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第三章
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しおりを挟むアシュラン家がこの国から離れて領線にそのまま国境線が引かれ、今まで『国内扱い』だったために無料だった流通に課税がつけられ、今まで安価だった食料品は王都に届く前に消費されて届かなくなった。貴族たちは婚約破棄騒動の直後に領地へと引きこもり、少しでも農作物の作れる領地でも質素倹約を推奨し、ドレスや宝石、高価な装飾品を売り払った。中にはそのお金で領民のために食料を輸入する貴族もいた。
そんな話を侍女たちから聞いたのは婚約破棄から十日後の朝。それでも私たち二人には些末事。だって私たちの食事は今までと変わらない豪華なもの。それだって、日に二回あるかわからない食事のために三食分の食材が使われていた。それに騎士や兵士たちが溢れる魔獣を狩るようになり、それが食卓にあがっていただけ。王城だから調味料はたくさんあり、それが魔獣肉独特の臭いを消していた。だから気付かなかった。
そんなある日、隣国から信書を持って王女が来た。
あの悪役令嬢に冤罪をかけて国から追い出した私たちの身柄を引き渡せ、と言ってきたのだ。もちろん陛下は追い払うと思ったら、私たちを引き渡すことを承諾した。
─── なんで? どうして? ゲームの通りにエンディングを迎えたじゃない!
ジョスカーも納得出来なかったらしく、陛下に掴みかかっていった。しかし、その手が陛下に届く前に取り押さえられた。そして陛下に言われた。
「この者たちを幽宮に閉じ込め、当日まで絶対に出すな!」
そして入れられたのはジョスカーと新婚生活をしているこの離宮だった……
兵士たちは薬を嗅がされて意識を失っているジョスカーを床に転がして部屋を出て行った。それと一緒に侍女たちが見下すような目で私たちを嘲笑って離宮を出て行く。そして外から鍵をかけられた。そこで気が付いた。この離宮の窓は|はめ殺し窓と言われるもので開け閉めできない。そして居室には鍵が付いておらず。唯一の鍵は……この扉、のみ……
「出して! 出しなさい! 誰か! 誰かいないの!」
外に誰かがいるのはすりガラスで影が見えている。どんなに扉を叩いても鍵が開けられる様子もない。
嘲笑っている声が聞こえてくる。なぜ? 魔導具で声が外へ漏れることも外の声が聞こえるはずがないのに……
「フフフ。あなたってバカなのね」
焦る私の背後から私を嘲笑う女の声がした。驚いて振り向くと、そこにいたのは絶世の美女。────── でも、誰かに似ている。一体誰に…………?
「あなた、この世界が『光り輝く愛の庭』だと思ったのかしら?」
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「知ってるわ。だって私は攻略者だったもの」
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「ジョスカーは渡さないわ」
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