【完結】暁の騎士と宵闇の賢者

エウラ

文字の大きさ
28 / 40

28 もう一つの報告

しおりを挟む

「さて、その話はもうお終い。今度はコッチの話です!」

急にエヴァルドが明るい声でパンッと手を合わせる。
俺もアルヴァもエヴァルドに注目した。すると隣に座るアディスにも自然と視線が向く。

ちょっと頬を赤らめるアディスに、俺はピンときた。
昨日アディスが言ってたヤツじゃないか!?

「えー、まず、私の亡くなった番いの生まれ変わりがアディスというのはここにいる者全員が知っていると思うが・・・・・・だよね、アディス?」
「ええ、話してありますよ」

アディスがそう言うとにっこり笑うエヴァルド。ご機嫌で続きを話し出す。

「父上達にも話をして家族会議をした結果、アディスはダスク公爵家の当主で後継者を残さないといけない身だから、私がダスク公爵家に婿入りすることになった」
「・・・・・・あー、やっぱり?」
「まあ、ソレが妥当だろうな」

昨日話したとおりに婿入りか。・・・・・・ということは・・・・・・?

「その代わり、アルヴァがドーン家の次期当主となるため、セラータ君がドーン家に嫁入りしてもらうことになるんだけど・・・・・・」

ちょっと気遣わしげに見ながらそう言われたけど、俺は嫁に行くことに何とも思ってないよ。何か問題が?

「あー、いや・・・・・・。アディスが猫可愛がりしている君を手放すのは辛いかなと。これは一方的な私達の都合だし・・・・・・」
「え? いや別に何にも問題ないよ? そもそもお隣さんだし昔から家族ぐるみだし」

そりゃあ他領のことだから知らないことも多いし、知り合いもいないし。でも俺は元々友人と呼べるヤツはアルヴァしかいなかったからなあ・・・・・・。
そういう点では特に困ることはない。

俺は本気でそう思ってたんだけど・・・・・・。

「そ・・・・・・そんな・・・・・・簡単に・・・・・・親離れ」

アディスが青い顔で呆然と呟いた。え!? そんなにショック!?

「だって・・・・・・セラータは、私の子なんだよ? 大切に大切に愛して育てたのに、こんなにあっさり・・・・・・!?」
「え、いや確かにそうなんだけど・・・・・・そんなに!?」
「だってだって! セラはなんだよ! そりゃあ愛おしいに決まってる! ソレが、なんて・・・・・・ううっ・・・・・・」
「───は?」
「「「えっ!?」」」

アディス以外の全員が素っ頓狂な声を上げた。
ちょっと待て待て! 何か聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけど!?

「ととと父様、あの、ソレって父様とエヴァルドお兄さんが番うから義理の親子って意味だよね!?」
「ううん、違うよ。セラータは前世で宿エヴァルドとの子の生まれ変わりなんだよ」
「・・・・・・・・・・・・へぁっ!?」

今度こそ全員固まった。

俺が、前世のアディスとエヴァルドの子だった? 生まれる前にその前世のアディスが死んで、俺もそのまま死んじゃったってこと?

「・・・・・・私に記憶があると言ったろう? だから腹に宿った小さな命の気配や魔力も覚えていた。それであの日、魔法を発現したセラータを見て、もしかしてというのはあったんだ」

ソレからすくすく育って、自分とエヴァルドの魔力に似ている俺が自分と同じように魔法を使い、戦闘力も似てきて絶対にあのときの子だと確信したらしい。

「・・・・・・・・・・・・本当に?」
「うん。絶対に私達の子だ」

そう言いきるアディスに、俺は死ぬまで言うまいと思っていた前世の記憶を自然と口に出していた。

「俺、俺も前世の記憶があって・・・・・・、でもココじゃない世界で育った、魔法とかない平和な世界で、ごく普通の、格闘とか好きなだけの平凡な人間で・・・・・・早くに事故で死んで」

皆が息を飲むのが分かったが、俺はそのまま続けた。

「俺、父様に会ったあのときに初めて記憶が戻って、何でこんな世界に生きてるんだろうってずっと疑問に思ってたんだけど、そっか・・・・・・父様達の世界に生まれ直してたんだね」

───父様達や、アルヴァに出逢うために・・・・・・。

「やっと分かった。俺は、ココにいていい人間だったんだ」

そう言ったらアルヴァにぎゅっと抱きしめられて、そのあとすぐにアディスとエヴァルドにも抱き付かれて。

ぎゅうぎゅうと潰されながら、俺はほろほろと涙を溢した。








※たぶん次が本編最終話で、そのあと番外編予定。
番外編は書き溜めてから投稿する順番を考えるのでちょっと遅くなります。
また忙しくなるので。
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

神子は再召喚される

田舎
BL
??×神子(召喚者)。 平凡な学生だった有田満は突然異世界に召喚されてしまう。そこでは軟禁に近い地獄のような生活を送り苦痛を強いられる日々だった。 そして平和になり元の世界に戻ったというのに―――― …。 受けはかなり可哀そうです。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ
BL
 高校生の頃、片想いの親友に告白した。  彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。  もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。  彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。  そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。  同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。  あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。  そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。 「俺もそろそろ恋愛したい」  親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。  不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。

追放系治癒術師は今日も無能

リラックス@ピロー
BL
「エディ、お前もうパーティ抜けろ」ある夜、幼馴染でパーティを組むイーノックは唐突にそう言った。剣術に優れているわけでも、秀でた魔術が使える訳でもない。治癒術師を名乗っているが、それも実力が伴わない半人前。完全にパーティのお荷物。そんな俺では共に旅が出来るわけも無く。 追放されたその日から、俺の生活は一変した。しかし一人街に降りた先で出会ったのは、かつて俺とイーノックがパーティを組むきっかけとなった冒険者、グレアムだった。

不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!

ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。 その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。 しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。 何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。 聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)

愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる

彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。 国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。 王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。 (誤字脱字報告は不要)

好きなだけじゃどうにもならないこともある。(譲れないのだからどうにかする)

かんだ
BL
魔法使いが存在する世界。 皇太子の攻めと学生時代から付き合っていた受けは、皇帝からの許しも得て攻めと結婚した。だが、魔法使いとしても次期皇帝としても天才的な攻めに、後継を望む周囲は多い。 好きなだけではどうにもならないと理解している受けは、攻めに後継を作ることを進言するしかなく…。

転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜

たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話 騎士団長とのじれったい不器用BL

処理中です...