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第五章 果てなき旅路より戻りし者
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人間側の代表として、西の館にやって来たのは男3人だった。
偉そうな態度の恰幅の良い50代位の男と、チャラそうな20代位の優男と、ガタイの良いイカつい顔の30代位の男だった。
「おおー。そなたが光の力を宿す者か!」
偉そうな恰幅の良い50代位の男が太陽を見ると、早速近づいて来てジロジロと太陽を見回した。
「胸は無いが大層な美人だな!よし決めた、お前をワシの第3の妻にしてやろう!ワシは王族の末裔ぞ。喜ぶがいい」
「はぁー!!!?」
太陽、悪男、鳥の長の声が合わさった。
空とガソルは耳と尻尾が逆立ち臨戦体制になった。
ベイティは静かに成り行きを見守っている。
「第3の…あの…俺男ですけど…」
「何だと!ではお前は勇者の方か?」
「聖女の方だと思います。勇者は別にいますから」
「何だと!では今代の金の者はどちらも男か!では仕方ない、そちと勇者にワシの娘達をやろう。世が世なら王女だぞ」
「お断りします!」
何なんだコイツ!
空が先程言っていた、太陽を王族に取り込みたいという発言は当たっていた様だ。だけど、こんなに一方的な相手とは思わなかった。
こちらの事情を全く聞こうともしない男にムカムカしてくる。
「何故じゃ?ワシの娘と結婚し、聖女か勇者のどちらの子に金の力が伝われば、そちも役目は果たせるだろう」
「…あなたの言ってる事が分かりません」
この男は何を言ってるんだろう。何故太陽と勇者の未来をコイツが決めつけるのか。
だんだんムカムカを通り越して、吐き気がしてきた。
「お前こそ何を言っている?王族は次世代に金の血を残すのが役割じゃ。お前と勇者が男同士で産めないなら、他の王族の女に産ませるのが役割だろう。これが昔からの王族の掟じゃ」
王族の掟。
自由を望めず、飼い殺され、次世代を産むだけの存在。
気分が悪くて立ち眩みでよろけた太陽を、空が支えた。
「人間よ。コイツにはそれは当てはまらん」
「何?」
「コイツはそもそもこの世界の人間では無い。この滅びゆく世界を救う為に異世界から来た者だ。よって、お前達の為に犠牲になる必要は無い」
「何だと!お前は東の獣だな!獣風情が光の王族に盾突くとは何事か!」
瞬間、男の足元の数箇所がザシュッという音と共に削れた。
驚いて、足を大きくバタバタさせた男の足元に、更に追加で数本の赤い羽根が刺さった。ガソルと鳥の長だった。
「ひい~!何をする!」
「我が一族ばかりか、聖女に祝福を受けた聖獣を獣呼ばわりするか!死にたいらしいな!」
「だから人間の王族は大嫌いなんだよ!こんなヤツ殺して、皮を剥いで、砂漠の虫達にくれてやろう!」
「ひい~!おい!お前達、ワシを助けんか!」
男がわめきながら自分の背後を振り向いた。
チャラい優男はニヤニヤして様子を見ている。護衛の方は微動だにせず控えたままだ。
「お前達も我らを愚弄するなら容赦せんぞ」
「支援と後処理は任せな。アタシらの得意分野だよ」
ガソルと鳥の長の目が、それぞれ青く、赤く光っている。興奮して好戦的になっている証拠だ。
それを見て優男が先程から静かなベイティに視線を向けた。
「そちらのエルフはどういう立場ですか?」
「我々エルフは金の者につく。彼が望まない事に手を貸すつもりは無い」
「東、南、西は王族で無く、あくまで金の力を宿す彼につくという事ですね?」
優男の言葉に、ガソル、鳥の長、ベイティがそれぞれに肯定した。
「という事みたいですよ元王族様」
優男が、先程から顔を真っ青にしている恰幅の良い元王族の男に近づいた。
「阿呆、阿呆だと思ってたけど。ここまで愚かだと思わなかったです。金の者に無礼を働いた阿呆様はもう人間の代表にも王族にも相応しく無いから、退場でいいですね」
「何を…ムグッ」
優男は偉そうな男の口に布を詰め込んで、一気に紐でグルグル巻きにすると、男を護衛の男へ放り投げた。
それを護衛の男がまるで荷物を受け取る様に一度腕で受け止め、足元に捨てた。床に落ちた元王族の男はグフッと変な声を上げて動かなくなった。
「さて」
優男がターバンの様に被っていた布を外しながら振り向く。天然パーマのかかった見事なウェーブが広がった。優男の髪はまるで透け具合で金に見えるかの様な薄い茶色だった。
優男はそのままその場に跪いた。護衛の男も優男に倣い跪く。
展開についていけず空に支えられたままだった太陽に向かって、優男が頭を垂れた。
「金の者よ。数々のご無礼申し訳ございませんでした。我が名はアキエス。元勇者の末裔に連なる者。阿呆の元王族に代わり私が人間族をまとめ上げ、貴方様に従いましょう」
偉そうな態度の恰幅の良い50代位の男と、チャラそうな20代位の優男と、ガタイの良いイカつい顔の30代位の男だった。
「おおー。そなたが光の力を宿す者か!」
偉そうな恰幅の良い50代位の男が太陽を見ると、早速近づいて来てジロジロと太陽を見回した。
「胸は無いが大層な美人だな!よし決めた、お前をワシの第3の妻にしてやろう!ワシは王族の末裔ぞ。喜ぶがいい」
「はぁー!!!?」
太陽、悪男、鳥の長の声が合わさった。
空とガソルは耳と尻尾が逆立ち臨戦体制になった。
ベイティは静かに成り行きを見守っている。
「第3の…あの…俺男ですけど…」
「何だと!ではお前は勇者の方か?」
「聖女の方だと思います。勇者は別にいますから」
「何だと!では今代の金の者はどちらも男か!では仕方ない、そちと勇者にワシの娘達をやろう。世が世なら王女だぞ」
「お断りします!」
何なんだコイツ!
空が先程言っていた、太陽を王族に取り込みたいという発言は当たっていた様だ。だけど、こんなに一方的な相手とは思わなかった。
こちらの事情を全く聞こうともしない男にムカムカしてくる。
「何故じゃ?ワシの娘と結婚し、聖女か勇者のどちらの子に金の力が伝われば、そちも役目は果たせるだろう」
「…あなたの言ってる事が分かりません」
この男は何を言ってるんだろう。何故太陽と勇者の未来をコイツが決めつけるのか。
だんだんムカムカを通り越して、吐き気がしてきた。
「お前こそ何を言っている?王族は次世代に金の血を残すのが役割じゃ。お前と勇者が男同士で産めないなら、他の王族の女に産ませるのが役割だろう。これが昔からの王族の掟じゃ」
王族の掟。
自由を望めず、飼い殺され、次世代を産むだけの存在。
気分が悪くて立ち眩みでよろけた太陽を、空が支えた。
「人間よ。コイツにはそれは当てはまらん」
「何?」
「コイツはそもそもこの世界の人間では無い。この滅びゆく世界を救う為に異世界から来た者だ。よって、お前達の為に犠牲になる必要は無い」
「何だと!お前は東の獣だな!獣風情が光の王族に盾突くとは何事か!」
瞬間、男の足元の数箇所がザシュッという音と共に削れた。
驚いて、足を大きくバタバタさせた男の足元に、更に追加で数本の赤い羽根が刺さった。ガソルと鳥の長だった。
「ひい~!何をする!」
「我が一族ばかりか、聖女に祝福を受けた聖獣を獣呼ばわりするか!死にたいらしいな!」
「だから人間の王族は大嫌いなんだよ!こんなヤツ殺して、皮を剥いで、砂漠の虫達にくれてやろう!」
「ひい~!おい!お前達、ワシを助けんか!」
男がわめきながら自分の背後を振り向いた。
チャラい優男はニヤニヤして様子を見ている。護衛の方は微動だにせず控えたままだ。
「お前達も我らを愚弄するなら容赦せんぞ」
「支援と後処理は任せな。アタシらの得意分野だよ」
ガソルと鳥の長の目が、それぞれ青く、赤く光っている。興奮して好戦的になっている証拠だ。
それを見て優男が先程から静かなベイティに視線を向けた。
「そちらのエルフはどういう立場ですか?」
「我々エルフは金の者につく。彼が望まない事に手を貸すつもりは無い」
「東、南、西は王族で無く、あくまで金の力を宿す彼につくという事ですね?」
優男の言葉に、ガソル、鳥の長、ベイティがそれぞれに肯定した。
「という事みたいですよ元王族様」
優男が、先程から顔を真っ青にしている恰幅の良い元王族の男に近づいた。
「阿呆、阿呆だと思ってたけど。ここまで愚かだと思わなかったです。金の者に無礼を働いた阿呆様はもう人間の代表にも王族にも相応しく無いから、退場でいいですね」
「何を…ムグッ」
優男は偉そうな男の口に布を詰め込んで、一気に紐でグルグル巻きにすると、男を護衛の男へ放り投げた。
それを護衛の男がまるで荷物を受け取る様に一度腕で受け止め、足元に捨てた。床に落ちた元王族の男はグフッと変な声を上げて動かなくなった。
「さて」
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