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初顔合わせ? 2
しおりを挟む「……、え……? ……りゅ、竜人族……? これが……?」
悪気なく“これ”なんて言ってしまってから、エミリアはしまったと目の前の青年を見る。
とても失礼な物言いだった。気を悪くなさってしまっただろうかと不安に思って義兄を見つめるが──……。
しかし義兄には、なんら変化がない。
彼はただ、顔を合わせてからずっとそうであるように、どこか険しい顔で彼女のことを見つめ続けている。
その痛いほどの視線に戸惑いつつ──エミリアは、頭の中に、ある人の顔を思い浮かべ、自分の胸元を見下ろした。
そこに揺れる銀色のロケットペンダント。
中には、亡き母の絵姿と共に、ある竜人族の青年からもらった一枚の、ウロコが、入っていた。
昨日、彼女にそれをくれたのは、少し日焼けした肌に、涼やかな目を持つ竜人族の青年。
とても麗しい青年だった。
ただ、その人は、今彼女の前にいる義理の兄よりももっと、人族に近い姿をしていた。
エミリアら人族とほとんど変わらぬ身体に、額近くには一対のツノ。
翼や尾はなく、何より顔のつくりが義兄とはまるで違う。
ゆえにエミリアは、彼のドラゴン顔にとても戸惑った。
王都で見かけたことのある竜人族たちも、先に挨拶をした継母グネルも、ツノはあれど、人族とほぼ変わらぬ容姿だったのだが……。
(ど、どういうこと……!? グネル様と、この方は……親子でいらっしゃるのよね……!?)
エミリアは、途方に暮れた瞳を、義兄の後ろに立っている婦人に向けた。
イスに座った父の隣には、彼をいたわるように立つ美しい継母。(……ちなみに父と継母は、一人でオロオロしはじめたエミリアを見て、とてもハラハラしているが……)彼女の顔を──彼女のしっとりと白い素肌を見て。それを義兄のドラゴン顔と見比べたエミリアの瞳には、なおさら困惑が浮かぶ。
……しかし、次の瞬間エミリアはハッとした。
(そ……そうか! 竜人族の方たちは──変身能力があると本で読んだことがあるわ……)
なるほどと思った。
彼女が過去に読んだ書物によれば、その昔、偉大なドラゴン王と人族の妃との婚姻によって生まれた種族の彼らは、竜態、竜人態、人態と、姿を使い分けることができるらしい。
ならば、これはきっと“竜人態”なのね、と、納得を深めたエミリアは、思わずため息をついて、改めて義兄を見つめる。
なんて強そうで立派な姿なのだろうと思った。
さすが、地上最強種と謳われるドラゴンに連なる血族である。
義兄のこの力強い風格は、人族ではけしてかもし出すことのできないもの。
彼からしたら、人族齢十七の自分なんぞ、矮小すぎてアリも同然か、と、エミリア。惚れ惚れと感嘆してから、ふと、一抹の不安が胸をよぎった。
(あ……ら……? え……これ……大丈夫なの……? わ、わたし……お兄様に仲良くしていただけるのかしら……!?)
いかにも屈強そうで、とても大きな竜人族の義兄。
『こんな貧弱な妹は、義理でもいらん!』とか、斬って捨てられそうな気がして……エミリアは、その想像に一人青ざめる。
しかしエミリアは、ここで怯むわけにはいかないと思った。
彼女はなんとしても、この義兄や継母に、自分を気に入ってもらわねばならないのだから。
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