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第7章 『死の森』の奥地に残されたもの
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巨大魔獣はラヴェラルタ騎士団や隣国のハイドリヒ騎士団のような、特殊な訓練を積んだ騎士でなければ討伐は難しい。
しかし、魔獣は世界中探しても『死の森』にしか生息せず、凶暴さゆえに森の外へ運び出すことも手なずけることもできない。
だから、どれほど恐ろしい存在であっても、専門の騎士団が森の中に封じ込んでいる限り、森の外では人間の脅威とはなり得なかったのだ。
そのため、どの国の兵力も防衛力も、魔獣の攻撃を想定していない。
『死の森』に隣接するドゥラメトリア王国ですら、魔獣討伐を汚れた仕事だと厭っており、王国軍にも討伐能力はない。
「敵の前に魔法陣を仕掛けて、巨大魔獣を一頭でも召喚してみろ。それだけで壊滅的な打撃を与えることができるじゃないか。一度魔獣の脅威を知らしめた後なら、脅迫材料としても使える」
「それはそうかもしれんが、魔獣には敵味方の区別なんかできないんだぜ? 魔王サン自身は安全でも、武器として使うには危険すぎる」
「だいたい、敵を蹴散らした後の魔獣はどうするんだ。飼い慣らすことができないからといって、野放しにもできんだろう」
「普通の軍隊では、魔獣を倒すのは難しいからな」
男たちの会話でマルクはピンときた。
「あーっ! そういうことだったのか! だから、ラヴェラルタ騎士団が欲しかったんだ!」
「何の話だマルク」
話の飛躍についていけないオリヴィエが眉をひそめた。
「王太子がマルティーヌに招待状を送りつけてきた理由だよ!」
マルティーヌを妃の一人として囲い込み、妹を溺愛する優秀な兄二人とラヴェラルタ騎士団を利用したいのだろうと、以前、ヴィルジールに警告された。
その時は強大な戦力を手に入れたいのだと単純に思ったが、さらに向こうにある真の目的がようやく見えた。
王太子は暴走した魔獣や、用済みとなった魔獣の処分のために、ラヴェラルタ騎士団の力を欲したのだ。
そうした保険がなければ、制御不能の凶暴な魔獣を利用することはできないのだから——。
「なるほど。そういうことか。それならすべての辻褄が合うな」
兄二人は納得したような顔を見せた。
ヴィルジールも頷いてはいたものの、「しかし」と前置きして話し始める。
「まだ推測だけで、何の証拠もない。それに、極秘にされているが、王太子は極端に魔力量が少ないんだ。だから魔術は身体強化も含めて何一つ習得できていない。魔力の少なさを悟らせないよう、ありったけの魔力を身に纏っているだけだ」
「ええっ! そうなのか」
「まさか!」
王太子の秘密の暴露に、皆が一様に驚きを見せた。
病気療養中の現国王をはじめとして、王族には高い魔力を誇る者が多い。
平均的な魔力量のヴィルジールは、王族としては少ないくらいなのだ。
だから、これから国の頂点に立とうという王太子に、魔力がほとんどないことは意外だった。
魔力は王位の継承に関係がないが、魔力が少ないようでは神聖性や威厳に欠ける。
王太子が教会に肩入れするのは、魔力不足の劣等感からかもしれない。
「おそらく、過去の魔王も魔力はなかった。魔力を持つのが椅子であるなら、魔王自身には魔力がなくても良いのだろう。だが、魔術を会得していない彼に魔法陣が描けるとは到底思えない」
「いや。知識さえあれば、魔法陣を読んだり描いたりはできると思うよ。でも、特別な効果を付与するときには魔術の知識が必要だろうし、試しに動かすには魔力がいるはず。だから、王太子一人じゃ無理だね」
「……そうか、教会の魔導師か!」
「そう。だけど、僕が知らないことをあいつらが知っているとしたら腹が立つな。くそっ! どうにか視えないものかなぁ」
セレスタンは床に這いつくばると、頬を石に押し当てざらついた表面を横から確認する。
この床が魔法陣そのものなら、表面に何かを描いてあるはずだが、肉眼では何も見えない。
「やっぱ、だめかぁ」
彼は乱れた髪を整えながら座り直した後、今度は両手を石の上に置く。
そして、「これは違う……、だったらこうか?」などとぶつぶつ呟きながら、何かを試し始めた。
石の床には全く何の変化も見られないが、おそらく、様々なタイプの魔力を流しているのだろう。
彼の全身から立ち上る魔力の質が次々と変化していく。
そして。
「あっ!」
突然、彼の右手を起点にして、赤い光が石の床の淵の内側に沿って走っていった。
「視えたっ!」
しかしその光は、大きな円の四分の一ほど進んだところで、力尽きたように消滅した。
近くで魔虫の死骸を燃やしていた魔術師が、驚いたようにこちらに顔を向ける。
彼も異変に気付いたようだ。
「おおっ! すごい。本当にあったんだ」
「これが魔法陣の一部なのか?」
「そう」
セレスタンは同じ場所に何度か魔力を流して動きを確かめた後、別の場所でも試してみる。
魔法陣はかなりの密度で描かれているらしく、大抵の場所で何らかの反応が起きた。
直線や曲線を描いたり、途中で分岐したり、文字らしきものが浮かび上がることもあった。
しかし、床の一部を割ってしまったせいで魔力が循環せず、視ることができるのは断片だけ。
巨大な全体像を把握するには程遠い。
「これ以上は無理だ。魔法陣が完全な状態で真ん中に椅子があれば、きっと、簡単に全部を浮かび上がらせることができたんだろうけど……。できたところで、僕に解読はできないしな」
セレスタンが青い顔で立ち上がる。
「大丈夫か、セレス」
魔力を使いすぎたのか足元がふらつく彼をマルクが支えてやると、「あぁ、マルク! 君はなんて優しいんだ!」と、ここぞとばかりに抱きつかれてしまった。
「はいはい。お疲れさま~。さすが、セレスだ」
「もっと褒めてよぉ」
兄の腕の中に収まったまま、適当に相手をしてやっていると、ヴィルジールがセレスタンに問う。
「今回、我々を倒せなかったことは、魔王は気づいているのだろう?」
「ああ。突然、魔力が伝わらなくなった時点で、失敗したと気づいただろうね。何が起きたかまでは分かんないだろうけど」
真面目に話しながらも、セレスタンはマルクの短い髪を撫でながらうっとりとなっている。
ヴィルジールは呆れたように肩をすくめてから、オリヴィエに歩み寄る。
「王都に戻ったら、俺は王太子とその周辺を探ってみようと思う。ラヴェラルタ騎士団にも協力を頼めないだろうか」
「ああ、もちろんだ。だが、俺たちが表立って動くのは難しいかもしれないな。今回の計画が失敗したと分かっている状況で俺らが下手に動いたら、王太子は自分の正体が疑われていることに気付くだろう。俺やセレスは王都に呼ばれることも多いから問題ないが、他の奴らは領地から動かしづらい。二人だけでできることは、たかが知れてる」
この国最強と言われるラヴェラルタ騎士団は、普段は『死の森』の魔獣を相手にしており、領地から出ることはない。
そんな騎士が大勢王都に向かえば、王太子でなくても何事かと警戒するだろう。
「だったらさぁ」と、マルクがセレスタンの腕からするりと抜け出した。
しかし、魔獣は世界中探しても『死の森』にしか生息せず、凶暴さゆえに森の外へ運び出すことも手なずけることもできない。
だから、どれほど恐ろしい存在であっても、専門の騎士団が森の中に封じ込んでいる限り、森の外では人間の脅威とはなり得なかったのだ。
そのため、どの国の兵力も防衛力も、魔獣の攻撃を想定していない。
『死の森』に隣接するドゥラメトリア王国ですら、魔獣討伐を汚れた仕事だと厭っており、王国軍にも討伐能力はない。
「敵の前に魔法陣を仕掛けて、巨大魔獣を一頭でも召喚してみろ。それだけで壊滅的な打撃を与えることができるじゃないか。一度魔獣の脅威を知らしめた後なら、脅迫材料としても使える」
「それはそうかもしれんが、魔獣には敵味方の区別なんかできないんだぜ? 魔王サン自身は安全でも、武器として使うには危険すぎる」
「だいたい、敵を蹴散らした後の魔獣はどうするんだ。飼い慣らすことができないからといって、野放しにもできんだろう」
「普通の軍隊では、魔獣を倒すのは難しいからな」
男たちの会話でマルクはピンときた。
「あーっ! そういうことだったのか! だから、ラヴェラルタ騎士団が欲しかったんだ!」
「何の話だマルク」
話の飛躍についていけないオリヴィエが眉をひそめた。
「王太子がマルティーヌに招待状を送りつけてきた理由だよ!」
マルティーヌを妃の一人として囲い込み、妹を溺愛する優秀な兄二人とラヴェラルタ騎士団を利用したいのだろうと、以前、ヴィルジールに警告された。
その時は強大な戦力を手に入れたいのだと単純に思ったが、さらに向こうにある真の目的がようやく見えた。
王太子は暴走した魔獣や、用済みとなった魔獣の処分のために、ラヴェラルタ騎士団の力を欲したのだ。
そうした保険がなければ、制御不能の凶暴な魔獣を利用することはできないのだから——。
「なるほど。そういうことか。それならすべての辻褄が合うな」
兄二人は納得したような顔を見せた。
ヴィルジールも頷いてはいたものの、「しかし」と前置きして話し始める。
「まだ推測だけで、何の証拠もない。それに、極秘にされているが、王太子は極端に魔力量が少ないんだ。だから魔術は身体強化も含めて何一つ習得できていない。魔力の少なさを悟らせないよう、ありったけの魔力を身に纏っているだけだ」
「ええっ! そうなのか」
「まさか!」
王太子の秘密の暴露に、皆が一様に驚きを見せた。
病気療養中の現国王をはじめとして、王族には高い魔力を誇る者が多い。
平均的な魔力量のヴィルジールは、王族としては少ないくらいなのだ。
だから、これから国の頂点に立とうという王太子に、魔力がほとんどないことは意外だった。
魔力は王位の継承に関係がないが、魔力が少ないようでは神聖性や威厳に欠ける。
王太子が教会に肩入れするのは、魔力不足の劣等感からかもしれない。
「おそらく、過去の魔王も魔力はなかった。魔力を持つのが椅子であるなら、魔王自身には魔力がなくても良いのだろう。だが、魔術を会得していない彼に魔法陣が描けるとは到底思えない」
「いや。知識さえあれば、魔法陣を読んだり描いたりはできると思うよ。でも、特別な効果を付与するときには魔術の知識が必要だろうし、試しに動かすには魔力がいるはず。だから、王太子一人じゃ無理だね」
「……そうか、教会の魔導師か!」
「そう。だけど、僕が知らないことをあいつらが知っているとしたら腹が立つな。くそっ! どうにか視えないものかなぁ」
セレスタンは床に這いつくばると、頬を石に押し当てざらついた表面を横から確認する。
この床が魔法陣そのものなら、表面に何かを描いてあるはずだが、肉眼では何も見えない。
「やっぱ、だめかぁ」
彼は乱れた髪を整えながら座り直した後、今度は両手を石の上に置く。
そして、「これは違う……、だったらこうか?」などとぶつぶつ呟きながら、何かを試し始めた。
石の床には全く何の変化も見られないが、おそらく、様々なタイプの魔力を流しているのだろう。
彼の全身から立ち上る魔力の質が次々と変化していく。
そして。
「あっ!」
突然、彼の右手を起点にして、赤い光が石の床の淵の内側に沿って走っていった。
「視えたっ!」
しかしその光は、大きな円の四分の一ほど進んだところで、力尽きたように消滅した。
近くで魔虫の死骸を燃やしていた魔術師が、驚いたようにこちらに顔を向ける。
彼も異変に気付いたようだ。
「おおっ! すごい。本当にあったんだ」
「これが魔法陣の一部なのか?」
「そう」
セレスタンは同じ場所に何度か魔力を流して動きを確かめた後、別の場所でも試してみる。
魔法陣はかなりの密度で描かれているらしく、大抵の場所で何らかの反応が起きた。
直線や曲線を描いたり、途中で分岐したり、文字らしきものが浮かび上がることもあった。
しかし、床の一部を割ってしまったせいで魔力が循環せず、視ることができるのは断片だけ。
巨大な全体像を把握するには程遠い。
「これ以上は無理だ。魔法陣が完全な状態で真ん中に椅子があれば、きっと、簡単に全部を浮かび上がらせることができたんだろうけど……。できたところで、僕に解読はできないしな」
セレスタンが青い顔で立ち上がる。
「大丈夫か、セレス」
魔力を使いすぎたのか足元がふらつく彼をマルクが支えてやると、「あぁ、マルク! 君はなんて優しいんだ!」と、ここぞとばかりに抱きつかれてしまった。
「はいはい。お疲れさま~。さすが、セレスだ」
「もっと褒めてよぉ」
兄の腕の中に収まったまま、適当に相手をしてやっていると、ヴィルジールがセレスタンに問う。
「今回、我々を倒せなかったことは、魔王は気づいているのだろう?」
「ああ。突然、魔力が伝わらなくなった時点で、失敗したと気づいただろうね。何が起きたかまでは分かんないだろうけど」
真面目に話しながらも、セレスタンはマルクの短い髪を撫でながらうっとりとなっている。
ヴィルジールは呆れたように肩をすくめてから、オリヴィエに歩み寄る。
「王都に戻ったら、俺は王太子とその周辺を探ってみようと思う。ラヴェラルタ騎士団にも協力を頼めないだろうか」
「ああ、もちろんだ。だが、俺たちが表立って動くのは難しいかもしれないな。今回の計画が失敗したと分かっている状況で俺らが下手に動いたら、王太子は自分の正体が疑われていることに気付くだろう。俺やセレスは王都に呼ばれることも多いから問題ないが、他の奴らは領地から動かしづらい。二人だけでできることは、たかが知れてる」
この国最強と言われるラヴェラルタ騎士団は、普段は『死の森』の魔獣を相手にしており、領地から出ることはない。
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