4 / 7
終わりのはじまり
しおりを挟む
汗やいろんな液体で汚れた体を拭き清める。
かなり無理をしたが後悔はしていない。
新しい服を着せてベッドに寝かせる。
静かに寝ている姿はビスクドールのように美しい。
オレは枕元に腰かけると、額にかかる前髪に触れた。
今は閉じられた瞳。次に瞼が開いた時、翡翠の瞳は何も映さない。
「それでいい」
毒で潰れた目が最後に映したのはオレの顔。
「最高だな」
美しい隊長は信じていた部下に汚され壊され、人形になった。
毒で潰された目はもう何も映さない。
だが、それでいい。
それからオレは人形となった隊長の世話をしつつ、騎士の仕事を続けた。
少しづつ、少しづつ、水面下で戦略を蜘蛛の糸のように張り巡らせながら。
時に隊長を激しく抱き、時に甘やかすように膝にのせ、時にその日の出来事を語り、何も映さない翡翠の瞳とともに日々を過ごしていく。
「……もう少しですよ」
耳元で囁いても反応はない。
ただ、激しく抱いた時だけはその唇から甘い喘ぎ声が漏れ、その姿により愛おしさを感じるようになっていった。
こうして一つの季節が過ぎた頃――――――
「ただいま帰りました」
いつもより帰りが遅くなり、暗いドアを開ける。
「……え?」
灯りがない部屋でベッドに座った隊長を照らす光があった。
淡い光に包まれ、そのまま消えそうな幻影に慌てて手を伸ばす。
「隊長!」
反射的に駆け寄り手を握る。
指先から伝わる温もりと滑らかな肌の感触。
いつもと同じ状態に安堵する。
ふと壁を見上げれば、この部屋に唯一ある横に細長い窓から満月が覗いていた。
「あそこからの光だったか」
ホッと息を吐きつつ視線を移す。
薄っすらと開いた瞼から見える翡翠の瞳にオレはつい口を動かした。
「月が綺麗ですね。あぁ、失礼。オレが目を潰したから見えませんね」
ワザと煽るように貴方へ放った言葉。
しかし、目の前にいる貴方は何も反応しない。
でも、それでいい。
貴方はオレだけの人形になればいいのだから。
こうしてオレはいつものように人形となった隊長の世話をする。
食事から入浴、着替えまでしてあとは寝るだけ。
しかし、ただ寝るだけではない。
「ん、ふぁ……はぁ……んぁ」
ギシギシと軋むベッドの音とともに何度も抱き続け、甘い喘ぎ声を響かせるようになった体。
全身をくまなく舐めあげ、普段よりしつこく何度もイカせる。
白濁が出なくなっても、中だけで何度イッても。
ひたすら腰を振り続け、どこまでも自分で欲望で穢していく。
こうしてオレは満月の月明りの下、喘ぎ声が掠れるまで白い体を抱き続けた。
翌朝。
静かな寝息を聞きながらオレはベッドから立ち上がった。
いつものように身支度を整えていくが、それも今日まで。
すべての準備を終えたオレはベッドに近づき、人形のように眠り続ける金髪をゆっくりと撫でた。
「いってきます」
額に触れるだけのキスを落として離れる。
「さあ、すべてを壊しにいこうか」
呟き声を閉じ込めるようにドアを閉め、足を踏み出す。
カツンと響く足音がいつもより大きく聞こえる。
あとは、腐りきった国を壊すだけ。
オレは身を焦がす朝日の中へ進んでいった。
かなり無理をしたが後悔はしていない。
新しい服を着せてベッドに寝かせる。
静かに寝ている姿はビスクドールのように美しい。
オレは枕元に腰かけると、額にかかる前髪に触れた。
今は閉じられた瞳。次に瞼が開いた時、翡翠の瞳は何も映さない。
「それでいい」
毒で潰れた目が最後に映したのはオレの顔。
「最高だな」
美しい隊長は信じていた部下に汚され壊され、人形になった。
毒で潰された目はもう何も映さない。
だが、それでいい。
それからオレは人形となった隊長の世話をしつつ、騎士の仕事を続けた。
少しづつ、少しづつ、水面下で戦略を蜘蛛の糸のように張り巡らせながら。
時に隊長を激しく抱き、時に甘やかすように膝にのせ、時にその日の出来事を語り、何も映さない翡翠の瞳とともに日々を過ごしていく。
「……もう少しですよ」
耳元で囁いても反応はない。
ただ、激しく抱いた時だけはその唇から甘い喘ぎ声が漏れ、その姿により愛おしさを感じるようになっていった。
こうして一つの季節が過ぎた頃――――――
「ただいま帰りました」
いつもより帰りが遅くなり、暗いドアを開ける。
「……え?」
灯りがない部屋でベッドに座った隊長を照らす光があった。
淡い光に包まれ、そのまま消えそうな幻影に慌てて手を伸ばす。
「隊長!」
反射的に駆け寄り手を握る。
指先から伝わる温もりと滑らかな肌の感触。
いつもと同じ状態に安堵する。
ふと壁を見上げれば、この部屋に唯一ある横に細長い窓から満月が覗いていた。
「あそこからの光だったか」
ホッと息を吐きつつ視線を移す。
薄っすらと開いた瞼から見える翡翠の瞳にオレはつい口を動かした。
「月が綺麗ですね。あぁ、失礼。オレが目を潰したから見えませんね」
ワザと煽るように貴方へ放った言葉。
しかし、目の前にいる貴方は何も反応しない。
でも、それでいい。
貴方はオレだけの人形になればいいのだから。
こうしてオレはいつものように人形となった隊長の世話をする。
食事から入浴、着替えまでしてあとは寝るだけ。
しかし、ただ寝るだけではない。
「ん、ふぁ……はぁ……んぁ」
ギシギシと軋むベッドの音とともに何度も抱き続け、甘い喘ぎ声を響かせるようになった体。
全身をくまなく舐めあげ、普段よりしつこく何度もイカせる。
白濁が出なくなっても、中だけで何度イッても。
ひたすら腰を振り続け、どこまでも自分で欲望で穢していく。
こうしてオレは満月の月明りの下、喘ぎ声が掠れるまで白い体を抱き続けた。
翌朝。
静かな寝息を聞きながらオレはベッドから立ち上がった。
いつものように身支度を整えていくが、それも今日まで。
すべての準備を終えたオレはベッドに近づき、人形のように眠り続ける金髪をゆっくりと撫でた。
「いってきます」
額に触れるだけのキスを落として離れる。
「さあ、すべてを壊しにいこうか」
呟き声を閉じ込めるようにドアを閉め、足を踏み出す。
カツンと響く足音がいつもより大きく聞こえる。
あとは、腐りきった国を壊すだけ。
オレは身を焦がす朝日の中へ進んでいった。
15
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
婚活アプリのテスト版に登録させられたら何故か自社の社長としかマッチング出来ないのですが?
こたま
BL
オメガ男子の小島史(ふみ)は、ネットを中心に展開している中小広告代理店の経理部に勤めている。会社が国の補助金が入る婚活アプリ開発に関わる事になった。テスト版には、自社の未婚で番のいないアルファとオメガはもちろん未婚のベータも必ず登録して動作確認をするようにと業務命令が下された。史が仕方なく登録すると社長の辰巳皇成(こうせい)からマッチング希望が…
伯爵家次男は、女遊びの激しい(?)幼なじみ王子のことがずっと好き
メグエム
BL
伯爵家次男のユリウス・ツェプラリトは、ずっと恋焦がれている人がいる。その相手は、幼なじみであり、王位継承権第三位の王子のレオン・ヴィルバードである。貴族と王族であるため、家や国が決めた相手と結婚しなければならない。しかも、レオンは女関係での噂が絶えず、女好きで有名だ。男の自分の想いなんて、叶うわけがない。この想いは、心の奥底にしまって、諦めるしかない。そう思っていた。
のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした
こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる
ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。
アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。
異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。
【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。
αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。
負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。
「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。
庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。
※Rシーンには♡マークをつけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる