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第10部
第二章 義姉、戦場に来たる①
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長い黒髪をなびかせて、彼女が歩く。
そこは、王城へと続く道。
王城の見物も兼ねて、多くの人が行き交う道なのだが、彼女とすれ違うたびに、通行人達は思わず足を止めた。
ただ、茫然と彼女を見つめる。
それほどまでに彼女は美しかった。
《夜の女神》の化身と言っても過言がない美貌。さらには抜群のプロポーション。炎の華紋が描かれた制服のようなタイトワンピースもよく似合っている。
何より、彼女の表情が印象的だった。
まるで太陽のごとく。生気や活力に満ち溢れているのだ。
彼女は真っ直ぐ王城・ラスセーヌに向かっていた。
そんな彼女の後ろには、もう一人、女性が控えていた。
やや乱雑な黄色い短髪。腰に短剣を差した人物。まるでトレジャーハンターを思わせるラフな格好の女性だ。
黒髪の女性には劣るものの彼女もスタイルがよく、相当な美人だ。
しかし、太陽のような輝きを放つ黒髪の女性とは対照的に、彼女の表情は暗い――いや、どこか緊張した様子だった。
時折、小さな溜息まで零していた。
二人は進んでいく。
そうして、いよいよ王城がはっきりと見えてきた。
黒髪の女性は、おもむろに足を止めた。
彼女は黒い瞳を細めて王城・ラスセーヌを見据えた。
強い風が吹き、黒い髪を大きくなびかせた。
そして彼女は呟く。
「いよいよ、この時が来たのね」
◆
「………はァ」
溜息が零れ落ちる。
王城の廊下を歩くコウタの溜息だ。
「……随分と疲れているな」
そう呟くのは、コウタの隣を歩く少年だ。短く刈った濃い緑色の髪が特徴的な、体格のいい少年――コウタの親友であるジェイクだ。
「そうだな。一体どうしたんだ?」
「朝から溜息なんてつくなよ」
今日は、さらに同行者がいた。
アティス王国騎士学校の制服を着た少年達だ。
ジェイクにも劣らない体格の、若草色の髪の少年――ロックと、ブラウンの髪が印象的な小柄な少年――エドワードである。
今日は休日の《日輪の日》。二人は朝から、コウタ達の所に遊びに来ていた。
これから四人で闘技場へと行く予定だった。
しかし、その内の一人であるコウタが、ずっとこんな様子だ。
「何か落ち込むようなことがあったのか?」
老成した雰囲気のまま、面倒見のよいロックが声をかける。
「……えっと、なんていうか……」
対し、コウタは少し言葉を詰まらせる。
「……はは」
すると、ジェイクが大きく肩を竦めた。
「あれだろ。リノ嬢ちゃんのことだろ」
「うぐっ……」
コウタは呻いた。
それを見て、エドワードとロックは互いの顔を見合わせた。
「リノって……あれか。あの菫色の髪のとんでもねえ美少女」
「いきなり現れた子だな。古風な口調の」
「う、うん……」
コウタが頷く。と、ジェイクが苦笑を浮かべた。
「ある意味、コウタが無理やり連れてきた子だな。まあ、保護とも言えるかもしんねえけど。ただ、リノ嬢ちゃんは、どうもメル嬢達と折り合いが悪くてな。それで色々とフォローしまくって疲れてんだろ」
「何だよ。それ」
エドワードが半眼になる。
「要は新しい子がハーレムに馴染んでねえってことか?」
「いや、ハーレムって……」
と、コウタが頬を強張らせるが、
「いや、そうだろう。付き合いはまだ短いが、それでも、そろそろ俺達も気付くぞ」
ロックまでそんなことを言う。
両腕を組んで、深々と嘆息する。
「まあ、コウタのモテっぷりは明らかに血筋なのだろうな」
「ははは、確かに、コウタの兄ちゃん、すげえもんな」
ジェイクが渇いた笑みを浮かべた。
彼が想いを寄せるシャルロット。その想い人の姿を思い浮かべる。
彼に想いを寄せる女性の数は、コウタさえも上回るのだ。
「兄さんのことは、ボクもそう思うから否定しないけど……」
コウタはかぶりを振った。
「リノのことはまた別の話だよ。兄さんに彼女のことをどう伝えればいいのか、ずっと悩んでいるんだ」
「……ああ、なるほどな」
ジェイクが納得する。
一方、エドワードとロックは不思議そうな顔をした。
「??? なんで悩むんだ?」
エドワードがそこで意地の悪い笑みを浮かべた。
「師匠には正直に、新しくGETした嫁ですって言えばいいんじゃねえか」
「おい。エド。身もふたもないことを」
ロックが呆れるように言う。
すると、ジェイクがボリボリと頭をかいた。
「いや。そういう話でもねえんだよ。そうだな……お前ら《九妖星》って知ってるか?」
「へ?」「……《九妖星》だと?」
唐突なジェイクの問いかけに、エドワードは目を丸くし、ロックは眉根を寄せた。
「直接の面識はないが、名は知っているな。師匠から聞いた」
ロックがそう答えると、ジェイクは「そうか」と話を続ける。
「実はな。リノ嬢ちゃんは普通の人間じゃねえんだよ」
「ジェ、ジェイク!」
コウタが何か言おうとするが、ジェイクは片手で止めた。
「二人はお前の兄ちゃんの身内みてえなもんだし、言っても問題ねえだろ」
「……そうかもしれないけど」
「どちらにしろ、いつかは伝わることだろ? なら今話しておこうぜ」
と告げるジェイクに、コウタは「う~ん」と悩みつつも「確かにそうだね」と納得し、承諾した。ジェイクは強く頷いた。
それから、改めて、エドワード達を見据えて。
「実はな。リノ嬢ちゃんは《九妖星》の一人なんだよ」
一拍の間。
「「……………は?」」
エドワードとロックが、ポカンとした表情を見せた。
ジェイクは嘆息しつつ、話を続ける。
「称号は《水妖星》。ああ見えても支部長の一人だ。コウタの奴な。《黒陽社》に喧嘩を売ってまであの子を口説き落として《九妖星》を辞めさせたんだ。そんで行き場を無くしたあの子を保護って名目で、ここに連れてきたんだよ」
「「………………」」
沈黙が続く。
「で、あの子はコウタにベタ惚れだ。コウタはコウタであの子の連れてきた責任ですっげえ気にかけている。それがメル嬢達には気に入らねえだろうな」
「「………………」」
沈黙はさらに続いた。
「その上、コウタの兄ちゃんは《七星》だ。《九妖星》の天敵ってやつだな。実は、リノ嬢ちゃんは先走ってコウタの兄ちゃんにすでに挨拶に行ってんだが、その時はまだ《九妖星》ってことまでは話してねえらしくてな。だから、コウタはリノ嬢ちゃんを兄ちゃんにどう説明すべきか悩んでるって訳さ」
「「………………」」
沈黙はさらに続く――思われたが。
「「お前、何してんだよ!?」」
ロックとエドワードは同時に叫んだ。
次いで、二人してコウタに詰め寄った。
「《九妖星》だと!? 人身売買組織の支部長だぞ!? 俺達と大して年の差もないあんな少女がか!? 本当なのかそれは!?」
「つうか、お前、そんなヤバい女に手ェ出したの!?」
「い、いや、だって、リノは良い子なんだよ……」
コウタは二人の勢いに圧されながらも弁明する。
「闇の中なんて似合わない。ちょっと我儘だけど、天真爛漫で本当に明るい子なんだ。だから、放っておけなかったんだ」
「いや、それにしても……」
ロックは何とも言えない渋面を浮かべた。
「よりにもよって《九妖星》とはな……」
「そうだよな」エドワードも眉をしかめた。「師匠に説明するとか以前に、こりゃあ騎士団の案件だろ。エイシスの親父さんに話して対応してもらった方がいいんじゃねえか? もしくはミランシャさんに頼んで皇国騎士団に動いてもらうとか」
と、エドワードが意外に真っ当な意見を呟く。
しかし、それに対して、
「――それはダメだよ」
コウタは、はっきりと告げた。
エドワードはキョトンとした顔を見せた。ロックが両腕を組む。
「どうしてダメなんだ? エドの言うことは珍しく的を射ているぞ」
「いや。珍しくは酷くね? ロック」
というエドワードのツッコミは無視して、コウタが答える。
「騎士団が動くと、彼女は保護されると思う。形としては確保なのかもしれないけど、ともかく年齢や生い立ち、やむを得ない環境から情状酌量されて、そこまで重い罪にもならないかもしれない。けど、それじゃあダメなんだ」
「……何がダメなんだ?」
ロックが眉をひそめた。
コウタはグッと拳を握りしめた。
「ボクが彼女の傍にいられない。ボクが彼女を守れない」
一拍おいて、
「彼女は自らの生い立ちや罪を悔やんで《黒陽社》を辞めた訳じゃないんだ。リノ自身は自分の環境を受け入れていたんだ。けど、ボクが彼女に過去と決別することを強要したんだよ。ボクが望んでリノを光の中に無理やり引き上げたんだ」
コウタは拳を浮かせて、ジッと見据えた。
「だから、ボクには責任がある。彼女を守り、幸せにする責任が。ボクは彼女の手を離さない。それだけは決めているんだ。もうリノはメルにも劣らないぐらい大切なんだ。誰かに彼女を託すことなんて出来ない。したくないよ」
「……コウタ、お前……」
ロックは目を見開いた。
エドワードは「おお~」と呟き、ジェイクは苦笑を浮かべていた。
そして――。
「お前、案外、師匠よりも強情なのかもな」
ロックの表情が苦笑に変わる。
「……はは、どうかな」
コウタもまた、苦笑を浮かべた時だった。
「うん。確かにね。けどその意気は良しだよ。コウちゃん」
「え……」
不意に新しい声が割り込み、コウタはキョトンとした。
エドワードとロックも目を丸くし、いち早く声の方に振り向いたジェイクは、とても驚いた顔をしている。
背を向けていたコウタも、おもむろに振り返った。
そして、そこに居たのは、
「サ、サクヤ姉さん……?」
両手を腰に。
優しい笑みを見せるコウタの義姉だった。
そこは、王城へと続く道。
王城の見物も兼ねて、多くの人が行き交う道なのだが、彼女とすれ違うたびに、通行人達は思わず足を止めた。
ただ、茫然と彼女を見つめる。
それほどまでに彼女は美しかった。
《夜の女神》の化身と言っても過言がない美貌。さらには抜群のプロポーション。炎の華紋が描かれた制服のようなタイトワンピースもよく似合っている。
何より、彼女の表情が印象的だった。
まるで太陽のごとく。生気や活力に満ち溢れているのだ。
彼女は真っ直ぐ王城・ラスセーヌに向かっていた。
そんな彼女の後ろには、もう一人、女性が控えていた。
やや乱雑な黄色い短髪。腰に短剣を差した人物。まるでトレジャーハンターを思わせるラフな格好の女性だ。
黒髪の女性には劣るものの彼女もスタイルがよく、相当な美人だ。
しかし、太陽のような輝きを放つ黒髪の女性とは対照的に、彼女の表情は暗い――いや、どこか緊張した様子だった。
時折、小さな溜息まで零していた。
二人は進んでいく。
そうして、いよいよ王城がはっきりと見えてきた。
黒髪の女性は、おもむろに足を止めた。
彼女は黒い瞳を細めて王城・ラスセーヌを見据えた。
強い風が吹き、黒い髪を大きくなびかせた。
そして彼女は呟く。
「いよいよ、この時が来たのね」
◆
「………はァ」
溜息が零れ落ちる。
王城の廊下を歩くコウタの溜息だ。
「……随分と疲れているな」
そう呟くのは、コウタの隣を歩く少年だ。短く刈った濃い緑色の髪が特徴的な、体格のいい少年――コウタの親友であるジェイクだ。
「そうだな。一体どうしたんだ?」
「朝から溜息なんてつくなよ」
今日は、さらに同行者がいた。
アティス王国騎士学校の制服を着た少年達だ。
ジェイクにも劣らない体格の、若草色の髪の少年――ロックと、ブラウンの髪が印象的な小柄な少年――エドワードである。
今日は休日の《日輪の日》。二人は朝から、コウタ達の所に遊びに来ていた。
これから四人で闘技場へと行く予定だった。
しかし、その内の一人であるコウタが、ずっとこんな様子だ。
「何か落ち込むようなことがあったのか?」
老成した雰囲気のまま、面倒見のよいロックが声をかける。
「……えっと、なんていうか……」
対し、コウタは少し言葉を詰まらせる。
「……はは」
すると、ジェイクが大きく肩を竦めた。
「あれだろ。リノ嬢ちゃんのことだろ」
「うぐっ……」
コウタは呻いた。
それを見て、エドワードとロックは互いの顔を見合わせた。
「リノって……あれか。あの菫色の髪のとんでもねえ美少女」
「いきなり現れた子だな。古風な口調の」
「う、うん……」
コウタが頷く。と、ジェイクが苦笑を浮かべた。
「ある意味、コウタが無理やり連れてきた子だな。まあ、保護とも言えるかもしんねえけど。ただ、リノ嬢ちゃんは、どうもメル嬢達と折り合いが悪くてな。それで色々とフォローしまくって疲れてんだろ」
「何だよ。それ」
エドワードが半眼になる。
「要は新しい子がハーレムに馴染んでねえってことか?」
「いや、ハーレムって……」
と、コウタが頬を強張らせるが、
「いや、そうだろう。付き合いはまだ短いが、それでも、そろそろ俺達も気付くぞ」
ロックまでそんなことを言う。
両腕を組んで、深々と嘆息する。
「まあ、コウタのモテっぷりは明らかに血筋なのだろうな」
「ははは、確かに、コウタの兄ちゃん、すげえもんな」
ジェイクが渇いた笑みを浮かべた。
彼が想いを寄せるシャルロット。その想い人の姿を思い浮かべる。
彼に想いを寄せる女性の数は、コウタさえも上回るのだ。
「兄さんのことは、ボクもそう思うから否定しないけど……」
コウタはかぶりを振った。
「リノのことはまた別の話だよ。兄さんに彼女のことをどう伝えればいいのか、ずっと悩んでいるんだ」
「……ああ、なるほどな」
ジェイクが納得する。
一方、エドワードとロックは不思議そうな顔をした。
「??? なんで悩むんだ?」
エドワードがそこで意地の悪い笑みを浮かべた。
「師匠には正直に、新しくGETした嫁ですって言えばいいんじゃねえか」
「おい。エド。身もふたもないことを」
ロックが呆れるように言う。
すると、ジェイクがボリボリと頭をかいた。
「いや。そういう話でもねえんだよ。そうだな……お前ら《九妖星》って知ってるか?」
「へ?」「……《九妖星》だと?」
唐突なジェイクの問いかけに、エドワードは目を丸くし、ロックは眉根を寄せた。
「直接の面識はないが、名は知っているな。師匠から聞いた」
ロックがそう答えると、ジェイクは「そうか」と話を続ける。
「実はな。リノ嬢ちゃんは普通の人間じゃねえんだよ」
「ジェ、ジェイク!」
コウタが何か言おうとするが、ジェイクは片手で止めた。
「二人はお前の兄ちゃんの身内みてえなもんだし、言っても問題ねえだろ」
「……そうかもしれないけど」
「どちらにしろ、いつかは伝わることだろ? なら今話しておこうぜ」
と告げるジェイクに、コウタは「う~ん」と悩みつつも「確かにそうだね」と納得し、承諾した。ジェイクは強く頷いた。
それから、改めて、エドワード達を見据えて。
「実はな。リノ嬢ちゃんは《九妖星》の一人なんだよ」
一拍の間。
「「……………は?」」
エドワードとロックが、ポカンとした表情を見せた。
ジェイクは嘆息しつつ、話を続ける。
「称号は《水妖星》。ああ見えても支部長の一人だ。コウタの奴な。《黒陽社》に喧嘩を売ってまであの子を口説き落として《九妖星》を辞めさせたんだ。そんで行き場を無くしたあの子を保護って名目で、ここに連れてきたんだよ」
「「………………」」
沈黙が続く。
「で、あの子はコウタにベタ惚れだ。コウタはコウタであの子の連れてきた責任ですっげえ気にかけている。それがメル嬢達には気に入らねえだろうな」
「「………………」」
沈黙はさらに続いた。
「その上、コウタの兄ちゃんは《七星》だ。《九妖星》の天敵ってやつだな。実は、リノ嬢ちゃんは先走ってコウタの兄ちゃんにすでに挨拶に行ってんだが、その時はまだ《九妖星》ってことまでは話してねえらしくてな。だから、コウタはリノ嬢ちゃんを兄ちゃんにどう説明すべきか悩んでるって訳さ」
「「………………」」
沈黙はさらに続く――思われたが。
「「お前、何してんだよ!?」」
ロックとエドワードは同時に叫んだ。
次いで、二人してコウタに詰め寄った。
「《九妖星》だと!? 人身売買組織の支部長だぞ!? 俺達と大して年の差もないあんな少女がか!? 本当なのかそれは!?」
「つうか、お前、そんなヤバい女に手ェ出したの!?」
「い、いや、だって、リノは良い子なんだよ……」
コウタは二人の勢いに圧されながらも弁明する。
「闇の中なんて似合わない。ちょっと我儘だけど、天真爛漫で本当に明るい子なんだ。だから、放っておけなかったんだ」
「いや、それにしても……」
ロックは何とも言えない渋面を浮かべた。
「よりにもよって《九妖星》とはな……」
「そうだよな」エドワードも眉をしかめた。「師匠に説明するとか以前に、こりゃあ騎士団の案件だろ。エイシスの親父さんに話して対応してもらった方がいいんじゃねえか? もしくはミランシャさんに頼んで皇国騎士団に動いてもらうとか」
と、エドワードが意外に真っ当な意見を呟く。
しかし、それに対して、
「――それはダメだよ」
コウタは、はっきりと告げた。
エドワードはキョトンとした顔を見せた。ロックが両腕を組む。
「どうしてダメなんだ? エドの言うことは珍しく的を射ているぞ」
「いや。珍しくは酷くね? ロック」
というエドワードのツッコミは無視して、コウタが答える。
「騎士団が動くと、彼女は保護されると思う。形としては確保なのかもしれないけど、ともかく年齢や生い立ち、やむを得ない環境から情状酌量されて、そこまで重い罪にもならないかもしれない。けど、それじゃあダメなんだ」
「……何がダメなんだ?」
ロックが眉をひそめた。
コウタはグッと拳を握りしめた。
「ボクが彼女の傍にいられない。ボクが彼女を守れない」
一拍おいて、
「彼女は自らの生い立ちや罪を悔やんで《黒陽社》を辞めた訳じゃないんだ。リノ自身は自分の環境を受け入れていたんだ。けど、ボクが彼女に過去と決別することを強要したんだよ。ボクが望んでリノを光の中に無理やり引き上げたんだ」
コウタは拳を浮かせて、ジッと見据えた。
「だから、ボクには責任がある。彼女を守り、幸せにする責任が。ボクは彼女の手を離さない。それだけは決めているんだ。もうリノはメルにも劣らないぐらい大切なんだ。誰かに彼女を託すことなんて出来ない。したくないよ」
「……コウタ、お前……」
ロックは目を見開いた。
エドワードは「おお~」と呟き、ジェイクは苦笑を浮かべていた。
そして――。
「お前、案外、師匠よりも強情なのかもな」
ロックの表情が苦笑に変わる。
「……はは、どうかな」
コウタもまた、苦笑を浮かべた時だった。
「うん。確かにね。けどその意気は良しだよ。コウちゃん」
「え……」
不意に新しい声が割り込み、コウタはキョトンとした。
エドワードとロックも目を丸くし、いち早く声の方に振り向いたジェイクは、とても驚いた顔をしている。
背を向けていたコウタも、おもむろに振り返った。
そして、そこに居たのは、
「サ、サクヤ姉さん……?」
両手を腰に。
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