契約結婚のはずが、気づけば王族すら跪いていました

言諮 アイ

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第1章

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「は……? いったい、何が起きているの?」
 王城の大広間の中央で、私はおかしなことになった光景を見つめていた。

 かすかに揺れる燭台の灯りが豪奢な絨殿を照らし、列席する王族や貴族たちの姿を浮かび上がらせる。しかし、その大半が膝をつき、揃って頭を下げていていた。
 私の周囲をふわりと包む金色の光…。何がどうなっているのか、どうみても私から溢れ出している。

 戸惑いながら周囲を見回すと、私の向かい側に立つ一人の男が目に入った。
 今日から形式上、私の夫となるはずの、辺境伯アレクシス・ヴァルディーン。漆黒の髪、鋭い視線。そして“冷酷な鬼神”の評価を持つ男。
 彼は私を観察するように、静かな目でじっと見つめてくる。

「その光……。お前は、何者だ?」

 彼の低い声が、大広間の沈黙を破る。まるで私がとんでもない秘密を握っているかのような口ぶり。けれど私はただ、貧乏貴族の娘として今日ここに連れてこられたに過ぎない。

 ――ここまで至った経緯など、正直なところ思い出したくもない。


 我が家は“没落した名家”と呼ばれる貴族の一族だ。日々の借金返済に追われ、屋敷の調度品は次々と手放され、かつての栄華は見る影もない。
 そんな我が家に王城から使者が訪れたのは、ほんの数週間前だった。王族と高位貴族が集まる会合にて、隣国ガルヴァニア帝国の侵攻を食い止める策が決まったという。その鍵となるのが、“戦場の鬼神”と呼ばれる辺境伯アレクシス。彼を王都へと引きずり出すため、名ばかりの結婚をさせる花嫁を探すことになったらしい。
 どうせ誰を嫁がせようと、アレクシス卿は誰も相手にしないという噂だ。それに“ただの儀式”という触れ込み。ならば、貧乏貴族の娘であれば扱いやすい――そう結論づけられたのだろう。

「借金を帳消しにしてほしければ、この婚姻を受け入れるしかないぞ」
 王城の使者にそう言われたとき、私に拒否する権利はなかった。もし断れば、我が家は瞬く間に破産し、両親はもちろん、屋敷に仕える使用人たちまで路頭に迷うことになる。一方で、王家や貴族たちは「これは単なる形式的な結婚だ」と釘を刺し、私の意思など最初から考慮されていなかった。
 まったく、ふざけた話だ。

 それとは別に、私はもうひとつ別の心配事を抱えていた。
 このエルヴェイン王国は今、滅亡の瀬戸際にある。ガルヴァニア帝国が国境沿いを次々と蹂躙し、王都落城も時間の問題と囁かれていた。にもかかわらず、貴族たちは自領や財産ばかりを優先し、国を守る覚悟を持たない。そんな彼らが今さら辺境伯に泣きつくとは、あまりにも身勝手ではないか。

 実際、アレクシス卿は「俺は俺の領地を守るだけだ」と公言し、王都の要請を拒み続けていた。それでも最強の将軍である彼を無理やり引きずり出すために、“何かしらの繋がり”が必要だという。そこで考えられたのが、この「契約結婚」だった。
 なんと無茶な話なのだろう。

 それでも私は、今日という日を受け入れるしかなかった。朝から国王の代理人に伴われ、礼装に袖を通し、聖堂で形式的な儀式を済ませ、王城の大広間へと向かう。そこにはアレクシス卿が待っていた。
「形式だけだ。俺に干渉するなよ」
 彼は短くそう言い捨てただけだった。だが、私もまた、最初から心が通うような夫婦関係など望んでいない。
 それなのに――誓いの言葉を交わそうとした瞬間、私の体から金色の光があふれ出してしまった。
 
 金色の輝きが広間を照らした瞬間、王族や貴族たちは一斉に膝をつき、畏怖の念に満ちた表情で頭を垂れた。
 それが今この状況という訳だ。


 私は完全に思考が凍りついてしまっていた。誰かが呪文を唱えて魔法を使った訳でもない。それなのに、どうしてこんなことが?
 周囲で立っていられるのは、私とアレクシス卿だけ。ほかの者たちは、まるで身体の自由を奪われたように怯えていた。

「――まさか、これは……『王威の審判』なのか……!?」
 誰かの呻くような声が響く。王廷魔術師の老人だ。
  
『王威の審判』、そんなもの、物語の中でしか聞いたことがない。遠い建国の昔、初代の王が絶対的な威光を持って敵国を屈服させたという伝説だ。あれはただの神話のような話ではなかったのか?

 広間がざわつき始める中、私は必死に心を落ち着けようとする。とはいえ、何をどうすればいいのか皆目見当もつかない。意識を集中してみても、光はゆらゆらと私の周囲を漂っているだけで、消える気配は無い。

「なんなの、これ……」
 思わずこぼれた呟きに、アレクシス卿の鋭い眼差しが僅かに揺らいだ気がする。
 やがて、光は私の手元に集まり、すうっと肌に吸い込まれるようにして消えていく。
 その瞬間、広間にひれ伏していた者たちがゆっくりと身を起こした。

 何が起こったのかわからない。
 混乱に沈む私のもとへ、貴族たちの視線が一斉に突き刺さる。恐怖、驚愕、そして嫉妬。それらが入り混じった眼差しが、まるで私が得体の知れない存在になったかのようだった。

「『王威の審判』だと……ありえぬ、が、まさか……王の権威を超えてしまうのでは……」
「馬鹿を言うな! すぐに封じ込めねば……!」
「しかし、辺境伯との婚姻が成立しなければ、この国は……」
 ざわめきは怒号へと変わる。貴族の何人かは、今にも私を処分せんとするかのように睨みつけてくる。
 勘弁してほしい。私が何をしたというのだ。
 そもそも、私は剣の稽古こそ積んでいるが、魔法など扱えない。それなのに、この異常な力をどう説明すればいい?
 困惑と恐怖に駆られる貴族たちの動揺が広間に満ちる中、アレクシス卿が低く唸った。

「……いい加減にしろ。どいつもこいつも騒ぎ立てやがって」

 その一言に、一瞬で沈黙が込む。辺境伯としての威圧感は絶大なようだ。彼は私の方へと歩み寄り、すぐ目の前までやって来る。

「誰にも指図される緣合はない。我はすでにこの娘との婚姻を受け入れた。リリア・エヴァレット、今日からお前は我が妻だ。辺境に来い。王都などに残っていたら命がいくつあっても足りんだろうな」

 その声は冷たく響くが、それでも私を守ろうという意図がどこかに感じられる。私は黙ったまま、けれど心の中で安堵している。もし彼が私を放り出せば、本当に即座に貴族たちに殺されかねないと肌で感じてしまったからだ。


 そうして私は、アレクシス卿と共に王城を離れた。
 形式上「婚約は成立した」と告げられ、急いで支度を整えられた私は、伴って来た馬車にのせられるまま、辺境伯領へ向かうこととなる。
 馬車の中はふしぎなほど静かだった。アレクシス卿は私の正面に座り、外の景色を眺めるわけでもなく、ただ無言を貫き通していた。私も明るく声をかける空気ではない。

 けれど、王都を出てしばらくすると、私はどうしても疑問が抑えられなくなる。あの広間で私の身に起きたこと――それが本当に『王威の審判』だというなら、どうして私なんかにそんな力が宿るのだろう。

「あの時のご質問ですが……私は、自分が何者なのかわかりません」
 小さく切り出すと、アレクシス卿の瞳がこちらに向く。彼の表情は相変わらず読めない。

「そこに関しては、俺も説明を求めたいくらいだ。ただ、王まであの光の影響を受けた。お前が王都に留まれば命を狙われるのは明白だ。建国の伝説だろうが何だろうが、あの連中が放っておくとは思えん」
「そうですね……。連れ出して頂いた事、感謝します」

 私が視線を落とすと、かれはわずかに苦笑を浮かべた。

「辺境伯領は最前線だ。常に帝国の侵攻に備えて兵を動かし、血の匂いが絶えない場所だ。王都の連中には嫌気がさしていたが……まさか、こんな形で女を連れて帰ることになるとはな」

 かれの声は淡々としているが、内心はまだ混乱しているようにも見える。むしろ、私も同じ気持ちだ。たった今、“夫婦”になったばかりだが、もちろん恋も情感も存在しない。これはあくまで王都が仕組んだ契約であり、その契約をアレクシス卿も心得ているだけのこと。


 王城を出て数日、馬車はようやく辺境伯領に到着する。城壁に囲まれた砦のような町並みが見えてきて、土と鉄の匂いが強く浸みてくる。兵士らしき男たちが行き交い、武器や装甲を抱えて慌ただしく動いている。
 ここが、戦場に最も近い土地――アレクシス卿の領地なのだ。

 私は馬車を降りると、肌を刺すような冷たい風に思わず肩をすくめる。空は澄んでいるが、空気が張り込めたようにつめたい。きっとこれが戦場の空気なのだろう。それを象徴するかのように、行き交う兵士たちの表情はみな、厳しい。

 アレクシス卿の側辺の騎士、クラウスという男が出迎えてくれる。かれは誠徹たる姿勢で、私をじろりと見ても特に礼を尽くすことなく、アレクシス卿に報告を始める。

「辺境の状況は相変わらずです。帝国軍が領内に侵入しようと何度か試みていますが、今のところ大規模な攻撃はありません。ただ、次にいつ来るか分からないので警戒を続けております」

 アレクシス卿は無言でうなずくと、私の方向に視線をやる。
「この娘が当分ここにいることになる。だが、戦いには関わらせるな」

 クラウスは渋い顔で私を見やり、そこに侮りの色を滲ませる。
「承知しています。貴族の飾りものですから、大人しくお待ち頂ければ宜しいかと」

 その言葉がちくりと胸に突き刺さる。実際、私などが戦場に出ても足手まといだろう――そう思われていることは分かっている。
 だが、私は幼い頃から剣を鍛えてきた。それだけが唯一の誇れるものだった。貧乏貴族の娘として、権力も財も持たぬ身ならば、自分の身は自分で守るしかなかったのだから。

「……ええ。わかりました」

 今は何も言わず、素直に頷く。ここで場の空気を乱すつもりはないし、すぐに戦場へ出ようというわけでもない。ただ、この国が本当に滅びるかもしれないのなら、覚悟だけはしておくべきだ。剣を扱えるということは、「選択肢がある」ということ。黙って死を待つつもりなど、毛頭ない。


 翌日から、私は砦の一室に寝起きし、静かに過ごした。侍女はついてくれるものの、華美なものは何一つない。簡素な机と椅子。壁に掛けられた地図には、帝国との国境線が赤い線で記されている。

 アレクシス卿は早朝から夜まで砦の内外を巡って兵の訓練を見守り、多忙を極めていた。私と顔を合わせることはほとんどなく、廊下ですれ違っても短く目礼するだけ。夫婦らしい会話など皆無だった。もっとも、初めから期待などしていない。

 ただ、一つだけ分からないことがある。あの王城で起こった光の奔流――あの異変について、アレクシス卿が私に何も問いたださないのはなぜなのか。何か策を練っているのか、それとも単に興味がないのか。だが、興味がないはずはない。あの場で私を連れ去るように、この辺境へ戻ったのだから。


 数日後、私は部屋にこもって一人で考え込む自分に嫌気が差し、まだ夜明け前の砦の裏庭へ足を向けた。
 兵士たちはほとんど起きておらず、ひんやりとした空気が肌を刺す。深く息を吸い込みながら、こっそりと手にした木刀を握りしめた。
 使い込まれてささくれ立った訓練用の木刀。しかし、その感触がわずかに心を落ち着かせる。

「私に出来る事といえば、剣ぐらいなのよね」

 静かに呟き、ぎこちないながらも身体を温めるように型をなぞる。思い出すのは幼い頃、誰に教わるでもなく、ただがむしゃらに振った剣の軌道。貧しい屋敷の中で、何か一つでも自分を強くする手段が欲しかった。何も守れないまま終わるのは嫌だった。
 この国を救えるかどうかは分からない。それでも、大切な人たちや自分の命を守るためにできることはあるはずだ。自分にそう言い聞かせながら、私は黙々と木刀を振り続ける。空を切る音がかすかに響き、身体の動きに合わせて心臓が熱を帯びていく。
 そのとき、不意に庭の入り口から嘲るような声が聞こえた。

「貴族のお嬢様が何をしてるんだか。遊びか?」

 視線を向けると、通りかかった数名の兵士がこちらを見ていた。彼らの目には侮蔑と冷ややかな好奇心が混じっている。
 私は構えを解かず、むしろ試されるのならば受けて立とうという気持ちが湧き上がる。

「私にとっては遊びではありません。お試しになりたいのなら、木刀を取ってみてはいかがですか?」

 そう告げると、胸の奥でわずかに鼓動が早まる。彼らが応じるならば、今こそ自分の力を示す機会になるかもしれない。
 兵士たちは顔を見合わせ、やがて一人が興味深そうに笑った。大柄な壮年の男が、無造作に木刀を手に取る。

「へえ、なかなか気が強いじゃないか。いいぜ、お手並み拝見といこうか」

 私は息を静かに整え、目の前の兵士の動きを注視した。彼は肩を回しながら軽く踏み込んでくる。その姿勢には余裕があり、私を完全に素人と見なしていることが明らかだった。しかし、その油断こそが好機だ。

 鋭く閃く木刀の刃先が視界に飛び込む。私は最小限の動きで身体をひねり、それを紙一重で躱した。そして、そのまま渾身の力を込めて木刀を打ち下ろす。パキン、と乾いた音が響き、兵士の木刀が真っ二つに折れた。
 彼は呆然と後ずさる。

「う、嘘だろ……?」

 周囲の兵士たちは目を見開き、誰もが驚愕の表情を浮かべていた。私は静かに息を吐き出しながら、彼らの視線を受け止める。
 これは決して遊びではない。本気でやった。ただ、それだけのことだ。
 そんな静寂を破るように、背後から低く落ち着いた声が響いた。

「……なるほど。少しは剣を扱えるようだな」

 振り返ると、そこにはアレクシス卿が立っていた。いつから見ていたのかは分からないが、その眼差しには珍しく興味の色が浮かんでいる。傍らにはクラウスの姿もあり、彼もまた、やや驚いた表情を見せていた。
 アレクシス卿は、短く兵士たちへ命じる。

「今のはお前たちの油断が招いた結果だ。戻って鍛錬を続けろ」

 兵士たちは慌てて敬礼し、足早にその場を去っていく。残されたのは、私とアレクシス卿、そしてクラウスだけだ。

「剣術をどこで学んだ?」

 その問いに、私は一瞬だけ迷う。師について学んだわけではない。ただ、幼い頃からひたすら自分なりに鍛錬を重ねてきただけ。

「……独学です。大したものではありませんが、あなたの兵士よりは強かったようですね」

 そう答えた私を、アレクシス卿は鋭く見つめたまま表情を崩さない。

「ふん。そのようだな。……だが、戦場を甘く見るな。あそこでは命が消し飛ぶのが日常だ」

 その声は厳しく響くが、彼の瞳には微かな興味が混ざっているように感じた。
 私はゆっくりと木刀を下ろし、真正面から彼を見返す。

「分かっています。それでも、私は必要とあらば、剣を取る覚悟があります」

 それは、自分自身への言葉でもあった。王都が滅びるかもしれない。国が崩れれば、弱き者たちが真っ先に犠牲となる。私自身も、ただ従うだけでは生き残れないかもしれない。ならば、剣を振るうしかない。

 アレクシス卿は小さく息を吐き、踵を返した。

「戦場に立ちたいなら勝手にすればいい。ただし、それで死んでも俺は知らん。……クラウス、こいつを見張れ」

 そう言い残し去っていく彼の背を、クラウスが苦々しげに一瞥する。その瞳には、警戒と、わずかな敬意が混ざった複雑な感情がにじんでいた。

 私はアレクシス卿の背中を見送りながら、改めて覚悟を固める。運命に翻弄され、王都から連れ去られたこの地。しかし、ここが私の新たな居場所になるのだろう。国を護る最前線である辺境。その中心に立つアレクシス卿――そして、この地を支える兵士たち。

 もし私に、本当に“あの光”が宿っているのなら、それをただ怯えて隠すのは嫌だ。自分の手で何かを変えたい。王都から追われた存在で終わるつもりはない。

 そうして剣を握る私の耳に、遠くで低く響く警鐘の音が届いた。どうやら、帝国軍が再び動き始めたらしい。

 空を仰ぎ、小さく息を整える。震える鼓動は恐怖だけではなく、かすかな高揚も孕んでいることを、はっきりと自覚していた。もしかすると、私の中には、まだ目覚めぬ何かが潜んでいるのかもしれない。あの光の残滓が、今も胸の奥で脈打っているような気がする。

「……逃げるものか。突き進んでやるわ」

 自らに誓うように言葉を刻む。  
 冷たい風が髪をさらい、砦の壁を越えて荒野の匂いを運んでくる。 視線を向ければ、遠くの地平線に黒い雲が渦巻いていた。それはまるで、この国に忍び寄る危機の象徴のように。

(私が何者なのか――それは分からない。でも、ただ光るだけの無力な女なんかじゃないって事は、絶対に証明してみせる)

 今はそれだけを胸に秘め、私は剣を軽く振って息を吸う。光の力の正体を気にしても仕方無い。今はただ、出来ることをやるだけだ。

 辺境の砦の朝は、鼓動を震わすような冷たい風と、焦げくさい空気をはらんでいる。そこから始まる運命を想像すると、胸が熱くなると同時に恐怖も込み上げてくる。それでも私は前を向く。もう、後戻りはできない。

 そのために、まずはこの砦で生き抜かなければならない。震えるほどの冷気に身を晒しながら、私は自分の足で立ち、剣の柄を握る手に力を込めた。


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