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父上〜!父上にはティラミスをお見舞します!
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グリーマン先生が父上に僕の魔法について報告をした次の日。
滅多に会えない父上から執務室へと呼び出しがかかった。
先生がどんな風に報告したかわからないけど、正直父上の出方が全くわからない。
前世の記憶が蘇ったからと言って今までの記憶が無くなるわけじゃないから、家族や日常生活はちゃんと覚えている。
なのに、父上の印象が薄い。
いつも忙しそうだなぁ~って思ってた気がするけど。
少し緊張しながら父上の執務室のドアをノックし、中に入ると、20代後半くらいに見える少し疲れた感じの美丈夫がいた。
兄上が歳を重ねた感じだね。こんな顔だったんだ~。
僕が入室しても書類に視線を固定して、「少し待て」と言ってシュパシュパ書類を捌いていた。
なんでこんなに忙しいの?
呆気に取られている間に区切りがついたみたいで、ようやく視線をランスに移した。
「………座って待っていて良かったのだが?」
「んえ?…あ、ぽけっとしてました…」
「……そうか。ではそこのソファに座りなさい」
「はいっ」
執務机の前にある対面ソファにちょこんと座ると、父上もこちらにやって来た。
「グリーマンから話は聞いた。しかし魔法でお菓子が出るとは?グリーマンがそれはそれは美味なお菓子が出てくると絶賛していたが…」
「はいっ父上も今までに食べたことないお菓子を出すことができます!」
複雑そうな顔でお菓子のことを聞いてきた。
これはここに出せというフリかな?
丁度お茶も準備されたし、いっちょ出したりますか!
「父上は甘党ですか?甘いのは苦手ですか?」
「ん?まあ普通くらいか?」
「ほろ苦いのとかはどうですか?」
「ああ、好きな方だな」
では、父上にはティラミスをお見舞します!
ちらりと侍女の方を見ると、サッと空の皿を出してくれた。
「ありがとう!父上、今からだしますね!」
ぅぬぬぬぬっ
ポンッ
べちょっ。
「んん?」
「どうぞ~。ティラミスというお菓子をだしました!召し上がれ~」
茶色と白の層が交互に重なっているティラミスは、見た目からしてちょっとお洒落だよね。
恐る恐るスプーンですくって、柔らかさに少し驚いていた。それをじろじろと眺めたあとにパクリと一口。
もうおわかりでしょう。
固まった父上は、数秒後にはペロリと完食。
「なんだこれは」
「ティラミスです。ちなみに兄上はクレープでグリーマン先生はドーナツが好きみたいです」
「………そんなに色々あるのか?」
「はい!たっくさんあります!でもまだまだ僕の魔法が未熟だから一度に少ししかだせないです」
「………そうか……最初にグリーマンから話を聞いた時は心配だったが、ランスは本気でお菓子屋さんになる気なんだな?」
「はい!美味しいお菓子をたくさんの人に食べてもらいたいです!」
おおっ父上ってば僕のことを心配してたのか!
全然お顔に出てないよ!
「ではその時まで魔法の鍛錬を頑張りなさい。店を出す時には必ず相談すること。私はランスのやりたい事を応援するよ」
「ありがとうございます父上!」
「………………だから……またティラミスとやらを持ってきなさい」
「ふふっ、わかりました!」
少し恥ずかしそうに視線を逸らす父上が微笑ましくて、少し笑っちゃった。
柔軟なお家で良かった~!とランスは一安心した。
父上お墨付きのお店が出せるぞ~!とまた一歩お菓子屋さんを開くという将来に向けて進んだのだった。
滅多に会えない父上から執務室へと呼び出しがかかった。
先生がどんな風に報告したかわからないけど、正直父上の出方が全くわからない。
前世の記憶が蘇ったからと言って今までの記憶が無くなるわけじゃないから、家族や日常生活はちゃんと覚えている。
なのに、父上の印象が薄い。
いつも忙しそうだなぁ~って思ってた気がするけど。
少し緊張しながら父上の執務室のドアをノックし、中に入ると、20代後半くらいに見える少し疲れた感じの美丈夫がいた。
兄上が歳を重ねた感じだね。こんな顔だったんだ~。
僕が入室しても書類に視線を固定して、「少し待て」と言ってシュパシュパ書類を捌いていた。
なんでこんなに忙しいの?
呆気に取られている間に区切りがついたみたいで、ようやく視線をランスに移した。
「………座って待っていて良かったのだが?」
「んえ?…あ、ぽけっとしてました…」
「……そうか。ではそこのソファに座りなさい」
「はいっ」
執務机の前にある対面ソファにちょこんと座ると、父上もこちらにやって来た。
「グリーマンから話は聞いた。しかし魔法でお菓子が出るとは?グリーマンがそれはそれは美味なお菓子が出てくると絶賛していたが…」
「はいっ父上も今までに食べたことないお菓子を出すことができます!」
複雑そうな顔でお菓子のことを聞いてきた。
これはここに出せというフリかな?
丁度お茶も準備されたし、いっちょ出したりますか!
「父上は甘党ですか?甘いのは苦手ですか?」
「ん?まあ普通くらいか?」
「ほろ苦いのとかはどうですか?」
「ああ、好きな方だな」
では、父上にはティラミスをお見舞します!
ちらりと侍女の方を見ると、サッと空の皿を出してくれた。
「ありがとう!父上、今からだしますね!」
ぅぬぬぬぬっ
ポンッ
べちょっ。
「んん?」
「どうぞ~。ティラミスというお菓子をだしました!召し上がれ~」
茶色と白の層が交互に重なっているティラミスは、見た目からしてちょっとお洒落だよね。
恐る恐るスプーンですくって、柔らかさに少し驚いていた。それをじろじろと眺めたあとにパクリと一口。
もうおわかりでしょう。
固まった父上は、数秒後にはペロリと完食。
「なんだこれは」
「ティラミスです。ちなみに兄上はクレープでグリーマン先生はドーナツが好きみたいです」
「………そんなに色々あるのか?」
「はい!たっくさんあります!でもまだまだ僕の魔法が未熟だから一度に少ししかだせないです」
「………そうか……最初にグリーマンから話を聞いた時は心配だったが、ランスは本気でお菓子屋さんになる気なんだな?」
「はい!美味しいお菓子をたくさんの人に食べてもらいたいです!」
おおっ父上ってば僕のことを心配してたのか!
全然お顔に出てないよ!
「ではその時まで魔法の鍛錬を頑張りなさい。店を出す時には必ず相談すること。私はランスのやりたい事を応援するよ」
「ありがとうございます父上!」
「………………だから……またティラミスとやらを持ってきなさい」
「ふふっ、わかりました!」
少し恥ずかしそうに視線を逸らす父上が微笑ましくて、少し笑っちゃった。
柔軟なお家で良かった~!とランスは一安心した。
父上お墨付きのお店が出せるぞ~!とまた一歩お菓子屋さんを開くという将来に向けて進んだのだった。
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