12 / 243
第一章・無自覚編〜出遭い
クリスによる特殊な治療
しおりを挟む
「は? にょうかっ? え?」
初めて聞く言葉の羅列にルドが混乱する。そんなルドを無視してクリスは魔法を詠唱した。
『透視』
老人の腰に当てていた手をゆっくりと動かす。
「尿管結石確認」
クリスは手を止め、睨むように目を細めた。
『結石周囲、結界壁展開』
魔法を発動しつつ、ルドの髪から魔力を吸い取る。
ルドの魔力を取りすぎて、自分の体を傷つけないように。けど、少なすぎて魔法が発動しない、ということにならないように。
絶妙に調節しながら魔力を抜き取る。
クリスの額にじわりと汗が浮かぶ。その様子をルドが黙って見守る。いや、見守るしかできなかった。正直なところ、なにが起きているのか、まったく理解できない。
必要な魔力が溜まったクリスは慎重に魔法を詠唱した。
『爆破』
老人のうめき声が止まる。
「まだ、動くな」
老人に声をかけたクリスは固い表情のまま治療を続けた。
『尿管および、その周囲組織の修復』
老人の腰が内側から光る。クリスは最後にもう一度腰全体をゆっくりと撫でた。
「出血なし。腎臓に結石なし。尿管に狭窄なし。膀胱への排石を確認。治療を終了す……」
フッと、クリスの意識が遠のく。力が抜け、体が後ろに倒れた。
「師匠!」
床に倒れる前にルドが受け止めた。
「師匠!?」
ルドの腕の中でクリスが顔をしかめる。
「うるさい。魔力を使いすぎて動けないだけだ。体に異常はない」
「よかった……」
安堵しているルドの背後からテオが訊ねる。
「クリス、今のはどういう治療だ?」
「腎臓という尿を作る臓器があるのだが、そこから出ている管に石が詰まり、尿をせき止め、周囲の組織も傷つけていた。あのままだと激痛が続き、最後は管が破裂して死んでいた」
「体内に石? この古傷を受けた時に入ったものか?」
「違う。体内でできた石だ」
「体の中に石が出来ることがあるのか!? いつ出来たんだ?」
クリスはルドに体を預けたまま答えた。
「以前、治療する前に痛みが消えたことがあっただろ? あれは尿管を傷つけていた石がたまたま動いて、治療前に痛みがなくなったと考えられる。だから少なくとも、その頃には石があった」
「そんなに前から……なのに、誰も治せなかったのか」
「だから治療をする部位が重要になる。適した位置に治療魔法をかけなければ効果はない。少し休むぞ」
クリスは目を閉じる。ルドがクリスからテオに視線を向けた。
「あの、今の師匠の話なのですが……」
「気にするな。私もほとんど分からん。クリスは他国の……解剖学書? とかいう本で、人体の構造を勉強しているらしい。それ以外にもクリスは独学で勉強しているから、他の治療師とは違う治療をすることが多い」
その説明にルドが琥珀の瞳を輝かせてクリスを見る。
「さすが師匠!」
テオが呆れてルドに忠告した。
「さすがじゃない。治療をするためなら平然と無茶をするからな」
「いつもですか?」
「いつもではないが、自分が傷つくことを恐れない。必要なら自分から傷つくほどだ。口と態度は悪いが、治療には全力を尽くす。だから、街の連中も慕っている」
「あれは慕っているというより、崇拝されているような気がします」
ルドがクリスを横抱きのまま立ち上がる。
「そこは否定できないな。とりあえず、今日は帰ったほうがいい。ルド、すまないがクリスを家まで送ってくれ」
「はい。師匠の家はどこですか?」
「馬車を手配する。家の場所は御者が知っているから任せればいい」
「わかりました」
テオが待機していた受付の男に声をかける。
「馬車を呼んでくれ」
「はい」
痛みが消えた老人が恐る恐る上半身を起こした。そのことに気がついたテオが声をかける。
「痛みはどうですか? 違和感はありませんか?」
「痛みはない。今までは治療を受けても痛みや違和感が残っていたが、それもない」
「それは良かった」
テオが安堵していると、老人がルドに視線を向けた。
「今までどんな凄腕の師をつけても、決して師匠と呼ぶことはなかったのにな。よもや、そんな若者を師匠と呼ぶようになるとは」
老人がどこか諦めたような残念な顔をする。そんな老人をルドが睨んだ。
「師匠を愚弄することは、誰であろうと許しません」
「儂の恩人だ。愚弄などせん。だが、どんなに良い師につこうが約束は忘れるな」
「わかっています」
殺気に近い鋭い空気がルドと老人を刺しあう。そこに受付の男の声が響いた。
「馬車が来ました」
「いきます」
ルドが軽く頭を下げて部屋から出ていった。
治療院の前に一台の馬車がいる。クリスを抱えたままルドが乗ると、馬車はガラガラと音を立てて進んだ。
街の喧騒を抜け、郊外へ。家はまばらになり、畑や空き地が多くなる。
「ずいぶん遠いところに住んでいるんだな」
ルドが外を見ていると馬車が停車した。
「着きました」
広い庭園を抜けた先にある屋敷。ルドが馬車から降りると屋敷から執事服を着た青年が出てきた。
この国では珍しい黒髪の青年執事がルドに一礼をして声をかける。
「主が世話になりました。私はこの屋敷を任されております、カリストと申します。あとは私がいたしますので、客人はこちらへどうぞ」
そう言ってカリストがクリスに手を伸ばした。カリストの外見は麗しく、手足も細長い。
だからこそクリスを抱えて移動できるだけの力があるとは思えなかった。
ルドが首を横に振った。
「自分が部屋まで運びます」
「いえ、客人にそこまでさせられません」
カリストが半ば強引にクリスをルドから引き取り、軽々と抱える。
「カルラ、客人をサロンへ」
いつの間にかカリストの後ろに控えていた赤茶の髪をしたメイドが一歩前に出た。代わりにルドが強張った顔で一歩下がる。
「お客様、こちらへどうぞ」
「あ、いや、自分はこれで……」
帰ろうとしたルドの耳に明るい声が飛び込んできた。
「クリス兄ちゃん、帰ってきたの?」
「いつもより早いな!」
「クリス兄様、遊んで!」
「ダメよ! 私が先に遊んでもらう約束をしていたのだから!」
集まってきた子どもたちをカリストが穏やかに諭す。
「ここに来てはいけないと言っていますでしょう。クリス様は調子が悪いので早く帰られたのですよ」
「えー、じゃあ今日は遊べないの?」
「つまんない!」
「じゃあ、私はクリス様が早く元気になるようにホットミルクを作るわ」
「私も作る!」
子どもたちが歓声をあげながら屋敷の中へと走っていく。その光景にルドが微笑む。
「賑やかでいいですね」
メイドのカルラが頭を下げた。
「お見苦しいところをお見せしました。こちらへどうぞ」
「いえ、今日はこれで失礼します」
「クリス様を無事にお連れしていただいたのに、おもてなししないわけにはいきません。お茶だけでもお飲みになってください」
そう言って顔をあげたカルラの視線は鋭い。ただのメイドができる目つきではない。
少し悩んだルドが警戒しながら頷いた。
「……では、少しだけ」
返事をしながらルドが屋敷の奥を覗く。クリスを抱えたカリストが廊下を曲がる。その直前、クリスの髪が茶色から金色に変化したように見えた。
「え?」
もう一度、確認しようしたルドの前にカルラが立つ。
「こちらへどうぞ」
有無を言わせない圧力。そのまま、屋敷のサロンへと案内された。
初めて聞く言葉の羅列にルドが混乱する。そんなルドを無視してクリスは魔法を詠唱した。
『透視』
老人の腰に当てていた手をゆっくりと動かす。
「尿管結石確認」
クリスは手を止め、睨むように目を細めた。
『結石周囲、結界壁展開』
魔法を発動しつつ、ルドの髪から魔力を吸い取る。
ルドの魔力を取りすぎて、自分の体を傷つけないように。けど、少なすぎて魔法が発動しない、ということにならないように。
絶妙に調節しながら魔力を抜き取る。
クリスの額にじわりと汗が浮かぶ。その様子をルドが黙って見守る。いや、見守るしかできなかった。正直なところ、なにが起きているのか、まったく理解できない。
必要な魔力が溜まったクリスは慎重に魔法を詠唱した。
『爆破』
老人のうめき声が止まる。
「まだ、動くな」
老人に声をかけたクリスは固い表情のまま治療を続けた。
『尿管および、その周囲組織の修復』
老人の腰が内側から光る。クリスは最後にもう一度腰全体をゆっくりと撫でた。
「出血なし。腎臓に結石なし。尿管に狭窄なし。膀胱への排石を確認。治療を終了す……」
フッと、クリスの意識が遠のく。力が抜け、体が後ろに倒れた。
「師匠!」
床に倒れる前にルドが受け止めた。
「師匠!?」
ルドの腕の中でクリスが顔をしかめる。
「うるさい。魔力を使いすぎて動けないだけだ。体に異常はない」
「よかった……」
安堵しているルドの背後からテオが訊ねる。
「クリス、今のはどういう治療だ?」
「腎臓という尿を作る臓器があるのだが、そこから出ている管に石が詰まり、尿をせき止め、周囲の組織も傷つけていた。あのままだと激痛が続き、最後は管が破裂して死んでいた」
「体内に石? この古傷を受けた時に入ったものか?」
「違う。体内でできた石だ」
「体の中に石が出来ることがあるのか!? いつ出来たんだ?」
クリスはルドに体を預けたまま答えた。
「以前、治療する前に痛みが消えたことがあっただろ? あれは尿管を傷つけていた石がたまたま動いて、治療前に痛みがなくなったと考えられる。だから少なくとも、その頃には石があった」
「そんなに前から……なのに、誰も治せなかったのか」
「だから治療をする部位が重要になる。適した位置に治療魔法をかけなければ効果はない。少し休むぞ」
クリスは目を閉じる。ルドがクリスからテオに視線を向けた。
「あの、今の師匠の話なのですが……」
「気にするな。私もほとんど分からん。クリスは他国の……解剖学書? とかいう本で、人体の構造を勉強しているらしい。それ以外にもクリスは独学で勉強しているから、他の治療師とは違う治療をすることが多い」
その説明にルドが琥珀の瞳を輝かせてクリスを見る。
「さすが師匠!」
テオが呆れてルドに忠告した。
「さすがじゃない。治療をするためなら平然と無茶をするからな」
「いつもですか?」
「いつもではないが、自分が傷つくことを恐れない。必要なら自分から傷つくほどだ。口と態度は悪いが、治療には全力を尽くす。だから、街の連中も慕っている」
「あれは慕っているというより、崇拝されているような気がします」
ルドがクリスを横抱きのまま立ち上がる。
「そこは否定できないな。とりあえず、今日は帰ったほうがいい。ルド、すまないがクリスを家まで送ってくれ」
「はい。師匠の家はどこですか?」
「馬車を手配する。家の場所は御者が知っているから任せればいい」
「わかりました」
テオが待機していた受付の男に声をかける。
「馬車を呼んでくれ」
「はい」
痛みが消えた老人が恐る恐る上半身を起こした。そのことに気がついたテオが声をかける。
「痛みはどうですか? 違和感はありませんか?」
「痛みはない。今までは治療を受けても痛みや違和感が残っていたが、それもない」
「それは良かった」
テオが安堵していると、老人がルドに視線を向けた。
「今までどんな凄腕の師をつけても、決して師匠と呼ぶことはなかったのにな。よもや、そんな若者を師匠と呼ぶようになるとは」
老人がどこか諦めたような残念な顔をする。そんな老人をルドが睨んだ。
「師匠を愚弄することは、誰であろうと許しません」
「儂の恩人だ。愚弄などせん。だが、どんなに良い師につこうが約束は忘れるな」
「わかっています」
殺気に近い鋭い空気がルドと老人を刺しあう。そこに受付の男の声が響いた。
「馬車が来ました」
「いきます」
ルドが軽く頭を下げて部屋から出ていった。
治療院の前に一台の馬車がいる。クリスを抱えたままルドが乗ると、馬車はガラガラと音を立てて進んだ。
街の喧騒を抜け、郊外へ。家はまばらになり、畑や空き地が多くなる。
「ずいぶん遠いところに住んでいるんだな」
ルドが外を見ていると馬車が停車した。
「着きました」
広い庭園を抜けた先にある屋敷。ルドが馬車から降りると屋敷から執事服を着た青年が出てきた。
この国では珍しい黒髪の青年執事がルドに一礼をして声をかける。
「主が世話になりました。私はこの屋敷を任されております、カリストと申します。あとは私がいたしますので、客人はこちらへどうぞ」
そう言ってカリストがクリスに手を伸ばした。カリストの外見は麗しく、手足も細長い。
だからこそクリスを抱えて移動できるだけの力があるとは思えなかった。
ルドが首を横に振った。
「自分が部屋まで運びます」
「いえ、客人にそこまでさせられません」
カリストが半ば強引にクリスをルドから引き取り、軽々と抱える。
「カルラ、客人をサロンへ」
いつの間にかカリストの後ろに控えていた赤茶の髪をしたメイドが一歩前に出た。代わりにルドが強張った顔で一歩下がる。
「お客様、こちらへどうぞ」
「あ、いや、自分はこれで……」
帰ろうとしたルドの耳に明るい声が飛び込んできた。
「クリス兄ちゃん、帰ってきたの?」
「いつもより早いな!」
「クリス兄様、遊んで!」
「ダメよ! 私が先に遊んでもらう約束をしていたのだから!」
集まってきた子どもたちをカリストが穏やかに諭す。
「ここに来てはいけないと言っていますでしょう。クリス様は調子が悪いので早く帰られたのですよ」
「えー、じゃあ今日は遊べないの?」
「つまんない!」
「じゃあ、私はクリス様が早く元気になるようにホットミルクを作るわ」
「私も作る!」
子どもたちが歓声をあげながら屋敷の中へと走っていく。その光景にルドが微笑む。
「賑やかでいいですね」
メイドのカルラが頭を下げた。
「お見苦しいところをお見せしました。こちらへどうぞ」
「いえ、今日はこれで失礼します」
「クリス様を無事にお連れしていただいたのに、おもてなししないわけにはいきません。お茶だけでもお飲みになってください」
そう言って顔をあげたカルラの視線は鋭い。ただのメイドができる目つきではない。
少し悩んだルドが警戒しながら頷いた。
「……では、少しだけ」
返事をしながらルドが屋敷の奥を覗く。クリスを抱えたカリストが廊下を曲がる。その直前、クリスの髪が茶色から金色に変化したように見えた。
「え?」
もう一度、確認しようしたルドの前にカルラが立つ。
「こちらへどうぞ」
有無を言わせない圧力。そのまま、屋敷のサロンへと案内された。
2
あなたにおすすめの小説
病弱な第四皇子は屈強な皇帝となって、兎耳宮廷薬師に求愛する
藤原 秋
恋愛
大規模な自然災害により絶滅寸前となった兎耳族の生き残りは、大帝国の皇帝の計らいにより宮廷で保護という名目の軟禁下に置かれている。
彼らは宮廷内の仕事に従事しながら、一切の外出を許可されず、婚姻は同族間のみと定義づけられ、宮廷内の籠の鳥と化していた。
そんな中、宮廷薬師となった兎耳族のユーファは、帝国に滅ぼされたアズール王国の王子で今は皇宮の側用人となったスレンツェと共に、生まれつき病弱で両親から次期皇帝候補になることはないと見限られた五歳の第四皇子フラムアーク付きとなり、皇子という地位にありながら冷遇された彼を献身的に支えてきた。
フラムアークはユーファに懐き、スレンツェを慕い、成長と共に少しずつ丈夫になっていく。
だがそれは、彼が現実という名の壁に直面し、自らの境遇に立ち向かっていかねばならないことを意味していた―――。
柔和な性格ながら確たる覚悟を内に秘め、男としての牙を隠す第四皇子と、高潔で侠気に富み、自らの過去と戦いながら彼を補佐する亡国の王子、彼らの心の支えとなり、国の制約と湧き起こる感情の狭間で葛藤する亜人の宮廷薬師。
三者三様の立ち位置にある彼らが手を携え合い、ひとつひとつ困難を乗り越えて掴み取る、思慕と軌跡の逆転劇。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
喪女なのに狼さんたちに溺愛されています
和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です!
聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。
ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。
森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ?
ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる