今日が最後だ。湖を器にしたら、あそこはもう入れん」
「あの湖の近くの管理小屋の事?」
「そうだ。お前とセーヤが過ごした想い出の場所だ」
その言葉に、ルースが太陽に視線を向けた。太陽は何かを我慢してる様な泣きそうな表情だった。
「…わかった。行こう」
太陽を前にしてルースが後ろに跨ると、空は勢いよく崖下にジャンプした。
その後すぐ銀狼一族が広間に集められ、ガソルから今後の瘴気への対策と、湖周辺を立ち入り禁止区域にする事が伝えられた。
反対する者はいなかった。
銀狼一族は長を頂点とする完全な縦社会だ。上の者が決めたら逆らう者はいない。前回、空に楯突いたのがおかしかったのだ。
瘴気の原因や魔王の正体に関しては、事前にガソルが説明をしていたので、皆の飲み込みも早かった。
これで東ですべき事は終わった。
◇◇◇
話し合いが終わった後、それぞれが再会を喜んでいる。久しぶりの元長、空は大人気だ。
悪男も珍しい鳥族の登場に、興味津々に話しかけられている。
そして前回同様、ルースの周りにも多くの銀狼が集まっている。所々、記憶が抜けているルースだったが、当たり障り無い範囲で接している様だった。
「姐さん!お久しぶりです!」
やけに元気な獣人に声をかけられた。
振り向くと、前に太陽に風の刃で攻撃した銀狼の少年だった。
「よぉ、久しぶり!あの時は食料とか鉱石とか沢山ありがとな!」
やっぱり姐さんて俺の事だったのか。とりあえず聞かなかった事にして、前回貰った贈り物へのお礼を述べた。
彼らの集めてくれた物は、これまでの旅でとても役に立った。感謝しても仕切れない。
「へへ!」
獣人の少年が嬉しそうに鼻を触う。
「そういえば姐さん!ソラ様とはどうなったの?」
「何が?」
「ソラ様言ってたじゃん!姐さんとはまだ恋人じゃないって!もう恋人になった?」
あんなに騒がしかった広間がシーンとなった。
獣人達の獣耳が、ピコピコ動いていて、こっちの会話を聞いてるのが丸わかりだった。
恐る恐る、ルースの方を見れば、バッチリ目が合った。しかも軽く微笑まれた。あの例の本音を隠す時の笑顔だ!これは絶対誤解してる!
「おいお前!俺とソラ兄貴はセーヤの家族だ!困らせるな」
「コイビトちがう!」
悪男とショーキが太陽を背に庇った。
悪男!ショーキ!ちょっと感動しかけたが。
「家族?じゃあ恋人じゃなくて、お前が姉さんの番なのか?ソラ様とも?」
「な、違う!番じゃない!」
「何言ってんだよ?家族ってそういう事だろ?」
余計に話がこじれた!
見兼ねた空が悪男と獣人の少年の間に割って入った。
「いい加減にしろ。セーヤはまだ誰とも番ってない。オレとコイツはセーヤの従属だから家族同様の仲間という意味だ」
そしてガソルを振り向くと。
「オレ達は疲れてるからそろそろ休むぞ。明日南で合流だ。今日はあの小屋で休む」
「わかりました」
ガソルが頷いたのを確認して、太陽と悪男、ルースを促して空は洞の外へ歩き出した。
洞の外はすっかり闇に包まれていた。分厚い雲で、雲も月もない。本当の闇夜。崖下の森も見えなかった。
「悪男、飛べるか?」
「無理!俺、鳥目だから!」
「ミエナイ」
「仕方ないな」
空が銀狼の姿になった。太陽とルースに乗る様に促す。悪男は小鳥になって太陽の洋服の隙間に入った。
「わざわざ別の場所に行くの?」
ルースの疑問に空は、ふんと鼻を鳴らした。
「多分、あの小屋に行けるのは今日が最後だ。湖を器にしたら、あそこはもう入れん」
「あの湖の近くの管理小屋の事?」
「そうだ。お前とセーヤが過ごした想い出の場所だ」
その言葉に、ルースが太陽に視線を向けた。太陽は何かを我慢してる様な泣きそうな表情だった。
「…わかった。行こう」
太陽を前にしてルースが後ろに跨ると、空は勢いよく崖下にジャンプした。
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