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死者使いと悪魔召喚
意外な参戦者による意外な展開
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エマの腹の皮膚を切ったクリスは慎重に次の作業へ移った。筋肉を切り分け、子宮への道を作る。時間との勝負。
焦って手元が狂えば腹の子まで傷つける。
クリスは素早く正確にひたすら手を動かした。
そんなクリスを守りながら、カリストが自分の血で魔法陣の上書きをする。
あと一人この魔法陣の中で死ぬと悪魔が召喚される。そうなる前に解除をしないといけない。
悪魔の外見や性質は不明だが、人間にとって厄災であり召喚された地は焦土と化す、と伝えられている。
エマの命がいつ魔法陣に吸い取られてもおかしくない状況。しかも、アンデッドの弾け飛んだ手足がクリスを囲んでおり、攻撃力は低いが治療の邪魔なら十分できる。
クリスの手元が狂えばエマも腹の子も命が危ない。
カリストが手を動かしながら、ベッティーノの動きにも注意しながら、アンドレとラミラが撃ち損ねたアンデッドをナイフで串刺しにして動きを封じる。
「時間がありませんね」
すべてをこなしながらカリストが魔法陣の書き換えをしていく。
そこにベッティーノが叫んだ。
「悪魔はすぐそこまで来ている! たとえ魔法陣を書き換えても召喚される!」
「なら、邪魔をしないで下さい」
「そうはいかない!」
カリストのすきをついて走ったベッティーノが飛ばされた剣を取る。そして、カリストの首へ突き出した。カリストが咄嗟に伏せて剣を避ける。
その後も次々と繰り出される攻撃をカリストが避けていくが、剣先がかすり血しぶきが飛ぶ。その血をカリストが踏み、線となる。
クリスから遠ざけるようにカリストが魔法陣の端へとベッディーノを誘導する。しかし、そのことで守りに穴が出来た。
手だけとなったアンデッドがクリスの足元に忍び寄る。
そのことに気がついたカリストがナイフをかまえた。しかし、その一瞬をついてベッディーノに蹴り飛ばされる。
「グッ!? クリス様!」
カリストが叫ぶがクリスには届かない。アンデッドの手がクリスに襲いかかる。
「クリス様!」
『神の劫火にて滅しよ』
クリスに襲いかかったアンデッドの手が燃え、骨も残さずに消えた。その光景にカリストとベッディーノが動きを止める。
普通の火だとアンデッドが燃えることはない。魔法の火でもアンデッドの形は残り、火をまとったまま動きまわる。
ありえない事態に呆然とするカリストとベッティーノ。
そこに魔法を詠唱した声とは違う、勇ましい怒鳴り声がぶつかってきた。
「元ルーファット王国の第二王子、ベッディーノ! 反逆罪にて処罰す……あ、おい! ルド! 勝手に動くな!」
ルドがクリスの元へ駆け寄る。
「師匠! お怪我はありませんか!?」
あと一歩でクリスの視界に入る……ところでルドが見えない何かに額を弾かれた。
「クリス様の集中力が切れます。近づかないで下さい」
カルラが射殺すような視線でルドを睨む。
「ガーゼ」
「はい」
カルラが返事をしながら空中で手を動かす。カルラの手の動きに合わせて白い布が宙を舞い、クリスの視線の先にある血だまりを拭きとった。
カルラがクリスの手元に視線を向けたままルドに話す。
「すべてが終わるまで、こちらには来ないで下さい」
「わかりました! 守りは任せて下さい! 師匠には指一本近づけさせません!」
「お願いします」
ルドがクリスに背中を向ける。
鋭く光る琥珀の瞳。逆立つ赤髪。全身から溢れる闘気。
そこにいつもの忠犬の姿はなく、赤い狼がいた。
予想外の展開にカリストが呆然とする。そこに手が差し出された。
「大丈夫ですか?」
カリストが顔をあげると、場違いな美青年が微笑んでいる。長い茶髪を後ろで一つにまとめ、背中に流す。
涼しげな目鼻立ちに、スッキリとした顔。美形騎士との恋愛に夢見ている女子が憧れる理想の容姿。
だがカリストはそんな外見より、ここまでの接近に気がつかなかったことに内心で舌打ちしながら、ナイフをかまえた。
「警戒しないで。敵ではないから」
美青年が優しい声で語りかける。
「こんなに傷ついて、怖かっただろ? でも僕が来たから、もう大丈夫。まずは傷を治そう」
「ウルバヌス! おまえまで勝手に動くな!」
刈り上げた短髪に騎士服の上からでも分かる筋肉。男の子が憧れる騎士の姿そのもの。武骨な顔立ちに青い瞳が鋭く光り、歴戦をくぐり抜けてきた雰囲気が漂う。
ごつい騎士の怒声を美青年が軽く流して治療魔法を詠唱する。
『神よ、この可憐な花に癒しの慈悲を与えたまえ』
傷が治ったカリストが警戒したまま訊ねる。
「……どなたでしょうか?」
カリストの低い声に美青年の表情が崩れた。整った顔立ちのまま明らかに落胆する。
「なんだ、男かよ。久しぶりに美女ゲット! って思ったのに」
軽い態度の美青年に、カリストが冷ややかな視線を向けた。
「私の性別など服を見れば分かるでしょう」
「男装かと思ったんだよ。まったく、治療して魔力損した」
「で、あなた方は何者ですか?」
騎士服の乱入者にベッディーノも黙って様子をうかがう。
ごつい騎士が取り直すように咳払いをした。
「失礼! 我々は魔法騎士団である。私は一番隊副隊長のアウルス。こっちは一番隊隊員のウルバヌスだ。ここで悪魔召喚の儀が行われているという情報があり参上した」
「魔法騎士団!?」
ベッディーノは顔を引きつらせたが、思い出したようにエマに視線を向けた。
「い、いや。悪魔が召喚されれば魔法騎士団の一人や二人、問題な……」
そこでベッディーノが硬直する。クリスがエマの腹に手を入れて赤ん坊を取り出した。
「ラミラ! タオルと毛布を出せ! 鼻と口の羊水を吸引して泣かせろ!」
「はい!」
ラミラが武器を収め走る。だが、そのすぐ後ろにアンデッドが追う。
『神の劫火にて滅しよ!』
ルドが魔法でアンデッドを燃やしていく。
その隙にラミラが鞄からタオルと毛布と細い管を取り出し、クリスから赤ん坊を受け取った。
ラミラが赤ん坊の鼻の穴に細い管を入れ、羊水を吸い取る。次に口の羊水も吸い取ると、赤ん坊が小さく泣いた。
クリスは再び腹の中を探りながらラミラに指示を出す。
「治療車に連れていけ! 暑いぐらいに温めろ!」
「はい!」
ラミラが赤ん坊を手際よくタオルで包み、その上から毛布を巻き、左手に抱えた。右手には武器を持ち、いつでも発射できる体勢になる。
「アンドレ! ラミラを治療車まで連れていけ!」
クリスの命令にアンドレがアンデッドを吹き飛ばし、出口までの道を作る。
走り出したラミラにベッティーノが叫ぶ。
「悪魔の依り代だ! 絶対にこの部屋から出すな! 我が命にかけて阻止しろ!」
ベッディーノの命令にすべてのアンデッドが集まる。あっという間にラミラを囲った。
ルドが必死に魔法で焼くが追いつかない。
「数が多すぎる!」
ラミラも武器を撃って応戦するが、四方からの攻撃には対応しきれない。
攻撃をすり抜けたアンデッドの手がラミラに近づき、飛びかかる。
「ダメッ!」
ラミラの叫びが響いた。
焦って手元が狂えば腹の子まで傷つける。
クリスは素早く正確にひたすら手を動かした。
そんなクリスを守りながら、カリストが自分の血で魔法陣の上書きをする。
あと一人この魔法陣の中で死ぬと悪魔が召喚される。そうなる前に解除をしないといけない。
悪魔の外見や性質は不明だが、人間にとって厄災であり召喚された地は焦土と化す、と伝えられている。
エマの命がいつ魔法陣に吸い取られてもおかしくない状況。しかも、アンデッドの弾け飛んだ手足がクリスを囲んでおり、攻撃力は低いが治療の邪魔なら十分できる。
クリスの手元が狂えばエマも腹の子も命が危ない。
カリストが手を動かしながら、ベッティーノの動きにも注意しながら、アンドレとラミラが撃ち損ねたアンデッドをナイフで串刺しにして動きを封じる。
「時間がありませんね」
すべてをこなしながらカリストが魔法陣の書き換えをしていく。
そこにベッティーノが叫んだ。
「悪魔はすぐそこまで来ている! たとえ魔法陣を書き換えても召喚される!」
「なら、邪魔をしないで下さい」
「そうはいかない!」
カリストのすきをついて走ったベッティーノが飛ばされた剣を取る。そして、カリストの首へ突き出した。カリストが咄嗟に伏せて剣を避ける。
その後も次々と繰り出される攻撃をカリストが避けていくが、剣先がかすり血しぶきが飛ぶ。その血をカリストが踏み、線となる。
クリスから遠ざけるようにカリストが魔法陣の端へとベッディーノを誘導する。しかし、そのことで守りに穴が出来た。
手だけとなったアンデッドがクリスの足元に忍び寄る。
そのことに気がついたカリストがナイフをかまえた。しかし、その一瞬をついてベッディーノに蹴り飛ばされる。
「グッ!? クリス様!」
カリストが叫ぶがクリスには届かない。アンデッドの手がクリスに襲いかかる。
「クリス様!」
『神の劫火にて滅しよ』
クリスに襲いかかったアンデッドの手が燃え、骨も残さずに消えた。その光景にカリストとベッディーノが動きを止める。
普通の火だとアンデッドが燃えることはない。魔法の火でもアンデッドの形は残り、火をまとったまま動きまわる。
ありえない事態に呆然とするカリストとベッティーノ。
そこに魔法を詠唱した声とは違う、勇ましい怒鳴り声がぶつかってきた。
「元ルーファット王国の第二王子、ベッディーノ! 反逆罪にて処罰す……あ、おい! ルド! 勝手に動くな!」
ルドがクリスの元へ駆け寄る。
「師匠! お怪我はありませんか!?」
あと一歩でクリスの視界に入る……ところでルドが見えない何かに額を弾かれた。
「クリス様の集中力が切れます。近づかないで下さい」
カルラが射殺すような視線でルドを睨む。
「ガーゼ」
「はい」
カルラが返事をしながら空中で手を動かす。カルラの手の動きに合わせて白い布が宙を舞い、クリスの視線の先にある血だまりを拭きとった。
カルラがクリスの手元に視線を向けたままルドに話す。
「すべてが終わるまで、こちらには来ないで下さい」
「わかりました! 守りは任せて下さい! 師匠には指一本近づけさせません!」
「お願いします」
ルドがクリスに背中を向ける。
鋭く光る琥珀の瞳。逆立つ赤髪。全身から溢れる闘気。
そこにいつもの忠犬の姿はなく、赤い狼がいた。
予想外の展開にカリストが呆然とする。そこに手が差し出された。
「大丈夫ですか?」
カリストが顔をあげると、場違いな美青年が微笑んでいる。長い茶髪を後ろで一つにまとめ、背中に流す。
涼しげな目鼻立ちに、スッキリとした顔。美形騎士との恋愛に夢見ている女子が憧れる理想の容姿。
だがカリストはそんな外見より、ここまでの接近に気がつかなかったことに内心で舌打ちしながら、ナイフをかまえた。
「警戒しないで。敵ではないから」
美青年が優しい声で語りかける。
「こんなに傷ついて、怖かっただろ? でも僕が来たから、もう大丈夫。まずは傷を治そう」
「ウルバヌス! おまえまで勝手に動くな!」
刈り上げた短髪に騎士服の上からでも分かる筋肉。男の子が憧れる騎士の姿そのもの。武骨な顔立ちに青い瞳が鋭く光り、歴戦をくぐり抜けてきた雰囲気が漂う。
ごつい騎士の怒声を美青年が軽く流して治療魔法を詠唱する。
『神よ、この可憐な花に癒しの慈悲を与えたまえ』
傷が治ったカリストが警戒したまま訊ねる。
「……どなたでしょうか?」
カリストの低い声に美青年の表情が崩れた。整った顔立ちのまま明らかに落胆する。
「なんだ、男かよ。久しぶりに美女ゲット! って思ったのに」
軽い態度の美青年に、カリストが冷ややかな視線を向けた。
「私の性別など服を見れば分かるでしょう」
「男装かと思ったんだよ。まったく、治療して魔力損した」
「で、あなた方は何者ですか?」
騎士服の乱入者にベッディーノも黙って様子をうかがう。
ごつい騎士が取り直すように咳払いをした。
「失礼! 我々は魔法騎士団である。私は一番隊副隊長のアウルス。こっちは一番隊隊員のウルバヌスだ。ここで悪魔召喚の儀が行われているという情報があり参上した」
「魔法騎士団!?」
ベッディーノは顔を引きつらせたが、思い出したようにエマに視線を向けた。
「い、いや。悪魔が召喚されれば魔法騎士団の一人や二人、問題な……」
そこでベッディーノが硬直する。クリスがエマの腹に手を入れて赤ん坊を取り出した。
「ラミラ! タオルと毛布を出せ! 鼻と口の羊水を吸引して泣かせろ!」
「はい!」
ラミラが武器を収め走る。だが、そのすぐ後ろにアンデッドが追う。
『神の劫火にて滅しよ!』
ルドが魔法でアンデッドを燃やしていく。
その隙にラミラが鞄からタオルと毛布と細い管を取り出し、クリスから赤ん坊を受け取った。
ラミラが赤ん坊の鼻の穴に細い管を入れ、羊水を吸い取る。次に口の羊水も吸い取ると、赤ん坊が小さく泣いた。
クリスは再び腹の中を探りながらラミラに指示を出す。
「治療車に連れていけ! 暑いぐらいに温めろ!」
「はい!」
ラミラが赤ん坊を手際よくタオルで包み、その上から毛布を巻き、左手に抱えた。右手には武器を持ち、いつでも発射できる体勢になる。
「アンドレ! ラミラを治療車まで連れていけ!」
クリスの命令にアンドレがアンデッドを吹き飛ばし、出口までの道を作る。
走り出したラミラにベッティーノが叫ぶ。
「悪魔の依り代だ! 絶対にこの部屋から出すな! 我が命にかけて阻止しろ!」
ベッディーノの命令にすべてのアンデッドが集まる。あっという間にラミラを囲った。
ルドが必死に魔法で焼くが追いつかない。
「数が多すぎる!」
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