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第六章 運命を壊す者
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物語の都合上、主人公(の意識が)不在になります。
ーーー
『元々この魂の主人格は私なの。だから私が彼に譲らない限り彼は目覚めないわ』
太陽の姿をした王女の言葉に、ユナと西の長が絶望した様に顔を青ざめさせた。
「そんな!」
「セーヤ…」
つい先程まで、ルースとの婚約を喜んでいたのに。何故急に?信じられない気持ちでいっぱいだった。
それはルースの伯父ベイティも同じだった。
「王女、セーヤはこの世界を救う為に苦労をして来た。だからどうか瘴気が落ち着いたら、甥のルースと彼を婚姻させてもらえぬだろうか」
『……』
王女がベイティを一瞥した。
ユナと鳥の長もお願いしますと懇願した。
ルースはショックのあまり青ざめたまま口を閉ざしている。
空やガソル、アキエスは静かに成り行きを見ていた。
王女はただ静かに周囲のみんなを見回す。
その時、悪男とショーキが「セーヤ…」と泣きそうな顔で呟いた。
『…何よ。みんなしてセーヤ、セーヤって。言ったでしょ?この魂の主犯格は私なの!』
怒った様に怒鳴って、王女は部屋を飛び出した。
◇◇◇
「どこ行くの!?」
エルフの館を飛び出した王女を追いかけて、腕を掴んだのはルースだった。
「離してよ!北に行くの!」
「1人で?」
信じられない、と驚いたルースの腕を王女が振り解いた。そのままエルフの里を観光していた鳥族に声をかけた。
「ねえ、貴方。私を北へ連れて行ってくれない?」
「え?ええー!俺がですか!?」
いきなり金の者にかけられた鳥族が慌てる。いつの間にか周囲に人だかりが出来ていた。
「わ、わかりやした!俺がお供します!」
「俺も!」
一気に王女の周りを数人の男達が囲んだ。
その様子に、王女はルースを見て、ふんと鼻で笑った。まるで、お前なんか必要じゃ無いとでも言う様に。
「セーヤ!」
ルースの声を無視して、王女は鳥族と共にエルフの里を後にした。
南から北への進路は一直線だ。
南から中央の地を通り過ぎて、一気に北へ入る。
王女の乗った鳥族以外にも、数羽の鳥族と銀狼、エルフが護衛を兼ねてついて来ていた。
北へ乗り込むと、案の定、北の魔物達が襲って来た。王女は威嚇する為、魔物の近くに金の炎の矢を打ち込んだ。
『引きなさい!貴方達では私には勝てない!』
王女が主人格として目覚めてから、金の能力は格段に力を増していた。その攻撃は強力で、魔物達を怯えさせるには充分だった。
圧倒的な能力差で化け物達が怯んだ隙に、王女達は一気に北の大地を駆け抜けた。
◇◇◇
北の城に辿り着いた王女達は、その手前で雪の大地に降り立った。
王女の意識の太陽は、北ではありえない程に薄着だった。でも全く寒そうな素振りは見えない。自らの身体に程よい熱波を纏わせ、温かくしてるからだ。
城に向かって歩き出した瞬間、足元に矢が突き刺さった。
王女の足元に潜んでいた闇の精霊が矢に貫かれ、霞み消え去った。王女を襲おうとした瞬間に誰かが弓矢で射たのだ。
上空から赤い鳥が降りて来た。鳥になった悪男の背には空と、弓を構えたルースが乗っていた。王女を追って来たのだ。
そのまま降り立つと、ルースと空、小鳥になった悪男が王女に近づいて来た。
「……何故?」
何故ついてきたのか。本来の主人格である自分を受け入れなかったくせに。
王女の中にそんな不満と疑問が湧き上がる。
「その身体はセーヤの物だから」
「……」
ふい、と王女はルース達を無視して城に向かった。
ーーー
『元々この魂の主人格は私なの。だから私が彼に譲らない限り彼は目覚めないわ』
太陽の姿をした王女の言葉に、ユナと西の長が絶望した様に顔を青ざめさせた。
「そんな!」
「セーヤ…」
つい先程まで、ルースとの婚約を喜んでいたのに。何故急に?信じられない気持ちでいっぱいだった。
それはルースの伯父ベイティも同じだった。
「王女、セーヤはこの世界を救う為に苦労をして来た。だからどうか瘴気が落ち着いたら、甥のルースと彼を婚姻させてもらえぬだろうか」
『……』
王女がベイティを一瞥した。
ユナと鳥の長もお願いしますと懇願した。
ルースはショックのあまり青ざめたまま口を閉ざしている。
空やガソル、アキエスは静かに成り行きを見ていた。
王女はただ静かに周囲のみんなを見回す。
その時、悪男とショーキが「セーヤ…」と泣きそうな顔で呟いた。
『…何よ。みんなしてセーヤ、セーヤって。言ったでしょ?この魂の主犯格は私なの!』
怒った様に怒鳴って、王女は部屋を飛び出した。
◇◇◇
「どこ行くの!?」
エルフの館を飛び出した王女を追いかけて、腕を掴んだのはルースだった。
「離してよ!北に行くの!」
「1人で?」
信じられない、と驚いたルースの腕を王女が振り解いた。そのままエルフの里を観光していた鳥族に声をかけた。
「ねえ、貴方。私を北へ連れて行ってくれない?」
「え?ええー!俺がですか!?」
いきなり金の者にかけられた鳥族が慌てる。いつの間にか周囲に人だかりが出来ていた。
「わ、わかりやした!俺がお供します!」
「俺も!」
一気に王女の周りを数人の男達が囲んだ。
その様子に、王女はルースを見て、ふんと鼻で笑った。まるで、お前なんか必要じゃ無いとでも言う様に。
「セーヤ!」
ルースの声を無視して、王女は鳥族と共にエルフの里を後にした。
南から北への進路は一直線だ。
南から中央の地を通り過ぎて、一気に北へ入る。
王女の乗った鳥族以外にも、数羽の鳥族と銀狼、エルフが護衛を兼ねてついて来ていた。
北へ乗り込むと、案の定、北の魔物達が襲って来た。王女は威嚇する為、魔物の近くに金の炎の矢を打ち込んだ。
『引きなさい!貴方達では私には勝てない!』
王女が主人格として目覚めてから、金の能力は格段に力を増していた。その攻撃は強力で、魔物達を怯えさせるには充分だった。
圧倒的な能力差で化け物達が怯んだ隙に、王女達は一気に北の大地を駆け抜けた。
◇◇◇
北の城に辿り着いた王女達は、その手前で雪の大地に降り立った。
王女の意識の太陽は、北ではありえない程に薄着だった。でも全く寒そうな素振りは見えない。自らの身体に程よい熱波を纏わせ、温かくしてるからだ。
城に向かって歩き出した瞬間、足元に矢が突き刺さった。
王女の足元に潜んでいた闇の精霊が矢に貫かれ、霞み消え去った。王女を襲おうとした瞬間に誰かが弓矢で射たのだ。
上空から赤い鳥が降りて来た。鳥になった悪男の背には空と、弓を構えたルースが乗っていた。王女を追って来たのだ。
そのまま降り立つと、ルースと空、小鳥になった悪男が王女に近づいて来た。
「……何故?」
何故ついてきたのか。本来の主人格である自分を受け入れなかったくせに。
王女の中にそんな不満と疑問が湧き上がる。
「その身体はセーヤの物だから」
「……」
ふい、と王女はルース達を無視して城に向かった。
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