カフェノートで二十二年前の君と出会えた奇跡(早乙女のことを思い出して

なかじまあゆこ

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カフェノートのやり取り

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『うん、もうすぐ旅行だもんね。楽しい旅行にしようね。早乙女』とわたしはカフェノートに書いたけれど、正直戸惑っている。

  だって、カフェノートのページ数があと半分くらいしかないのだから。

  わたしは祐介君に言われるまで気がつかなかった。このカフェノートのページが全部埋まると祐介君と連絡が取れなくなってしまうかもしれないなんて……。

  でも、きっと、大丈夫なはずだ。
『カフェノートが全部埋まると新しいノートになるはずだからね』と祐介君が書いてくれた言葉を信じよう。

  そう信じよう。信じるしかないのだ。

  このカフェノートを通して会話が出来なくなるなんて考えただけで寂しすぎるよ。

  わたしは、そんなことを考えながら祐介君の小さく書かれた綺麗な文字といつもの大きくて豪快で綺麗な文字を見比べた。

  きっと、祐介君は、カフェノートの残りのページ数に気がつき慌てて小さな文字を書いたのだろう。その様子が目に浮かびちょこっと笑いそして、涙が出そうになった。

  いつの間にかわたしはこのカフェノートを開き祐介君と会話をする時間がかけがえのないものになっていた。

  ずっと、この楽しい時間が続きますようにと祈った。



  カフェノートをじっと眺めていると、階下から「早乙女ちゃんご飯だよ」とおばあちゃんの元気な声が聞こえてきた。

「は~い」とわたしは返事をしてカフェノートを閉じた。

  今はご飯をたらふく食べて元気をチャージしようと思った。

「ご飯、ご飯~」と言いながらわたしは階段を駆け下りた。

  居間に行くとふわふわふわりとソースの香ばしい香りが漂ってきた。

「あ、今日の夕飯は焼きそばかな?」

  わたしは、スキップをするかのような足取りで台所を覗こうとしたその時、

「今日の夕飯は焼きそばかな~」と言って階段を駆け下りて来る奈央の声と足音が聞こえてきた。

「奈央、うるさいよ」

  わたしは振り返り奈央に言った。

「姉ちゃんこそドタバタうるさいよ」

  奈央といつものように言い合いをしていると元気が出てきた。


「おばあちゃん、今日の夕飯は焼きそばかな?」

  わたしは、奈央より先に台所を覗いた。見るとちょうどおばあちゃんが焼きそばを真っ白なお皿に盛り付けているところだった。

「うん、そうだよ。おばあちゃんの焼きそばはとっても美味しいからね」

  おばあちゃんは顔を上げてにっこりと笑った。自分の作った料理を美味しいよと言うところがわたしのおばあちゃんらしいところだ。

「やった~わたしおばあちゃんの焼きそばが好きなんだよ」

 もう食べる前から美味しいと分かる。ソースの香ばしい匂いが食欲をそそる。

「あ、おばあちゃん、唐揚げに春巻きもあるんだね。めちゃくちゃ美味しそうだね」

  奈央がわたしの後ろから顔を出して言った。

「うん、唐揚げと春巻きもきっと美味しいからね」

  おばあちゃんはにっこりと笑みを浮かべた。

「俺の唐揚げ大盛りにしてね」

「あ、奈央ってばずるいよ~おばあちゃん、わたしの唐揚げも焼きそばも大盛りにしてね」

「あ、姉ちゃんってばずるいよ!  おばあちゃん俺の焼きそばも大盛りにしてね」

  わたしと奈央が言い合っていると、おばあちゃんがクスクスと笑いながら「二人とも仲良く大盛りにしてあげるよ」と言った。

「やった~」とわたしと奈央は声を合わせて喜んだ。

  夕飯の焼きそばはキャベツのシャキッと感が良く豚肉の旨みが最高だった。

  わたしも奈央も「美味しいね」と言って笑顔で食べた。そんなわたし達をおばあちゃんが目を細めて眺めていた。

「お腹が空いたわ」と言って仕事から帰ってきたお母さんも「焼きそばなんだね、美味しそう」と言って頬を緩めた。

 ここにお父さんの笑顔があれば言うことなしなのになと思った。
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