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第7部
第四章 とある一家へのお宅訪問①
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グレイシア皇国の皇都ディノス。
言わずと知れた大国・グレイシア皇国の首都であり、近隣最大の都市。
その立地は二十六番地に区分けされている。旧い廃屋が並ぶ、俗に言う貧民街である二十一番地を除けば、どの番地も大都市に相応しく整地されている。
――が、その中でも最も華やかなのは観光用スポットや、工芸品店、または飲食店が軒を連ねる十三番地だ。
コウタ達一行はアルフレッドの案内の元、十三番地に訪れていた。
「うわあ! これは凄いな!」
その光景を前にして、思わずコウタが感嘆の声を上げた。
美しい街並みに、色とりどりの店舗。
ショーウィンドウに展示された服や工芸品も興味をそそるが、大通りにある水路も異国の趣があって良い感じだ。
改めて他国にやって来たという実感を抱く。
「さて。どこから行こうか」
と、アルフレッドが尋ねてくる。
「うん。そうだね」
コウタはジェイク達に目を向けた。
「みんな、どこか行ってみたい場所はある?」
「そうですわね……」頬に手を当てリーゼが答える。「とりあえず、アルフレッドさまのお奨めの工芸品店からで良いのでは。後は気ままに。なにせ見知らぬ街です。街並みを散策するだけでも楽しいでしょう」
リーゼは全員の顔を見た。特に反対意見はないようだ。
「うん。じゃあそれで行こうか」
と、コウタが告げる。
そうして一行は街の散策に出た。
アルフレッドが奨める工芸品店から始まり、街の散策。常時、着装型鎧機兵を着るメルティアを気遣ってか、洋服店には行かなかったが、楽しい時間を過ごす一行。そして何故か通りすがりの少女達に握手をねだられるゴーレム達。
と、そうこうしている内に、時間帯は昼頃になっていた。
「うん。美味しいね!」
コウタが瞳を輝かせて言う。
彼の手にはフォークとナイフ。目の前には新鮮なレタスと自家製の赤いソースで彩られたローストビーフが乗った皿がある。
そこはとあるレストラン。真っ白いテーブルクロスを敷いたテーブルが幾つも並ぶ上品な店だ。アルフレッドが貸し切りで予約してくれた店である。
メルティアのことも考慮して、今そこにはコウタ達の姿しかない。ようやく鎧から解放されたメルティアは一心不乱にパスタを絡め取っていた。
「けど、凄え高そうな店だな」
と、厚目のステーキを切って口に運ぶジェイク。
厚さからは想像できないぐらいに柔らかな肉質だ。
メニューの注文は各自それぞれだったので、色々あったステーキの種類の中でも一番安そうなのを頼んだのだが、やはり値段を聞くのは恐ろしい逸品のようだ。
「ははっ、そこまで高くはないよ。お気に入りではあるけど。味もそうだけど、うちの御用達の店だから色々と融通してくれるんで本当にありがたいよ」
と、告げるのはアルフレッドだった。
「確かに見事な味ですわ。メルティアも、ゆっくり食事が出来てホッとしたでしょう。本当にありがとうございます。アルフレッドさま」
言って、リーゼが軽く頭を下げた。
各テーブルは主に四~五人が座れるサイズのモノだった。
そのため、コウタ、ジェイク、アルフレッド、メルティアとリーゼがセットで。
メイド師弟であるシャルロットとアイリ。そして食事はしないのにナイフとフォークを持った零号達が一つのテーブルに座っている。
本来ならば厳粛なマナーが求められる店でもあるが、今日はあくまで友人達だけの私的な集まり。食事中も一行は楽しげに会話をしていた。
そうして三十分後。
食事も終え、各自に食後の紅茶、もしくはコーヒーが配られた頃。
「この後なんだけど、一つ提案があるんだ」
不意に、アルフレッドがそう話を切り出してきた。
彼の視線は、隣のテーブルにいるシャルロット達にも向けられている。
「ちょっとしたサプライズのつもりで黙っていたんだけど、実はこの後、ベッグさんの家に行く約束をしているんだ」
「あ、そうなんだ!」
コウタが目を瞬かせた。
――バルカス=ベッグ。
皇国の上級騎士の一人であり、皇都まで案内してくれた人物の一人だ。
豪快かつ人懐っこい性格でコウタ達とも親しくなった人物でもある。
アルフレッドはその話を姉から聞いていた。
だからこそのサプライズだ。
「まあ、そうだったのですか」
と、驚きの声を上げるのはシャルロットだった。
実は、彼女だけは以前からバルカスの知り合いであった。
今回の旅行で久しぶりに再会したのである。
「……へえ。あのおっさんの家か」ジェイクがあごに手をやった。「どんなとこに住んでんのかも興味があるが、それ以上におっさんの二人の奥さんってのを見てみてえな」
「あ、それは確かに」
と、コウタも同意する。
リーゼ、メルティア、アイリも興味津々だ。
ゴーレム達は「……アノヒゲノヨメカ」「……キット、バンゾク」「……ガハハ、ト、ニクヲクッテソウ」と酷い感想を呟いてた。
すると、シャルロットが苦笑を浮かべて――。
「いえいえ、彼女達は本当に綺麗ですよ。バルカスさんと並ぶとまるで美女と野獣です」
と、バルカスの嫁達のフォローはするが、バルカス自身は酷評する。
バルカスの二人の嫁ともシャルロットは面識があった。
「……一夫多妻の家庭ですか」
その時、メルティアがポツリと呟いた。
そして心地よい香り立つ紅茶で喉を潤してから、
「興味はあります。万が一にはしたいのですが可能性は大いにあり得ますし。ここは後学のためにもお会いするのが良いかもしれませんね」
「ええ。そうですわね。メルティアの言う通りですわ。万が一。そう。万が一ですが、そのケースも体験しておくべきでしょう」
「……メルティア。リーゼ。万が一程度だと状況認識が甘すぎるよ」
と、アイリがツッコむが、メルティアもリーゼも聞こえなかったことにした。
ジェイクが頬をかき、シャルロットが嘆息する。そしてコウタは「……何の話さ? 万が一って何?」と首を傾げていたが、それもいつものことだ。
「はは、どうやら話は決まったみたいだね」
コーヒーを片手にアルフレッドは笑った。
どうやらこのサプライズは無駄にはならなかったようだ。
そしてアルフレッドは、全員に目をやってこう告げるのであった。
「それじゃあ、これからベッグさんの家に行こうか」
言わずと知れた大国・グレイシア皇国の首都であり、近隣最大の都市。
その立地は二十六番地に区分けされている。旧い廃屋が並ぶ、俗に言う貧民街である二十一番地を除けば、どの番地も大都市に相応しく整地されている。
――が、その中でも最も華やかなのは観光用スポットや、工芸品店、または飲食店が軒を連ねる十三番地だ。
コウタ達一行はアルフレッドの案内の元、十三番地に訪れていた。
「うわあ! これは凄いな!」
その光景を前にして、思わずコウタが感嘆の声を上げた。
美しい街並みに、色とりどりの店舗。
ショーウィンドウに展示された服や工芸品も興味をそそるが、大通りにある水路も異国の趣があって良い感じだ。
改めて他国にやって来たという実感を抱く。
「さて。どこから行こうか」
と、アルフレッドが尋ねてくる。
「うん。そうだね」
コウタはジェイク達に目を向けた。
「みんな、どこか行ってみたい場所はある?」
「そうですわね……」頬に手を当てリーゼが答える。「とりあえず、アルフレッドさまのお奨めの工芸品店からで良いのでは。後は気ままに。なにせ見知らぬ街です。街並みを散策するだけでも楽しいでしょう」
リーゼは全員の顔を見た。特に反対意見はないようだ。
「うん。じゃあそれで行こうか」
と、コウタが告げる。
そうして一行は街の散策に出た。
アルフレッドが奨める工芸品店から始まり、街の散策。常時、着装型鎧機兵を着るメルティアを気遣ってか、洋服店には行かなかったが、楽しい時間を過ごす一行。そして何故か通りすがりの少女達に握手をねだられるゴーレム達。
と、そうこうしている内に、時間帯は昼頃になっていた。
「うん。美味しいね!」
コウタが瞳を輝かせて言う。
彼の手にはフォークとナイフ。目の前には新鮮なレタスと自家製の赤いソースで彩られたローストビーフが乗った皿がある。
そこはとあるレストラン。真っ白いテーブルクロスを敷いたテーブルが幾つも並ぶ上品な店だ。アルフレッドが貸し切りで予約してくれた店である。
メルティアのことも考慮して、今そこにはコウタ達の姿しかない。ようやく鎧から解放されたメルティアは一心不乱にパスタを絡め取っていた。
「けど、凄え高そうな店だな」
と、厚目のステーキを切って口に運ぶジェイク。
厚さからは想像できないぐらいに柔らかな肉質だ。
メニューの注文は各自それぞれだったので、色々あったステーキの種類の中でも一番安そうなのを頼んだのだが、やはり値段を聞くのは恐ろしい逸品のようだ。
「ははっ、そこまで高くはないよ。お気に入りではあるけど。味もそうだけど、うちの御用達の店だから色々と融通してくれるんで本当にありがたいよ」
と、告げるのはアルフレッドだった。
「確かに見事な味ですわ。メルティアも、ゆっくり食事が出来てホッとしたでしょう。本当にありがとうございます。アルフレッドさま」
言って、リーゼが軽く頭を下げた。
各テーブルは主に四~五人が座れるサイズのモノだった。
そのため、コウタ、ジェイク、アルフレッド、メルティアとリーゼがセットで。
メイド師弟であるシャルロットとアイリ。そして食事はしないのにナイフとフォークを持った零号達が一つのテーブルに座っている。
本来ならば厳粛なマナーが求められる店でもあるが、今日はあくまで友人達だけの私的な集まり。食事中も一行は楽しげに会話をしていた。
そうして三十分後。
食事も終え、各自に食後の紅茶、もしくはコーヒーが配られた頃。
「この後なんだけど、一つ提案があるんだ」
不意に、アルフレッドがそう話を切り出してきた。
彼の視線は、隣のテーブルにいるシャルロット達にも向けられている。
「ちょっとしたサプライズのつもりで黙っていたんだけど、実はこの後、ベッグさんの家に行く約束をしているんだ」
「あ、そうなんだ!」
コウタが目を瞬かせた。
――バルカス=ベッグ。
皇国の上級騎士の一人であり、皇都まで案内してくれた人物の一人だ。
豪快かつ人懐っこい性格でコウタ達とも親しくなった人物でもある。
アルフレッドはその話を姉から聞いていた。
だからこそのサプライズだ。
「まあ、そうだったのですか」
と、驚きの声を上げるのはシャルロットだった。
実は、彼女だけは以前からバルカスの知り合いであった。
今回の旅行で久しぶりに再会したのである。
「……へえ。あのおっさんの家か」ジェイクがあごに手をやった。「どんなとこに住んでんのかも興味があるが、それ以上におっさんの二人の奥さんってのを見てみてえな」
「あ、それは確かに」
と、コウタも同意する。
リーゼ、メルティア、アイリも興味津々だ。
ゴーレム達は「……アノヒゲノヨメカ」「……キット、バンゾク」「……ガハハ、ト、ニクヲクッテソウ」と酷い感想を呟いてた。
すると、シャルロットが苦笑を浮かべて――。
「いえいえ、彼女達は本当に綺麗ですよ。バルカスさんと並ぶとまるで美女と野獣です」
と、バルカスの嫁達のフォローはするが、バルカス自身は酷評する。
バルカスの二人の嫁ともシャルロットは面識があった。
「……一夫多妻の家庭ですか」
その時、メルティアがポツリと呟いた。
そして心地よい香り立つ紅茶で喉を潤してから、
「興味はあります。万が一にはしたいのですが可能性は大いにあり得ますし。ここは後学のためにもお会いするのが良いかもしれませんね」
「ええ。そうですわね。メルティアの言う通りですわ。万が一。そう。万が一ですが、そのケースも体験しておくべきでしょう」
「……メルティア。リーゼ。万が一程度だと状況認識が甘すぎるよ」
と、アイリがツッコむが、メルティアもリーゼも聞こえなかったことにした。
ジェイクが頬をかき、シャルロットが嘆息する。そしてコウタは「……何の話さ? 万が一って何?」と首を傾げていたが、それもいつものことだ。
「はは、どうやら話は決まったみたいだね」
コーヒーを片手にアルフレッドは笑った。
どうやらこのサプライズは無駄にはならなかったようだ。
そしてアルフレッドは、全員に目をやってこう告げるのであった。
「それじゃあ、これからベッグさんの家に行こうか」
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