【完結】壊された女神の箱庭ー姫と呼ばれていきなり異世界に連れ去られましたー

秋空花林

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第六章 運命を壊す者

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 たっぷりルースに愛された2日間。

 腰がたたなくなった太陽は、ルースにおぶられて城へ戻った。

「思ったより早かったな」

 空は城の広間で、頭に小鳥と小さな金の妖精を乗せて床に寝そべっていた。側には妖精王やラリエス達もいた。

 空の頭から金の妖精が飛んでくると、スッと太陽の中に入ってきた。途端に腰の痛みや重みが無くなった。

 すごい。これが金の癒しの力。

 改めてその能力を実感した。王女と金の力が戻ってみれば、城全体に漂う白の聖気や、妖精達の羽根から溢れ落ちる白い光の粒も見えた。

 ルースや空達と自分の間ではこんなにも見える世界が違うんだ。その差に、なんだか寂しい気持ちになった。



◇◇◇



 この世界に名前をつける。

 女神がこの世界を作った時以来の大きなイベントにふさわしい場所をという事で。中央の元王族達の城の前が選ばれた。

 既に各地の長達から各種族に通達されていた為、多くの種族達が城前に集まっていた。

 太陽は城の中でそれらしい服装に着替えさせられていた。ピラピラして、何だかスースーする。

 鏡に映った自分を見ると、どう見ても女物だった。既に髪も瞳も金色に変化させて、最終チェックをしているが、どうもしっくり来ない。

「アキエスさん。これ女物ですよね?俺髪も短いし、似合わないのでもう少しなんとかなりませんか?」
「では下はズボンにしましょう」

 中央の城の管理は人族代表として、アキエスとその仲間が一手に引き受けてくれていた。

 元々この城は瘴気が酷くて、捨てられた場所だったそうだが、結界が張られた後は人が住める様に少しずつ掃除したりして管理しているそうだ。この場所を何に使うかは検討中らしい。

 アキエスの準備してくれたズボンに履き替えると、少しはマトモになった。相変わらず上はピラピラしているが、ここでの宗教的な制服らしいので我慢することにした。

 更に何か装飾物の帽子を被させられた。

 側で待機していたルース、空、悪男が似合ってると言ってくれたので、まぁいいかと何とか自分を納得させた。

 部屋を出ると、妖精王、ラリエス、キャスが待機していた。ラリエスとキャスは護衛として側についてくれるので正式な騎士服を着ていた。

 いつものチャラさが無くなりラリエスは元勇者に相応しい風格だった。キャスも本来の真面目さがより際立ち、この人は本当に王族の護衛をしていたんだと納得させられる。

 アキエスについて廊下を移動した。太陽の脇にはラリエスとキャス。少し離れてルース達一向もついてきていた。

 儀式的な物だからルースや空らは側にいれないそうだ。

 誘導されるまま城門に出ると、城の前にはすごい人だかりだった。

 人間だけでなく、東の獣人、南のエルフ達の姿も見える。空には西の鳥族と北の妖精達もいた。それぞれの羽根から赤と紫、白と水色の光の粒が流れて、今この瞬間を祝福している様だった。

 やっと、ここまで来た。

 ふいに沸き起こる気持ちがあった。自分の感情じゃない。多分、王女としての感情。

 納得いかない定めを押し付けられ、城を飛び出し、世界を渡って解決策を探した。これまでの行動力、そして苦労を思うと、王女には敬意しか無い。思わず感動で涙が出そうだった。 

「聖女、こちらへ」

 ラリエスに誘導されて進む。城の前の広場に壇上のような物が準備され、そこが儀式を行う場所だった。

 導かれるまま壇上へ歩き出した。
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