婚約破棄された悪役令嬢は、親の再婚でできた竜人族の義理の兄にいつの間にか求婚されていたみたいです⁉

あきのみどり

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初顔合わせ? 9

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『わたしを好きになってくださいね!』

 エミリアに、そう、猛烈に前のめりで懇願されたグンナールは……一瞬気が遠くなる。
 唖然として見つめる彼女の目は、真剣そのもの。一心に、彼に“好かれたい”と願うような瞳に刺されたグンナールは、全身を覆う強固なウロコの内側に電撃が走ったように感じた。
 その衝撃に、青年は大声で……すでに好きだが⁉ と、叫びたくさえなり──悶絶。

「………………っ……」

 顔面を片手で覆って天を仰ぎ、立ち尽くす彼を、母がどうやら冷たい目で睨んでいたが、それすらも、もうどうでもいいような気がした。
 ただ──やはり彼女に“兄”と呼ばれることには複雑な思いが浮かぶ。
 好いてくれと言ってくれることが猛烈に嬉しい反面、『お兄様』と呼ばれると、『男性としては見ておりません』と宣言されているも同然。

「…………おい」

 苦しさのあまり、彼はつい、苦虫をかみつぶしたようなドラゴン顔でひねりだすように言った。

「お兄様と、呼ぶな」※つらい
「⁉」

 その苦々しい言葉に、エミリアは目を丸くして困惑。
 めいっぱい開かれたミントグリーンの瞳が今にも転げ落ちてきそうだった。

「だ、ダメで……ございます、か……? (それは……継妹として認めたくないって……こと⁉)」※ある意味そう。
「……、……」

 訊ねると、義兄は苦悩顔で自分から目を逸らす。これにはエミリアは呆然。これはあまりにもショックな事態である。──が。つい泣きべそ顔で父に助けを求めそうになって──そこでアルフォンスが、自分たちをハラハラした顔で見守っているのを見て、ハッとする。

(! ダメだわ! お、おおおお父様が心配なさっている!)

 負傷して以来、少し足を悪くした父は、イスに座ったまま自分たちを不安そうに見ている。
 その視線に気がついたエミリアは、戦況(?)を立て直さんと、悲しみを押し殺して毅然とした顔つきを作った。

「……分かりました。少々性急すぎたのですね。では──しばらくは、グンナール様と呼ばせていただきます」

 エミリアは、生真面目な武将のような顔で続ける。スンッとした表情は、しかし感情を押し殺そうと我慢しているだけあって、そこはかとなく妖気のような気迫がただよう……。

「グンナール様はお嫌かもしれませんが、必ずお気に召す義妹になるよう努力いたします!」
「………………」

 その堂々たる宣言に、グンナールはなんとも複雑。

 ただ──彼はこの直後、思い悩む間もなく、母から邸の裏手に呼び出しをくらい、憤怒の咆哮を嫌というほど浴びせられる。
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