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ある意味お花畑
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あれから僕達は番って、蜜月に入った。
ユーリには悪いけど、最低3日は籠もってヤりっ放し。
もちろんユーリがダウンしないように合間にご飯は食べさせた。
僕は魔力があれば大丈夫だからね。
3日経って落ち着いて、その後7日はユーリが起きてる時間も一応あった・・・はず。
目が覚めたユーリに散々文句を言われたけど、照れ隠しって分かってるから後悔はない。
でもゴメンね?
蜜月が落ち着いて、僕のランクもAになったのでそろそろ移動しようということになった。
ユーリは元々世界中を旅するのに冒険者になったと言ってた。
ソレを僕を拾ったことで暫くこの街に止まっていただけで。
僕もランクがAになって動きやすくなったからね。無理して依頼を受けなくてもいいし。
ランと番って、爛れた蜜月を過ごして約10日。
いやあ・・・・・・お腹いっぱいです。
参った。
何がって、イヤじゃないことが。
俺、受けの方よ?
想像もしてなかったわ。
最初のランの可愛さから抜け出せてなかったから、俺が攻めだと思ってたもの。
なのに実際はアンアン言わされる方で。
でも、ちっともイヤじゃないっていうね・・・。
これが惚れた弱み?
違う?
まあ、どっちでも別に、ランが好きだからいいんだ。
・・・・・・でも腹上死はかんべんな。
「という訳で、貸家の契約も解約したし、ギルドにも報告したし。・・・この街はなんだかんだ、一番長く留まってたな」
ランもちょっと寂しそう。
「ユーリ、これからどこへ行く予定?」
「そうだなあ。ランと番ったし、一度俺達の里へ来ないか?」
「里って、ユーリの故郷? エルフの住む隠里って事?」
ランが少し心配げな顔をしたので慌てて言う。
「あのな、別に仲違いして飛び出したとか、帰れない理由があるとかじゃないんだ。単に俺が外の世界を見たいって言って出て来ただけでちゃんと里の皆にも快く送り出されたって感じ」
だから、と続けようとしたら、ランがぱあっと綻んだ顔をした。
「よかった! 僕と番って仕方なく報告に行くのかと思って、申し訳ない気持ちになってた」
「そんな訳あるか。ソレなら最初から行こうなんて言わないぜ。ヘンな気を使うな。ソレよりも竜だって事で騒がれそうだ・・・」
そっちのがイヤじゃねえの?
「全然。気にしないよ。ねえ、里には僕が竜体になっても大丈夫な広い場所はある?」
ああ、そういやここの所竜体に戻ってないな。かなり大きいんだろうな。
「森は広い。開けた平原もあるから大丈夫だろ? 里は時間がゆっくりと流れているような変わり映えのしない所だから、俺の記憶とさほど変わらない筈だ」
「そっか。じゃあ里に行ったらちょっと羽を伸ばそうかな」
文字通り広げるんだろうな。想像してちょっと笑った。
そんな訳で、やって来ました。エルフの隠里。
常に幻惑魔法と結界魔法で隠蔽しているそうで僕もユーリがいなければ入れなかったと思う。
イヤ、この辺りって感じるから、力尽くで壊せば入れると思うけどね。
ユーリの故郷だよ。
そんなこと絶対しないよ。
「爺様、久し振り」
「お、おお、ユリウスじゃあないか? 帰って来たのか。久しいのう」
里の長老様っぽいエルフだ。
ユーリが話しかけてる。親しそうだな。
「爺様、この子、俺の番いでランって言うんだ。爺様達に紹介したくて連れて来た」
「ランです。初めまして。よろしくお願い致します」
「・・・おお、よろしく・・・お願いいたす。・・・・・・ユリウス、おい、この方、も、もしかして・・・」
「ああ、うん。竜だよ。驚くよねえ?」
いやいや、ユーリ、腰抜かしそうだよ。
僕を凝視して震えている。大丈夫?
「あの、ユーリに拾われて卵から育てて貰ったので、自分としてはこの里の皆が家族みたいなもので・・・そんなに畏まらないで欲しいんですけど・・・」
どうしよう。
ユーリに視線を向けると、僕の言いたいことが伝わったようで、代わりに言ってくれた。
「爺様、ランはもうエルフの家族だ。普通に、俺みたいに接してくれ」
「・・・そう言うのであれば。では、ラン、我らエルフの者はあなたを歓迎しますぞ。こうしてはおれん、早く皆に伝えねば!」
おおい!
ユリウスが嫁さん連れて来たぞーーー!!
「いやいや、俺が嫁だから!」
「僕が旦那です!」
二人して叫んだが、爺様には届かなかった。
苦笑してユーリに聞く。
「ユーリのご家族は?」
「のんびり暮らしてるよ。向こうに家がある。行こうか。紹介するよ」
「うん、ありがとう」
「まあまあ、ユーリ、久し振りに来たと思ったらこんな可愛い子と番ったなんて!」
「でかしたぞ! 可愛い嫁さんだな!」
番いだと紹介した途端、興奮気味に前のめりで来られてランがビクッとした。
うちの親は割と騒々しい。
他のエルフはもう少し穏やかなんだけどな。
「俺が嫁だから」
「は? こんなに可愛いのに?!」
「可愛いは認めるが、ランは竜だからな」
「・・・竜」
「・・・はい、竜です。今は竜人ですけど、ほら」
そういって背中から翼を出すと、両親がぱあっと子供のような目を向けた。
ああ、お伽話の存在が目の前にいるもんな。
気持ちは分かるよ。
「・・・という訳で、僕が旦那です。スミマセン」
「そんなこと! うちのユーリを好いてくれてるだけでいいのよ! あんまり可愛いから間違っちゃっただけで全然構わないのよ。本人たちの問題なんだから」
そうそう。他人が口を出す事じゃないんで問題なし!
「さっき爺様がランを嫁って言ってたから、聞かれたら訂正しといて」
「・・・・・・あらあら。分かったわ。じゃあ、早速宴の準備ね?」
「あの、別に大袈裟にしなくても・・・」
ランが遠慮がちに言うが、娯楽のないここでは、お祝い事は里の皆総出で催される一大イベントなんだ。
あきらめろ。
そう言ったら、無理してるんじゃないならいいんだって。
俺の旦那、気遣いが過ぎる!
可愛いが過ぎる!
落ち着いたらランに抱いて貰おう!
・・・・・・って思った俺の脳内は思ったよりもお花畑だったようだ。
ユーリには悪いけど、最低3日は籠もってヤりっ放し。
もちろんユーリがダウンしないように合間にご飯は食べさせた。
僕は魔力があれば大丈夫だからね。
3日経って落ち着いて、その後7日はユーリが起きてる時間も一応あった・・・はず。
目が覚めたユーリに散々文句を言われたけど、照れ隠しって分かってるから後悔はない。
でもゴメンね?
蜜月が落ち着いて、僕のランクもAになったのでそろそろ移動しようということになった。
ユーリは元々世界中を旅するのに冒険者になったと言ってた。
ソレを僕を拾ったことで暫くこの街に止まっていただけで。
僕もランクがAになって動きやすくなったからね。無理して依頼を受けなくてもいいし。
ランと番って、爛れた蜜月を過ごして約10日。
いやあ・・・・・・お腹いっぱいです。
参った。
何がって、イヤじゃないことが。
俺、受けの方よ?
想像もしてなかったわ。
最初のランの可愛さから抜け出せてなかったから、俺が攻めだと思ってたもの。
なのに実際はアンアン言わされる方で。
でも、ちっともイヤじゃないっていうね・・・。
これが惚れた弱み?
違う?
まあ、どっちでも別に、ランが好きだからいいんだ。
・・・・・・でも腹上死はかんべんな。
「という訳で、貸家の契約も解約したし、ギルドにも報告したし。・・・この街はなんだかんだ、一番長く留まってたな」
ランもちょっと寂しそう。
「ユーリ、これからどこへ行く予定?」
「そうだなあ。ランと番ったし、一度俺達の里へ来ないか?」
「里って、ユーリの故郷? エルフの住む隠里って事?」
ランが少し心配げな顔をしたので慌てて言う。
「あのな、別に仲違いして飛び出したとか、帰れない理由があるとかじゃないんだ。単に俺が外の世界を見たいって言って出て来ただけでちゃんと里の皆にも快く送り出されたって感じ」
だから、と続けようとしたら、ランがぱあっと綻んだ顔をした。
「よかった! 僕と番って仕方なく報告に行くのかと思って、申し訳ない気持ちになってた」
「そんな訳あるか。ソレなら最初から行こうなんて言わないぜ。ヘンな気を使うな。ソレよりも竜だって事で騒がれそうだ・・・」
そっちのがイヤじゃねえの?
「全然。気にしないよ。ねえ、里には僕が竜体になっても大丈夫な広い場所はある?」
ああ、そういやここの所竜体に戻ってないな。かなり大きいんだろうな。
「森は広い。開けた平原もあるから大丈夫だろ? 里は時間がゆっくりと流れているような変わり映えのしない所だから、俺の記憶とさほど変わらない筈だ」
「そっか。じゃあ里に行ったらちょっと羽を伸ばそうかな」
文字通り広げるんだろうな。想像してちょっと笑った。
そんな訳で、やって来ました。エルフの隠里。
常に幻惑魔法と結界魔法で隠蔽しているそうで僕もユーリがいなければ入れなかったと思う。
イヤ、この辺りって感じるから、力尽くで壊せば入れると思うけどね。
ユーリの故郷だよ。
そんなこと絶対しないよ。
「爺様、久し振り」
「お、おお、ユリウスじゃあないか? 帰って来たのか。久しいのう」
里の長老様っぽいエルフだ。
ユーリが話しかけてる。親しそうだな。
「爺様、この子、俺の番いでランって言うんだ。爺様達に紹介したくて連れて来た」
「ランです。初めまして。よろしくお願い致します」
「・・・おお、よろしく・・・お願いいたす。・・・・・・ユリウス、おい、この方、も、もしかして・・・」
「ああ、うん。竜だよ。驚くよねえ?」
いやいや、ユーリ、腰抜かしそうだよ。
僕を凝視して震えている。大丈夫?
「あの、ユーリに拾われて卵から育てて貰ったので、自分としてはこの里の皆が家族みたいなもので・・・そんなに畏まらないで欲しいんですけど・・・」
どうしよう。
ユーリに視線を向けると、僕の言いたいことが伝わったようで、代わりに言ってくれた。
「爺様、ランはもうエルフの家族だ。普通に、俺みたいに接してくれ」
「・・・そう言うのであれば。では、ラン、我らエルフの者はあなたを歓迎しますぞ。こうしてはおれん、早く皆に伝えねば!」
おおい!
ユリウスが嫁さん連れて来たぞーーー!!
「いやいや、俺が嫁だから!」
「僕が旦那です!」
二人して叫んだが、爺様には届かなかった。
苦笑してユーリに聞く。
「ユーリのご家族は?」
「のんびり暮らしてるよ。向こうに家がある。行こうか。紹介するよ」
「うん、ありがとう」
「まあまあ、ユーリ、久し振りに来たと思ったらこんな可愛い子と番ったなんて!」
「でかしたぞ! 可愛い嫁さんだな!」
番いだと紹介した途端、興奮気味に前のめりで来られてランがビクッとした。
うちの親は割と騒々しい。
他のエルフはもう少し穏やかなんだけどな。
「俺が嫁だから」
「は? こんなに可愛いのに?!」
「可愛いは認めるが、ランは竜だからな」
「・・・竜」
「・・・はい、竜です。今は竜人ですけど、ほら」
そういって背中から翼を出すと、両親がぱあっと子供のような目を向けた。
ああ、お伽話の存在が目の前にいるもんな。
気持ちは分かるよ。
「・・・という訳で、僕が旦那です。スミマセン」
「そんなこと! うちのユーリを好いてくれてるだけでいいのよ! あんまり可愛いから間違っちゃっただけで全然構わないのよ。本人たちの問題なんだから」
そうそう。他人が口を出す事じゃないんで問題なし!
「さっき爺様がランを嫁って言ってたから、聞かれたら訂正しといて」
「・・・・・・あらあら。分かったわ。じゃあ、早速宴の準備ね?」
「あの、別に大袈裟にしなくても・・・」
ランが遠慮がちに言うが、娯楽のないここでは、お祝い事は里の皆総出で催される一大イベントなんだ。
あきらめろ。
そう言ったら、無理してるんじゃないならいいんだって。
俺の旦那、気遣いが過ぎる!
可愛いが過ぎる!
落ち着いたらランに抱いて貰おう!
・・・・・・って思った俺の脳内は思ったよりもお花畑だったようだ。
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