136 / 243
月からの流れ星と治療
女装再びからの買い物
しおりを挟む
先帝の治療を終えたクリスは地下からの階段を登りながら現帝に訊ねた。
「第一皇子は、ずいぶんと〝神に棄てられた一族〟が嫌いなようだな」
現帝が昨日の中庭での出来事を思い出す。
「あいつは、まだまだ若くてな。国を治めるには、清廉潔白でないといけないと、思い込んでいるところがある」
そう言って、現帝が気がついたように慌てる。
「あ、いや〝神に棄てられた一族〟が汚れているとか、そういうわけではないぞ!」
「わかっている。〝神に棄てられた一族〟に関われば、厄災が降る、国が亡ぶ。それは子どもでも知っていることで邪険になるのも分かる。ただ、度が過ぎればこちらも考えねばならん」
「そうなれば、王位継承順位についても考え直す。場合によってはセルシティを第一候補に出そう」
クリスは苦笑いを浮かべた。
「それは止めとけ。あいつは今の生活が気に入っているようだ。そんなことをすれば何をするか読めんぞ」
「分かっておる。我が子ながら、あやつの考えは飛びぬけ過ぎていて追いつけん」
「そもそも継承順位で言うと、次は第二皇子だろ?」
現帝の顔が曇り、階段を上がる足が遅くなる。
「あやつは……先帝と似ておっての。魔力が強く戦は上手い。腕も立ち、騎士や兵士に信頼されている。だが政治が苦手で、物事を深く考える前に体が動く」
「第二皇子が跡継ぎになると先帝の再来になりそうだな」
「あぁ。ただ幸いなことに、あやつは王位に興味がなく、コンスタンティヌスが継ぐべきだと公言している」
「では、セルシティに帝位の話がいかないように第一皇子をしっかり教育しておけ。ところで話は変わるが、帝都に向かう前にオークニーで私を襲ってきた賊がいるのだが……」
クリスの話に現帝の足が止まる。
「そのことについて話しがある。少しいいか?」
「あぁ」
「では、こちらに来てくれ」
階段を上り終えたクリスたちは現帝について城内を歩いた。
見張りの兵士や騎士がいる廊下を抜け、城内の奥の一室へ通される。
「私の執務室だ。散らかっているが、気にしないでくれ」
開けられたドアの先。大きな窓が並び、その間の壁には国旗と剣が飾られた立派な部屋。
その前にある大きな執務机には山積みの書類。あとは大きなソファーがある応接セット。
現帝に勧められ、クリスはソファーに座った。ルドが自然な動きでクリスの背後に立つ。
クリスの反対側に現帝が腰をおろした。親衛隊の一人が現帝の後ろに立ち、残りの二人がドアで待機する。
クリスを正面から見据えた現帝が深々と頭を下げた。
「今回は先帝の治療で迷惑をかけて、すまなかった。しかも、帝城内で誘拐まで……完全にこちらの失態だ」
皇帝が自分の臣下に頭を下げるという前代未聞の事態に、ルドと親衛隊が目を丸くする。だが、クリスは驚くことなく淡々と返した。
「オグウェノがしたことについては気にするな。あれは全面的にあいつが悪い」
顔をあげた現帝が真顔で首を横に振る。
「いや、あれも良い経験になった。城の守りの薄いところがよく分かったからな。だが、帝都に来る途中で襲われるなど、不快な思いをさせてしまった」
「そのことだが、襲ってきたのは何者だ?」
「それについては、裏付けを取っている。近日中に全ての関係者を拘束する予定だ。もう襲われることはない」
「その言葉、信じていいのか?」
「あぁ」
皇帝が深く頷いたところで、ノックの音が響いた。
「お茶をお持ちしました」
執務室に入った若い執事がカップに紅茶を注ぎ、茶菓子を並べる。現帝が一息つくように紅茶を飲んだ。
クリスは紅茶を一瞥しただけで視線を現帝に戻す。
「……拘束、できるのか?」
再確認したクリスに現帝の顔が険しくなる。
「気づいていたのか?」
「確信はないが、情報と状況から推測した。ただ、私を襲わせた理由が分からない」
「動機については拘束してから話を聞く予定だ」
「そうか。すべて分かったら報告してくれ」
クリスはソファーから立ち上がった。現帝がカップを置いて立ち上がる。
「当然だ。ところで、帝都にはいつまでいる予定だ?」
「明後日までだな。明後日の朝、先帝の状態を診たら帰る予定だ」
「早いな。もう少しゆっくりしても良いのではないか?」
執務室から出ると、クリスと現帝は並んで廊下を歩いた。
「こちらも予定がある。あと、急ぎで帰るから明後日は北の山中にある湖の周囲を人払いしておいてくれ」
「前々から思っていたのだが、急ぎで帰るのになぜ北の山中の湖の人払いが必要なのだ?」
「見に来るか?」
現帝は少し考えて頭を横に振った。
「いや、止めておこう。今はこれ以上悩みの種を増やしたくない」
「それが賢明だ」
城から出ると、すでに馬車が待機していた。
「では、また明後日だな」
「あぁ。急変があればすぐに連絡してくれ」
クリスはルドとともに馬車に乗り帰っていった。
現帝が遠ざかる馬車を見送っていると、背後から声がした。
「お二人はどうでしたか?」
現帝が苦笑いを浮かべながら振り返る。
「初めは“神に棄てられた一族”だと信じられなかったな。ファウスティーノから『可愛らしいお嬢さん』という報告がなければ」
「クリスティは人の体の専門家ですから。どのように動けば男らしく見えるか、ということをよく知っています。それにしても、クリスティが攫われたと聞いた時は焦りましたよ」
「帝城内で攫われるとは思わなかったからな」
「無事でしたから良いです」
「だが、おまえが直接来る必要はあったのか?」
現帝の背後に立つセルシティが一つに編み込んだ白金の髪を揺らしてクスリと笑う。
「自分で釣った獲物は自分で処理をしないと、クリスティに本気で怒られますから」
「えらく気に入っているようだな」
「見ていて飽きませんからね」
セルシティは紫の瞳を細め、薔薇のように微笑んだ。
翌日。
ルドの実家で、クリスは朝から顔をこわばらせていた。
「私の子どもは男ばかりだから。一度、娘とお買い物をしたかったの。用意していた服も、とても似合っているわ」
エルネスタが満面の笑顔を浮かべ、嬉しそうに話す。その後ろでは、乾いた笑みを浮かべるラミラと、顔を逸らして笑いをこらえるカリスト。
クリスはエルネスタに泣き落とされ、渋々着た服を握りしめて俯いた。
「だから、私は、女装は、したくない、と……」
ハーフアップにして大きなピンクのリボンで飾った茶髪。レースをふんだんにあしらった上着に、リボンと同じふんわりピンクのスカート。ピンクのリボンがついたショートブーツ。
「あぁ、もう本当に可愛いわ! こういう娘が欲しかったの!」
一人で盛り上がっているエルネスタ。諦めの境地に達し、気力が死んだクリス。
そこにドアが開いた。
「母上! 師匠に何を……」
顔をあげたクリスとルドの目が合う。その瞬間、クリスの顔が真っ赤になった。ルドの顔も固まる。
エルネスタがクリスの背後に立ち、クリスをルドの方へ向けた。
「ほら、見て。クリスちゃん、可愛いでしょ?」
「エ、エル殿。もういいだろう? 着替えを……」
「あら? このまま買い物に行くわよ」
「え!?」
クリスの顔が引きつる。ルドが慌ててエルネストを止めた。
「母上! 師匠は男性だと何度言ったら……」
エルネスタが扇子をルドの首に突き付ける。
「クリスちゃんのスカート姿に見惚れた時点で、あなたの負けよ! 罰として、クリスちゃんをエスコートしなさい!」
「いえ、見惚れていたのではなく……って、何故そうなるのですかぁ!?」
ルドの叫び声が響いた。
「第一皇子は、ずいぶんと〝神に棄てられた一族〟が嫌いなようだな」
現帝が昨日の中庭での出来事を思い出す。
「あいつは、まだまだ若くてな。国を治めるには、清廉潔白でないといけないと、思い込んでいるところがある」
そう言って、現帝が気がついたように慌てる。
「あ、いや〝神に棄てられた一族〟が汚れているとか、そういうわけではないぞ!」
「わかっている。〝神に棄てられた一族〟に関われば、厄災が降る、国が亡ぶ。それは子どもでも知っていることで邪険になるのも分かる。ただ、度が過ぎればこちらも考えねばならん」
「そうなれば、王位継承順位についても考え直す。場合によってはセルシティを第一候補に出そう」
クリスは苦笑いを浮かべた。
「それは止めとけ。あいつは今の生活が気に入っているようだ。そんなことをすれば何をするか読めんぞ」
「分かっておる。我が子ながら、あやつの考えは飛びぬけ過ぎていて追いつけん」
「そもそも継承順位で言うと、次は第二皇子だろ?」
現帝の顔が曇り、階段を上がる足が遅くなる。
「あやつは……先帝と似ておっての。魔力が強く戦は上手い。腕も立ち、騎士や兵士に信頼されている。だが政治が苦手で、物事を深く考える前に体が動く」
「第二皇子が跡継ぎになると先帝の再来になりそうだな」
「あぁ。ただ幸いなことに、あやつは王位に興味がなく、コンスタンティヌスが継ぐべきだと公言している」
「では、セルシティに帝位の話がいかないように第一皇子をしっかり教育しておけ。ところで話は変わるが、帝都に向かう前にオークニーで私を襲ってきた賊がいるのだが……」
クリスの話に現帝の足が止まる。
「そのことについて話しがある。少しいいか?」
「あぁ」
「では、こちらに来てくれ」
階段を上り終えたクリスたちは現帝について城内を歩いた。
見張りの兵士や騎士がいる廊下を抜け、城内の奥の一室へ通される。
「私の執務室だ。散らかっているが、気にしないでくれ」
開けられたドアの先。大きな窓が並び、その間の壁には国旗と剣が飾られた立派な部屋。
その前にある大きな執務机には山積みの書類。あとは大きなソファーがある応接セット。
現帝に勧められ、クリスはソファーに座った。ルドが自然な動きでクリスの背後に立つ。
クリスの反対側に現帝が腰をおろした。親衛隊の一人が現帝の後ろに立ち、残りの二人がドアで待機する。
クリスを正面から見据えた現帝が深々と頭を下げた。
「今回は先帝の治療で迷惑をかけて、すまなかった。しかも、帝城内で誘拐まで……完全にこちらの失態だ」
皇帝が自分の臣下に頭を下げるという前代未聞の事態に、ルドと親衛隊が目を丸くする。だが、クリスは驚くことなく淡々と返した。
「オグウェノがしたことについては気にするな。あれは全面的にあいつが悪い」
顔をあげた現帝が真顔で首を横に振る。
「いや、あれも良い経験になった。城の守りの薄いところがよく分かったからな。だが、帝都に来る途中で襲われるなど、不快な思いをさせてしまった」
「そのことだが、襲ってきたのは何者だ?」
「それについては、裏付けを取っている。近日中に全ての関係者を拘束する予定だ。もう襲われることはない」
「その言葉、信じていいのか?」
「あぁ」
皇帝が深く頷いたところで、ノックの音が響いた。
「お茶をお持ちしました」
執務室に入った若い執事がカップに紅茶を注ぎ、茶菓子を並べる。現帝が一息つくように紅茶を飲んだ。
クリスは紅茶を一瞥しただけで視線を現帝に戻す。
「……拘束、できるのか?」
再確認したクリスに現帝の顔が険しくなる。
「気づいていたのか?」
「確信はないが、情報と状況から推測した。ただ、私を襲わせた理由が分からない」
「動機については拘束してから話を聞く予定だ」
「そうか。すべて分かったら報告してくれ」
クリスはソファーから立ち上がった。現帝がカップを置いて立ち上がる。
「当然だ。ところで、帝都にはいつまでいる予定だ?」
「明後日までだな。明後日の朝、先帝の状態を診たら帰る予定だ」
「早いな。もう少しゆっくりしても良いのではないか?」
執務室から出ると、クリスと現帝は並んで廊下を歩いた。
「こちらも予定がある。あと、急ぎで帰るから明後日は北の山中にある湖の周囲を人払いしておいてくれ」
「前々から思っていたのだが、急ぎで帰るのになぜ北の山中の湖の人払いが必要なのだ?」
「見に来るか?」
現帝は少し考えて頭を横に振った。
「いや、止めておこう。今はこれ以上悩みの種を増やしたくない」
「それが賢明だ」
城から出ると、すでに馬車が待機していた。
「では、また明後日だな」
「あぁ。急変があればすぐに連絡してくれ」
クリスはルドとともに馬車に乗り帰っていった。
現帝が遠ざかる馬車を見送っていると、背後から声がした。
「お二人はどうでしたか?」
現帝が苦笑いを浮かべながら振り返る。
「初めは“神に棄てられた一族”だと信じられなかったな。ファウスティーノから『可愛らしいお嬢さん』という報告がなければ」
「クリスティは人の体の専門家ですから。どのように動けば男らしく見えるか、ということをよく知っています。それにしても、クリスティが攫われたと聞いた時は焦りましたよ」
「帝城内で攫われるとは思わなかったからな」
「無事でしたから良いです」
「だが、おまえが直接来る必要はあったのか?」
現帝の背後に立つセルシティが一つに編み込んだ白金の髪を揺らしてクスリと笑う。
「自分で釣った獲物は自分で処理をしないと、クリスティに本気で怒られますから」
「えらく気に入っているようだな」
「見ていて飽きませんからね」
セルシティは紫の瞳を細め、薔薇のように微笑んだ。
翌日。
ルドの実家で、クリスは朝から顔をこわばらせていた。
「私の子どもは男ばかりだから。一度、娘とお買い物をしたかったの。用意していた服も、とても似合っているわ」
エルネスタが満面の笑顔を浮かべ、嬉しそうに話す。その後ろでは、乾いた笑みを浮かべるラミラと、顔を逸らして笑いをこらえるカリスト。
クリスはエルネスタに泣き落とされ、渋々着た服を握りしめて俯いた。
「だから、私は、女装は、したくない、と……」
ハーフアップにして大きなピンクのリボンで飾った茶髪。レースをふんだんにあしらった上着に、リボンと同じふんわりピンクのスカート。ピンクのリボンがついたショートブーツ。
「あぁ、もう本当に可愛いわ! こういう娘が欲しかったの!」
一人で盛り上がっているエルネスタ。諦めの境地に達し、気力が死んだクリス。
そこにドアが開いた。
「母上! 師匠に何を……」
顔をあげたクリスとルドの目が合う。その瞬間、クリスの顔が真っ赤になった。ルドの顔も固まる。
エルネスタがクリスの背後に立ち、クリスをルドの方へ向けた。
「ほら、見て。クリスちゃん、可愛いでしょ?」
「エ、エル殿。もういいだろう? 着替えを……」
「あら? このまま買い物に行くわよ」
「え!?」
クリスの顔が引きつる。ルドが慌ててエルネストを止めた。
「母上! 師匠は男性だと何度言ったら……」
エルネスタが扇子をルドの首に突き付ける。
「クリスちゃんのスカート姿に見惚れた時点で、あなたの負けよ! 罰として、クリスちゃんをエスコートしなさい!」
「いえ、見惚れていたのではなく……って、何故そうなるのですかぁ!?」
ルドの叫び声が響いた。
0
あなたにおすすめの小説
病弱な第四皇子は屈強な皇帝となって、兎耳宮廷薬師に求愛する
藤原 秋
恋愛
大規模な自然災害により絶滅寸前となった兎耳族の生き残りは、大帝国の皇帝の計らいにより宮廷で保護という名目の軟禁下に置かれている。
彼らは宮廷内の仕事に従事しながら、一切の外出を許可されず、婚姻は同族間のみと定義づけられ、宮廷内の籠の鳥と化していた。
そんな中、宮廷薬師となった兎耳族のユーファは、帝国に滅ぼされたアズール王国の王子で今は皇宮の側用人となったスレンツェと共に、生まれつき病弱で両親から次期皇帝候補になることはないと見限られた五歳の第四皇子フラムアーク付きとなり、皇子という地位にありながら冷遇された彼を献身的に支えてきた。
フラムアークはユーファに懐き、スレンツェを慕い、成長と共に少しずつ丈夫になっていく。
だがそれは、彼が現実という名の壁に直面し、自らの境遇に立ち向かっていかねばならないことを意味していた―――。
柔和な性格ながら確たる覚悟を内に秘め、男としての牙を隠す第四皇子と、高潔で侠気に富み、自らの過去と戦いながら彼を補佐する亡国の王子、彼らの心の支えとなり、国の制約と湧き起こる感情の狭間で葛藤する亜人の宮廷薬師。
三者三様の立ち位置にある彼らが手を携え合い、ひとつひとつ困難を乗り越えて掴み取る、思慕と軌跡の逆転劇。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
喪女なのに狼さんたちに溺愛されています
和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です!
聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。
ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。
森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ?
ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる