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3 アルバイト
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「ありがとうございました~」
わたしは、ドーナツを買ってくれたお客さんに満面の笑みを浮かべ接客をした。
「あの、早乙女さん、どうして接客をしているんですか?」
その声に振り返るとドーナツ屋の制服を着た青橋君が不思議そうに首を傾げていた。
「ふふん、店長さんにチラシ配りから接客に変えてくださいとお願いしたんだよ」
「はぁ、そうなんですか? 奈央の姿が見えないですけどどうしたか知りませんか?」
「あ、えっと、奈央はね」と答えようとしたその時、
「姉ちゃん、どういうことなんだよ!」
顔を真っ赤にしてほっぺたを膨らませている奈央が店内に入ってきた。
「あら、奈央、どうしたのかな~?」
「ど、どうしたのかなって、姉ちゃん! なんで俺がチラシを配っているんだよ」
奈央はチラシの入っている紙袋をぎゅっと握り顔を真っ赤にして怒っているようだ。
そんなに怒ることはないのになと思いながらわたしは、奈央の猿のように真っ赤になっている顔をじっと眺めた。
「だって、奈央はチラシ配りが得意でしょ。だから、店長に言って交代してもらったんだよ」
「……あのね、だからって酷いじゃないか」
「えっ? どうして? その方が能率いいじゃん」
わたしは、ふふんと鼻を鳴らした。
「……姉ちゃんってなんか意地悪だよね」
そう言った奈央の顔はますます猿のように真っ赤になっていた。
わたしは、その顔がなんだか猿山のお猿さんを見ているようで可笑しくて笑ってしまった。
「奈央の顔ってば真っ赤で猿みたいだよ~」
「猿みたいって、誰のせいだと思っているんだよ。早乙女ふざけるな!」
「お姉ちゃんって呼びなさい」
「早乙女は、早乙女だ~」
奈央は瞬間湯沸かし器のように怒りをどかーんと爆発させた。
そんなに怒ることないのにね。わたしは、ふぅーと溜め息をついた。
それからも奈央は街頭でチラシを配りわたしは、店内で接客をした。
青橋君は早乙女先輩と奈央は相変わらずでなんだかんだ言っても仲良しですねと言って笑った。わたしは、どこが仲良しなのよと首をひねる。
ドーナツ屋さんのアルバイトは意外と楽しかった。店頭に並べられたドーナツがどんどん売れるさまを見ているとなんだか楽しかった。そして、ドーナツを補充してまた売れる様子を眺めては心の中でやったねと笑った。
接客も早乙女スマイルを浮かべて何とかこなした。きっと、このドーナツ屋さんでアルバイトをしたことも高校生時代の良い思い出になるだろうなと思う。
「早乙女ちゃん、疲れたんだけど」
亜子ちゃんが休憩室の椅子にどかんと座り言った。
「亜子ちゃん大丈夫?」
わたしは、オレンジジュースをストローで飲みながらなんだかお疲れ気味な表情になっている亜子ちゃんの顔を見た。
「……あのね、早乙女ちゃんってばどうして自分だけ涼しい店内でドーナツを販売してるのよ。六月だけど外にずっと立っていると汗がたらたら流れたよ」
亜子ちゃんはお皿に盛られたドーナツに手を伸ばしながら不満そうな顔でわたしをじっと見た。
「あ、そのことだね。わたし、チラシ配りより販売員の方が向いてるかなと思って奈央と交代したんだよ~」
「……でも奈央君はめちゃくちゃ嫌そうな顔していたんだけどね。なんかブツブツ文句を言ってたよ」
亜子ちゃんは口を大きく開けてドーナツをぱくぱく食べた。
「ふーん、そうなんだ。奈央ってばチラシ配り得意なくせに何が不満なんだろうね」
わたしは、ドーナツに手を伸ばしながら考えた。
わたしは、ドーナツを買ってくれたお客さんに満面の笑みを浮かべ接客をした。
「あの、早乙女さん、どうして接客をしているんですか?」
その声に振り返るとドーナツ屋の制服を着た青橋君が不思議そうに首を傾げていた。
「ふふん、店長さんにチラシ配りから接客に変えてくださいとお願いしたんだよ」
「はぁ、そうなんですか? 奈央の姿が見えないですけどどうしたか知りませんか?」
「あ、えっと、奈央はね」と答えようとしたその時、
「姉ちゃん、どういうことなんだよ!」
顔を真っ赤にしてほっぺたを膨らませている奈央が店内に入ってきた。
「あら、奈央、どうしたのかな~?」
「ど、どうしたのかなって、姉ちゃん! なんで俺がチラシを配っているんだよ」
奈央はチラシの入っている紙袋をぎゅっと握り顔を真っ赤にして怒っているようだ。
そんなに怒ることはないのになと思いながらわたしは、奈央の猿のように真っ赤になっている顔をじっと眺めた。
「だって、奈央はチラシ配りが得意でしょ。だから、店長に言って交代してもらったんだよ」
「……あのね、だからって酷いじゃないか」
「えっ? どうして? その方が能率いいじゃん」
わたしは、ふふんと鼻を鳴らした。
「……姉ちゃんってなんか意地悪だよね」
そう言った奈央の顔はますます猿のように真っ赤になっていた。
わたしは、その顔がなんだか猿山のお猿さんを見ているようで可笑しくて笑ってしまった。
「奈央の顔ってば真っ赤で猿みたいだよ~」
「猿みたいって、誰のせいだと思っているんだよ。早乙女ふざけるな!」
「お姉ちゃんって呼びなさい」
「早乙女は、早乙女だ~」
奈央は瞬間湯沸かし器のように怒りをどかーんと爆発させた。
そんなに怒ることないのにね。わたしは、ふぅーと溜め息をついた。
それからも奈央は街頭でチラシを配りわたしは、店内で接客をした。
青橋君は早乙女先輩と奈央は相変わらずでなんだかんだ言っても仲良しですねと言って笑った。わたしは、どこが仲良しなのよと首をひねる。
ドーナツ屋さんのアルバイトは意外と楽しかった。店頭に並べられたドーナツがどんどん売れるさまを見ているとなんだか楽しかった。そして、ドーナツを補充してまた売れる様子を眺めては心の中でやったねと笑った。
接客も早乙女スマイルを浮かべて何とかこなした。きっと、このドーナツ屋さんでアルバイトをしたことも高校生時代の良い思い出になるだろうなと思う。
「早乙女ちゃん、疲れたんだけど」
亜子ちゃんが休憩室の椅子にどかんと座り言った。
「亜子ちゃん大丈夫?」
わたしは、オレンジジュースをストローで飲みながらなんだかお疲れ気味な表情になっている亜子ちゃんの顔を見た。
「……あのね、早乙女ちゃんってばどうして自分だけ涼しい店内でドーナツを販売してるのよ。六月だけど外にずっと立っていると汗がたらたら流れたよ」
亜子ちゃんはお皿に盛られたドーナツに手を伸ばしながら不満そうな顔でわたしをじっと見た。
「あ、そのことだね。わたし、チラシ配りより販売員の方が向いてるかなと思って奈央と交代したんだよ~」
「……でも奈央君はめちゃくちゃ嫌そうな顔していたんだけどね。なんかブツブツ文句を言ってたよ」
亜子ちゃんは口を大きく開けてドーナツをぱくぱく食べた。
「ふーん、そうなんだ。奈央ってばチラシ配り得意なくせに何が不満なんだろうね」
わたしは、ドーナツに手を伸ばしながら考えた。
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